シンガポールの放送・メディア業界は、メディアコープとSPHメディア・トラストという国営・公益色の強い2大メディアが基盤を形成する市場です。ストレーツ・タイムズなど老舗媒体を含む16社が、デジタルコンテンツ配信とOTTプラットフォームへの対応を急いでいます。
今回は、そんなシンガポールの放送・全国紙・出版業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて16社の最新情報をお届けしていきます!
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シンガポールの主要放送・全国紙・出版企業11選〜ローカル編〜
Mediacorp (メディアコープ)
Mediacorpは1936年にRadio Malayaとして放送を開始した、シンガポール最大の国営メディア企業である。現在はテマセク・ホールディングスの完全子会社として運営される。
地上波6チャンネル(Channel 5、Channel 8、Channel U、CNA、Suria、Vasantham)と11のラジオ局を保有し、英語・中国語・マレー語・タミル語の4言語で国民全体をカバーする。デジタル配信「meWATCH」と国内最大のニュースアプリ「CNA」も運営している。
2025年のReuters Institute Digital News Reportによれば、CNAは週次利用率33%でシンガポール最大のオンラインニュース源となり、Channel 5の信頼度は73%に達した。CNAは2024年3月に開局25周年を迎え米国・英国へ配信を拡大している。
2025年10月にはStarHubと提携してmeWATCH上で7,000時間超のスポーツ・ドラマコンテンツを共有する契約を締結。一方2025年9月には93名の人員削減を発表しデジタルシフトを加速させている。
出典:https://www.mediacorp.sg/
SPH Media Trust (SPHメディア・トラスト)
SPH Media Trust(SMT)は、2021年7月にシンガポール・プレス・ホールディングス(SPH)から非営利の有限責任保証会社としてスピンオフされた、シンガポール最大の新聞発行企業である。
旗艦紙「The Straits Times」(1845年創刊)に加え、「The Business Times」「Lianhe Zaobao」「Shin Min Daily News」「Berita Harian」「Tamil Murasu」と、シンガポールの4公用語すべてをカバーする日刊紙群を保有。約2,500名の従業員と約1,000名のジャーナリストを擁する。
シンガポール政府は2022年2月、ジャーナリズムの質維持と多言語メディア保全を目的に、5年間で最大9億SGD(年間最大1.8億SGD)の支援を表明。FY2022・2023合計で約3.2億SGD、FY2024には2.606億SGDが拠出された。
2025年にはTech in Asia買収を完了するなどデジタル領域への投資を加速。国内最大規模の新聞ブランドとしての地位を維持している。
出典:https://www.sphmedia.com.sg/
The Straits Times (ストレーツ・タイムズ)
The Straits Timesは1845年に創刊されたシンガポール最古の英字日刊新聞であり、現在はSPH Media Trustの旗艦媒体として運営されている。アジア地域の英語報道において最も長い歴史を持つ全国紙の一つである。
国内英字読者層の中核を占め、政治・経済・国際ニュースをはじめ、ライフスタイル・スポーツまで幅広い分野を網羅。デジタル版「straitstimes.com」とアプリも整備し、紙+デジタル統合型の読者基盤を構築している。
SPH Media全体の印刷部数は2021年時点で約378,100部・デジタル部数約462,400部であったが、2023年1月にThe Straits Timesを含む主要紙の発行部数が10〜12%過大計上されていたことが内部監査で明らかになり、その後数値が下方修正された。
2025年時点では紙面発行部数は縮小傾向にあるが、政府支援資金を活用したデジタル投資により有料デジタル購読者の獲得と若年層向けコンテンツ拡充に注力している。
出典:https://www.straitstimes.com/
Lianhe Zaobao (聯合早報)
Lianhe Zaobao(聯合早報)は1983年3月、Nanyang Siang PauとSin Chew Jit Pohの合併によって創刊された、シンガポール最大の中国語日刊紙である。発行はSPH Media Trust傘下で行われる。
中国・東南アジアの政治経済情勢に関する深掘り報道で知られ、海外の中華系読者にも広く購読されている。デジタル版「zaobao.com.sg」では中国本土・台湾・香港のニュースも積極的に発信し、グローバルな中国語ニュース源として位置づけられる。
SPH Media全体の発行部数調整に伴い印刷部数は2023年以降下方修正されたが、デジタル購読者は安定的に拡大。政府による1.8億SGD/年の支援対象媒体に含まれ、多言語メディア保全策の重要な柱となっている。
2024〜2025年にはAI翻訳機能を活用した英語要約配信、TikTokなど若年層向けデジタル展開を強化。Reuters Instituteの2025年版調査でも国内中国語ニュース源として最高位にランク付けされた。
