この記事では、統計データを用いて台湾の流通・小売業界の最新情報をお届けしていきます!
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中国のスーパー・コンビニエンスストア事情〜統計データ〜
主要コンビニチェーンの売上高
近年、中国のコンビニエンスストア業界は堅調な成長を続けており、従来のコンビニエンスストアチェーンに加えプラットフォーム対応型コンビニエンスストア(インターネットや構築したプラットフォームを活用している非従来型のチェーンコンビニエンスストア)など革新的なコンビニエンスストアが多数誕生している。
また、売上高はコロナ禍をはさんでいるにもかかわらず年々増加傾向を維持しており、他の小売業態と比較しても、コンビニエンスストアは相対的に高い成長率を維持している。他の小売業態(小型スーパー、大型スーパー、百貨店)と比較して、コンビニエンスストアは依然として高い伸び率を維持している。
出典:中国连锁经营协会
スーパー売上高トップ5
近年、中国のスーパーマーケット全体の店舗面積は着実に増加しているが、店舗数は減少傾向にある。2015年、中国のスーパーマーケットチェーン店の数は33,301店であったが、2020年には24,082店に減少している。
ただし、その中でも大型スーパーマーケットは減少し、中小規模のスーパーマーケットが増えているといった傾向もある。消費者ニーズの変化に伴い、スーパーマーケットのブランドポジショニングは徐々に洗練され、各社店舗の大きさや商品構成の差異設定、装飾スタイル、付帯設備のマッチングによって、異なる顧客層のニーズに応えている。
スーパーマーケットの新店舗は、生鮮食品を中心とした小さなコミュニティショップに変化しているところが増えている。 また、現在スーパーマーケット上位100社の店舗のうち、7割が地域密着型の小規模店舗となっている。
出典:华经产业研究院
中国の百貨店・ショッピングセンター事情〜統計データ〜
中国の高級品市場規模
2021年、百貨店小売業を主とするA株上場企業41社のうち、83%が第1~3四半期に前年同期比で増収となり、最大・最小の増加率を除いた平均増加率は14%で中央値は11%であった。コロナ禍にもかかわらず好調であったとされる理由は、コロナ禍による海外消費の回帰や海外で購入していた高級品の一部が国内消費に回ったことだと言われている。
さらに、その高級品は主に高級百貨店で購入することを選択していることが一つの要因であるとされており、中国の高級品市場規模もコロナ禍以降急激に伸びている。一方で、経営陣の高齢化や商品の均質化によって、オペレーションに特徴がない店舗は苦戦を強いられており、企業リニューアルやアップグレード、あるいは閉鎖や業態転換の決断を迫られているところも出ている。
出典:华经产业研究院
ショッピングセンター数推移
中国のショッピングモール数は年々増加傾向にある。2021年には547店舗もの初出店があり、2020年と比較して360店舗増加し、前年比192.5%増となった。またショッピングモールの空室率についても、都心のショッピングセンターの平均空室率は2021年に9%と、2020年から2%減少している。これは、2021年末に中国の居住人口の都市化率が65%に迫り、2020年末に比べて0.83ポイント上昇していることも一つの要因ではないかといわれている。
さらに、これまでショッピングセンターは小売業が中心で飲食や娯楽が少なかったが、近年は収入やライフスタイルの変化に伴い、飲食店や体験型の業態への需要が高まっている。しかし、賃料収入への貢献度が低いこともあり、ショッピングセンターの体験型業態はいまだ不足しているともいわれている。
出典:华经产业研究院
中国のドラッグストア事情〜統計データ〜
中国の化粧品市場規模推移
中国経済の継続的な発展と住民の所得水準の向上、欧米や日韓の大手化粧品会社による中国市場の開拓により、国内消費者の化粧品消費概念は徐々に高まり、中国国内化粧品市場規模は急速に拡大している。2011年の10億ドルが2020年には732億300万ドルとなっている。
