【統計データで解説!】ベトナムの運輸・物流業界の最新トレンド・業界事情

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この記事では、統計データを用いてベトナムの運輸・物流業界の最新情報をお届けしていきます!

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目次

ベトナムの鉄道・バス事情〜統計データ〜

鉄道貨物及び旅客輸送量の推移

ベトナム政府(統計総局)のデータでは、鉄道貨物輸送量は増加傾向にあるが、鉄道旅客輸送量は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、2020年以降は急激に減少している。具体的には2017年時点の鉄道貨物輸送量が561万1千トン、旅客輸送量は950万人であった。

また、ベトナム鉄道公社(VNR)は同年に250両の新しいMコンテナワゴンを導入し、貨物輸送の需要に対応できる体制が整った。2018年は鉄道貨物輸送量が571万8千トンで、鉄道旅客輸送量が870万人であった。しかし、2019年は鉄道貨物輸送量が520万5千トンに急減し、鉄道旅客輸送量も800万人に減少した。

2020年は鉄道貨物輸送量は521万6千トンに増加したが、鉄道旅客輸送量は370万人に急減した。2021年は鉄道貨物輸送量は566万トンと急増したが、鉄道旅客輸送量は145万人とさらに急減した。ベトナムの鉄道業界は新型コロナウイルスの流行や旅客需要の急激な減少により、多くの旅客列車路線の削減を検討しなければいけない厳しい状況である。

鉄道貨物及び旅客輸送量の推移

出典:Statistical Yearbook of Viet Nam

道路及びバスの運賃指数の推移

ベトナム政府(統計総局)のデータでは、道路及びバスの運賃指数は増加傾向にあり、ベトナム国内のバス運賃は年々高くなっている状況である。具体的には、2010年との比較で2017年は135.3%、2018年は138.7%、2019年は141.3%、2020年は142.4%、2021年は143.34%であった。

2020年以降は新型コロナウイルスの影響でバスの利用者が急減し、バスの運航自体も大きく減少したが、バス運賃は上昇し続けている。ベトナム国内では、エリアによりバスの運賃(運賃指数)が異なり、現在ホーチミン市のバス運賃は5,000VND、6,000VND、7,000VND/1乗車の3段階に分かれている。また、ハノイ市のバス運賃は7,000VN~9,000VND/1乗車又は月額100,000VND~200,000VNDに設定されている状況である。

道路及びバスの運賃指数の推移

出典:Statistical Yearbook of Viet Nam

ベトナムの空運事情〜統計データ〜

空運貨物・旅客輸送量の推移

ベトナム政府(統計総局)のデータによると、空運貨物・旅客輸送量は増加傾向が続いていたが、2020年以降は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、空運貨物・旅客輸送量ともに減少した。

具体的には、2017年の空運貨物輸送量が4,455万6千トン、旅客輸送量が31万7千9百人であったのに対し、2018年は空運貨物輸送量が4,907万7千トンに増加し、空運旅客輸送量は40万4千400百人に増加した。

また、2019年には空運貨物輸送量が5,508万トンに増加し、空運旅客輸送量は44万6千人に増加した。しかし、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、空運貨物輸送量は3,233万7千トンに減少し、空運旅客輸送量も27万2千人に大きく減少した。

2021年も空運貨物輸送量が1,516万2千トンに急減したが、空運旅客輸送量は28万4千人に増加した。新型コロナウイルスが収束した2022年以降は、空運貨物輸送量及び空運旅客輸送量共に増加が見込まれている。

空運貨物・旅客輸送量の推移

出典:Statistical Yearbook of Viet Nam

空運輸送企業の売上規模推移

ベトナム政府(統計総局)のデータによると、ベトナム国内の空運輸送企業の売上規模は60~95兆VNDの範囲で増減を繰り返している。具体的には、2016年の売上規模は63兆1,660億VNDであったが、2017年は94兆5,320億VNDに急増した。

2017年は貨物全般の輸送ニーズが増加し、空運輸送に関しても大きく成長した年であった。2018年の売上規模は81兆3,900億VNDに減少したが、2019年は売上規模が85兆5,380億VNDに増加した。しかし、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、売上規模が62兆7020億VNDに急減した。新型コロナが収束した2022年以降は、売上規模の拡大が見込まれている。

空運輸送企業の売上規模推移

出典:Statistical Yearbook of Viet Nam

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ベトナムの陸運事情〜統計データ〜

流通形態別の企業数

ベトナム国内の流通形態別の企業数に関しては、陸上貨物輸送分野に極端に集中しており、ベトナム国内の物流関連登録事業者の82.3%(2021年)を占めている。また、陸上貨物輸送以外の物流サービスを提供している企業数は、陸上輸送分野の企業数と比較すると遥かに数が少ない。

具体的には海上貨物輸送サービス分野が4.8%、内陸水路輸送サービスが4.7%、鉄道輸送サービスが2.8%、フォワーディングエージェンシー サービスが4.4%、倉庫サービスが3.3%、その他サービスが4.1%という結果であった。ベトナム国内では約4000社の物流サービス事業者が事業を展開しているが、全体の9割以上が中堅・中小企業である。

流通形態別の企業数(2021)

