【インドネシアの半導体】主要メーカー3選と生産拠点としての魅力を解説

インドネシアには多くの自動車メーカーや電子機器メーカーがあり、半導体輸入の金額推移は2019年が17.4億USD、2021年が28.7億USDとCAGR29%で増加しています。一方で、近年は半導体生産能力も増加しており、インドネシアに半導体工場を設置する企業も目立っています。今回はそんなインドネシアの半導体事情について解説します。

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インドネシアでビジネスをするなら知っておきたい10のこと

インドネシアの半導体市場

世界の半導体事情

世界半導体市場統計(WSTS)によると、世界の半導体市場規模は2019年:4,123億USD、2020年:4,403億USD、2021年:5,559億USDとCAGR11%で二桁の伸びを続けている。

同様に、アジア太平洋地域での半導体の市場規模は、2019年:2,579億USD(63%)、2020年:2,710億USD(62%)、2021年:3,430億USD(62%)と世界の需要の60%以上を占め、市場拡大をけん引している。

一方、2022年の世界市場の予想は6,465億USDと前年比116%と一段高い伸びを示すが、2023年は6,797億USDと前年比105%と伸び率が鈍化する見通しで、半導体不足の状態も一息つくのではないかと見られている。アジア太平洋市場でも同様の傾向を示すと見込まれている。

インドネシアの半導体市場

国連貿易統計によると、インドネシアの半導体集積回路(HSコード:8542)の輸出入金額推移は、輸入が2019年:17.4億USD、2021年:28.7億USDとCAGR29%で増加している。一方、輸出は2019年:2.9億USD、2021年:3.8億USDとCAGR13%の増加で絶対額も伸び率も輸入に比べるとはるかに小さい。

輸入の増加の中で顕著であったのは、半導体の部分品(HSコード:8542.90)輸入で、2019年:6.9億USD、2021年:16.2億USDであった。全体の増加額11.3億USDのうち9.3億USDを部分品が占めている。また、輸出の増加額が0.9億USDとあまり伸びていないことから、部分品で輸入しインドネシアで完成品にされた半導体のほとんどが国内で消費されていることを示している。また、インドネシアにおける半導体の後工程の生産能力が大幅に増加していることを示している。

一方、半導体の大口顧客である自動車業界の動向は、インドネシアの自動車工業会GAIKINDOのデータによると2021年の自動車総生産台数は112万台であった。2019年の129万台までは回復していないが、2020年の69万台からは大幅に改善されている。今後、自動車業界では1台につきより多くの半導体を使う電気自動車が増えてくることを考えると需要は増加傾向にある。また、インドネシアには多くの電気電子機器メーカーがあり、旺盛な半導体需要を支えている。

半導体不足によるインドネシアの製造業への影響

インドネシアの自動車工業会(GAIKINDO)の統計資料によると、インドネシアの自動車生産台数は、2017年122万台、2018年134万台、2019年129万台とCovid-19パンデミック前は毎年130万台前後で安定していたが、2020年69万台に落ち込み、2021年は112万台と2019年比87%まで戻ってきており、半導体不足の話はあまり大きく報じられていない。

一方、バイク生産台数は、2017年632万台、2018年711万台、2019年730万台と緩やかな成長軌道にあったが、2020年436万台と大幅に落ち込み、2021年も586万台と戻りが悪い状態にある。Kompas紙の2022年6月2日の記事によると、PT Astra Honda Motor (AHM)が半導体チップ入手困難のためバイクの納期遅延を起こしていることを謝罪した。バイクでもスピードメーターを含むインストルメントクラスターに関連するコンポーネントで半導体チップが広く使用されている。

変わり種では、2022年9月20日にKompas紙に掲載された地下鉄の第2期工事が遅延している理由の一つに半導体チップの入手困難が上げられたことだ。現代の地下鉄は非常にハイテク化され、運行システム、電気通信、自動化などにはすべて半導体チップが使われている。

