この記事では、統計データを用いてベトナムの流通・小売業界の最新情報をお届けしていきます!
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目次
ベトナムのスーパー・コンビニエンスストア事情〜統計データ〜
スーパーマーケット数推移
2017年~2021年にかけて、ベトナム国内のスーパーマーケット数は985カ所から1,167カ所に急増した。また、スーパーマーケット数は2005年と比較すると89%増加しており、ベトナム国内の小売産業の近代化及び商品循環の促進に貢献している。
ベトナム国内では、ホーチミン市に最も多くのスーパーマーケットが集中している。ベトナム国内のスーパーマーケットチェーンは急速に拡大したが、主に都市などの人口が多いエリアに集中しており、その結果多くのスーパーマーケットは規模を縮小したり、他の地域に進出したりしている。
また、消費者は常に新しいショッピング体験及び高い利便性を求める傾向があり、スーパーマーケットに新しいものがなければ、他の店舗に顧客を奪われてしまう状況である。

出典:ベトナム統計総局
ベトナムの小売市場規模推移
2017年~2020年にかけてベトナム国内の小売業市場は徐々に拡大しており、2021年は新型コロナの影響等で横ばいであった。またベトナム政府(商工省)は、ベトナム国内の小売市場ではスーパーマーケットからコンビニエンスストアやミニスーパーマーケットの分野へ投資する傾向に切り替わってくると予想している。
ベトナム国内では市場等の伝統的な小売チャネルが小売市場全体の74%を占めているが、成長率は年間1%である。逆に、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの最新の小売チャネルの市場シェアは26%程度であるが、成長率は非常に高く年間11.8%に達している。

出典:ベトナム統計総局
ベトナムの百貨店・ショッピングセンター事情〜統計データ〜
ショッピングセンター数の推移
ベトナム国内のショッピングセンター数は2017年~2019年にかけて急激に増加したが、2019年~2021年にかけては新型コロナウイルス等の影響もあり、成長が鈍化した。ベトナムでは都市部を中心に、ショッピングセンターは小売業界の中でも重要な地位を占めている。
過去6〜7年の間にベトナム国内で大規模なショッピングセンターが数多く普及したことは、ベトナム国内の消費者の買い物習慣やサービス体験に大きな影響を与えてきた。ベトナム人消費者にとってショッピングセンターは、単なる買い物だけの場所ではなくなっている。
特に娯楽施設が完備されていない小さなアパートに住む一般的なベトナム人の家族にとっては、買い物や娯楽を含めた地域生活の中心となっている。したがって、ショッピングセンターを運営する大手小売業者は最高のロケーションの物件を探している。

出典:ベトナム統計局
国民の支出額の推移
1人/1か月当たりの支出額は都市部及び農村部でも増加し続けている。2020年時点の全国平均の1人/1か月当たりの支出額は289万VND、2018年比で13.5%増加した。また、農村部の1人/1か月当たりの平均支出額は240万VND (2018年比15.2%増加)、都市部の1人/1か月当たりの平均支出額は380万VND (2018年比8%増加)であった。
2020年は全国的に新型コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受けたため、支出の増加は前年よりも緩やかになっている。また、支出構造は前年と比べて大きな変化はないが、都市部と農村部の平均支出額には約1.6倍の差がある。

出典:ベトナム統計局
ベトナムのドラッグストア事情〜統計データ〜
医薬品小売店数の推移
ベトナム国内の医薬品小売店数は2016年~2018年にかけて大幅に増加した。2019年にはわずかに減少したが、2020年は再び増加し、ベトナムの医薬品市場にとって成功の年と考えられていた。また、新型コロナウイルスの流行により人々の行動習慣が変化した。
新型コロナウイルスの感染拡大後、ベトナム人消費者の中で医療に関するニーズが高まり、大きなビジネスチャンスであった。よって、多くのドラッグストアチェーンが市場シェアを獲得するために店舗網を整備するための投資を積極的に行っている。
ベトナム国内には2021年時点で約63,000の医薬品小売店があり、その中の約57,000が伝統的な医薬品小売店で市場の約85%を占めいる。また、残りの15%は近代的なドラッグストアチェーンとされている。

出典:ベトナム保健省
薬剤師数の推移
ベトナム国内の薬剤師数は2019年に急増したが、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大等の影響で減少した。ベトナム国内の経済発展により医療分野のニーズが高まっており、特に質の高い医薬品や医療サービスのニーズが高まっている。
また、ベトナム国内の製薬産業も急速に発展しており、薬学を学ぶ学生達に多くの雇用機会を生み出している。保健省が公表したデータでは、ベトナム国内の教育機関で薬学を専攻した学生は急増しているが、急速に成長している市場が求める人材数には十分に対応できていない。
また、薬剤師や医師、看護師などはホーチミン市とハノイ市の2大都市に集中しており、ベトナム国内の全薬剤師の半分近くが2大都市で働いているなどの課題もある。

出典:ベトナム保健省
ベトナムのアパレル事情〜統計データ〜
アパレル業界の企業数の推移
アパレル業界の企業数は2019年まで増加し続けていたが、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大による影響などにより企業数が減少した。さらに、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大によって厳しいロックダウンが国内外で行われた。
その影響により、ベトナム国内の多くのアパレル企業で国内外の大手ファッションブランドや小売業者からの新規注文や製造した製品の支払い等に関する問題が発生した。
具体的には不可抗力条項に関する問題や、在庫商品の大幅な値引きなどの要求がおこなわれた。ベトナム政府(商工省)は、ベトナム国内のアパレル企業が海外市場の要件(標準、仕様、包装、保存、包装、ラベル付けなど)を満足するためのサポートを続けている。

