【統計データで解説!】フィリピンの流通・小売業界の最新トレンド・業界事情

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この記事では、統計データを用いてフィリピンの流通・小売業界の最新情報をお届けしていきます!

読了時間の目安:5分

フィリピンの流通・小売業界 業界地図はこちら!
目次

フィリピンのスーパー・コンビニエンスストア事情〜統計データ〜

小商店の需要が根強いフィリピン

フィリピン国内のビジネスは多くの零細企業から成り立っており、大企業とよばれる事業者はほんの一握りとなっていて、中小企業の数もまだまだ少ないといえる。今後は、この零細企業が大企業のチェーン店への転換や大企業への吸収合併などにより統合され、またオンラインへ移行されていくことが考えられる。

国内企業内訳(2020)

出典:PHILIPPINE STATISTICS AUTHORITY

小売業の外資規制緩和

2021年、小売業が最大のeコマース業界別売上高(30億ドル)を記録し、次に運輸(11億ドル)と食品サービス(9億ドル)が続いた。2017年から2021年にかけて、食品サービスは最も急速に成長した業界である。「オンラインでの電子商取引」は、COVID-19のパンデミックにより多くのフィリピン人が家に閉じこもり、オンラインショッピングに頼らざるを得なくなったことを考えると、今後も急増すると予想される。

また、2021年小売自由化法(2000年施行)での外資規制を緩和する法案が施行され、外資系企業がフィリピンの小売業に進出するに当たって参入障壁となっていた各種規制が緩和されたことで、外資系企業によるフィリピンへの投資が活発化されると予想される。

業界別Eコマース小売売上高

出典:Agriculture and Agri Food Canada

フィリピンの百貨店・ショッピングセンター事情〜統計データ〜

フィリピンのGDP成長率

フィリピンの2021年のGDP成長率は5.7%で、2022年は6.5%になると予想される。フィリピン国内でのCOVID-19による移動制限の緩和に伴う内需の力強い経済回復は、2022年のフィリピン経済の力強い成長を支えると予想される。主要観光産業と民間投資の回復は、大規模なインフラプロジェクトへの公共支出の持続と海外のフィリピン人からの送金と相まって、今年フィリピンの経済回復を後押しするだろう。

成長見通しに対する下振れリスク要因は、主要先進国の急激な減速、地政学的緊張の高まり、ロシアのウクライナ侵攻による世界的な商品価格の持続的な上昇の可能性から生じる恐れがある。

各国のGDP成長率

出典:Asian Development Bank

個人消費力の変化

GDPにおける家計最終消費支出は、2019年から2020年は3%の増加率になっている。また、個人消費は毎年国内総生産(GDP)の約4分の3を占める、経済の主要な成長ドライバーである。2017年から増加傾向にある家計最終消費支出は、世界的な価格の高騰や地政学的な経済リスクがあるにもかかわらず、今後も国内総生産(GDP)の約4分の3を占めると予想される。

マルコス政権は、官民パートナーシップまたはPPPをさらに活用することで、インフラや特にエネルギー、運輸と物流、水、電気通信への投資を促進しており、投資を通じて拡大している生産年齢人口を有効的に活用して経済を拡大させる。経済の底上げ、投資意欲の向上、国内外の観光客の復活、ニューノーマルにおける対面式のクラスによって引き起こされる中小企業の経済活動の拡大が見込まれる。

フィリピンの最終消費支出 対GDP

出典:IvanStat

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フィリピンのドラッグストア事情〜統計データ〜

増加する医療費

フィリピン国民1人当たりの医療費は、2019年は前年比6.8%の増加率だったが、2020年は2018年比で57%の増加率となった。COVID-19のパンデミックが発生し、健康製品や医薬品の購入が必要になったことでの医療費の増加が特に注目された。

また、さまざまなサービスの価格が上昇しており、人口増加に伴う高齢化による健康保険の適応外の個人負担や、慢性疾患の有病率、薬価の高騰などによるところも大きい要因である。医療サービスの費用コストは今後も上昇すると予想される。フィリピンはASEAN諸国の中で最も医療費が高い国の一つであるため、消費者は薬局などで市販の医薬品や健康製品などを購入する傾向にある。

