今回は、マレーシアの主要X企業に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせてX社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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マレーシアの主要携帯キャリア12選〜ローカル企業編〜
Telekom Malaysia Bhd(テレコム・マレーシア)
1946年にマラヤ通信局として設立。固定通信(電話・ブロードバンド)、モビリティ、コンテンツ、Wi-Fi、クラウド、データセンター、サイバーセキュリティ、IoT、スマート・サービスなどの包括的な通信サービスとソリューションを提供する。
携帯電話事業としては、ユニファイ・モバイル(Unifi Mobile)のブランド名でサービスを提供している。同サービスではポストペイドとプリペイドを取り扱っており、5Gネットワークにも対応している。ポストペイドの料金は月当たり19リンギットからとなっており、データ量無制限となるビジネス用プランも提供している。
2020年度における収益は108億4,000万リンギットで、利払前・税引前利益は16億リンギットであった。また、ユニファイ・モバイルの契約者数(ポストペイド)は70万件となった。
2020年1月には、大手携帯事業者のディジ・コミュニケーションと共同でマレーシア通信マルチメディア委員会が実施した5G実証プロジェクトに参加している。
出典:https://www.tm.com.my/
https://home.unifi.com.my/
Maxis Bhd(マキシス)
1995年よりサービスを提供している大手通信会社で、固定網(音声通信、ブロードバンド)とモバイル通信サービス、デジタル・ソリューションを提供している。また、企業向けスマート・ソリューションやIoTソリューションも展開しており、マレーシア証券取引所に上場する。本社はクアラルンプールに構え、3,862名の従業員を雇用する。
モバイル通信では、ポストペイドとプリペイド(ホットリンク)のサービスを提供している。オークラ社の2020年スピードテスト・アワードにおいては、2020年第1四半期~第2四半期にマレーシアの最速モバイルネットワークに選ばれている。
2021年度における収益は92億300万リンギットで、17億6,200万リンギットの税引前利益を計上。収益の内訳としては、ポストペイド・サービスが40億2,500万リンギット、プリペイド・サービスが27億1,500万リンギットであった。また、モバイル契約数は994.3万件となっている。
2022年3月、同社とマレーシア・マイクロエレクトロニクス・システム研究所(MIMOS)、ファーウェイ・テクノロジーズの3社は、5G及びAIイノベーション・ハブを建設するためのパートナーシップを締結したことを発表している。
出典:https://www.maxis.com.my/
Celcom Axiata Bhd(セルコム・アシアタ)
1998年に設立された大手通信事業会社で、アシアタ・グループ傘下にある。主要事業として、モバイル通信とファイバー接続を提供している。2Gと3G、3.5Gにおいて広範囲なカバレッジを提供しており、人口の98%をカバーし、4Gでは人口の76%をカバー、970万人の顧客にサービスを提供している。
また、6社の仮想移動体通信事業者をパートナーに持ち、世界462以上のネットワークパートナーを通じて197ヵ国でローミングサービスを提供している。
モバイルサービスでは、ポストペイド(セルコム・メガ、セルコム・インターネット・ゴー、エックスパック・ポストペイド)とプリペイド(エックスパック)のプランを提供している。
2020年度の収益に関しては、アシアタ・グループ全体で242億300万リンギットとなり、その内セルコム・アシアタが25.7%を占めた。
2022年1月、同社はマレーシア初のクラウドゲーム・サービスの提供を発表。400以上のプレミアム・クラウド・ゲームタイトルを、月額40リンギットで楽しむことができる。
出典:https://www.celcom.com.my/
https://axiata.listedcompany.com/
Digi.Com Bhd(ディジ・ドットコム)
1995年5月よりマレーシアでサービスを開始する大手通信会社で、マレーシア証券取引所に上場。2021年4月よりノルウェーのテノール・グループとアシアタ・グループが各々33.1%の株式を保有する。
事業としては、モバイル通信(ポストペイドとプリペイド)及びファイバー通信サービスを提供しており、契約数は1,040万件となっている。その内、ポストペイドが29%を、プリペイドは57%を占めている。
また、同社は2021年ブランド・ファイナンス・マレーシア100において、「マレーシアの最強のブランド」、2020年プトラ・ブランド・アワードの通信ネットワーク部門でプラチナ賞に選ばれている。
2020年度における同社の収益は61億5,300万リンギットで、16億2,200万リンギットの税引前利益を計上。
