今回は、マレーシアの主要酒類製造メーカーに焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて12社を厳選してお届けしていきます！
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
読了時間の目安：5分
[toc]
マレーシアの主要酒類製造メーカー9選〜ローカル企業編〜
Thai Seng Liquor Sdn Bhd （タイ・セン・リカー）
ワインとスピリッツの流通業者兼卸売業者として、1923年に設立。セランゴール州のセリ・ケンバンガンを拠点としている。
ブランデー、ウイスキー、ホワイトリカー（ウォッカ、ジン、ラム、テキーラ）、世界各地のワイン、リキュール、漢方薬、米酒、ビール、ノンアルコール飲料など、さまざまなカテゴリーの製品を取り扱う。
また、へネシーやマーテル、シャボー、シーバス、ジョニーウォーカー、アブソルート、アンゴーブワイン、ストーンズジンジャーワイン、養命酒、DOM、チョーヤといったブランドとパートナーシップを締結している。
販売先はスーパーマーケットやレストラン、ホテル、免税店などとなっている。
また、関連会社のワインパック社では、委託製造や自社ブランドの製造も手掛けており、ビール、ワイン、スピリッツなどの飲料製造を範囲としている。
2020年8月には、2020年サンフランシスコ・ワールド・スピリット・コンペティションにおいて、同社傘下にあるワインパック社のウイスキーが銀賞を受賞したことを発表している。
また、同社は自社ウエブページ上でオンラインショッピングも運営しており、各種アルコール飲料を販売している。
出典：https://thaiseng.com/
Milawa (M) Sdn Bhd （ミラワ・マレーシア）
1995年11月にワインの輸入販売業者として設立、1996年に操業を開始している。クアラルンプールを拠点として、独立系では最大規模となるオーストラリア・ワイン輸入業者であり、ペナンとランカウイに代理店を展開する。
同社では、オーストラリアや米国、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ニュージーランド、チリからワインを輸入しており、ホテルやレストラン、卸売業者、小売店、酒屋、著名な個人バイヤーなどへ納入している。
また、クライアントが選んだホテルやレストランでイベントを開催するという独特のサービスを提供したり、顧客向けにワイン・テイスティングやワイン・ディナーといったイベントを開催している。
他にも、飲料ケータリングのコンセプトを導入し、個人が開催するイベントにおいて、ソフトドリンクやスピリッツ、ビール、ワイン、氷などの飲料を提供するサービスも展開している。
出典：https://www.milawa.com/
New Foo Hing Group （ニュー・フー・ヒン・グループ）
1979年、飲料とたばこのトレーディング・卸売業者としてクアラルンプールで事業を開始。2005年にニュー・フー・フィン社を設立し、2011年にプチョン支店（セランゴール州）、2012年にペラ支店（ペラ州）を設立している。
グループが取り扱っている飲料は、ビールやリカー、ワイン、ミネラルウォーター、ソフトドリンクなどとなっている。ウイスキーやブランデーでは、マーテルやヘネシー、シーバス、山崎などのブランドを販売している。また、輸入ビールとしてキリンやポーラナー、キルケニーといったブランドも取り扱っている。
また、同社はハイネケン・マレーシアの首都圏とペラ州における主要販売代理店に指名されている。
同社の主要顧客は、ホテル（コンコルドホテル、シャングリラホテル、JWマリオットホテルなど）、クラブ、レストラン、ディスコ、カフェ、スーパーマーケット（セブンイレブン、99スピードマート、マイニュースなど）となっている。
出典：http://nfhgroup.com.my/
Tong Woh Enterprise Sdn Bhd （トン・ウォ・エンタープライズ）
1968年にトン・ウォ・メディカルホールを設立し、1976年より首都圏での酒類卸売事業を開始。1979年に現社名で会社登録し、アルコール供給事業を展開する。
1990年には、ギネスアンカー（現ハイネケン）の首都圏におけるディストリビューターとして指名される。2000年にファインワイン部門を立ち上げ、世界中から最高級ワインの輸入を開始する。
2004年にはコカ・コーラ社と提携し、シュウェップス製品の独占販売権を取得。2009年には、スピリッツの輸入事業に乗り出す。2011年、レッドブル社のオン・トレード販売代理店、そして同年にアンガスダンディーウイスキー、ニッカウヰスキーの輸入代理店となる。2014年には月桂冠と提携している。