出典:https://www.zaobao.com.sg/
Berita Harian (ブリタ・ハリアン)
Berita Harianはマレー語で「デイリーニュース」を意味し、1957年7月1日に創刊されたシンガポール唯一のマレー語大判日刊紙である。現在はSPH Media Trustが発行し、日曜版はBerita Mingguとして刊行されている。
国内マレー系コミュニティに向けて政治・経済・社会・文化ニュースを報道。デジタル版「beritaharian.sg」を整備し、OMGxBHプロジェクトのマルチメディア・ストーリーテリングで若年層へのリーチを強化している。
2024年にINMA Global Media Awards「Best Newsroom Transformation」部門で第2位を受賞。2025年のAsian Media Awardsでは「Best Climate Infographics」Silver賞を獲得するなど、デジタルジャーナリズムの質向上が国際的に評価されている。
SPH Media Trustへの政府支援で財政基盤を確保しており、シンガポールの多言語メディア政策における重要な担い手として機能している。
出典:https://www.beritaharian.sg/
Shin Min Daily News (シン・ミン・デイリー・ニュース)
Shin Min Daily Newsは1967年3月18日、シンガポールのビジネスマン梁潤之と香港の著名作家金庸(Louis Cha)が、香港の明報の流れを汲む紙面として創刊した中国語新聞である。現在はSPH Media Trust傘下で発行されている。
大判サイズで印刷されるが、内容はエンターテインメントと地元ニュース中心のタブロイド的性格を持ち、センセーショナルな見出しとわかりやすい紙面構成で幅広い読者層に支持されてきた。マレーシア版も長年展開され、1994年まで発行された。
2021年12月24日、同じSPH発行の中国語夕刊紙「Lianhe Wanbao」が廃刊となり、その読者・コンテンツがShin Min Daily Newsに統合された。これによりシンガポール中国語夕刊市場でのプレゼンスがさらに高まっている。
2024〜2025年にはデジタル版の拡充とSNS配信を強化し、若年層のニュース消費傾向に対応した短尺コンテンツの配信にも注力。SPH Media全体のデジタルシフト戦略の一部として位置づけられている。
出典:https://www.shinmin.sg/
Asiapac Books (アジアパック・ブックス)
Asiapac Booksは1983年にシンガポールで設立された、アジア文化を題材とした教育コミック・イラスト本の専門出版社である。生涯学習の促進を目的に、哲学・歴史・文学・美術・健康などのテーマを漫画形式でわかりやすく解説する作品群を刊行している。
英語および中国語(簡体字)の二言語で出版し、30カ国以上の出版パートナーを通じて翻訳・配信。世界各地の学校・図書館・書店で採用され、創刊以来何千ものタイトルが世界規模で流通している。
近年の代表作にはReturn of the Condor Heroes Collector’s Edition BoxsetやSacred Guardians、Elizabeth Choy: Her Storyなどがあり、2025年12月には電子書籍販売に専念する形でprint book流通を提携先のMaha Yu Yi Pte Ltdへ移管している。
シンガポール国立図書館のコレクションにも多数のタイトルが所蔵されており、国内外でアジア文化啓発の教育出版社として認知されている。従業員数は少規模ながら、独立系出版社として40年超の実績を持つ。
出典:https://asiapacbooks.com/
Candid Creation Publishing (キャンディッド・クリエーション・パブリッシング)
Candid Creation Publishingは1999年にシンガポールで設立された、英語・中国語バイリンガルの独立系出版社である。個人や組織がアイデアから出版・市場投入まで一貫して実現できるワンストップサービスを提供している。
編集・翻訳・デザイン・印刷・電子書籍化・流通・マーケティングを自社で完結。12歳から80歳超まで幅広い年齢層の著者300名以上を支援し、ビジネス・自己啓発・自叙伝・児童書・芸術・投資などを含む300タイトル超を印刷・電子書籍の両形式で刊行している。
シンガポール書籍出版協会(SBPA)の会員であり、取り扱うすべてのタイトルは経験豊富な専門編集者がキュレーションする品質基準を設けている。2023年のSingapore Book Awards(Best Professional Title部門)でファイナリストに選出された。
少量部数からの出版を可能にすることで「出版への参入障壁を下げる」という創業理念のもと、2025年時点でも新規著者の掘り起こしと電子書籍ラインの拡充を進めている。
出典:https://candidcreation.com/
Times Publishing Group (タイムズ・パブリッシング・グループ)
Times Publishing Groupは1950年代に源流を持つ、シンガポール最大級の出版・印刷企業である。2000年にFraser & Neave Limited(F&N)の完全子会社となり、メインボード上場のF&N傘下で運営されている。
