ベトナムの放送・全国紙・出版業界は、Vietnam Television(VTV)やNhan Dan(人民日報)など国営メディアが強い影響力を持つ一方、デジタルシフトによるオンラインメディアの台頭が続いています。SNSやOTT配信サービスの普及を受け、主要企業がデジタルコンテンツ戦略を本格化させています。
今回は、そんなベトナムの放送・全国紙・出版業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて10社の最新情報をお届けしていきます!
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ベトナムの主要放送・全国紙・出版企業10選〜ローカル編〜
Vietnam Television(ベトナムテレビジョン)
ベトナム国営の全国テレビ放送局であり、1970年の創設以来、党・政府の公式メディアとして国内最大の視聴者基盤を有する。VTV1〜VTV9の複数チャンネルを通じて報道・教育・娯楽コンテンツを全国に届けており、2024年の広告収入は約3.64兆ドン(約1億4,400万米ドル)を記録した。
2025年1月15日、政府の行政スリム化方針(決議18号)に基づきVTCが廃止され、その機能がすべてVTVに移管された。これによりVTVは全国放送を担う唯一の国営テレビ局となり、放送チャンネル数と人員規模を拡大した。
自社OTTプラットフォーム「VTVGo」の全スマートテレビへのプリインストール義務化を推進し、2030年までに3,000万ユーザーの獲得を目標に掲げる。2025年9月には英語による国際チャンネル「Vietnam Today」を開局し、対外情報発信力の強化を図っている。
財政面では国家予算補助と広告収入の複合モデルを採用しており、OTT普及に伴う従来型広告収入の減少という課題に対し、有料配信モデルの拡充とコンテンツの多様化で対応している。
出典:https://www.vtv.vn/
Ho Chi Minh City Television – HTV(ホーチミン市テレビ)
ホーチミン市人民委員会が管轄する公営テレビ局であり、南部ベトナムを代表する地域放送局として長年の視聴者基盤を構築している。HTV7・HTV9など複数チャンネルを通じてニュース・ドラマ・エンターテインメントを提供し、南部地域における視聴率とブランド認知度で高い存在感を示す。
2024年の収益は前年比約20%減の約8,390億ドン(約3,300万米ドル)となり、動画配信(OTT)プラットフォームや若年層のデジタルメディアへの移行が従来型テレビ広告収入を圧迫している。こうした環境変化に対応するため、バラエティ枠の見直しを実施するとともに、市当局への追加予算申請も検討されている。
1975年の設立以来、南部ベトナムの地域情報インフラとして機能してきた実績を持ち、ホーチミン市内の企業・行政向け広告媒体としての需要は依然として根強い。
スマートTVの普及とOTT視聴の拡大が続くなか、デジタルプラットフォームとの連携強化が今後の重要課題となっている。
出典:https://www.htv.com.vn/
Nhan Dan Newspaper(ニャンザン新聞)
ベトナム共産党中央委員会の機関紙として1951年に創刊された同紙は、国内最高の政治的権威を持つ報道機関であり、党・政府の公式立場を発信する最重要メディアである。日刊版の発行部数は約22万部、週刊版は約11万部を維持している。
デジタル転換においても積極的な取り組みを展開しており、2024年には全国中央系メディア機関のデジタル転換優秀機関ランキング第7位に選定された。YouTubeチャンネルの登録者数は350万人超、TikTokでは53万人以上のフォロワーを獲得している。
2025年にはARテクノロジーを組み合わせた特別パノラマ版を30万部配布し、Z世代の若年層に新たな形で訴求することに成功した。デジタルメディアと紙媒体の融合による若年層開拓を積極的に推進している。
政府の2030年メディア再編計画では、ニャンザン新聞が国防省・公安省系メディアとともに六大国家メディアコングロマリットの一つとして機能強化される方針が示されており、今後も中核的な役割を担う見通しである。
出典:https://nhandan.vn/
Vietnam News Agency – VNA(ベトナム通信社)
1945年創設のベトナム国家通信社であり、政府の公式情報提供機関として国内外に向けたニュース配信を担う。日本語・英語・フランス語など多言語での情報発信を行い、海外63か所以上に特派員ネットワークを展開している。傘下には電子新聞VietnamPlus・英字紙Vietnam News・VNA Mediaなど複数メディアを擁する。