現在、同社はバンダーサンウェイを拠点として、プレミアムスピリッツや高級ワインを保管するための大容量・空調完備の倉庫、そしてチルドルームを備えた近代的な倉庫施設を備えている。
また、同社は7トン車と5トン車、多機能バンなどの配送車両を備え、クランバレー全域の配送を可能としている。販売ネットワークはマレーシア全土に及んでおり、中央部に主要配送センター、そして北部と南部、東部の各州に卸売業者を持つ。
出典：https://www.tongwohgroup.com/
Luen Heng F&B Sdn Bhd （ルエン・ヘンF&B）
1965年にクアラルンプールで家族経営の会社として創業。社名をルエン・ヘン・エージェンシーとし、ビールやワイン、スピリッツ、タバコ、雑貨の卸売りを事業とする。1972年には、カールスバーグ・ビールの流通を手掛ける。
2008年12月、カールスバーグ・ブルワリー・マレーシアと合弁でルエン・ヘンF&Bを設立し、国内におけるビールの主要な輸入業者となる。
同社はクアラルンプールを拠点として、ジョホール州に支店を持つ。SAPとWMSシステムによる温度管理された倉庫、そして自社配送車両を保有しており、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ホテル、レストラン、バー、ディスコなどへ納入している。
2020年6月にはeコマース事業を開始し、ビールやワイン、スピリッツ、日本酒などを消費者へ販売している。また、アルコール以外にも炭酸飲料やコーヒーなどの飲料、パーソナルケア製品、ガラス製品なども取り扱っている。
出典：https://luenheng.com/
Chua Song Seng Sdn Bhd （チュア・ソン・セン）
1939年に雑貨店として開業。1970年、同社はカールスバーグの販売権を取得。他にも、現在ではJTIタバコやその他の食料品や商品のブランド、そしてスピリッツ、ワイン、シャンパンといった製品を販売している。主要な顧客はホテルやゴルフ＆カントリークラブ、パブ、娯楽施設、レストラン、小売業者などとなっている。
2020年には、デロンプ・マーケティング社との合弁でCSSソリューション社を設立し、eコマースプラットフォームの運営に参入している。この他にも、同社はクアラルンプールとセランゴール州、ペナン州、ジョホール州、ペラ州に傘下の企業や支店を展開する。
飲料事業では、カールスバーグやフォルティア・ワインズ＆スピリッツなどを戦略的パートナーとして、コニャック/ブランデー、ジン、テキーラ、ビール、ラム酒、ウイスキー、ウォッカ、ワイン/シャンパンなどを取り扱っている。
出典：https://chuasongseng.com/
Nam Lee Cheong Sdn Bhd （ナム・リー・チョン）
1946年、クアラルンプールのペタリンストリートで酒類小売店として事業開始。1978年にはマーテルやヘネシー、ジョニーウォーカーといった世界有数の蒸留酒メーカーの主要ディストリビューターの1つとなる。また、1990年代半ばよりワイン輸入も開始する。
国内最大のワインとスピリッツの輸入・販売業者で、年間100万本以上のボトルを販売しており、ホテルや大型スーパーマーケット、レストラン、小売店などを顧客としている。
現在、同社が取り扱っている製品は、ワイン（アルゼンチン、オーストラリア、チリ、フランス、イタリア、ニュージーランド、南アフリカ、スペイン）、シャンパン、スピリッツ（コニャック、ラム酒、ウォッカ、ウイスキー）、中国紹興酒などとなっている。
出典：http://www.namleecheong.com.my/
Albert International Wines & Spirits Sdn Bhd （アルバート・インターナショナル・ ワインズ&スピリッツ）
1992年、ワインとスピリッツの輸入業者としてクアラルンプールに設立。世界中の多くの有名ブランドの代理店として、空港や免税島、5つ星レストラン、ホテルへ納入している。事業対象は西マレーシアとなっている。
ワイン（フランス、オーストラリア、チリ、スペインなど14ヵ国）やスピリッツ（ウイスキー、リキュール、ウォッカ、日本酒、テキーラなど）、ビール（ハイネケン、タイガービール、ギネス）など、100以上のブランドを取り扱っている。
オンラインショッピングサイト「AlbertWines2u」では、アルコール飲料単品の他に贈答用などのセット、またコーヒー豆やミネラルウォーター、シロップなどの非アルコール飲料、ワインチラーやワインキャビネット、グラスといった関連製品なども扱っている。
出典：https://www.albertwines2u.com.my/
Suenyun Sdn Bhd （スエンユン）