国民一人当たりの年間の医療費

出典:フィリピン統計局

ドラッグストア業界の概況

フィリピンのメジャーな薬局のチェーン店数を比較すると、国内最大店舗の「The Generics Pharmacy」は2001年に1店舗を出店後、フランチャイズ ビジネス モデルを通じて、全国で自社の医薬品をより利用しやすく販売する販売網を拡大し、2007年にはメトロマニラ内に20店舗展開した。

その後Robinsons Retailとのパートナーシップにより、国内最大の薬局のチェーン店となった。外資系の「Watsons」は、美容用品を充実させオンライン販売にて顧客層を増やしており、それに合わせて新規店舗数も増えている。「SouthStar Drug」は、薬以外にも日用品、食品などを取り扱い、買収により一気に店舗数が増加した。このように、薬局の小売チェーンはフィリピンで積極的に成長している。

急速な成長を達成するために、薬局チェーンは独立した薬局や地域チェーンを買収している。これは、薬局を開店してゼロから構築するためのコストと運用を節約するためで、今後はビサヤ諸島の開発が進んでいない地域に店舗を展開していくと予想される。

チェーン別ドラッグストア数(2021)

出典:Chameleon Pharma Consulting Group

フィリピンのアパレル事情〜統計データ〜

回復傾向のアパレル市場

2020年の衣料品輸出額は2019年から年平均成長率-11.81%で、世界の消費者信頼感指数(CCI)の継続的な下落は、世界のアパレル市場の減少を暗示している。これは消費者が支出を減らし、アパレルやその他の消費支出を控える傾向によってもたらされている。

しかし、2020年のパンデミックにおける都市封鎖のため輸出サービスを提供できなかった東南アジアや他の国から徐々に注文が回復してきており、一時解雇された労働者をゆっくりと再雇用しているため、パンデミック前のレベルに戻りつつある。

今後は、地政学的なリスク、中央ヨーロッパでの戦争の不確実性、燃料費の上昇、サプライチェーンの混乱、および別のパンデミックの恐怖が世界中の消費者行動に影響を与えると予想されている。

フィリピンの繊維製品の輸出額

出典:Malaya Business Insight

今後のファッション市場

カジュアルファッション市場における消費者行動は、フィリピンにおけるサステナブルファッションの認識を反映していない。ミレニアル世代は、所有している衣服の内50%以上を1年以内に購入していて、これはカジュアルファッションのトレンドが迅速かつ手頃な価格で消費者にもたらされることを指す。

このため、近年ファストファッションの危機に対処するために、環境への影響を最小限に抑え、有毒化学物質の使用を減らし、労働者に生活賃金を支払う衣料品店など、ファストファッションに代わる持続可能な「スローファッション」が台頭してきている。

その代表が「Ukay-Ukay ショップ」と呼ばれるリサイクルショップである。今後は、環境にやさしく持続可能なカジュアルファッション市場を模索していくこととなる。

所有している服のうちどのくらいを1年以内に購入しているか(2021)

出典:Sustainability Solutions Exchange

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フィリピンの通販・ネット通販事情〜統計データ〜

Eコマース市場の概況

フィリピンの電子商取引市場は2019年時点で30億ドルだったが、2021年時点では120億ドルと年平均成長率(CAGR)100%のペースで伸びた。2025年には120億ドルの市場規模に成長し、2019年からのCAGRは105%と予測される。フィリピンは、2022年1月21日に小売業に対する外資規制の改正法が施行された。

これによって中小規模の日系企業にとっても小売業参入のチャンスが広がっている。フィリピンでECの主要プラットフォーマーとして近年マーケットシェアを急増させている外資が2社あり、1つはアリババグループのラザダ(2012年にフィリピン進出)で、2つ目はシンガポール企業傘下のショッピー(2015年進出)だ。両者とも日本からの越境ECを受け入れており、新たなビジネスチャンスとなる可能性がある。

eコマース 流通取引総額

出典:e-Conomy SEA 2021 report

躍進するインターネット環境

2022年のインターネットの普及率は66%となり、2021年から5%増加した。また、2018年からの年成長率は7.73%であった。フィリピンにおけるインターネットの普及は、国全体でのインターネットインフラストラクチャの不平等な分布、設備費にかかるコスト、政府の汚職など、多くの障害によって妨げられてきた。

