この記事では、統計データを用いてマレーシアの飲食・製造業(食品)業界の最新情報をお届けしていきます!
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マレーシアの外食・中食事情〜統計データ〜
マレーシアのハラール事情
2019年におけるマレーシアのハラール産業のGDPへの寄与は7.6%となり、金額は1,155億リンギットであった。同産業は、2016年から2019年の期間中に年5.5%の成長を示した。また、ハラール輸出額は2016年の394億リンギットから2019年には406億リンギットへと僅かな増加を記録した。
ただ、2020年の輸出額はCOVID-19の影響から306億リンギットへ減少し、GDPへの寄与も927億リンギットへ落ち込んだ。次に、2020年におけるハラールパークへの累積投資額は28億リンギットとなり、その内55%が海外直接投資であった。同年には2,225社が新たにハラール認証を取得し、約16万人の雇用創出が期待されている。
出典:Economic Planning Unit
フードデリバリーアプリの浸透
2021年、マレーシアにおいてはCOVID-19に伴う移動制限の影響から、フードデリバリー事業が大きく躍進した。マレーシア人の63%が過去3ヵ月間にフードデリバリーアプリから食品を注文したことがあり、その内の49%がサードパーティーのアプリを使用し、38%が業者の宅配アプリを使用していた。
マレーシア人が最も使用しているアプリはフードパンダで使用率は91%、次いでグラブが同78%であった。また、マレーシア人がフードデリバリーアプリで最も注文する料理はファーストフードで78%、以降はマレー料理(53%)、洋食(29%)、飲料(27%)が続いた。注文頻度は月に2~3回が42%で最も多く、週一回(26%)、週2~3回(22%)が続いた。
出典:Oppotus Group
マレーシアのカフェ・スイーツ事情〜統計データ〜
コーヒー生産量
マレーシアにおけるコーヒー生産量は2019/20年には190万袋(60キロ/袋)へと大きく減少したが、以降は200万袋を維持している。また、マレーシアでの生産は、ロブスタ種のコーヒーのみとなっている。マレーシアの同種コーヒー生産量はベトナム、ブラジル、インドネシア、ウガンダ、インドに次ぐ規模となっており、全体の2.1%を占めている。
また、インスタントコーヒーの輸出量は2022/23年に300万袋を記録し、前年比で3.4%増加した。この輸出量は、ブラジルに次いで2番目に多い数字となっており、全体の16.4%を占めている。
出典:USDA
チョコレート、ココア食品の貿易量
マレーシアにおけるチョコレート、ココアを含むその他の食品の輸出額は2019年に3億800万ドルを記録したものの、2020年は2億4,800万ドルへと減少した。2020年における主要輸出先は日本で、輸出額は3,200万ドル(全体の13%)となっており、中国(同3,000万ドル、12.1%)、韓国(同2,500万ドル、10.4%)が続いた。
輸入額については、2019年に1億6,200万ドルにまで拡大したものの、2020年には1億2,600万ドルへと減少した。2020年における主要輸入元はオーストラリアで、輸入額は1,920万ドル(全体の15.3%)となっており、シンガポール(同1億7,700万ドル、14%)、イタリア(1億2,800万ドル、10.2%)が続いた。
出典:TrendEconomy
マレーシアの加工食品事情〜統計データ〜
国内飼育家畜数
マレーシアの2020年の家畜数は鶏が2億8,506万羽で最多となり、前年から3.0%の増加となった。前年から最も増加したのは畜牛で、2020年は前年比で6.4%増となる69万9,400万頭であった。一方、水牛は前年比で36.8%減となる6万4,300万頭、豚は前年比1.0%減となる186万9,800頭となった。
一部家畜数の減少は、COVID-19の影響で事業者が営業していない又は営業制限していることに起因している。水産業に関しては、海産物の総水揚量は前年比で5.0%減少して、138万トンとなった。水揚量減少の原因は、外国人労働者の再入国制限が影響している為である。
出典:マレーシア統計局
加工食品輸出額推移
マレーシアはCOVID-19の影響から、2020年の加工食品輸出額は前年比で2.3%減となる212億8,300万リンギットへ落ち込んだものの、2021年は前年比15.6%増となる245億9,800万リンギットへ拡大し、全輸出の2.0%を占めた。
次に、2021年において家庭で消費する食品・飲料の輸入額は368億1,000万リンギットを記録し、前年から12.9%増加した。同年の輸入総額は9,872億4,400万リンギットで、家庭で消費する食品・飲料は3.7%を占めた。
また、2020年における産業用中間財としての食品・飲料の輸入額は前年比で31.3%増となる271億3,800万リンギットを記録し、全輸入の2.7%を占めた。
出典:マレーシア中央銀行
マレーシアの食品卸事情〜統計データ〜
マレーシアの食料自給率