2021年11月、同社はオンライン・プラットフォームのショッピーに公式ストアを開設したことを発表。消費者がプリペイド・インターネット・トップアップなどの商品に直接アクセスできることを可能とした。
出典:https://www.digi.com.my/
U Mobile Sdn Bhd(ユー・モバイル)
2007年にユー・モバイルのブランドを立ち上げ、モバイル通信とワイヤレスブロードバンドを提供する。モバイル通信はポストペイドとプリペイドのサービスを範囲としており、5Gにも対応している。他にも、ユニバーサル電子財布の「ゴーペイズ(GoPayz)」、大企業と中小企業の両方に対応したデジタル決済ソリューション「コービズ(GoBiz)」といった包括的なフィンテック・エコシステムを提供している。
同社は、2021年プトラ・ブランド・アワードでは銅賞を受賞している。また、2021年にチュテラ社が発行した「東南アジアのモバイル体験の現状」において、通信事業者を評価する「コア・コンシステント・クオリティ」で国内最高の数値を獲得したことを発表している。
2022年2月には、同社は5G対応商品「U25」と「U35」の発売を発表した。両商品はデータ通信と通話が無制限で手頃価格の5G対応プリペイド・プランとなっている。
出典:https://www.u.com.my/
YTL Communications Sdn Bhd(YTLコミュニケーションズ)
2010年に設立された会社で、大手コングロマリットであるYTLグループ傘下のYTLパワー・インターナショナル社が60%の株式を持つ。
事業としては、「イエス」のブランド名でモバイル通信とワイヤレス・ブロードバンドを提供しており、2012年にはマレーシアで初めて4Gを自動車に搭載した実績を持つ。
同社の4G LTEネットワークのカバレッジは90.1%となっており、手頃な価格でインターネットービスを提供している。モバイル通信ではポストペイドとプリペイドのプランを提供しており、「イエスFT5G」と呼ばれる5G対応商品も発売している。他にも、教育向け、事業向けサービスも提供している。2021年度における総契約者数は236万人。
2021年には、国立校の学生や低所得層の子ども、大学学部生に18万台の携帯電話と40万枚のSIMカードを無償で配布している。また、YTLファンデーションにおいては全国教職員組合と提携し、23万人の教育関係者に40GBのデータ付きSIMカードの無償提供を行っている。
出典:https://www.ytl.com/
https://site.yes.my/
Tune Talk Sdn Bhd(チューン・トーク)
2009年に仮想移動体通信事業者(MVNO)として設立、セルコムと提携している。主要株主はセルコム・アシアタ(35%)、チューン・グループ(25.1%)などとなっている。サービスが行き届いていないセグメントに対して、低価格の定額通話料とインセンティブを提供することを目指している。
モバイル通信サービスはプリペイドのみとなっており、「Hiバリュー」、「CUNバリュー」、「バリュー」といったプランを提供している。SIMカードはマイニュース・ドットコムで購入することも可能。
また、エアアジアトラベラー向けの商品もあり、30リンギットの「レッドパック」は7日間有効な4GBのローミングSIMカードとなっており、シンガポールやタイ、インドネシアなど12ヵ国で使用することができる。
トップアップでポイントを貯めることもでき、エアアジア便の割引や特典交換を利用することができる。
出典:https://www.tunetalk.com/my/en
https://tunegroup.com/
XOX Bhd(エックス・オー・エックス)
2005年設立し、2011年にマレーシア証券取引所に上場したマレーシア初の仮想移動体通信事業者(MVNO)。セルコムの4G+、4G、3G、及び2Gネットワーク・インフラストラクチャを介して、マレーシアで携帯電話サービスを提供、国内で250万人以上の加入者を獲得している。
プリペイドとポストペイドのプランを提供しており、近い将来には通信事業者以外の事業にも拡大する予定としている。2019年には、マレーシア初となるe-SIMを発売している。また、同社のシーズンパスはXOXの加入者がデータ通信、通話時間、SMSの無駄をなくすために有効期限を設定しておらず、他の人とも共有できる内容となっている。
2019年のピーシー・ドットコム・ベスト・プロダクト・アワードにおいては、MVNO・オブ・ザ・イヤーに選ばれた実績を持つ。
2021年度の収益は3億3,463万リンギットで、4,686万リンギットの税引前損失を計上している。
出典:https://www.xox.com.my/
ALTEL Communications Sdn Bhd(アルテル・コミュニケーションズ)
ネット・ツー・ワン社傘下として2012年に会社設立し、2013年にセルコムと仮想移動体通信事業者(MVNO)のパートナーシップ契約を締結。2014年より仮想移動体通信事業者として4G LTEサービスを開始する。現在、国内に425のディーラー・ネットワークを持つ。
マレーシア国内の個人及び組織向けに、競争力のあるプリペイドとポストペイドのモバイル・プランを提供している。
