この記事では、統計データを用いてマレーシアの流通・小売業界の最新情報をお届けしていきます!
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マレーシアのスーパー・コンビニエンスストア事情〜統計データ〜
卸売・小売業の売上高
2022年7月における卸売・小売業の売上高は1,307億リンギットを記録し、前年同月比で41.0%増加となった。サブセクター別では、自動車が前年同月比で613.8%増となる144億リンギット、小売業が同37.5%増の566億リンギット、卸売業が同20.6%増の597億リンギットであった。
数量ベース(Volume Index)では、2022年7月は卸売・小売業が前年同月比33.7%増の142.5ポイントを記録し、主要グループ別では家庭用品卸売が前年同月比で35.0%増、食品・飲料・たばこ等の卸売業が同7.2%増であった。また、非専門店の小売販売は同39.1%増、専門店の小売販売は同47.1%増であった。全体として、2022年は小売業の回復傾向が顕著となっている。
出典:マレーシア統計局
流通業への投資認可額
2021年における流通業(卸・小売業、ハイパーマーケットとスーパーマーケット、デパートと直売、フランチャイズ業などを含む)に対する投資認可額は、前年の37億リンギットから2.7%減少して36億リンギットとなった。78.8%は海外直接投資となっており、卸売・小売業に集中している。
また、認可された投資は908件となっており、1万4,392人の雇用機会を生み出し、サービス部門の中で最大の雇用主となっている。同セクターを支援する政府取り組みとして、2020年予算を通じて補助金、支援、インセンティブに310億リンギットが割り当てられている。
「マレーシア製品を買おう」や「マレーシア販売」キャンペーンなどを通じた同業界の後押し、さらに流通業マスタープラン(2021-2025)による電子商取引とデジタル化推進により、2022年には8.7%の成長が見込まれている。
出典:マレーシア工業開発庁
マレーシアの百貨店・ショッピングセンター事情〜統計データ〜
ショッピングセンターの総面積と入居率
2022年上半期におけるショッピングモールの入居率は75.7%となり、前期から0.6ポイントの減少となった。州別では、ラブアンの入居率が97.3%、プトラジャヤが85.8%、クアラルンプールとプルリスが81.6%と高い数字を示している。一方で、マラッカ州は62.5%、ヌグリ・スンビラン州67.1%と低迷している。
また、2019年上半期から入居率の減少は続いており、同期からは4ポイントの減少となっている。ショッピングモールの小売スペースについては、2022年上期は1,736万㎡となり、前期から8万㎡増加した。州別でみると、最も小売スペースが多いのがセランゴール州で380万㎡となっており、クアラルンプール、ジョホール州が続いている。
出典:マレーシア評価・不動産サービス局
ショッピングモールへのアンケート結果
マレーシアショッピングモール協会が2021年7月23日から30日に実施したショッピングモールに対する調査によると、2020年12月までに60%近くのショッピングモールで10%以下のテナントが退去している。また、2021年12月には38%のショッピングモールで10%以下のテナントが退去、28%のショッピングモールで20~30%のテナントが退去するとの予想を示している。
また、調査期間中のショッピングモール来客者数はパンデミック前の10~40%以下の水準にあると回答している。さらに、65%のショッピングモールの売上は60~90%の落ち込みを示し、資金繰りのため14%のショッピングモールは従業員解雇を実施し、大半は10~20%の人員削減を行ったとしている。
出典:マレーシアショッピングモール協会
マレーシアのドラッグストア事情〜統計データ〜
薬剤師人口
保健省が発表した「Health Facts 2021」によると、2020年末における国内薬剤師人口は1万9,112人で、前年の1万8,938人から0.9%の増加となった。内訳(年間証明書所有者1万6,091人)としては、保健省傘下に所属する薬剤師が全体の64%を占める1万324人、非保健省傘下所属が同2%の317人、民間所属が同34%の5,450人となっている。