出典:BÁO CÁO LOGISTICS VIỆT NAM 2021

ロジスティクス分野の物流量

ロジスティクス分野別の物流量に関しては、海上貨物輸送の物量が最も 高く、次いで陸上貨物輸送、内陸水路輸送、鉄道輸送、航空貨物輸送の順であった。海上貨物輸送分野は堅調な成長を維持しており、特に国際海上貨物輸送での輸出入貨物量の取扱いが非常に堅調に増加している。

鉄道運輸分野に関しては2015年~2017年にかけて不況が続いたが、 2018年に底打ちし、回復・成長を続けており、特に国際的なインター モーダル貨物の鉄道輸送量が大幅に増加している。

航空貨物分野に関し ては、ベトナムのロジスティクス分野全体に占める物流量はごく一部に過ぎないが、総輸総額の25%を占めている。全体の物流量に関しては、 2020年以降は新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、輸出入や物流が遮断された影響で大きく減少している。

ロジスティクス分野の物流量

出典:BÁO CÁO LOGISTICS VIỆT NAM 2019

ベトナムの海運事情〜統計データ〜

港での貨物取扱量の推移

ベトナム国内の港で取り扱われる貨物取扱量は増加傾向にある。具体的には、2019年の年間貨物取扱量は6億6,500万トン(2018年比:25.5%増)であった。ベトナム政府(運輸海事局:ベトナム海事局)は、2019年は他国との貿易の増加及び発展により貨物取扱量が増加したとコメントした。

また、2020年は新型コロナウイルスが世界的に拡大し、ベトナムの物流分野にも大きな影響が出たが、年間貨物取扱量は2019年比で4%増加した。また、2021年の年間貨物取扱量は7億630万トンを超え(2020年比較:2%増)、海外輸出貨物取扱量は1億850万トン以上、国内向け貨物取扱量は3億600万トン程度、輸入貨物取扱量は2億1400万トンに達した。

ベトナムの港での貨物取扱量の推移

出典:ベトナム海事局

コンテナ取扱量

ベトナム国内の港で取り扱われるコンテナ貨物取扱量は、ベトナム全体のコンテナ貨物取扱量の約30%を占めている。2017年から2019年にかけてベトナム国内の港でのコンテナ貨物取扱量は堅調に増加しており、前年同期比で約10%増加していた。

2020年のベトナム国内の港でのコンテナ貨物取扱量は、前年と比較して21.6%と急激に増加した。急増した理由は主に年末に需要が増加し、旧正月前のピークシーズンでの大幅な需要回復及びコロナ対策の社会的距離期間明けの爆発的な需要による影響が大きかった。

2021年のベトナム国内の港でのコンテナ貨物取扱量は約820万TEUに達し、前年と比較して5%増加した。取扱量の増加に関してベトナム政府幹部(副大臣)は、内陸部での沿岸輸送ネットワークの形成による影響が大きいとコメントしている。

ベトナムの港のコンテナ貨物取扱量の推移

出典:ベトナム海事局

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ベトナムの倉庫事情〜統計データ〜

倉庫業・輸送支援業の物価指数変動

ベトナム国内の倉庫業・輸送支援業の物価指数は増加し続けており、2016年から2021年では年率138.6%~147.1%程度増加を続けている。特に2020年から2021年にかけては、新型コロナウイルスの世界的な流行やロックダウン等によるサプライチェーン危機など非常に大きな影響を受けたが、コロナ前の2019年と比較して1.83%(2021年)増加している。

近年、ベトナム国内での製造業の発展や個人消費の増加により、ベトナムでは倉庫需要が増加しており、今後も増加が見込まれている。また、倉庫需要の増加に伴い、倉庫賃料は今後数年間は年率1.5%~4%で上昇すると予想される。

ベトナム国内での物流インフラ(河川港、海港、空港、国道、生産拠点と連動した施設、物流戦略的に重要な場所への大型倉庫や内陸港等)への十分な投資が行われていない等の理由で賃料の値上がりが起きており、今後も倉庫賃料が高い状態が続くと予想されている。

ベトナムの倉庫業・輸送支援業の物価指数変動(2016年‐2021年)

出典:GENERAL STATISTICS OFFICE

全国の地域別冷蔵倉庫数

2021年9月時点でベトナム国内には48カ所の冷蔵倉庫があり、全体で60万パレットの容量がある。具体的には、南部に合計526,364パレットの容量を持つ36つの冷蔵倉庫があり、中部に合計21,000パレットの容量を持つ1つの冷蔵倉庫がある。北部には合計54,780パレットの容量を持つ11つの冷蔵倉庫がある。ベトナム南部に冷蔵倉庫の集中している理由は、ベトナム南部は水産物の全国有数の出荷エリアであり、大量の冷蔵倉庫が集中しているからである。

ベトナムの水産物輸出量は世界第3位であり、冷蔵倉庫の需要は南部を中心に非常に高く、ベトナム国内の冷蔵倉庫使用率は約80%と高い状態が続いているが、冷凍倉庫の利用率は低い状況である。また、ベトナム国内の冷蔵倉庫に関しては、短期的には食品や医薬品、新型コロナウイルス用ワクチンの分野の需要が高い。

全国の地域別冷蔵庫数(2021年)

出典:BÁO CÁO LOGISTICS VIỆT NAM 2021

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