ベトナムの保険業界は、Bao Viet HoldingsやPVI保険などの国内大手と、AIA・プルデンシャルなど外資生命保険会社が競合する急成長市場です。生命保険の普及率向上と健康保険の拡充に向けた政府政策を追い風に、主要企業のデジタル保険販売チャネルの整備が進んでいます。
今回は、そんなベトナムの保険業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて25社の最新情報をお届けしていきます!
読了時間の目安:5分
ベトナムの主要保険企業13選〜ローカル編〜
Bao Viet Holdings(バオベト・ホールディングス)
バオベト・ホールディングス(Bao Viet Holdings)は1964年設立のベトナム最大の総合保険グループであり、HOSE上場(ティッカー:BVH)。生命保険部門(Bao Viet Life)と損害保険部門(Bao Viet Insurance)を擁し、国内で最も長い歴史と広範なネットワークを持つ。
2024年の連結純利益は約2,194億VNDと前年比16.6%増益を達成した。生命保険部門は2025年1〜5月時点で市場シェア約23.3%を維持し、業界首位を堅持している。
損保部門では2023年にPVIに首位を譲渡したが、bancassurance不正販売問題の影響を国営系ブランド力で最小限に抑えた。
同社は2025年以降もデジタル化推進と顧客体験向上に注力しており、国内最高の信頼性を誇る保険会社として8年連続で業界トップ評価を受けている。
出典:https://baoviet.com.vn/en
Vinare(ビナレ、Vietnam National Reinsurance)
ベトナム国家再保険公社(Vietnam National Reinsurance Corporation、通称Vinare)は、ベトナム唯一の国内再保険会社として保険市場のセーフティネットを担っている。国内外の保険会社からリスクを引き受け、市場全体の安定に貢献する特殊なポジションを占める。
2024年の保険料収入(グロス)は3,153億VNDと前年比17.8%増を記録した。コンバインドレシオは96.8%と改善傾向にあるものの、台風Yagiによる損失が損害率を押し上げた。投資利回りは7.8%と安定的である。
AM BestはVinareの財務力格付けをB++(Good)と評価し、ベトナム国内格付けではaaa.VN(最高水準)を取得している。
2025年上半期においてもGDP成長率7.52%の強い経済環境を背景に、コマーシャルラインでの業績拡大が期待されている。
出典:https://vinare.com.vn
PVI Insurance(PVI損害保険)
PVI Insurance(ペトロベトナム保険)はベトナム石油公社(PetroVietnam)系の損害保険会社であり、2023年以降ベトナム損保市場で首位を堅持している。ドイツのHDI Global SEが約30%を出資する合弁形態で、国際的な引受技術を取り入れている。
2024年の総収入は業界初の2兆VND超を達成し、前年比27.1%増と市場全体(13.6%増)を大幅に上回った。原保険料収入は約1兆2,500億VNDで市場シェアは約17.5%に達した。
2025年上半期も原保険料収入が前年同期比13.5%増、市場シェア18.8%でトップを維持。税引前利益は674億VNDと前年同期比41%増を達成した。
石油・ガス関連の大型工事・財物保険を得意とし、近年はデジタル化による消費者向け商品にも注力している。
出典:https://www.pvi.com.vn/en
MIC(Military Insurance Corporation、軍事保険)
ミリタリー保険公社(Military Insurance Corporation、MIC)はベトナム軍(国防省傘下)を主要株主とする損害保険会社であり、ベトナム損保市場でトップ4に位置する。軍・国防関連の法人顧客を基盤にしながら、一般法人・個人向けの自動車・健康・財物・傷害保険にも対応している。
2024年の損保市場シェアは約6.3%で業界第4位を維持した。2020〜2024年の5年平均ROEは11.2%、コンバインドレシオは98.5%と安定した収益性を示している。
2025年7月、AM Bestは同社の財務力格付けをB(Fair)、見通しを「安定的」と評価した。適切な資本水準とバランスのとれた保険種目ミックスが評価されている。