しかし、2020年パンデミックによりインターネット接続の重要性が認識され、フィリピン政府は国内の既存プロバーダーへのインフラストラクチャの開発を加速を指示し、3番目の主要な電気通信会社も認可された。2022年には衛星インターネットサービスプロバイダーのスターリンクが認可され、今後ますますインターネットが継続的に発展していくと考えられる。

フィリピンのインターネット普及率推移

出典:ITU

フィリピンの家電量販店事情〜統計データ〜

伸びが期待される家電需要

フィリピンでの家電売上高の推移をみると、2014年から2018年の実績年間平均成長率は4.54%で、2021年までには年間平均成長率が5.5%になると予想される。急速な都市化に伴い、大家族から核家族への家族形態の増加、各家庭での家電への需要の拡大、富裕層消費者の増加により、フィリピンでは家庭用品の需要が高まっている。

また、海外で働いている海外労働者(OFW)からの送金の増加とその消費を支える堅調な経済成長により、家庭用品や家電製品の小売売上高の伸びは近年加速している。1億人を超える人口と急激に拡大する市場需要を考えると、家庭用品と家電製品の成長見通しは堅調であると予測される。

家電の売上高

出典:Hong Kong Trade Development Council

電力不足の弊害

2022年3月のフィリピン電気料金は、家庭で1kWhあたり0.165ドルであった。これには、電力・配電・税金などの電気料金のすべてが含まれる。同期間の世界の平均電力価格は1kWhあたり0.139ドルであったため、フィリピンの電気料金は東南アジアで最も高い。

また、フィリピンは輸入化石燃料への依存度が高く、競争力のない市場構造により世界基準と比較して比較的高くなっていると考えられる。電力の使用量が増加しシステムに対する需要が多すぎる結果、電力不足が発生しているため、フィリピン人の約30%は電気を利用できない又は停電を経験している。

そのため、エネルギープロバイダーはシステム全体の完全な停電を回避するために、意図的に電力量を減らすことがある。電力不足は、人々の生活に深刻な影響を与える可能性がある。

2022年3月毛電溶電気代比較

出典:GlobalPetrolPrices.com

フィリピンの家具・インテリア・生活雑貨・ホームセンター事情〜統計データ〜

家具生産の世界的ハブ

フィリピン貿易産業省および投資委員会は、2030年までの家具産業のロードマップを作成した。 2021年の「家具生産者指数」は上昇傾向にあり、フィリピンの家具産業は国内で最も労働集約的で芸術的な産業の1つである。家具会社は高品質の家具を製造するために、フィリピン人の勤勉で創造的な能力を活用している。

このため、フィリピンは「アジアのミラノ」として知られ、98%が中小企業に分類されるこの業界は、全国で210万人の間接労働者を提供し、サプライチェーンで540万人にビジネスを提供している。同業界は、洗練された頑丈で環境に優しい製品の持続可能な生産を通じて、世界的な地位を築くことを目指している。

家具生産者物価指数(2021年)

出典:フィリピン統計局

政策による家具需要の伸び

2017年から家具の生産高は順調に成長していたが、コロナ禍の2020年には鈍化して前年比の約3%減となった。一方で、2017年からの年平均成長率は5.38%となった。また、フィリピン政府は「ビルド・ビルド・ビルドプログラ」の下で、進行中のプロジェクトに220億ドルを割り当てた。インフラの改善により、国内でより多くのホテルの開発や建設プロジェクトが推進されている。これを受け、家具の現地需要も高まった。

さらに政府はコロナの影響を軽減するため、いくつかの観光プログラムとインフラストラクチャに3年間で2億8,000万ドル相当の予算を割り当てた。新しい家の改修や建設と同時にオンライン注文も増加し、2021年は約10%の増加が予測された。

フィリピンの家具の生産高

出典:The Foreign Agricultural Service (FAS)

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