また、傘下のアルテル・テック社では、デジタル技術ソリューションを提供している。企業向けソリューションとしては、プライベートLTE、コーポレートアクセス、IoTソリューションなどを範囲としている。
2020年には、同社はランカウイで実施された5Gデモンストレーションプロジェクトにおいて、5G自律シャトルの紹介を行っている。また、同年11月には、同社とプロトン、そしてイーカーエックス社がコネクティビティ自動車の研究開発を行う合弁会社を設立したことを発表している。
出典:https://www.altel.my/
http://net2one.my/
redONE Network Sdn Bhd (レッドワン・ネットワーク)
2012年設立、セルコムのネットワークを使用し、仮想移動体通信事業者(MNVO)として初めてモバイル・ポストペイドを提供する。現在はプリペイドのプランにも力を入れており、すべての層をターゲットとしている。
会社はセランゴール州を拠点として、同州とペナン州、ジョホール州、パハン州にカスタマー・サービス・センターを持つ。また国内だけでなく、シンガポールとタイでもモバイル通信事業を展開している。
2014年~2016年まで、MNVOサービスプロバイダー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた実績を持つ。また、2022年3月には、アジア・テレコム・アワードにおいてデジタル・イニシアチブ・オブ・ザ・イヤーを受賞したことを発表している。
2022年3月、同社はデジタル・ウエイ・アカデミーとデジタル・アントレプレナー・プログラムを通じて、マレーシア人のデジタル・スキル向上と再教育を推進する覚書に締結したことを発表している。
出典:https://www.redone.com.my/
Merchantrade Asia Sdn Bhd(マーチャントレード・アジア)
1996年に会社設立、2001年に通信機器サプライヤー事業に参入し、2007年にはセルコムと仮想移動体通信ネットワークを立ち上げている。また、2009年に住友商事より、2014年にセルコム・アシアタより投資を受けている。
現在の事業はデジタル決済サービス、マネーサービス(国際送金等)、モバイルサービスとなっている。モバイルサービスではプリペイドサービスを提供しており、「ハローSIM」のブランド名で展開している。
2022年4月には、仮想移動体通信事業者の事業を完全子会社のバリュー社(2020年に買収)へ移管することを発表。
2020年度における同社グループの収益は1億8,690万リンギットで、558万リンギットの税引前利益を計上している。また、1,005名の従業員を雇用している。
出典:https://mtradeasia.com/
https://mtradeasia.com/
Pavo Communications Sdn Bhd(パヴォ・コミュニケーションズ)
2011年に会社を設立、2012年にディジ社のモバイル・ネットワーク・オペレーターに任命される。
2017年には、データと音声、テキストが最適化されたSIMパッケージ「エム・コームズ」を立ち上げている。また、デジタルノマドや起業家精神を持つモバイルユーザーを結びつける「リワード・アプリケーション・プラットフォーム」へのアクセスも提供している。
「エム・コームズ」では、海外旅行者向けの「mRoamSurf」と呼ばれるローミング・インターネット・パスにおいて、11ヵ国で1日パス(500MB、45リンギット)、3日パス(1.5GB、130リンギット)を利用することができる。
また、「スピークアウト」と呼ばれるE2Eソリューションも提供しており、旅行者向けプリペイドとモバイル・インターネット無制限プランを提供している。
出典:https://www.pavocomms.com/
https://mcalls.asia/
https://www.speakout.asia/
マレーシアの主要携帯キャリア〜外資系企業編〜
Huawei Technologies(M)Sdn Bhd(ファーウェイ・テクノロジーズ・マレーシア)
ファーウエイのマレーシア法人で、アジア太平洋本部とマレーシア駐在員事務所としての機能を持ち、クアラルンプールを拠点としている。
スマートフォンやPC、ウェアラブル機器などの消費者向け製品、企業向けワイヤレスやネットワーキング、クラウドコンピューティングといったビジネス製品を取り扱っている。携帯電話事業者向けでは、5GやLTEといったソリューションを提供している。
2021年1月、同社とサイバーセキュリティ・マレーシア、セルコム・アシアタは、5Gサイバーセキュリティ・テストラボのフェーズ1をキックオフしたことを発表。当該フェーズでは、ファーウエイ社が5Gコア、5G無線アクセスネットワークなどの5G機器を供給・設置する。
また2021年7月には、セルコムと世界初の大規模商用FDDスマート8T8Rネットワークを導入したことを発表。これにより、セルコムの4Gネットワークは、5Gへシームレスに移行することが可能となった。
出典: https://www.huawei.com/my/
クアラルンプール在住4年目の日本人。大学卒業後、東京で飲料メーカーの営業を担当。その後、マレーシアのクアラルンプールへ移住し食品商社の営業及び購買のサポートを担当。