今後は企業向けホールセールラインへの本格参入を通じた業績拡大が見込まれており、強固な顧客基盤と国内販売網を活かした成長戦略を推進している。
出典:https://www.mic.vn/?lang=6
PTI(Post & Telecom Insurance、郵政通信保険)
PTI(Post & Telecommunication Joint Stock Insurance Corporation)はベトナム国営郵政通信グループ(VNPT)系の損害保険会社であり、広範な郵便・通信ネットワークを活かした全国規模の保険販売を展開する。モーター・健康・旅行・財物保険等を主要商品とする。
2024年の原保険料収入は市場シェア約5.0%を占め、ベトナム損保上位企業の一角を維持している。高手数料の代理店型商品の削減を意図的に進めたため、2024年の収入は前年比21%減となった。
これは短期的な収益減を受け入れながら持続可能な収益構造へ転換を図る経営判断であり、デジタルチャネルへの移行と直販比率の向上が収益改善のカギとなっている。
郵政系の顧客基盤はeコマース利用者や地方顧客との親和性が高く、保険普及率向上という長期トレンドを取り込む潜在力を持つ。
出典:https://pti.com.vn
PJICO(Petrolimex Joint Stock Insurance Corporation)
PJICO(Petrolimex Joint Stock Insurance Corporation)は、ベトナム最大の石油製品流通企業Petrolimexを主要株主とする損害保険会社である。Petrolimexの全国2,800拠点超のガソリンスタンドネットワークと連携し、自動車・燃料輸送関連保険を中心に幅広い顧客基盤を有している。
2024年の年次報告書によると、原保険料収入は4,396.5億VNDと年間計画の109.2%を達成した。30年の歴史を持つ老舗損保企業として、損保市場上位の安定した事業基盤を誇る。
主要商品はモーター・財物・工事・貨物・傷害保険等であり、Petrolimex系の法人顧客に加え、個人向けデジタル保険販売にも取り組んでいる。
損保市場が外資参入により競争激化する中、親会社のネットワークを活かした差別化戦略を継続している。
出典:https://www.pjico.com.vn
Bao Minh Insurance(バオミン保険)
バオミン保険(Bao Minh Insurance Corporation)は1994年に設立されたベトナムを代表する損害保険会社であり、ホーチミン証券取引所(HOSE)に上場(ティッカー:BMI)している。設立以来、ベトナム損保市場の上位4社に位置し、市場シェアは約7.7%(2021年)と業界4位の規模を維持する。
全国60以上の支店・営業拠点を展開し、個人・法人向けに自動車・医療・財物・海上・賠償責任・農業保険など幅広い商品を提供する。直近12ヶ月の売上高は約2億900万ドルと堅調な水準を維持している。
ベトナムで初めて映画・イベント保険を提供した先駆者として知られ、グローバル企業Circles Groupと提携した特殊リスク保険分野への展開が注目されている。
長い実績と全国規模のネットワークを背景に、ベトナム損保市場の中核的プレイヤーとして引き続き存在感を発揮している。
出典:https://www.baominh.com.vn
BIDV Insurance(BIC、ベトナム投資開発銀行保険)
BIDV保険(BIDV Insurance Corporation、BIC)は1999年にベトナム投資開発銀行(BIDV)傘下の損害保険会社として設立された。当初はオーストラリアのQBE保険グループとの合弁企業として発足し、2006年に現在の社名に改称した。ベトナム損保市場29社中8位に位置し、収益性の高い損保会社トップ3の実績を持つ。
主要商品は電子設備保険・貨物輸送保険・船体保険・自動車保険・旅行保険・火災保険等であり、大規模工事保険分野でも豊富な実績を有する。従業員数は1,523名で、BIDVのbancassuranceチャネルを活かした販売力が強みである。
2023年の税引前利益は574億VNDと計画比19.6%超過を達成した。直近12ヶ月の売上高は約1億7,400万ドルに達している。
BIDVの強固な法人・個人顧客基盤を背景に、ベトナム損保市場で安定した事業を展開している。
出典:https://bic.vn/en.html