インドネシアには多くの電気電子機器メーカーが進出している。新聞記事にはならないが、半導体不測の影響は大なり小なり出ているものと思われる。

他国のインドネシアの半導体産業への投資状況

2022年6月17日・20日のKompas紙によると、インドネシア政府は世界の半導体産業のエコシステムに参加しグローバルなチップサプライチェーンに入ることで、国内の半導体産業の発展が加速されると考え、積極的な外交活動を展開している。

ドイツのシュタインマイヤー大統領が来尼した際、自動車のサプライチェーンをサポートする半導体チップ工場への投資を増やすよう要請した。ドイツの半導体企業であるInfinionが1996年にインドネシアのバタム島に進出しており、自動車メーカーへの半導体チップの供給を行っている。最近Unisemグループ のバタム工場を買収して生産能力拡大を図っているが、2025年から2030年にかけて生産能力を週 6,500万個から1億5,000万個レベルへ引き上げるために1.3兆ルピアの追加投資が検討されている。ジョコウィ大統領はシュタインマイヤー大統領に半導体への投資だけではなく、半導体需要を拡大する電気自動車への投資も提案している。

また、2022年9月12日Yahoo Newsによるとインド太平洋経済枠組みの閣僚級会合に出席したアイルランガ調整相が8日、ジーナ・レモンド米商務長官と会談。米政府の半導体産業向け資金援助プログラムの資金500億米ドルの一部をインドネシアの半導体産業への投資に割り当てる確約を得たと報じた。

インドネシアでビジネスをするなら知っておきたい10のこと

インドネシアの半導体主要メーカー3選

PT Infineon Technologies Batam

PT Infineon Technologies Batamはインドネシア、シンガポール(Infinion Technologies Asia Pacific Pte Ltd、)マレーシア(Infineon Technologies Melaka)の経済成長の三角形の一部として1996年に設立された。

インドネシア最大の半導体企業の一つで、現在、従業員数は2,000名を超える。製品は主に自動車産業に提供されている。インフィニオンのあるバタム島はシンガポールから南に約30㎞でシンガポールまでフェリーで1時間もかからない。また、インフィニオンのあるバタミンド工業団地は保税地区のため、通関が容易で、世界中どこへでもシンガポールから最短即日出荷が可能である。

今回、インフィニオンは同じバタム島の中にあるマレーシアに本社を置くUnisemグループの工場を買収した。Unisem のバタム工場は、ウェーハプローブ、ウェーハバックグラインディング、アセンブリ パッケージング、最終テストを行うワンストップショップ施設で、面積は345,000平方フィートある。これにより、PT Infineon Technologies Batamは従来の生産量を倍増することができる。

PT UTAC Manufacturing Services Indonesia

PT UTAC Manufacturing Services Indonesiaはシンガポールに本社を置くUTAC (United Test and Assembly Center) Singapore Pte Ltdのグループ会社。2014年にPanasonicよりシンガポール、マレーシア、インドネシアの半導体工場を買収し、PT UTAC Manufacturing Services Indonesiaを設立。

UTACグループはアナログ、混合信号とロジック、およびメモリの主要な製品カテゴリで、幅広い半導体アセンブリおよびテスト サービスをお客様に提供している。お客様は主にファブレス企業、統合デバイスメーカー、ウェーハファウンドリ。エンドユーザーは通信業界、耐久消費財業界、コンピュータ業界、自動車業界、産業用デバイス業界、医療機器業界などである。

UTACはシンガポール、タイ、中国、インドネシア、マレーシアに生産施設がある。UTACのグローバルな販売ネットワークは米国、ヨーロッパ、中国、台湾、日本、およびその他のアジアの地域に広く展開しており、これらの各地域に営業所がある。

PT. SUMCO INDONESIA

日本の大手シリコンウエハーメーカーである三菱マテリアルシリコン株式会社の100%子会社として、PT MSIL INDONESIが1997年に設立された。インドネシアの単結晶シリコン研磨ウエハーメーカーである。