2025年2月、政府令第27号によって機能・権限・組織構造が再定義され、対外情報機能の強化が図られた。VNA Media部門では90%以上のコンテンツにマルチメディア形式が導入され、TikTokチャンネルは300万フォロワー、YouTubeチャンネルは214万登録者を突破している。
英字紙Vietnam News・Vietnam Pictorial・VietnamPlusの3媒体が国家対外広報の公式媒体として認定され、2025年以降のVietnam Pictorial電子版は10言語に拡大される方針である。
財政面では国家補助金と広告・コンテンツ配信収入の複合モデルを採用し、デジタル転換への積極的な投資を続けている。
出典:https://vnanet.vn/
Tuoi Tre Newspaper(トゥオイチェー新聞)
1975年創刊のベトナム共産主義青年団機関紙であり、日刊発行部数約50万部を誇るベトナム最大規模の大衆紙の一つである。政治・社会・経済・スポーツ・芸能まで幅広いトピックをカバーし、都市部を中心に幅広い読者層を有する。紙媒体に加え、Tuoi Tre Online・英語版Tuoi Tre Newsなど多彩な媒体を展開する。
2024年・2025年と2年連続でベトナム政府のデジタル転換優秀メディア機関に選定されており、電子版を中心とするデジタルシフトを積極的に推進している。オンライン版の月間ユニークユーザーは数千万人規模に達している。
取材・報道の積極性と調査報道の実績で知られ、ベトナムのメディアシーンにおいて高い信頼性と影響力を維持している。YouTubeやTikTokを活用した動画コンテンツ配信にも注力し、若年層読者の獲得にも努めている。
政府の2025年プレス再編計画においても主要メディア機関の一つとして位置づけられており、マルチプラットフォーム展開による読者拡大戦略を継続している。
出典:https://tuoitre.vn/
Thanh Nien Newspaper(タインニエン新聞)
1986年創刊のベトナム青年連合機関紙であり、40年の歴史を持つ大手全国紙の一つである。紙媒体の日刊読者数は110万人超、オンライン版は月間ページビュー約2億5,000万・月間読者数3,300万人以上を記録し、ベトナム全国上位5位のマルチチャンネルメディアとして認知されている。
ソーシャルメディアにおいてはベトナム最大規模のフォロワー基盤を誇り、Facebook220万人・YouTube630万登録者(累計視聴60億回以上)・TikTok370万フォロワー・Zalo330万登録者と各プラットフォームで業界トップ水準を維持する。
政治・社会・経済・文化など幅広い分野の調査報道に強みを持ち、特に若年層・中間層への影響力が大きい。政府主導のメディア統合政策が進むなかでも独自の編集方針と読者との信頼関係を維持している。
ベトナム主要メディアとしての地位を確立しており、デジタルとソーシャルを融合した多面的な情報発信でさらなる読者拡大を目指している。
出典:https://thanhnien.vn/
VnExpress(ブイエンエクスプレス)
2001年2月に創刊されたベトナム初の純インターネット新聞であり、FPTコーポレーション傘下のFPT Onlineが運営する。2024年2月時点でベトナム国内第2位のウェブサイトに位置し、2025年10月時点では国内ニュース・メディアカテゴリで1位・世界312位、月間訪問者数は約1億2,700万人に達する。
経済・社会・テクノロジー・スポーツ・エンターテインメントなど幅広いカテゴリで24時間コンテンツを更新しており、英語版VnExpress Internationalを通じて在ベトナム外国人や海外在住ベトナム人にも広くリーチする。
FPTの技術インフラを活用したデータ分析・AI活用の記事推薦機能の高度化を進め、ユーザーエンゲージメントの向上とパーソナライズ化に注力している。
民間資本によるデジタル専業ニュースメディアとして、国営メディアとは異なる編集スタンスでベトナムの報道環境に多様性をもたらす存在でもある。
出典:https://vnexpress.net/
Fahasa(ファハサ)
1976年に設立されたベトナム最大の書籍販売・流通企業であり、全国47省・市で130店舗以上を展開する。書籍・文房具・玩具・ギフト用品を中心に幅広い商品を取り扱い、ベトナム書籍流通市場で約60%のシェアを占める国有企業である。