VBI(VietinBank Insurance、ベッティンバンク保険)
ベトナム工商銀行(VietinBank)傘下のVBI(VietinBank Insurance、ビエティンバンク保険)は2008年に設立された損害保険会社であり、現在は45の子会社・代理店、1,400名以上の従業員、25,000名超のエージェントを擁する全国規模の損保会社である。
2025年にはベトナム損保市場で最も評判の高い企業ランキング第3位に選出された。2025年前半の保険料収入は1兆7,000億VNDを超え前年同期比9.4%増、税引前利益は約210億VNDと前年同期比約18%増を達成している。
2020〜2024年の5年間で保険料収入は2兆2,000億VNDから4兆4,000億VNDへと倍増しており、2025年には5兆VND超えを目指している。デジタル保険エコシステムを構築し、モバイルアプリ・API連携・AIを活用した自動更新通知や最寄りサービス拠点案内機能を提供している。
VietinBankの幅広い顧客基盤とデジタル技術を組み合わせた戦略により、ベトナム損保市場でのプレゼンスを急速に高めている。
出典:https://vbi.com.vn
ABIC(Agriculture Bank Insurance、アグリバンク保険)
アグリバンク保険(Agriculture Bank Insurance Joint Stock Corporation、ABIC)は2006年10月にベトナム農業農村開発銀行(Agribank)傘下の損害保険会社として設立された。農業・農民・農村部への保険サービス普及を使命とし、農業特化型保険の先駆的存在である。
全国171の一般代理店(Agribank支店)・2,300の取引拠点・30,000名超のエージェント網を通じた販売力が最大の強みであり、ベトナム最も成功したbancassuranceチャネルの一つと評価される。
2025年上半期の保険料収入は1兆3,790億VNDと前年比21.3%増を達成し、顧客数は300万人を超えた。bancassuranceチャネルが収入全体の70.9%を占めており、農村・地方市場での圧倒的なリーチが収益基盤を支えている。
ベトナムの農業近代化・地方金融包摂という政策トレンドにも合致した事業モデルにより、今後も安定的な成長が期待される。
出典:https://abic.com.vn/en
VASS Assurance(ヴィエンドン保険)
VASS保険(VASS Assurance Corporation、ヴィエンドン保険)は2003年11月7日に財務省の認可を受けて設立されたベトナム最初の民間損害保険会社である。設立当初から急速にネットワークを拡大し、現在は全国主要都市から各省・市まで100近い支店・窓口を展開する規模を誇る。
損保市場でのシェアは第6位に相当し、個人・法人向けに自動車・旅行・財物保険等の幅広い商品ラインアップを提供している。個人顧客に加え、ベトナムを訪問する外国人観光客向けのカバレッジも充実している。
2018年にいち早くモバイルエンゲージメント機能をパートナーエコシステムに提供し始めるなど、デジタル保険分野での先駆的な取り組みでも知られる。効率的な請求処理には先進的なテクノロジーを導入している。
ベトナム初の民間損保という先行者利益と全国規模の販売網を背景に、引き続きローカル中堅損保として存在感を維持している。
出典:https://vass.com.vn/en/home/
VNI(Vietnam National Aviation Insurance、航空保険会社)
ベトナム国家航空保険公社(Vietnam National Aviation Insurance Corporation、VNI)は2008年4月に設立されたベトナムを代表する損害保険会社であり、航空保険を中核事業としながら財物・個人・賠償責任保険等にも対応する。
韓国のDB保険グループ(DB Insurance)が戦略株主として参画しており、同グループの支援のもとで2025年中にDBVへのリブランドを含む抜本的なブランド再構築を実施する予定である。2025年のビジネス計画では保険料収入4,619億VNDを目標とし、前年比56%増という高成長を掲げている。
2024年の総保険料収入は2,895億VNDと前年比14%増を達成した。損保市場のトップ7入りを目指す中期目標のもと、自動車保険分野でのリーダーシップ維持と企業向けリスク管理サービスの拡充を推進している。