出典:ベトナム総合統計局
アパレル産業の売上額推移
2016年~2019年にかけてアパレル業界の年間売上額は緩やかに増加し続けている。しかし、2020年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で、ベトナム国内のアパレル業界の年間売上額は前年比で約231億VND減少した。
2020年の第1四半期は、ビジネス状の課題を抱えながらも必要な原材料や人員を確保して製造を継続していたため、売上高は大きく減少しなかった。しかし、2020年の第2四半期以降は、世界的に新型コロナウイルス感染拡大が広まり、アパレル類の新規注文が急減した。
それにより大量の在庫が発生したため、ベトナム国内で労働者への賃金支払いなどに支障が出るなどの困難に直面したアパレル製造企業が増えた。

出典:ベトナム総合統計局
ベトナムの通販・ネット通販事情〜統計データ〜
ベトナムの小売EC市場規模
ベトナム国内のB2CのEC市場の年間売上は年々増加しており、2021年は約13.7十億USDに達した。時間が節約でき、いつでも買い物が出来るECサイトは、都市部の若者を中心に数多くのベトナム人によって利用されており、今後も国内のEC売上は拡大すると予想されている。
しかし、ベトナム国内のEC市場は①ECサイトのアプリの機能、②商品の配送に関しての課題があるため、市場の成長率はそれほど高くない。近年では2018年の年間平均成長率が30%弱で最も高かったが、2019年以降は新型コロナウイルスの感染拡大等の影響もあり成長率が鈍化している。ベトナム国内のECサイトが今後も成長するために、他国の事例等を参考にしながら改善に取り組む必要がある。

出典:ベトナム総務省
オンラインショッピング利用者数推移
オンラインショッピング利用者数は増加傾向が続いており、2021年時点で約5,460万人が利用している。ベトナム人消費者がベトナム国内のECサイトを利用する主な目的は、外国の業者からの商品購入である。商品を安価で購入できたり、品質が高い海外ブランドの商品の人気が高い。
2022年のベトナム国内のオンラインショッピング利用者数は5,700万~6,000万人に達すると予想されており、一般的なベトナム人がオンラインショッピングで1年間に利用する金額は約260~285USD程度である。
現在、外資系のShopeeやLazada、ローカルのTikiやSendoがベトナムで最も有名な大手ECサイトであるが、TikTokショップなどの他のECサイトも複数存在する。

出典:ベトナム総務省
ベトナムの家電量販店事情〜統計データ〜
家電及び家庭用品の生産率推移
直近5年間のベトナム国内の家電及び家庭用品の生産率は様々な要因で増減を繰り返している。2017年~2019年はそれぞれ前年を超える高い生産率を記録し、2017年は直近5年間で最高の生産率(112.1%)を記録した。
2017年~2019年にかけて家電及び家庭用品が高い成長率を記録した理由は、ベトナム国内の電力網の拡大や国内需要促進に繋がるベトナム政府(商工省)の政策や計画が大きく影響している。
しかし、2020年以降は新型コロナウィルスの感染拡大の影響で原材料の供給が停止したため、家電及び家庭用品生産が中断し、2020年~2021年の生産率は低下している。ベトナム政府は新型コロナウィルスの影響を受けた産業の支援を行っており、2022年以降は家電及び家庭用品は増加すると予想されている。

出典:ベトナム統計総局
家電及び家庭用品の輸入額推移
2017年以降、ベトナムの家電及び家庭用品の輸入額は増加傾向が続いており、2020年時点で21.11億USDに達した。主な理由としては、ベトナム人が海外ブランドの家電及び家庭用品を好む割合が高いからである。ベトナム国内の家電及び家庭用品市場では、日本の東芝やパナソニック、韓国のSamsungやLGなどの世界的な大手メーカーの人気が高い。
しかし、ベトナム国内ではTiktokなどのSNSを積極的に利用したプロモーション活動を行っている中国の大手メーカー(Midea、シャオミーなど)の存在感が高まっており、価格などを重視するベトナム人顧客から支持を受けており、今後より一層中国メーカーの存在感が高まると予想されている。

出典:ベトナム統計総局
ベトナムの家具・インテリア・生活雑貨・ホームセンター事情〜統計データ〜
木製家具材輸出額推移
世界的に新型コロナウィルスの感染拡大が続いた2020~2021年も、ベトナム産木製家具の輸出額は大きく増加している。輸出額が大きく増加した背景には、アメリカ市場での大型木製家具の需要増加が大きく影響している。
また、新型コロナウィルスの流行により多くの国が困難に直面していた中で、ベトナム政府は迅速かつ効果的な政策を行い、家具製造業も深刻な状態に陥らずに大きく成長する機会となった。ベトナムは木材が豊富にあり家具の製造に適しているため、今後運輸業が更に発展すれば木製家具の製造及び輸出が更に拡大し、将来的にベトナムの主力輸出産業の一つになると期待されている。

出典:ベトナム政府統計局
家具生産企業数の推移
世界中で家具を含めた様々な商品を取扱うオンライン販売が広く普及した事により、国内外で木製家具の需要が高まっている。ベトナム政府(ベトナム統計総局)が公表したベトナム国内の家具生産企業数の統計データによると、国内外で家具の需要が高まっているため、ベトナム国内で木製家具の生産・輸出を行う企業が増え続けている。
2016年~2020年の間で家具生産企業は1,300社以上増加しており、2020年時点で5,474社に達した。ベトナム国内では、Ace-HomeやJYSK、無印良品どの外資系家具会社に加えて、BAYA、Dcor Vietnamなどのローカルの家具会社がベトナムの消費者に様々な種類の家具を販売している。現在、ベトナムの家具生産企業は、国内外の需要に合わせて斬新・便利なデザインの家具を生産している。

出典:ベトナム政府統計局