2023年の売上高は約3,902億ドン(約1億5,800万米ドル)を記録し、同社史上最高益の70億ドンの純利益を達成した。2024年は目標比わずか2%増ながら過去最高水準を更新し、収益基盤の安定性を維持している。
2025年には9店舗を新規開業し、第4四半期にはさらに5店舗の開業を予告するなど店舗網の積極的な拡大を続けている。2026年4月には韓国の教育企業e-futureと100万米ドルのMOUを締結し、デジタルコンテンツ配信への展開も加速している。
伝統的書店モデルを軸に据えつつ、若年層のトレンドに即した商品展開と新業態店舗の開発により持続的成長を図っている。
出典:https://www.fahasa.com/
NXB Tre(チェー出版社)
1981年に設立されたベトナム大手出版社であり、売上高でベトナム国内出版社上位3位に数えられる。年間約1,000点の新刊を発行し、小説・ビジネス・ノンフィクション・児童書など多岐にわたるジャンルを網羅する。著名なローカル作家グエン・ニャット・アンの作品出版でも知られ、国内の一般書籍市場において高いブランド認知度を誇る。
国際的なコンテンツ調達にも積極的であり、世界各国の出版社・文芸エージェントと長年の提携関係を築いている。英語圏・アジア圏の話題作の翻訳出版を継続的に手がけ、外国語コンテンツのベトナム語普及に貢献している。
デジタル出版部門としてYBOOKを展開し、電子書籍を通じたデジタルネイティブ層へのリーチも拡大している。
民間色の強い商業出版社として、国営・党営出版社とは異なる読者ニーズに対応した柔軟なラインナップを維持しており、ベトナム出版市場の多様性を支える重要なプレイヤーとして位置づけられている。
出典:https://www.nxbtre.com.vn/
Vietnam Education Publishing House – NXB Giao Duc(ベトナム教育出版社)
1957年に設立されたベトナム教育訓練省傘下の国有出版社であり、幼稚園から高等学校までの全国共通教科書の企画・発行・供給を一手に担う。国内最大の教育コンテンツプロバイダーとして、毎年新学年に向けた数百万部の教科書を全国に安定供給している。
2024年の純売上高は3,102億ドン(前年比14%増)を記録し、売上総利益率は25%に達した。2018年版新学習指導要領の全面移行にあわせ「知識と生活の接続」「創造の地平」など複数の教科書シリーズを展開し、2024〜2025年学年度には旧学年向け教科書の価格を9〜11%引き下げるなど普及施策にも取り組んでいる。
デジタル教育の推進においても先導的な役割を果たし、全学年の教科書デジタル版をtaphuan.nxbgd.vnにて無償公開している。電子教科書の整備は政府の教育デジタル転換政策と連動しており、物理的な書籍配布とデジタルアクセスの両立を図る取り組みが進められている。
物理的な書籍配布とデジタル無償公開の両立という独自モデルで、ベトナム教育インフラの根幹を支え続けている。(2024年公開情報に基づく)
出典:https://nxbgd.vn/
FAQ
ベトナムの主要テレビ局について教えてください。
ベトナムの主要テレビ局は国営のVTVを中心に、HTV、SCTVなどがあり、全国と海外に放送網を持つ多彩なチャンネルを展開しています。VTVは1970年に設立され、全国および海外に多様なチャンネルを持ち、デジタル化を進めています。
ベトナムの新聞・出版業界の主な企業はどこですか。
主要な新聞企業には、政府系のNhan DanやThanh Nien、青年向けのTuoi Treがあり、出版社ではKim Dong、Tre、First News、Sun Flower Mediaなどが知られています。これらは国内の情報伝達と文化発信に重要な役割を果たしています。
ベトナムのデジタルメディア市場の最新動向はどうなっていますか。
デジタル化が加速しており、多くのテレビ局や新聞はオンライン配信やSNS展開を強化しています。特に、動画配信や電子書籍が拡大しており、伝統的なメディアとデジタルメディアの融合が進んでいます。
ベトナムのテレビ局のデジタル化の展望について教えてください。
ベトナムのテレビ局は2020年までに地上アナログ放送を終了し、デジタル化を進めており、インターネット及びオンデマンド配信サービスにより、より多様な視聴体験を提供しています。今後もデジタル技術の導入と多チャンネル展開が進むと見られています。
ベトナムの出版業界の特徴と今後の展望は何ですか。
ベトナムの出版業界はデジタル化と国際提携を進めており、多様なジャンルと多言語のコンテンツを提供しています。今後は電子書籍やオーディオブックの市場拡大と、海外出版社との連携強化が期待されています。