Marshall Cavendish(教育・一般書籍)、Times Printers(印刷)、Print Lab、Pansing(書籍流通)、Times bookstores、Kaboom、GoGuruなど多数のブランドを擁し、アジア・欧州・英国・南米・米国の主要都市に拠点を持つグローバル企業。従業員数は2,000名超。
2025年通期売上は4億4,670万SGDに達し、親会社F&Nのトレーリング12カ月売上17億2,000万SGDの中で主要な収益部門の一つとなっている(2025年3月期)。
2025年にはPrint Labの60%株式を2,448万SGDで買収する条件付き契約を締結し、印刷事業の競争力強化を推進している。
出典:https://www.timespublishing.sg/
Marshall Cavendish (マーシャル・キャベンディッシュ)
Marshall Cavendish Education(MCE)は、Times Publishing Group(F&N傘下)に属するシンガポール拠点の教育出版社である。プレK〜高校12年生向けの教育ソリューションを世界85カ国・14言語で提供している。
シンガポール教育省(MOE)と共同で同国初の英語・数学・理科・母語教科書シリーズを共同出版した実績を持ち、世界的に評価される「Singapore Math」教科書の主要出版社として知られる。米国の「Math in Focus」シリーズもMarshall Cavendishが原典提供している。
同社はアジア拠点の出版社として唯一、Cambridge Assessment International Educationの公式エンドースメント・パートナーに認定されている。デジタル教材・適応学習プラットフォームの展開も加速している。
2025年には韓国国民日報主催「National Brand Award of the Year 2025」教育コンテンツ部門で受賞。アジアを代表する教育出版社として国際的地位を確立している。
出典:https://www.mceducation.com/
World Scientific Publishing (ワールド・サイエンティフィック)
World Scientific Publishingは1981年に物理学者Dr. Phua Kok Khoo夫妻によってシンガポールで創業された、アジア最大級の学術出版社である。
科学・技術・医学(STM)分野の学術書籍・学術ジャーナルを専門に出版し、年間約600冊の書籍と170以上の学術ジャーナルを発行している。シンガポール本社に約150名、世界全体で約450名の従業員を擁する。
同社はノーベル賞受賞者の単著・論文集を多数刊行しており、Stephen Hawking、Chen Ning Yangら著名科学者の著作を扱う出版社として国際的に認知されている。Imperial College Pressとの合弁、Asia-Pacific Biotech Newsの発行など、学術コミュニケーション全般に事業領域を拡大。
2025年もシンガポール政府の研究振興政策と歩調を合わせ、AI・量子コンピューティング・気候科学分野の出版を強化。Springer Nature・Elsevier・Wileyに次ぐアジア発の存在感を維持している。
出典:https://www.worldscientific.com/
シンガポールの主要放送・全国紙・出版企業2選〜日系編〜
The Asahi Shimbun (朝日新聞社)
朝日新聞社は1879年1月25日に大阪で創刊された日本を代表する大手新聞社である。現在は朝刊・夕刊合わせて約420万部を発行し、ニュースサイト「朝日新聞デジタル」も運営する総合メディア企業である。
シンガポールには支局(シンガポール支局)を設置しており、東南アジアの取材活動の拠点となっている。また、国際版の印刷拠点はシンガポールのほか、ニューヨーク・ロサンゼルス・メヘレン(ベルギー)・香港の計5か所に置き、海外在住の日本人読者へ紙面を届けている。
デジタル転換を加速させており、朝日新聞デジタルの有料会員数は2024年度末時点で約50万人を超えるレベルまで拡大。英語サービス「The Asahi Shimbun Asia & Japan Watch」を通じてアジア読者向けの英語報道も発信している。
2023年にはシンガポールのThe Straits Timesとの提携関係を維持しつつ、ASEAN地域での報道強化を継続。日系メディアとしてシンガポールに長期的なプレゼンスを持つ。
出典:https://www.asahi.com/
Nikkei Group Asia (日経グループアジア)
Nikkei Group Asia Pte Ltdは、日本経済新聞社(東京)が2014年にシンガポールに設立したアジア統括拠点である。同年に英文週刊誌「Nikkei Asian Review」(現Nikkei Asia)を創刊し、日経のアジア英語報道の中核を担っている。本社所在地は60 Anson Road, #06-02 Mapletree Anson, Singapore。
「Nikkei Asia」は政治・経済・テクノロジー・ビジネスをアジアの視点から英語で発信するデジタル+紙のハイブリッドメディアであり、2025年5月時点で世界70,000名超のプロフェッショナル購読者を抱える。法人購読プラン「Corporate Subscription」も提供している。
