この記事では、統計データを用いて中国の金融・法人サービス業界の最新情報をお届けしていきます!
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中国の銀行事情〜統計データ〜
2020年中国6大銀行営業収入・利益
2020年中国大手銀行6行(中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行、交通銀行、郵貯銀行)の合計営業利益は3兆3900億元で、前年比4.56%増加した。純利益は1.14兆元で、前年比1.93%増となった。その中で、中国建設銀行の前年比成長率は7.12%と最も高く、次に交通銀行が約5.91%で2位となった。
6行のうち、中国銀行は成長率2.98%で最下位にランクされた。純利益に関しては、中国工商銀行が3177億元と3年連続でトップとなり、利益成長率では郵貯銀行が前年比5.38%でトップとなった。他5行の利益前年成長率は1%にとどまっており、これは2019年の水準より下回っている。
出典:選股宝
中国の資産運用商品市場
2020年の年末時点で、全国の銀行金融機関は、元本保証のない資産運用商品を合計39,000保有しており、残高は25.86兆元である。
銀行の資産管理事業の変革が継続的に深化するにつれて、元本保証のない資産管理商品の残高は基本的に安定した状態を維持しながら着実な増加傾向を示しており、2020年初から6.90%増加した。2021年6月、全国の325の銀行機関と20の資産管理会社における資産管理商品の残高は、25.8兆元で、前年比で5.37%増加した。
その中で、大型銀行が販売する資産管理商品は3,160あり、残高金額は3.92兆元に達している。前年比で46.69%減少しだが、年初からの上昇率は34.34%となった。
出典:前瞻経済学人
中国の証券事情〜統計データ〜
中国証券業界の売上高
中国証券協会が最近発表した「中国証券業発展報告書(2022年)」によると、2021年12月31日時点で、中国の証券会社の総資産は10.59兆元、純資産は2.57兆元であり、純資本は2兆元となった。証券会社は140社で、前年よりDBS証券(中国)、大和証券(中国)の2社が増加した。
2021年末現在で上海証券取引所と深セン証券取引所に上場している証券会社は、前年より1社増え41社となった。そのうち、外国資本参加・保有の証券会社は17社ある。2021年中国証券会社の年間売上高は5024億1000万元で、前年比12.03%増、純利益は1911億1900万元で、前年比21.32%増となった。株主資本利益率(ROE)は7.44%で、前年比0.61ポイント上昇し、上昇傾向を維持している。
出典:瀟湘辰報
2020年中国証券会社総資産額トップ10
2020年末時点で、中国には、証券支店、投資銀行、資産運用子会社などを含め、合計138の証券会社が存在した。その総資産金額をランキングすると、第1位は中信証券であり、総資産は1兆529億3000万元に達し、総資産規模が1兆元を超える初の証券会社となった。
純資産でランク付けすると、証券会社のトップ5は、中信証券、海通証券、国泰君安証券、華泰証券、招商証券となる。営業利益でランク付けすると、中信証券、海通証券、国泰君安証券、華泰証券、広発証券となる。経済事業収入でランク付けすると、中信証券、国泰君安証券、中国銀河証券、招商証券、広発証券となる。資産運用事業の収益で順位を付けると、証券会社の上位5社は、中信証券、広発証券、海通証券、華泰証券、東方証券となる。
出典:萬洲財経
中国の法律事務所事情〜統計データ〜
中国弁護士数推移
2021年末の時点で、中国全土には574,800人を超える弁護士が勤務している。1万人以上の弁護士を擁する22の省(自治区および直轄市)と、3万人を超える弁護士を擁する7つの省(市)(広東、北京、江蘇、上海、山東、浙江、四川)がある。
弁護士の種類別では、常勤弁護士が458,200人以上で79.71%を占め、非常勤弁護士が13,900人以上で2.42%、公務弁護士が72,600人以上で12.64%、企業弁護士が22,700人以上で3.95%を占める。
年齢別にみると、30歳未満の弁護士は134,800人以上で23.46%、30歳から50歳までの弁護士は352,700人以上で61.36%、50歳から65歳までの弁護士は75,400人で13.12%、65歳以上の弁護士は11,800人を超え、2.06%を占めている。
