シンガポールの流通・小売業界は、急速に変化する消費者ニーズとECの拡大に影響され、ダイナミックな成長を遂げています。この記事では、統計データを用いてシンガポールの流通・小売業界の最新情報をお届けしていきます!
シンガポールのスーパー・コンビニエンスストア事情〜統計データ〜
スーパーのオンライン売上高
2021年12月の小売売上高は、2021年11月の2.2%増と比較して、前年比で6.7%増加した。季節調整済みベースでは、2021年12月の小売売上高は前月比2.3%増加した。
2021年12月の推定総小売売上高は44億ドルで、そのうちオンライン小売売上高は推定14.6%を占めていた。スーパーマーケット・ハイパーマーケット業界のオンライン小売売上高は、業界の総売上高の15.3%を占めた。
出典:STATISTICS SINGAPORE
小売売上高の変化
小売業セクター内では、ほとんどの業界が 2021年12月の売上高で前年比成長を記録した。2021年12月の時計およびジュエリー業界の売上高は 27.4%増加した。同様に、2021年12月の化粧品、トイレタリー&医療用品、ウェアリング アパレル&フットウェア、デパートの売上高は13.0%から17.0%の間で増加した。
2021年12月の百貨店、食品とアルコールの業界では、8.0%から9.7%の売上高の伸びが見られた一方、スーパーマーケットおよびハイパーマーケットの売上高は、2.1%減少した。
出典:STATISTICS SINGAPORE
シンガポールの百貨店・ショッピングセンター事情〜統計データ〜
小売業界の売上高の変化
小売業界では、ほとんどの分野において2022年8月の売上高が前年比で増加した。百貨店・ショッピングセンター、食品・アルコール、時計・ジュエリーの売上高は、31.2% 〜48.5% 増加した。2022年8月の食品および飲料 (F&B) サービスの売上高は、前年比で 40.2%増加し、2022年7月の41.9%の増加を延長した。 これは、前年にF&B施設での食事制限が実施されたことが影響している。2022年に入ってから、大規模なイベントや海外旅行の制限が緩和され、レストランやファストフード店の売上が回復してきている。
出典:STATISTICS SINGAPORE
不動産賃料の推移
シンガポールの中心地における賃貸料の推移をみると、オーチャードロードと、その郊外ではかなりの大きな違いがある。オフィススペースの価格は、前四半期の 2.4% の減少と比較して、2021年第 4 四半期に1.8%減少した。2021年第4四半期のオフィススペースのレンタルは、前四半期の3.5%の減少と比較して、0.9%増加した。2021年全体では、オフィススペースの価格は 2020年の10.7%の減少と比較して5.8%減少し、オフィススペースの賃貸料は2020年の 8.5%の減少と比較して1.9%増加した。
出典:KUrban Redevelopment Authority
シンガポールのドラッグストア事情〜統計データ〜
薬剤師の数の推移
2021年12 月31日の時点で、シンガポールで登録されている薬剤師の数は3,769人、そのうち2,878人が地元で訓練を受けた薬剤師で891人が外国で訓練を受けた薬剤師の数となっている。2021年時点での薬剤師男女の内訳は、男性1,062人(27.8%)、女性2,707人(72.2%)と、女性が圧倒的に多い。2020年から比較すると、197件(5.5%)の増加で、 毎年200人前後増加していることがわかる。
2014年を境に公的薬剤師の数が私的薬剤師を上回るようになった。これはシンガポールでは院内処方が主流で、ドラッグストアでの医薬品・市薬品の取り扱いが少ないことが要因として挙げられる。
出典:シンガポール保健局
Daily Farm Groupの店舗数推移
Guradianを運営するDaily Farm Groupのマネジメント戦略は、風変わりなビジネスモデルを駆使している。存在感とスケール感を利用して、顧客により大きな利便性を提供し、現代の効率的なサプライチェーンに投資し、アジアでの人材能力を構築していく。これらのターゲットは、マーチャンダイジング、オペレーション、サプライチェーン、ITおよび品質保証機能に及ぶ。
イニシアチブには、下記の6つが含まれる。
①プロセスを強化し、ビジネスを分析するITシステムの実装
②製品範囲の革新による品揃えと、すぐに食べられる製品やオリジナルブランドを含む地域の関連性強化
③より効率的なバックエンドロジスティクスのための新たな流通センター設立
④直接調達を増やし、サプライチェーンを簡素化
⑤食品、健康と美容、IKEA、ピックアップポイントのeコマースを通じて利便性を向上⑥経済規模を改善するための調達の混載。
これらのイニシアチブが今後の収益と利益率を促進し、店舗数の増加に繋がっている。
出典:DBS
シンガポールのアパレル事情〜統計データ〜
シンガポールの小売支出シェア
2020年の消費者の支出内訳で最も多かったのはパーソナルグッズに関する支出だった。シェアとしては全体の29.5%で16億7,500万SGDを記録した。それに次いで多かったのが、食べ物などの日用品で11億7,000万SGDで最も支出が少なかったのが家事用品で全体の11.2%、6億3,600万SGDであった。パーソナルグッズの事務所数は総事務所数29,025店中の13,292店で、全体の45.8%となった。
