この記事では、統計データを用いてタイの飲食・製造業(食品)業界の最新情報をお届けしていきます!
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タイの外食・中食事情〜統計データ〜
ファストフードの種類別売上高割合
タイのファストフードレストラン(Quick ServiceRestaurants)の2021年の売上高は計44.6億USDであった。売上高は2019年、2020年よりも減少したものの、各チェーンは新メニュー開発、新形態の店舗、デリバリー対応といった工夫を凝らしている。
内訳としてはコンビニエンスストアのファストフードサービスが24.0億USD、全体の54%と最大であり、続いてチキンを取り扱うファストフード、ベーカリー、ピザ、バーガーであった。タイのファストフード業界ではマクドナルド、KFC、ピザハットなどの米国系をはじめ、日系のモスバーガー、韓国系のボンチョンチキンなどの外資系チェーンが80%を占める。
出典:米国農業省外国農業部門(FAS)
レストランの売り上げ推移
2021年のタイのフルサービスレストランの売上高は計35.3億USDで、そのうちチェーン店は14.3億USD、個人店は21.0億USDであった。全体では前年よりも18%減少し、新型コロナウイルスの感染拡大の際のロックダウンの影響が色濃く出ている。レストラン業界では特に高級店などでデリバリー対応が難しい場合も多く、また政府による店内でのアルコール飲料の提供禁止も経営に大きな影響を与えた。
タイのフルサービスレストランはタイのレストラン業界のうち15%の軒数を占める。アジア料理が最も人気であるが、鍋や焼肉レストランの人気が高まって来ており、タイのレストラン業界の成長において重要な役割を担っている。他にもイタリアン、アメリカ料理など他国の料理も人気である。
出典:米国農業省外国農業部門(FAS)
タイのカフェ・スイーツ事情〜統計データ〜
タイのコーヒー市場
2021年のタイのコーヒーの輸入額は1億3,015万USD、輸出額は367万USDであった。タイではコーヒーの輸出よりも輸入のほうが盛んである。輸入に関しては2019年から2年連続の増加であり、新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンの影響をほとんど受けていないことがわかる。
コーヒーは家で楽しむ消費者も多いことに加え、大半のカフェはデリバリーに対応しているためと考えられる。タイのコーヒーの最大の輸入国はベトナムであり、全体の67.3%を占める。続いてラオスが13.7%、インドネシアが6.5%、マレーシアが4.0%と近隣のアジア諸国からの輸入がほとんどである。
出典:United NationsComtradedatabase
タイの国別コーヒー輸出額
タイの2021年のコーヒーの輸出額は前年比21.5%増の367万USDであった。国別の内訳では、日本が85万USDで全体の23%を占め第一位、続いて米国が54万USD、15%で第二位、そのあとにカンボジア、カナダ、ドイツとなっている。タイのコーヒー豆の生産は南部チュンポン県やラノン県、北部チェンライ県、チェンマイ県などで盛んである。
近年のタイの消費者の志向の変化により、コーヒーの人気が高まってきており、それに伴って国産コーヒーが注目されつつある。国際的にもタイ産コーヒーの品質や味に対する評価が高まってきている。
出典:United NationsComtradedatabase
タイの加工食品事情〜統計データ〜
鶏肉加工が盛んなタイ
2021年のタイの肉類の生産量は計276万トンであった。うち冷凍および冷蔵鶏肉が250万トンで全体の90%を占め、続いて味付け調理済み鶏肉が20.9万トンで全体の8%、ソーセージが5万トンで全体の2%、ハムは0.29万トンと少量であった。
タイの鶏肉加工製品はタイの食品産業の中でも重要であり、生産量の約70%を占める国内消費とともに、約30%は海外へ輸出している。輸出先は日本やEU、英国、韓国などである。さらに2022年はウクライナ戦争の影響で代わりの鶏肉輸入先を探しているサウジアラビアや、マレーシアが鶏肉輸出を禁止した影響を直接的に受けているシンガポールなどへの輸出拡大が期待されている。
出典:The Office of Industrial Economics