ベトナムの航空・運輸インフラ拡大という長期トレンドを背景に、特化型保険会社として独自のポジションを有する。
出典:https://www.vni.com.vn
Hanoi Re(ハノイ再保険)
ハノイ再保険(Hanoi Reinsurance Joint-Stock Corporation、Hanoi Re)は2011年に設立されたベトナムを代表する再保険会社であり、旧称はPVI再保険(PVI Reinsurance Joint-Stock Corporation)、2023年8月に現社名に変更した。エネルギー・航空・海上・財物・工事・賠償責任・自動車・医療の各分野でトリーティおよびファカルタティブの再保険サービスを提供する。
AM BestによりB++(Good)の財務力格付けとaaa.VN(ベトナム国内最高水準)の国内格付けを取得しており、ベトナム国内では最高水準の財務力を誇る。
2025年上半期の収入は1兆8,380億VNDと計画比127%を達成し、税引前利益は1,270億VNDと計画比123%に達した。後半に向けては国際的な再保険ビジネスの拡大・デジタル化推進・人材育成を3大優先課題として掲げている。
ベトナム国内外の保険会社のリスクを引き受ける市場安定化機能を担う、不可欠なインフラ的存在である。
出典:https://www.hanoire.com/en
ベトナムの主要保険企業4選〜日系編〜
Dai-ichi Life Vietnam(第一生命ベトナム)
第一生命ベトナム(Dai-ichi Life Insurance Company of Vietnam)は、日本の第一生命ホールディングスが100%出資する生命保険会社であり、2007年のベトナム参入以来、外資系生保トップ3の地位を維持している。個人向け保障型・貯蓄型・医療保険を主力に、bancassuranceと代理店チャネルを組み合わせた多様な販売網を構築している。
2024年上半期の総保険料収入は約9,200億VNDに達し、市場シェアは13%と前年末比0.5ポイント上昇した。2025年1〜5月時点の市場シェアは約12.6%を維持しており、2024年に「コーポレートエクセレンス賞(Asia Pacific Enterprise Awards)」を受賞するなど経営品質も高く評価されている。
bancassurance不正販売問題でベトナム生保市場全体が打撃を受けた2023〜2024年においても、同社は相対的に安定した顧客基盤を維持した。
第一生命グループはアジア成長市場への投資を経営戦略の柱に据えており、ベトナムはその最重要国の一つとして位置づけられている。
出典:https://www.dai-ichi-life.com.vn/en
Sumitomo Life Vietnam(住友生命ベトナム)
住友生命保険(Sumitomo Life Insurance)は2013年にHSBCホールディングスが保有するバオベト・ホールディングス(Bao Viet Holdings)の株式18%を約3億4,000万ドルで取得し、ベトナム保険市場に参入した。直接保険会社を運営する形ではなく、バオベトへの戦略的出資を通じてベトナム市場にプレゼンスを持つ独自の事業モデルを採用している。
バオベト・ホールディングスは生保・損保合算で国内最大の保険グループであり、住友生命はその筆頭外国人株主として経営に関与している。バオベトとは商品開発・リスク管理・アクチュアリー技術等での協業を通じ、日本の生命保険ノウハウをベトナム市場に移転することを目指している。
住友生命は中長期的にアジア市場の拡大を成長戦略の柱に据えており、ベトナムへの投資はその中核を成す。ベトナムの若年層人口と中間層の拡大という人口動態的な追い風を受けて、バオベトの持続的成長に寄与することが期待されている。
出資関係の強化を通じた技術移転・人材育成支援により、長期的なパートナーシップを深化させる姿勢を堅持している。
出典:https://baoviet.com.vn/en
Tokio Marine Insurance Vietnam(東京海上日動ベトナム)
東京海上日動ベトナム(Tokio Marine Insurance Vietnam)は、東京海上ホールディングス傘下の東京海上日動火災保険が1996年にバオベトとの合弁で設立したベトナム損害保険会社である。約30年の歴史を持ち、日系企業を中心とした法人顧客への損害保険サービスを主力とする。