コロナ禍に突入して以降、中国のドラックストアの多くが長期休業に陥り、業界に大きな影響を与えた。しかし、化粧品を含めたコスメのオンラインプラットフォーム販売の伸びもあり、コスメの注目度は衰えることなく高まっている。消費者の約58.2%がオンラインストアを通じてコスメを購入しており、ECチャネルの売上規模は年々上昇している。
出典:前瞻产业研究院
中国上市企業新店舗数比較
スキンケア製品の中国国内市場規模は年々増加傾向にあり、2021年の市場規模は前年比8.78%増の2938億600万元に達していて、2025年には3817億1600万元に達すると予想されている。市場全体で見ると、中国のスキンケア業界は中国ローカル企業だけでなくグローバル大企業との競争も激しく、現在中国のスキンケア市場はグローバルブランドによって占められているともいえる。
またコロナ禍以降、オンライン販売の流れも加速しており、グローバルブランドはオンライン販売を通じて低コストで低層都市を開拓している。中国国内ブランドは都市の中核消費者市場にアクセスするチャンスが増え、中国のスキンケアのオンライン市場はグローバルブランドと国内ブランドの両方が好む重要なチャネルとなっている。
出典:华经产业研究院
中国のアパレル事情〜統計データ〜
中国のアパレル市場規模
中国アパレルの内需市場はコロナ禍に入り一度落ちたものの、2021年は回復傾向にある。国家統計局のデータによると、2021年の企業のアパレル小売総額は1兆3842億人民元に達し、前年比12.7%増となっている。
一方で、アパレルの一人当たりの消費量は先進国に比べて少なく、一人当たりの可処分所得についてもまだまだ増加の伸びしろがある。特に、中国の中産階級と富裕層グループの急速な増加は新しいビジネス機会をもたらし、アパレル市場がさらに拡大することが期待されている。
さらに、ネットショッピング利用者の規模は拡大し続けており、ソーシャルEコマースの普及率も徐々に高まっていることからも、中国のアパレル産業がさらに発展する余地があるといえる。
出典:中商产业研究院
アパレル産業の売上構造の変化
過去5年間、中国のアパレル産業の輸出については安定した成長を維持していたが、2020年の輸出額は1,373億8,000万米ドルで、累積で6.4%の減少となった。これはコロナの影響でマスクや防護服、その他繊維材料のEU及び米国などの先進国への輸出増加が影響しているとも言われている。
長い間中国の繊維・衣類製品分野の輸出構造は繊維の輸出が45%未満で、アパレルの輸出は繊維・衣類産業の輸出の半分以上を占めていた。しかし、2020年この輸出構造が大逆転し、繊維輸出が約55%を占めて、アパレルの輸出が約45%に減少した。
総合的に見ると、中国の繊維・衣類産業の輸出の数値は大幅に増加した結果となっており、アフターコロナにこのバランスが今後どうなっていくか注目である。
出典:中华人民共和国海关总署
中国の通販・ネット通販事情〜統計データ〜
中国ネット通販売上推移
近年、中国ではモバイルインターネットの急速な発展や一人当たりの可処分所得の増加、ネットワーク決済や配達サービスなどのインフラの継続的な改善により、オンラインショッピングの規模は拡大を続けている。
オフラインショッピングに比べオンラインショッピングは、時間、空間、プロセスの面で明らかに便利なのが利点であり、近年、淘宝網、天猫、京東、拼多多など消費者のニーズに合ったプラットフォームが成長している。国家統計局によると、中国の電子商取引規模は2016年の26.1兆元から2020年には37.21兆元に拡大し、世界の電子商取引市場で第1位となっている。
また、2021年のネット通販売上高は、前年比14.1%増の13兆1,000億元に達した。ネット通販におけるインターネットアプリケーションのユーザー規模は2021年に8億4200万人に達し、インターネットユーザーの利用率は81.6%となっている。
出典:中商产业研究院
越境ECの輸出入規模の推移
コロナ禍突入後、中国では越境EC分野が急速に伸び、対外貿易の発展をサポートしている。2020年、中国における越境ECの輸出入量は1兆6900億元に達し、前年比1兆5000億元で807.58%の増加となった。2021年、中国における越境ECの輸出入規模は1兆9800億元で、前年比2900億元の増加で17.16%の増加となった。