人口比としては、2,816人の国民に対して1人の薬剤師といった比率となっている。また、2020年のファーマシーアシスタントは6,476人となり、5,043人の国民に対して1人の割合となっている。内訳としては、保健省傘下所属が全体の65%を占める4,179人、非保健省傘下所属が同8%の496人、民間所属が同28%の1,801人となっている。
出典:保健省
医薬品の輸出入額
2020年における小売用医薬品(HSコード:3004)の輸入額は14億3,599万ドルとなり、前年から5.4%の増加であった。輸入元としては、ドイツが15.6%を占める2億2,400万ドルで最も多く、スイス(10.1%、1億4,500万ドル)、米国(9.85%、1億4,100万ドル)が続く。
品目としては、治療用/予防用の混合/非混合製品からなる医薬品が、輸入額全体の86%を占める12億4,000万ドルであった。輸出額に関しては、2020年に2億1,575万ドルとなり前年から7.1%の増加となった。
主要輸出先はシンガポール(20%、4,500万ドル)、ブルネイ(11.8%、2,500万ドル)、オーストラリア(8.34%、1,790万ドル)、フィリピン(7.33%、1,580万ドル)となっている。
出典:TrendEconomy
マレーシアのアパレル事情〜統計データ〜
繊維製品・アパレル製品の輸出入
2021年における繊維製品・アパレル製品の輸入額は135億5,000万リンギットで、前年からほぼ横ばいだった。対して輸出額は131億4,000万リンギットとなり、前年比10.1%の増加となった。これにより、貿易収支は2020年の-16億リンギットから2021年には-4億1,000万リンギットへと縮小した。
近年の傾向として、繊維製品・アパレルの輸入額は減少傾向にあり、輸出額は2020年を除いてほぼ横ばいが続いている。また、米国の繊維製品・アパレルの輸入において、2021年にマレーシアから2億6,625万ドル(前年比-8.49%)を輸入、シェアは0.23%となった。非衣料品については、マレーシアからの輸入額は5,515万ドル(前年比-8.37%)、シェア0.17%であった。
出典:マレーシア編物製造業者協会
繊維・アパレル認可投資額
2021年は19件の繊維・アパレル関連のプロジェクトが認可され、投資額は3億8,140万リンギットとなった。この内、国内投資額は1億2,870万リンギット(繊維・アパレルの認可投資額の33.7%)、海外直接投資は2億5,270万リンギット(同66.3%)となった。これら投資により、566人の新規雇用が期待されている。
1970年代以来、繊維・アパレル産業はマレーシアの主要輸出産業の一つであり、主要輸出先は米国、英国、ドイツ、日本となっている。過去5年間、マレーシアは繊維や糸などの地元原料の不足で輸出の減少が続いていたが、今後数年間は成長に拍車をかけるような回復の兆しがみられており、繊維産業は2021年から2028年にかけて年間成長率+4.4%で成長すると予測されている。
出典:マレーシア工業開発庁
マレーシアの通販・ネット通販事情〜統計データ〜
マレーシアのeコマース市場
過去数年間、マレーシアの電子商取引市場はインターネットやスマートフォンの普及率の上昇、中間層の人口増加、技術に精通したミレニアル世代に支えられ、力強い成長を記録してきた。新型コロナウイルスの影響によって実店舗での買い物が困難となったことで、オンラインショッピングは消費者にとってより便利なものとなった。
そして、2021年(見込)の電子商取引額は285億リンギットに拡大し、前年比で10.7%の成長となった。さらに、2021年の取引額は2017年比で約2倍の規模に増加しており、2025年には557億リンギットに拡大することが見込まれている。2021年のオンラインショッピングサイト訪問者数はショッピーが2億1,470万人で最も多く、ラザダ(5,640万人)、PGモール(3,170万人)が続いた。
出典:マレーシア通信・マルチメディア委員会
電子決済サービスの普及
2021年は電子商取引の需要が高まったことから、電子決済サービスの利用が大きく伸びた。電子決済の総取引件数は+30%と2桁成長を記録、2021年には72億件に達する見込みとなっている。また、マレーシアには6つの銀行と47のノンバンクの電子マネー発行会社があり、約3,270万人に電子財布サービスを提供している。これらの電子財布は電子商取引でも活発に使用されている。