出典:Singstat
サステナブルな商品のニーズ
シンガポールの消費者は、より持続可能な商品を購入するなどの方法で環境を守るための行動を起こすことを熱望している。しかし、多くの人が、環境に優しい商品やサービスを見つけるのが難しいという課題に直面している。
持続可能かつ価値ある商品を提供することができる企業は、新しい顧客を引き付けることができると考えられる。例えば、原材料が生産廃棄物であったり高い耐久性を持つ製品は持続可能な製品だといえる。
出典:WWFシンガポール
シンガポールの通販・ネット通販事情〜統計データ〜
E-コマースの決済手段
2019年、シンガポールの電子商取引における決済手段としてクレジットカードが65%の割合で使用された。クレジットカードとデビットカードの保有率は高く、1人あたり1.73 枚のデビットカードと 1.61枚のクレジットカード保有率となっている。しかし、これらカードの使用率は2023年までに57%に減少する見込である。
これはデジタルウォレットの利用拡大が影響しており、スマートフォンの使用率の高さが普及を後押ししている。デジタルウォレットは2023年までに市場の26%のシェアを占めるようになると予想される。Apple Pay、Samsung Pay、Visa® Checkout、Masterpassも利用されている。
出典:J.P.Morgan
モバイルコマースの拡大
シンガポールにおけるモバイルコマースは、E-コマース市場全体よりも強力に成長しており、2023 年まで年平均成長率13.6%で拡大し、65億2000万SGD (48億米ドル) の市場になると予測されている。同市場の成長は18~29歳の消費者によって牽引されており、この人口統計の75%がモバイルデバイスを使用して買い物をしている。
シンガポールのスマートフォン普及率は高く、優れたモバイルおよび固定インターネットインフラストラクチャによってサポートされている。都市国家全体で91%のインターネットカバレッジを誇るシンガポールは、世界で最も高いインターネット普及率を誇っている。
出典:J.P.Morgan
シンガポールの家電量販店事情〜統計データ〜
シンガポールのモバイル普及率
シンガポールのモバイル普及率は年々上昇傾向にあり、2019年には159.1%と過去最高を記録した。2020年には148.2%と下がったものの、2021年には再び158.8%に上昇した。なお、モバイル普及率とは、携帯の総契約台数を全人口で割った数字である。
また、シンガポールではモバイルデータの使用量が急速に上昇しており、2019年の第一四半期では、20.53ペタバイト(1ペタバイト=1,000テラバイト)だったのが、2020年第一四半期には43.73ペタバイト、2021年第一四半期では、59.07ペタバイト、2022年第一四半期では、71.39ペタバイトと毎年倍近く上昇している。このことからモバイル機器は今後もさらに需要が見込まれることを予測することができる。
出典:Infocomm Media Development Authority
環境への配慮を促すプログラム
Climate Friendly Households (CFH) Program は、NEAと PUBによる共同の取り組みであり、長期的にコストを節約しながらエネルギーと水の消費量を削減するために、家庭が個人として気候に優しい行動を取るよう奨励することを目的としており、バウチャーを提供することにより、エネルギー効率と水効率のコストを相殺することを目指している。本プログラムは 2023年12月31日に終了する。
各世帯は、より効率的な冷蔵庫、LED照明、およびシャワー設備を採用することで、年間40ドルから120 ドルを節約できる。すべての世帯が資源効率の高い電化製品に切り替えると、炭素排出量が約98,500トン (道路から31,000台の車をなくすことに相当) 削減され、年間4億ガロン (オリンピック サイズのスイミング プール727個分に相当)の水の節約につながる。
出典:NEA
シンガポールの家具・インテリア・生活雑貨・ホームセンター事情〜統計データ〜
家具・家庭用機器の売上高
2022年4月の小売売上高は、前年比で12.1%増加した。2022年4月の推定総小売売上高は 37億ドル。小売業界では、ほとんどの業界で2022年4月の売上高が前年比で増加した。家具&家庭用機器は前年比で16.7%の増加となっている。2021年12月や2020年5月の統計でも、全てが前年比で増加しているのもの、2021年12月は3.3%、2020年5月は3.5%小幅の上昇であったことを考えると、2022年の売上高は目を見張るものがある。
2021 年 12 月の推定総小売売上高は44億ドルで、2020年3月の推定総小売売上高は約33億ドルであった。これは主に、COVID-19の発生による国内消費の低迷と観光客の減少により、裁量品を販売する小売業界の前年比での減少が大きくなったことに起因している。
出典:singstat
2017年よりシンガポール在住の日本人。元客室乗務員。大学ではマーケティングと経済を学び、卒業後は海外での生活と旅行を重ね、さまざまな国の文化や人々、食に関する豊富な知識を身につける。シンガポール人の旦那との結婚を機にシンガポールに移住し、現地で就労。現在はライター業と翻訳業を行っている。