アジア各地に特派員ネットワークを配置し、ASEAN・南アジア・中国・北東アジアを横断的にカバー。Reuters・Bloomberg・FTと並ぶアジアビジネス報道のグローバル媒体として位置づけられている。
2025年にはAIを活用した翻訳・要約サービス、業界別ニュースレターの拡充を推進している。
出典:https://asia.nikkei.com/
シンガポールの主要放送・全国紙・出版企業3選〜外資編〜
CNBC Asia (CNBCアジア)
CNBC Asiaは、NBCUniversal(米Comcast傘下)が展開するビジネス専門ニュース放送局であり、シンガポールをアジア太平洋地域本部としている。1998年にDow Jones Asia Business Newsとの合併を経てシンガポール拠点を確立し、本社所在地は20 Pasir Panjang Road, Mapletree Business Cityである。
アジア太平洋本部から平日8時間のライブ番組を世界配信し、市場・株式・テクノロジー報道をリアルタイムで提供。香港のグレーターチャイナ拠点と並びアジアにおける主要ビジネス放送のハブを担う。
2023年に新Mapletree Business City施設へ移転し最新の設備に刷新。2024年11月にはJustin Solomon氏をアジア太平洋テレビニュース責任者に任命した。
2025年4月7日には番組編成を大幅刷新し、新番組「US Markets Edition」「The China Connection」「Inside India」を導入している。
出典:https://www.cnbc.com/asia/
Bloomberg Television Asia (ブルームバーグ・アジア)
Bloomberg Television Asiaは、米Bloomberg LPが運営する24時間ビジネス・金融専門放送局のアジア部門である。同社はアジアにおいて香港(グレーターチャイナ・北東アジア担当)とシンガポール(ASEAN地域担当)の2拠点体制を採用している。
シンガポール拠点はマリーナベイ・ファイナンシャル・センター(1 Marina Boulevard, Singapore 018989)に所在し、ASEAN地域の金融市場・企業ニュースに特化した放送制作を担っている。最新のブロードキャスト・スタジオを備え、東南アジア向けプログラミングを強化している。
金融プロフェッショナル向けのBloomberg Terminalと連動したテレビ放送として、機関投資家・トレーダー・経営層から高い信頼を得ている。CNBC Asiaと並びアジア・ビジネス放送の双璧をなす存在である。
2024〜2025年にかけてはASEAN市場をテーマとした特別番組、ポッドキャスト「Bloomberg Daybreak Asia」などマルチプラットフォーム戦略を加速している。
出典:https://www.bloomberg.com/live/asia
Springer Nature Singapore (シュプリンガー・ネイチャー)
Springer Nature Singapore Pte Ltdは、ドイツ・ベルリンに本部を置く世界最大級の学術・科学・医学出版グループSpringer Natureのシンガポール拠点である。Springerは1842年創業の老舗出版社で、2015年にNature Publishing Groupと合併し現Springer Natureが発足した。
世界全体で2,700以上の学術ジャーナルと22万冊以上の書籍を擁し、Nature・Springer Linkなど世界的データベースを運営。シンガポール拠点は東南アジア地域における学術出版・営業の中心拠点を担う。
アジア地域全体ではムンバイ、プネ、クアラルンプール、バンコク、ドバイにも拠点を展開。シンガポール拠点はASEAN地域の高等教育機関・研究機関との連携窓口となっている。
2025年3月にはAIの研究・学術出版における役割をテーマとしたウェビナーを開催し、SMUとも「Discover AI with Springer Nature」プログラムを展開している。
出典:https://group.springernature.com/gp/group/about-us/locations-contact/asia
FAQ
シンガポールのテレビ・新聞・出版社業界の主要企業はいくつありますか?
シンガポールの主要企業には、ローカル・日系・外資系合わせて11社があり、それぞれの企業情報や事業内容について詳しく紹介しています。
Candid Creation Publishingの特徴は何ですか?
Candid Creation Publishingは、英語と中国語でバイリンガルの出版社で、個人や組織がアイデアから市場まで一貫して出版できるワンストップサービスを提供し、経験豊富な専門家が高い品質基準を満たす本を慎重にキュレーションしています。
Berita Harianはどのような新聞ですか?
Berita Harianは1957年に創刊される、シンガポール唯一のマレー語の大判新聞で、月曜日から土曜日まで毎日発行され、日曜日はBerita Mingguとして発行されています。
シンガポール最大の新聞、The Straits Timesについて教えてください。
The Straits Timesは1845年に創刊されたシンガポール最大の新聞で、日刊約40万部を発行し、英文の記事を掲載しています。世界16都市に支局を持ち、特派員を派遣しています。オンライン版は一部有料で提供されています。