国内電子財布利用者の内、2021年は29.2%が電子決済取引にTouch ‘n Goを使用していると回答し、次いでBoostが14.4%、Maybank QR Payが12.7%と続いている。さらに、インターネットバンキングの取引量は20.3億件、累積取引金額は10兆3,030億リンギットを記録し、同年12月は過去最高額となる1兆710億リンギットであった。
出典:マレーシア通信・マルチメディア委員会
マレーシアの家電量販店事情〜統計データ〜
一人当たりの電力消費量
マレーシアエネルギー委員会の2020年エネルギー統計報告書によると、2018年における国内の一人当たりの電力消費量は前年比でプラス2.6%となる4,713kWhで僅かな増加となった。東南アジア域内で見ると、マレーシアの一人当たりの電力消費量は、シンガポール、ブルネイに次ぐ高さとなっている。
また、2019年における家庭向け電力の顧客数は国内全体で8,656,150件あり、前年の8,452,376件から203,774件増加した。その内、マレー半島のテナガナショナルが 7,553,229件で87.3%を占め、サバ州のサバ電力が519,308件(6.0%)、サラワク州のサラワク・エナジーが583,613件(6.7%)となっている。
出典:MALAYSIA ENERGY STATISTICS HANDBOOK 2020
マレーシアのエアコン貿易額
2020年におけるマレーシアのエアコン(HSコード:8415)の輸出額は11億ドルとなり、前年の13億ドルから16.9%の減少となった。マレーシアからの主要輸出先はベトナムで2億5,100万ドル、全体の22%を占めている。以降、ドイツが1億200万ドル(9.31%)、イタリアが9,000万ドル(8.23%)と続いた。
輸出品目としては、窓、壁、天井又は床に取り付けるように設計したものが7億9,200万ドルで、全体の71%を占めていた。対して、2020年の輸入額は3億2,200万ドルとなり、前年の3億400万ドルから5.9%の増加であった。主要輸入元は中国で2億200万ドル、全体の62%を占めた。以降、タイが6,700万ドル(20%)、日本が1,400万ドル(4.35%)と続いた。
出典:エアコンディショナー(TrendEconomy)
マレーシアの家具・インテリア・生活雑貨・ホームセンター事情〜統計データ〜
家具の輸出入状況
2020年におけるマレーシアの家具(HSコード:9403)の輸出額は25億1,400万ドルとなり、前年の21億3,300万ドルから17.9%の増加となった。マレーシアからの主要輸出先は、米国の15億9,000万ドルで全体の63%を占めた。以降、日本の1億2,800万ドル(5.09%)、シンガポールの1億300万ドル(4.28%)が続いた。
輸出品目としては、寝室で使用される木製家具が8億3,600万ドルで全体の33%を占めていた。2020年の輸入額は7億1,200万ドルとなり、前年の4億6,300万ドルから56.6%の大幅増加であった。主要輸入元は中国の6億2,600万ドルで全体の87%を占め、品目としてはキッチンで使用される木製家具が2億3,400万ドルで全体の32%を占めた。
出典:TrendEconomy
マレーシアの住宅戸数
2022年上半期の住宅取引件数は11万6,178戸となり、前年同期比で26.3%の増加であった。また、金額ベースでも、2022年上半期の取引額は456億2,000万リンギットとなり、前年度期比で32.2%の増加であった。
同期はすべての州で業績が改善され、ペナン州では取引件数が前年度期比で37.8%増、クアラルンプールは28.4%増、ジョホール州は20.2%増、セランゴール州は16.0%増となり、国内総住宅数の約47%を占めた。
2020年上半期は、新型コロナの影響で外出制限が発令されたこともあり住宅取引は大きく落ち込んだが、以降は順調に増加を続けており、家具やインテリアなどの需要を押し上げる要因となっている。
出典:National Property Information Centre
クアラルンプール在住4年目の日本人。大学卒業後、東京で飲料メーカーの営業を担当。その後、マレーシアのクアラルンプールへ移住し食品商社の営業及び購買のサポートを担当。