主要商品は火災・工事・海上・貨物・自動車・傷害・賠償責任保険等であり、ベトナムに進出する日系企業のリスク管理ニーズに幅広く対応している。東京海上グループの国際標準に基づいたリスク評価・クレーム処理は、日系製造業や小売業の主力保険パートナーとして高い信頼を獲得している。
ベトナムの非生命保険市場は2024年に前年比10.21%増と堅調に拡大しており、今後も年率10%超の成長が見込まれている。
東京海上グループは2025年度統合報告書においてもアジア市場の拡大戦略を明示しており、ベトナムを優先投資国の一つとして位置づけている。
出典:https://tokiomarine.com.vn
MSIG Vietnam(三井住友海上ベトナム)
三井住友海上ベトナム(MSIG Insurance (Vietnam) Company Limited)は2009年に設立された、ベトナムで初めて日本100%資本で設立された損害保険会社である。三井住友海上火災保険(MS&ADインシュアランスグループ)の完全子会社として、ハノイ本店とホーチミン支店の2拠点を構える。
創業当初は日系企業への保険サービスに特化していたが、現在は非日系外資系企業や現地法人向けにも対象を拡大し、約30のパートナー企業と連携したデジタル販売チャネルの強化にも積極的に取り組んでいる。法人向けに賠償責任・工事・輸出入・海上保険、個人向けに医療・自動車・火災・傷害・旅行保険等を提供する。
MS&ADグループはグローバルに最大級の損害保険グループの一つであり、MSIG Vietnamはその財務力と引受技術を背景に、ベトナムに進出する日系製造業・サービス業から高い信頼を得ている。
ベトナム市場での日系損保会社としての先駆者的地位を活かしながら、リテール保険分野への本格展開を通じた収益基盤の多様化を進めている。
出典:https://www.msig.com.vn/en
ベトナムの主要保険企業8選〜外資編〜
Prudential Vietnam(プルデンシャル・ベトナム)
プルデンシャル・ベトナム(Prudential Vietnam Assurance)は英国プルデンシャルplcのアジア事業部門が100%出資する生命保険会社であり、1999年のベトナム参入以来、四半世紀にわたり大手外資系生保として市場をリードしてきた。保障型・貯蓄型・医療保険等の幅広い商品ラインアップと全国に張り巡らされたコンサルタント網が強みである。
2023年のbancassurance不正販売問題の影響を受け、保険料収入は前年比13%減となった。2025年上半期の保険料収入は9,851億VNDと減少傾向が続き、税引前利益も前年比25.67%減の812億VNDとなった。
2025年1〜5月時点の市場シェアは約13.2%と持ち直しの兆しがある。改定保険業法(2023年11月施行)に対応した販売プロセスの刷新と顧客体験の向上に重点を置いている。
四半世紀にわたり蓄積した顧客基盤とブランド力を背景に、市場の回復とともに業績正常化が期待される。
出典:https://www.prudential.com.vn/en/
Manulife Vietnam(マニュライフ・ベトナム)
マニュライフ・ベトナム(Manulife Vietnam Life Insurance)はカナダのマニュライフ・ファイナンシャルグループが100%出資し、1999年に設立された外資系大手生命保険会社である。2025年5月時点で60以上の拠点、5万人超のエージェント網、約150万人の顧客を持つ。2025年1〜5月の市場シェアは約16.7%と業界第2位を維持している。
2022〜2023年に発生したSaigon Commercial Bank経由のbancassurance不正販売問題では、顧客から大規模な苦情が寄せられ当局の調査対象となった。テクコムバンクとの15年間の提携契約も2024年に8年前倒しで解消し、1,800億VNDの違約金を受領している。
2021年に買収したMVI Life(旧Aviva Vietnam)については、日本の朝日生命への売却手続き(推定約1億9,400万ドル)が進行中であり、事業の選択と集中が図られている。
2025年上半期には約4,000億VNDの保険金支払いを実施し、顧客への義務履行を継続している。
出典:https://www.manulife.com.vn/en
AIA Vietnam(AIA生命ベトナム)