タイの水産物加工品
2021年のタイの魚介類の生産量は95.6万トンであった。うちツナ缶が57.6万トンで全体の60%を占めた。続いてイワシ缶が14.0万トンで全体の15%、冷凍魚が11.3万トンで全体の12%、冷凍エビが10.9万トンで全体の11%、冷凍イカが1.8万トンで全体の2%であった。
地理的にタイランド湾とアンダマン海に面しているタイは豊富な水産資源があり、魚介類の生産加工も盛んである。特にツナ缶は世界的最大の生産・輸出国となっており、タイの生産量の約91%を輸出している。主な輸出先は米国、オーストラリア、日本、カナダなどである。
出典:The Office of Industrial Economics
タイの食品卸事情〜統計データ〜
タイの農産物の輸出額、輸入額
タイ農業経済局(Office of agricultural economics)によると、2021年のタイの農産物の輸出額は前年比16%増の計1兆4,978億バーツ、輸入額は前年比15%増の6,023億バーツであった。前年の新型コロナウイルスの感染拡大への懸念が弱まり、国内外ともに経済活動が活発化してきたとともにホテルやレストラン業界による農産物の需要が大きくなったと考えられる。
輸出額、輸入額ともに前年よりも伸びを示したばかりか、過去5年間で最大の金額となった。今後もタイの農産物、食品については成長が期待されるが、一方でウクライナでの戦争や中国のロックダウンによる貨物輸送費の高騰、コンテナ不足、原油価格高騰といった外部要因がリスクとして挙げられる。
出典:Office of Agricultural Economics
タイの主な農産物輸出品目
タイ農業経済局(Office of agricultural economics)によると、2021年のタイの農産物の輸出額は計1兆4,978億バーツであった。内訳はドリアンおよびその製品が1,192億バーツで全体(ゴム製品を除く食品)の9%で第一位、続いて米およびその製品、鶏肉およびその製品、魚およびその製品、キャッサバおよびその製品、の順であった。
タイの食品・飲料はタイのGDP全体の約4分の1を占めており、同国の重要な産業の1つである。また豊富な農業資源とともに、食品加工技術、品質管理水準の高さが国際的にも認められており、タイの食品は世界各地へと輸出されている。特にEU、日本、中国、米国などへの輸出が盛んである。
出典:Agricultural Economic Report
タイの飲料事情〜統計データ〜
タイの飲料⽣産、販売市場はほぼ横ばい
タイ農業経済局(Office of agricultural economics)によると、2021年のタイの農産物の輸出額は前年比16%増の計1兆4,978億バーツ、輸入額は前年比15%増の6,023億バーツであった。前年の新型コロナウイルスの感染拡大への懸念が弱まり、国内外ともに経済活動が活発化してきたとともにホテルやレストラン業界による農産物の需要が大きくなったと考えられる。
輸出額、輸入額ともに前年よりも伸びを示したばかりか、過去5年間で最大の金額となった。今後もタイの農産物、食品については成長が期待されるが、一方でウクライナでの戦争や中国のロックダウンによる貨物輸送費の高騰、コンテナ不足、原油価格高騰といった外部要因がリスクとして挙げられる。
出典:タイ産業経済局
飲料⽔、清涼飲料⽔の⼈気が⾼い
タイ産業経済局(TheOfficeofIndustrialEconomics)のデータによると、タイの2021年のノンアルコール飲料の国内販売量は75.7億リットルであった。内訳は飲料用浄水が36億リットルで全体の48%、清涼飲料水が29億リットルで全体の38%と、この2種類でノンアルコール飲料全体の80%以上を占める。生産者は主にローカル系のシンハー、Sermsuk、外資系のコカ・コーラ、ペプシなどの大手企業である。
一方で、タイでは糖尿病などの生活習慣病患者が増えているため、政府が甘い清涼飲料水に税金をかけ、消費を抑制しようとしている面もある。以下はソーダ水が6%、お茶が5%、インスタントコーヒー飲料が3%の販売シェアであった。
出典:タイ産業経済局
バンコク在住のタイ人。タイにおける日系企業向け翻訳・通訳を6年間以上行う。経済、ビジネス、IT分野に興味があり、マーケティングや流通を含めた企業調査や、企業調査といった情報収集が得意。