マレーシア統計局の報告書によると、2021年における食肉自給率は鴨肉が13.6%で最も高く、鶏肉(99.9%)、豚肉(93.4%)が続いた。逆に、牛肉と羊肉は輸入に大きく依存している形となっている。2021年においては50品目の農産物のうち、26品目の農産物が100%を超える自給率を記録した。
果物において自給率100%超は14品目中10品目となり、最も高かったのがパパイヤで146.9%、以降はスイカ(139.5%)とジャックフルーツ(110.8%)が続いた。野菜に関しては、10品目中7品目が自給率100%超となり、トマトが118.9%であった。その他の作物では、サトウキビ(149.4%)とキャッサバ(100.2%)の自給率が高くなっている。
出典:マレーシア統計局
日本からマレーシアへの農林水産物輸出額
農林水産業によると、日本からマレーシアへの農産物輸出は年々増加傾向にあり、2021年は前年比で58.2%増となる143億3,800万円を記録し、輸出額で世界11位となった。また水産物について、同年は前年比で1.3%減となる28億9,700万円であった。輸出額でマレーシアが上位の品目は、動物性油脂が29億3,480万円で第2位となっている。
マレーシアから日本への農産物輸入について、2021年は前年比で21.9%増となる1,133億4,900万円を記録し、輸入額で世界15位となった。輸入額でマレーシアが首位の品目は、ココア・その調製品が143億9,147万円、乾燥胡椒が19億8,784万円、パーム油464億2,840万円などとなっている。
出典:農林水産省
マレーシアの飲料事情〜統計データ〜
マレーシアの水、炭酸水貿易額
マレーシアの水、炭酸水(砂糖や甘味料を加えたもの)(HSコード:2202)の輸出額は年々減少傾向にあり、2020年は前年比で16.7%減となる2億5,500万ドルであった。同年における水、炭酸水の輸出額はマレーシア輸出額全体の0.108%を占めている。
主要輸出先はシンガポールが1億1,700万ドル(全体の46%)、インドネシア(3,300万ドル、同13.2%)、タイ(1,920万ドル、同7.5%)であった。対して、近年輸入額は拡大傾向にあり、2020年は前年比で4.9%増となる8,600万ドルであった。主要輸入元はタイが4,100万ドル(全体の48%)、米国(1,720万ドル、同20%)、オーストラリア(467万ドル、5.4%)となっている。
出典:TrendEconomy
マレーシアの牛乳消費量
2020年におけるマレーシア国内の牛乳消費量は、一人当たり年間2.1リットルとなり、2010年の同0.7リットルから3倍に拡大し、年間成長率は11.61%であった。また、牛乳の自給率は2010年に99.60%であったが、2020年には62.40%にまで縮小し、2010年から2020年の年間成長率はマイナス4.57%となった。
マレーシア農業・食品産業省が策定した「2021年~2030年国家農業食品政策(NAP 2.0)」においては、2025年以降の牛乳自給率を100%とする目標が設定されている。同政策では、農産物部門の国家に対する経済的貢献度を高めることを目指しており、食料供給の強化などが示されている。
出典:Ministry of Agricuture and Food Industries
マレーシアの酒類事情〜統計データ〜
アルコール消費量
世界保健機構のデータによると、2019年におけるマレーシアの一人当たり(15歳以上)のアルコール消費量は0.64リットルとなり、前年の0.66リットルから0.02リットルの減少となった。2016年以降は、0.6リットル台を維持している状況にある。
同年の種類別消費量については、ビールが0.48リットルで全体の75.0%を占めており、ワイン0.04リットル(同6.3%)、スピリッツ0.11リットル(17.2%)、その他アルコール飲料0.01リットル(同1.6%)が続いた。マレーシアはマレー系と中国系、インド系で構成される多民族国家であり、当該アルコール消費は中国系とインド系によるものとなっている。
出典:世界保健機構
ウイスキー類貿易額
2020年におけるマレーシアのウイスキー類(HSコード:2208)の輸出額は1億9,300万ドルとなり、前年比で27.4%の減少となった。主要輸出先はシンガポールが1億2,300万ドル(全体の64%)、タイ(3,000万ドル、同15.7%)、中国(745万ドル、同3.86%)となっている。
2020年の輸入額は2億2,600万ドルで、前年比で24.4%の減少となった。主要輸入元は英国が6,400万ドル(全体の28%)、フランス(6,400万ドル、同28%)、シンガポール(3,700万ドル、同16.7%)となった。品目別では、ウイスキーが1億3,300万ドルで全体の59%を占め、ぶどう酒又はぶどう酒もろみの搾りかすから得た蒸留酒(6,500万ドル、同29%)が続いた。
出典:TrendEconomy
クアラルンプール在住4年目の日本人。大学卒業後、東京で飲料メーカーの営業を担当。その後、マレーシアのクアラルンプールへ移住し食品商社の営業及び購買のサポートを担当。