出典:網易首頁
中国法律事務所の規模(2021年)
2021年末の時点で、中国全土には36,500を超える法律事務所が存在している。法律事務所の規模でみると、弁護士10人未満の法律事務所が24,200箇所以上で66.3%、弁護士11~20人の法律事務所が7,504箇所で20.52%、21~50人の法律事務所が3,704箇所で10.13%、51~100人以上の法律事務所が700箇所で1.91%、100名以上の法律事務所が415箇所で1.14%を占めている。
2021年、弁護士が取り扱う811.6万件以上の訴訟事件のうち、刑事訴訟の弁護・陳述は122.8万件以上であり、訴訟事件の15.13%を占め、民事訴訟は660.1万件以上であり、81.35%を占めている。行政訴訟代理事件は262,000件以上あり、訴訟事件の3.22%を占めている。
出典:法律名家講堂
中国の会計事務所事情〜統計データ〜
中国会計事務所数
中国公認会計士協会の統計によると、2015年以降中国の会計事務所の数は年々着実に増加しており、2020年末までに9,800箇所に達した。支店数も徐々に増加しており、2015年に初めて1,000箇所を超え、2020年には支店の総数は約1,200箇所になった。
収益面をみると、2018年中国全土の会計事務所は793億元の営業収益を達成し、前年比11.41%増加となった。会計事務所と統合された他の専門機関の営業収益を含めると、業界の2018年の総営業収益は1014.8億元となった。
最新のデータによると、2020年までに中国の会計事務所の営業収益は1108億元になり、1000億元を突破する見込みである。
出典:前瞻経済学人
中国会計士人数
中国の公認会計士の数は年々増加し、2019年末までに全国の公認会計士の総数は107,000人となった。2020年には110,000人を突破し、110,365人と過去最高を記録した。
その理由には、中国の大学入試における「経済経営熱」により、経済学と経営学を専攻する学部生と修士号の数が急速に増加した背景がある。そのため、金融経済学の卒業生は就職において激しい競争に直面している。
公認会計士試験を例にとると、受験者数が急増しており、2017年には100万人を超え、2019年には173.1万人に達した。2020年にはコロナの影響でいったん受験者数が減少し、160万7000人まで落ち込んだが、今後さらに応募者数は増加すると見られている。
出典:華経情報網
中国の人材サービス事情〜統計データ〜
中国人材サービス市場の規模
中国人材サービス産業は、サービス産業全体の中でも重要な部分であり、現代サービス産業の代表的存在である。産業構造の調整と高度化、人材活用の管理レベルの向上を促進する上で重要な役割を果たしており、中国の経済発展は人材サービス産業の発展と切り離すことができない。
ここ数年、中国は人材サービス産業の発展をさまざまなルートで推進している。2020年、中国の人材サービス産業の市場規模は5833億元に達し、2019年より957億元、19.63%増加した。中国の人材サービス産業の継続的な発展に伴い、この産業に従事する従業員の数も増加している。2020年、中国の人材サービス業界の従業員数は843,300人に達し、2019年から168,500人、24.97%増となった。
出典:産業信息網
中国失業率推移
2020年のコロナ流行によって、企業の経済発展は困難になり、多くの従業員が職を失った。失業率の観点から見ると、2013年から2019年にかけて、都市全体の失業率は低下傾向を示していたが、2020年には失業率が歴史的なピークに達し、3.62%から4.24%に上昇した。
また、2020年、中国の都市部の新しい仕事の数は急激に減少した。統計によると、中国の新規雇用数は、2019年の1,352万人から2020年の1,186万人に減少し、前年比で12.28%減少となった。一方で、2020年中国で再雇用された都市部の失業者の数は、2019年と比較して35万人減少し、前年比で6.41%減少した。
出典:華経情報網
上海在住で杭州出身の中国人。一橋大学の経済学修士課程修了。日本企業でマーケットインサイト部門で就労後、中国のIT会社でユーザー研究・マーケットリサーチに携わる。コンサル業界・証券業界の友人が多いため、リサーチ関連で助けとなっている。