コロナ禍において、同時に中国国内では国潮(中国文化・ブランド)ブームが発生したこともあり、中国ブランドをオンラインで購入するユーザーはネット通販ユーザー全体の65.4%を占めた。このうち、主な購入国内ブランドのジャンルは、スポーツ・アパレル、美容・スキンケア、家電、携帯電話・デジタルで、購入率はそれぞれ57.5%、38.7%、37.7%、36.2%であった。
出典:产业信息研究院
中国の家電量販店事情〜統計データ〜
カテゴリ別市場シェア
中国の主要家電の売上状況は、2020年と比較するとカラーテレビが1390億元で前年比7.9%増、エアコンが1651億元で同2.2%増、冷蔵庫が1042億元で同7.2%増、洗濯機が788億元で同7.1%増、キッチン家電が1663億元で同5.0%増、家電が227億元で同6.6%増となった。
いずれも伸びているが、成熟した家電カテゴリーはコロナ禍前の水準まで回復できていない。一方、新興カテゴリーは、コロナ禍前の水準もしくはそれ以上まで高成長を維持している。これは、中国の人々の家電製品に対するニーズが「生活必需品」から「基本機能」を満たす「質」の高い家電へと変化しており、ハイエンド家電の売り上げが伸びていることが要因の一つに挙げられる。
消費者の年齢で見ると、1980年以降生まれの若年層が家電市場全体の60%以上を占めており、ハイエンド家電消費の45%が1980年代生まれの世代となっている。
出典:中国电子信息产业发展研究院
オンライン・オフライン販売状況
中国の家電製品市場規模はいまだにコロナ禍前の水準まで回復はしていないものの、2021年の全国の家電産業の全カテゴリーの累積売上高は7603億元で、前年比3.48%増となった。中国の家電製品の輸出額は2021年6382億元で、前年比14.1%増となっている。さらに、中国の家電市場は量販店などの実店舗での販売規模よりもネットを通じたオンライン購入の販売規模の方が大きくなっている。
2021年の家電製品の年間小売販売額に占めるオンライン販売の割合は52.9%であり、二年連続でオンライン販売が半分以上を占め、中国の家電小売業は「オンライン市場の支配とオフライン市場の支援」という新しいパターンを形成しており、今後の市場規模拡大にも期待が膨らんでいる。
出典:华经产业研究院
中国の家具・インテリア・生活雑貨・ホームセンター事情〜統計データ〜
スマートホームデバイス出荷状況
中国のスマートホームデバイス市場出荷台数は年々増加しており、2020年には2.6億台となっている。スマートホームの玄関端末の一つであるスマートスピーカーの出荷台数は2020年に5,420万台となり、スマート照明の出荷台数は2020年に1090万台となった。
中国のスマートホームは、従来の家庭の快適性やセキュリティのニーズを満たすだけでなく、あらゆる情報交換を可能にし、家庭生活の安全性と快適性を高め、遠隔操作、リアルタイムモニタリング、各種エネルギーの合理的制御などさまざまな機能を提供する方向へ進んでいる。
出典:产业信息研究院
中国の家具類小売販売額推移
中国における家具の小売販売額は2017年まで成長傾向を維持し、2017年には2,809億元と最大値を記録したものの、それ以降は家具小売売上は急速に減少した。2020年の中国の家具小売売上はわずか1598億元と7年ぶりの低水準に達している。
しかしながら、家具製造業の生産量は伸びており、2020年は9億1221万で前年比1.7%増となっている。特に中高級家具の生産が伸びており、品質の悪い低級品は徐々に淘汰されている。
現在中国では中高所得者層の数が年々増えており、高級家具が一部の富裕層だけが買える商品ではなくなろうとしていることや、コロナ禍突入後の2020年以降業界内でM&Aが多発し業界内が再編され中国のスマート家具の発展に拍車がかかっていることなどを加味すれば、まだまだ中国の家具業界の成長に期待ができる。
出典:华经产业研究院
上海在住で杭州出身の中国人。一橋大学の経済学修士課程修了。日本企業でマーケットインサイト部門で就労後、中国のIT会社でユーザー研究・マーケットリサーチに携わる。コンサル業界・証券業界の友人が多いため、リサーチ関連で助けとなっている。