1933年より操業している会社で、ペラ州イポーを拠点とする酒類製造会社。工場は30,000平方フィートの広さを持ち、JFドミニクウイスキーやJFドミニクXOといったブランドを展開する。
また、クアラルンプールにはマーケティング会社のアクタス・トレーディング社を設立しており、オーストラリアやアルゼンチン、イタリア、フランス、チリ、ポルトガル、スイスなどから輸入したワイン、そしてスエンユン社の製品を販売している。
同社の製品は、KKマートやロータス、ジャイアント・ハイパーマーケット、ショッピーの他、各エリアの販売店で購入することができる。
同社は2021年サンフランシスコ・ワールド・スピリット・コンペティションにおいて3つの製品が、2021年ニューヨーク・ワールド・スピリット・コンペティションで10の製品が賞を受賞。また、2021年11月には、マレーシア・ブック・オブ・レコードにおいて同社工場は年間最多の国際賞受賞メーカーとなったことを発表している。
出典：https://www.suenyun.com.my/
https://www.actas.com.my/
マレーシアの主要酒類製造メーカー〜日系企業編〜
Doka Sdn Bhd （ドカ）
2009年12月に資本金500万リンギットで設立され、マレーシア国内に幅広い販売網と配送体制を備え、日本から届いた飲料・食品をマレーシア国内で販売するサービスを提供する。主に日本米と日本酒を中心に、日本産の食品・食材、生鮮品、各種飲料を、マレーシアの飲食店・小売店・飲食サービス業界向けに卸売りしている。
セランゴール州シャーラムに本社と倉庫（105,000平方フィート）を持つ。倉庫は冷蔵・冷凍設備を備えており、姉妹会社のヒロフード・パッケージ・マニュファクチャリングと共有している。
また、1986年に設立され、埼玉県を拠点とする株式会社のどかトレーディングでは、日本全国の酒蔵・農家・卸から選りすぐりの食品飲料を買付け、ドカ社に出荷している。
同社は十九代目鈴木商店（パブリカ店、伊勢丹KLCC店）、十九代目鈴木飯店、ザ・和牛レストラン、ミスター・ベントーといった直営店も運営している。
出典：http://doka.com.my/
https://nodoka-trading.com/
マレーシアの主要酒類製造メーカー2選〜外資系企業編〜
Carlsberg Breweries Malaysia Bhd （カールスバーグ・ブルワリー・マレーシア）
1969年、カールスバーグA/Sのマレーシア法人として設立、セランゴール州シャーラムを拠点としている。マレーシアとシンガポールで事業を展開し、スリランカの醸造所にも出資するビールメーカー。また、台湾や香港、カンボジア、ラオス、タイ、スリランカ、東ティモール、パプアニューギニア、モルディブ、グアムといった地域市場へも輸出を行っている。
取り扱っているブランドとしては、カールスバーグの他に1664やアサヒ、ブルックリン、コナーズ、スコールなどとなっている。
2020年度の収益は17億8,500万リンギットで、2億980万リンギットの税引き前利益を計上している。
2022年1月、同社はプトラ・ブランド・アワードの「飲料・アルコール部門」においてカールスバーグがプラチナ賞を、そしてサマーズビー ピアサイダーとコナーズ・スタウト・ポーターがシルバー賞を受賞したことを発表。
また、2021年10月には、国内事業所で連続1,000日間の休業災害なしという会社の安全衛生記録を更新したことを発表、これまでビール会社の記録であった415日間を上回った。
出典： https://carlsbergmalaysia.com.my/
Heineken Malaysia Bhd （ハイネケン・マレーシア）
1964年に会社設立、1965年よりマレーシア証券取引所のメインボードに上場するビールメーカー。同社の51%の株式を持つGAPL社をハイネケンが取得したことを受け、2016年に現社名となる。現在、ハイネケンの完全子会社。
23.72エーカーのスンゲイ・ウェイ醸造所は2002年にHACCP認証を、そして2010年にISO 9001を取得している。セランゴール州ペタリンジャヤの本社と醸造所、及びマレーシア半島と東マレーシアにある13の営業所で約600人の従業員を雇用している。
ハイネケンやタイガー、ギネス、アンカーといったブランド以外にも、高品質ノンアルコール飲料のマルタも生産している。この他にドイツのパウラーナー、日本のキリン一番搾りも同社のポートフォリオに含まれている。
2020年度の収益は17億6,40万リンギットで、1億5,420万リンギットの税引後利益を計上。
出典： https://www.heinekenmalaysia.com/
クアラルンプール在住4年目の日本人。大学卒業後、東京で飲料メーカーの営業を担当。その後、マレーシアのクアラルンプールへ移住し食品商社の営業及び購買のサポートを担当。