AIA生命ベトナム(AIA Vietnam Life Insurance)は、香港に本社を置くAIAグループのベトナム子会社として設立された。AIAグループはアジア最大手の独立系生命保険グループであり、その傘下でAIA Vietnamはベトナム最大手外資系生保の一角を占めている。健康保険・保障型・貯蓄型保険等を主力商品として展開する。
2025年1〜5月時点の市場シェアは約10.9%で第5位を維持しているが、2025年上半期の税引前利益は45億VNDと前年同期比92%減という厳しい結果となった。bancassurance不正販売問題に端を発する契約キャンセルや保険金請求増加、および引当金計上等が影響したと見られる。
2023年11月施行の改定保険業法に準拠した販売体制への移行を進めており、代理店チャネルの質的向上とデジタルプラットフォームへの投資を通じた業績回復を目指している。
AIAグループとしてのアジア全域での成長戦略にベトナムは引き続き含まれており、長期的な市場ポテンシャルへの投資姿勢を維持している。
出典:https://www.aia.com.vn/en
FWD Vietnam(FWD生命ベトナム)
FWD生命ベトナム(FWD Life Insurance Vietnam)は、香港のFWDグループが100%出資する生命保険会社であり、「Making Life Simpler」をブランドコンセプトに掲げ、シンプルで革新的な保険商品を重視している。FWDグループはアジア太平洋10市場に展開する。
2025年1〜5月時点の市場シェアは約3.2%と中堅クラスにとどまるが、2025年7月に改定保険業法準拠の新世代ユニバーサル生命保険「FWD Enhanced Protection」を発売するなど商品革新を継続している。
2025年7月のInsurance Asia Awardsでは「Health Insurance Initiative of the Year」と「Marketing Initiative of the Year」の2冠を獲得し、業界内での評価が高まっている。
bancassurance問題が業界全体を揺るがす中でも、デジタルチャネル強化・エージェント品質向上で差別化を図っており、中長期的な成長余地が期待される。
出典:https://www.fwd.com.vn/en/
Generali Vietnam(ジェネラーリ・ベトナム)
ジェネラーリ・ベトナム(Generali Vietnam Life Insurance)はイタリアの保険大手ジェネラーリグループのベトナム子会社として設立された外資系生命保険会社である。「Lifetime Partner(生涯のパートナー)」をブランドコンセプトに掲げ、保障型・医療・退職・教育積立保険等を展開している。
2024年は税引前利益が22億VNDの赤字(前年比116億VNDの黒字から転落)となった。bancassurance問題に起因する業界全体の信頼低下と契約キャンセルの影響を受けたものと見られる。
2025年にはCEOにNguyen Phuong Anh氏(AIA・Prudential・FWDでの23年の経験を持つ業界ベテラン)を迎え、「Lifetime Partner 27: Driving Excellence」戦略計画のもとで経営の立て直しと成長加速を推進している。
2026年1月のデータでは市場シェアが17.07%と急上昇し業界上位に浮上しており、新体制のもとでの潜在成長力を示している。
出典:https://www.generali.com.vn/en
MB Ageas Life(MBアジアス生命保険、現:MB Life)
MB Ageas生命保険(MB Ageas Life Insurance、現社名:MB Life)は2016年にベトナム軍商業銀行(MB)、ベルギーのAgeasグループ、タイのMuang Thai Life Assuranceの3社合弁で設立された生命保険会社である。2025年8月4日にMB Lifeへと正式に社名変更した。
MBグループの全国500以上のサービス拠点・60支店のbancassuranceネットワークを主要チャネルとして活用し、設立10年でベトナム生保市場第6位まで成長した。2025年の総保険料収入は6,368億VNDと前年末比16%増を達成し、新規事業収入は29%増、bancassuranceチャネルは39%増と市場全体を大きく上回る成長を実現している。