その後、2002年に親元の三菱マテリアルグループのシリコンウエハー事業と住友金属グループのシリコンウエハー事業が合併して住友三菱シリコン(SUMCO)株式会社になったため、社名をPT. SUMCO INDONESIAに変更。その後、親会社は2005年に社名をSUMCO株式会社に変更している。

PT SUMCO INDONESIA は、西ジャワ州ブカシ県のチカラン バラットにあるMM2100工業団地に位置し、クラス100のクリーンルームを生産用に持つインドネシアで初めての企業である。 品質(ISO/TS16949)、環境(ISO14001)、安全(SMK3)のマネジメントシステム認証を2003年より取得している。

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インドネシアを半導体生産拠点にするメリット

タックスホリデー

インドネシアではパイオニア産業と呼ばれる18の特定の産業に対して法人所得税を一時免税するタックスホリデー制度がある。パイオニア産業の一つが、「g. コンピュータ製造産業に統合される半導体・その他のコンピュータ主要部品製造産業」である。

パイオニア産業に新規投資を行う企業に対しては、租税総局長が決定した商業生産の開始より5年から20年にわたり、投資額に応じて法人税を 50%または100%減額するというもの。a. 投資額 1千億ルピア以上 5千億ルピア未満:商業生産開始から5年間 50%減額、b. 5千億ルピア以上1兆ルピア未満 :5年間 100%減額、c. 1兆~5兆ルピア:同7年間 100%減額、d. 5兆~15兆ルピア :10年間 100%減額、e. 15 兆~30兆ルピア :15 年間 100%減額、f. 30兆ルピア以上 :20年間 100%減額という具合に投資額が増えるほど免税条件が良くなる仕組みになっている。

また、上記免税機関が経過した後さらに2年間、投資額 1千億ルピア以上 5千億ルピア未満で法人税額の25%、5千億ルピア以上で50%、それぞれ減額の便宜を与えることもある。

成長する半導体需要

東南アジアの投資コンサルタント会社のBright Indonesiaによると、今後、世界的に半導体を最も多く使うようになる急速に成長している業界は自動車業界だと言われている。自動運転や eモビリティなどのアプリケーションが需要を3倍にする可能性があるとも言われている。2021年の半導体の世界総需要の8%を占めている自動車産業だが10年間の終わりまでに世界総需要の13~15%を占める可能性があると推定されている。

また、インドネシアの自動車工業会(GAIKINDO)によると、インドネシアでは年間100万台以上を生産している。さらに、現在、インドネシア政府はEVサプライチェーンの構築に取り組んでおり、インドネシアがニッケルの原産地であるというアドバンテージを活かし、採掘から電池加工まで一貫して行い、e モビリティ生産拠点として先行する姿勢を見せており、将来的に半導体需要が拡大する可能性が高い。

一方、バイクにも半導体チップが使われており、インドネシアバイク工業会(AISI)によると、2019年ベースで年間7百万台以上が生産されている。

ASEANサプライチェーン

ASEANはお互いの国の関税率を低く抑え、サプライチェーンを強固なものにしている。消費地で最終組み立てを行い部品は相互に補完する自動産業の発展は成功事例で、域内全体での過剰設備投資を避け効率的な運用が行われている。

半導体はファンドリが担当する前工程と組立・検査の後工程にわかれる。投資金額が大きく、高い技術力が求められる前工程は、台湾のTSMC系のVangard International Semiconductor(VIS)やアメリカのGlobal Foundriesなどがシンガポールに進出して継続的に最先端技術を導入するための新規投資を行っている。

インドネシアにある半導体メーカーは安い人件費を背景に人手のかかる組立・検査の後工程を主体に行っている。小型軽量で輸送の容易な半導体は必ずしも消費地で最終組み立てを行う必要はなく、各国が得意とする分野を担当して自動車産業と同じように成功を収める可能性は高い。

電気電子業界では数十年前から、シンガポール・バタム(インドネシア)・ツインオペレーションと称して同様の分業体制で成功している。

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