2025年7月には新商品群として「ユニバーサル生命保険(LifePeace)」「重大疾病保険」「Shining Women」の3商品を発売するなど、商品ラインアップの刷新を積極的に推進している。
ゴールデンドラゴン賞を4度受賞するなど外資系生保として高い評価を受けており、MBグループとの強力なシナジーを背景に今後も成長が期待される。
出典:https://www.mbageas.life/en
Chubb Life Vietnam(チャブ生命ベトナム)
チャブ生命ベトナム(Chubb Life Insurance Vietnam)は、世界最大級の保険会社グループであるChubbグループのベトナム子会社として設立された外資系生命保険会社であり、2025年にはベトナム参入20周年を迎えた。
健康保険・旅行保険・生命保険・財物・海上保険など個人・法人向けに幅広い商品を展開しており、ユニバーサル型生命保険や投資連動型保険など先進的な商品ラインアップでも知られている。20年にわたり蓄積した顧客基盤とブランド力が強みである。
近年はデジタル戦略を積極的に推進しており、ベトナムの大手フィンテック企業MoMoとの提携によるデジタル重大疾病保険の提供を開始した。Infinityパートナーチャネルの拡大など、アクセシビリティ向上に向けた多様な販売チャネルの整備も進めている。
なお、同グループは2025年3月にLiberty Mutual Insuranceのベトナム事業を買収することで合意しており、2026年中に完了予定の手続きを経て損保分野でのプレゼンス強化が見込まれる。
出典:https://www.chubb.com/vn-en/
Liberty Insurance Vietnam(リバティ保険ベトナム)
リバティ保険ベトナム(Liberty Insurance Vietnam、LIV)は2003年に参入・2006年に正式設立されたベトナム外資系損害保険のパイオニアであり、外資系自動車保険分野でリード企業として知られる。ホーチミンシティに本拠を置き、個人・法人向けに自動車・住宅・医療・旅行・総合保険ソリューションを提供している。
Insurance Asia Awards(2022〜2025年)で「International General Insurer of the Year – Vietnam」および「Auto Insurance Initiative of the Year – Vietnam」を4年連続で受賞するなど、業界内での高い評価を獲得している。先進的なオンライン購入プラットフォームと迅速な保険金支払いプロセスにより、顧客体験を差別化している。
2025年3月、親会社Liberty Mutual InsuranceはベトナムおよびタイのLiberty Insurance事業をChubb Limitedに売却することで合意した。ベトナムでの取引完了は2026年中が見込まれており、完了後はChubbグループの一部として運営される予定である。
売却手続き完了まではLiberty Insurance Vietnamとして独立した事業継続が図られ、既存顧客サービスへの影響はないとされている。
出典:https://www.libertyinsurance.com.vn/en
FAQ
ベトナムの主要保険会社にはどのような企業がありますか?
ベトナムの主要保険会社には、ローカル企業としてBao Viet InsuranceやPVI Holdings、Bao Minh Insurance、BIDV Insurance、Post & Telecommunication Insuranceなどがあります。
ベトナムの保険市場は2024年にどのような動向を示していますか?
2024年のベトナムの損害保険料収入は前年比11.7%増の79兆3,480億VNDとなり、市場は回復基調にあります。
日系企業が展開するベトナムの保険会社にはどんな特徴がありますか?
日系企業の保険会社は、堅実な経営と高い顧客サービス力を持ち、医療や生命保険など日本人に特化した商品やサービス、感染症や自然災害に備えた商品も展開しています。
外資系保険会社の中で特に規模が大きいのはどれですか?
外資系保険会社の中で、プルデンシャル・ベトナムやマニュライフ・ベトナム、AIAグループ、Chubbなどが大手として知られています。
ベトナムの保険市場の今後の展望はどうなりますか?
ベトナムの保険市場は、若年層の拡大やデジタル化の進展を背景に、今後も成長が期待されており、市場競争も激化しています。

