この記事では、統計データを用いてマレーシアの運輸・物流業界の最新情報をお届けしていきます!
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マレーシアの鉄道・バス事情〜統計データ〜
鉄道利用者数(KTMを除く)
2020年の新型コロナウィルスによる移動制限の影響から、鉄道利用者は前年比で50.0%減となる1億2,291万人に縮小し、2021年はさらに縮小して7,164万人となった。2021年において、最も利用者数が多かったのがクラナジャヤ線の2,512万人で、全体の35.1%を占めた。以降は、アンパン線の2,194万人(同30.6%)、MRT・SBKの1,957万人(同27.3%)が続いた。
2020年からの落ち込みが特に激しかったのがKLIAエクスプレスで86.3%減、そしてKLIAトランジットが66.9%減となり、首都圏とKLIA/KLIA2を結ぶ鉄道利用者が大きく減少している。また、マレーシア鉄道公社の鉄道利用客数も2020年に大きく減少し、2021年にはさらに縮小している。
出典:Ministry of Transport
道路交通局から許可を得たバス台数
マレーシア国内で道路交通局から許可を得たバス台数は、2019年には4万4,282台にまで拡大したものの、2020年以降は減少傾向を続けており、2021年は前年比で10.9%減となる3万7,816台となった。2021年の内訳をみると、最も台数が多いのが社員バスの1万2,761台で全体の33.7%を占め、スクールバスの1万2,625台(同33.4%)が続いた。
2021年は全カテゴリーでバス台数が前年より減少しており、特に周遊バスが27.3%減、チャーターバスが24.7%減と大きく減少した。さらに、ステージバスが16.7%減、エクスプレスバスが12.8%減と二桁の減少となっている。対して、社員バスは0.7%減と減少幅が小さかった。
出典:Ministry of Transport Malaysia
マレーシアの空運事情〜統計データ〜
空港利用者数
トランジットを除くマレーシアの空港利用者数は、2020年の新型コロナウイルスによる移動制限の影響で大きく減少し、2021年は1,102万人にまで落ち込んだ。この数字は、2019年と比較して約10分の1となっている。この内、国際線利用者は130万人、国内線利用者は972万であり、国内線利用が全体の88.2%を占めた。
また、2021年の空港別利用者数では、KLIAが全体の19.0%を占める209万人、KLIA2が同16.9%を占める186万人、コタキナバル国際空港が同10.0%の111万人であった。前年比では、KLIAは65.1%減、KLIA2は74.0%減、コタキナバル国際空港は51.7%減と深刻な状況となった。
出典:Ministry of Transport Malaysia
航空貨物取扱量
マレーシアの航空貨物は、2020年に新型コロナウイルスの影響から前年比で16.3%減となる78万9,091MT(メタリックトン:1MT=1000kg)へ減少したが、2021年は前年比で27.8%増となる100万8,074MTにまで拡大した。
また、2021年の空港別航空貨物取扱量は、KLIAが前年比で31.4%増となる60万2,456MTで全体の59.8%を占め、ペナン国際空港が同14.1%増なる14万672MT、スバン空港が同43.1%増となる8万3,355MTであった。KLIAの内訳をみると、国内貨物が8万7,670MT、国際貨物が51万4,786MTとなっており、国際貨物が85.4%を占めた。
出典:Ministry of Transport Malaysia
マレーシアの陸運事情〜統計データ〜
宅配業者数
2020年におけるマレーシアの宅配事業ライセンス数は106件で、前年から10件減少しており、年々減少傾向にある。ただ、雇用面では2020年には129,298人が宅配事業に従事しており、2017年の14,260人から約9倍の増加となっている。
物流インフラとしては、2020年における宅配会社の支店数は1,220支店となっており、ジョホール州とセランゴール州が各々154支店で国内最多であった。また、宅配エージェント数は4,161となっており、セランゴール州が全体の約29%を占める1,222支店で、同州に宅配事業が集中している。
出典:Postal and Courier Service
宅配車両数
2020年における宅配事業者の陸運関連車両数は89,224台となっており、前年の34,815台から約2.5倍の増加となっている。また、2018年以前に自動車は宅配会社が所有する車両のみであったが、2018年以降は宅配活動に使用される従業員の個人車両も含まれていることから、自動車台数が大きく伸びている。
内訳としては、最も多いのが自動車で全体の約42%、次いでバイクが約39%を占めた。以前はバイクでの宅配が主流であったが、近年は自動車での配送比率が大きく高まっている状況にある。
また、宅配便の取り扱いについては、2020年は国内向けが3億316件で前年比約2.5倍、国際便が1,966万件で前年比約2.1倍となっており、いずれも高い成長率を見せている。
出典:Postal and Courier Service
マレーシアの海運事情〜統計データ〜
寄港船舶数
マレーシアへ寄港した船舶数は、総登録トン数で2017年と2018年に落ち込んだものの、2019年は7億9,510万トンに達し、2020年も7億9,567万トンと高い水準を維持した。港別では、2020年においてはポートクランが全体の約62%を占める4億9,100万トンで首位に、 続くビントゥル港は約9%となる7,091万トンであった。
積載内容別では、外航向けフィーダーコンテナが全体の約27%となる13,610隻で最も多く、内航向け一般貨物が約11%で5,481隻、内航向けドライバルクが9%で4,445隻となった。また、外航向けフィーダーコンテナにおいては、ポートクランが9,311隻で国内の約68%を占有した。
出典:Ministyry of Transport
コンテナ取扱量
マレーシアのコンテナ取扱量は、2017年に前年比で約4%落ち込んだものの、以降は右肩上がりで増加を続け、2020年に26,677,778TEUを記録した。
2020年の内訳としては、輸出が4,595,180TEU、輸入4,473,007TEU、 トランシップ17,609,592TEUとなっている。コンテナ取扱量が最も多かったのがポートクランで、2020年の取扱量は全体の約50%を占める13,244,423TEUであった。
内訳としては、輸出が2,564,794TEU、輸入が2,556,427TEU、トランシップが8,123,202TEUであった。国内の大半を占めるポートクランだが、2020年は前年比でコンテナ取扱量が2.5%減少している。
出典:Ministyry of Transport
マレーシアの倉庫事情〜統計データ〜
倉庫建設に要する日数
マレーシアにおける倉庫建設に必要な日数(倉庫建設に必要な手続き完了までの日数)は、2010年には261日もの日数を必要としていた。しかし、2010年から2014年にかけて大幅な改善が見られ、その結果、2014年には2010年比で183日もの日数を短縮して78日に、さらに2019年には41日にまで短縮された。
2010年時点でマレーシアは世界平均の187日より74日も多くの日数を要していたが、2019年には世界平均の154日より113日も短くなっている。また、東南アジア主要国においては、2019年ではインドネシア(200日)、タイ(113日)、フィリピン(120日)より日数が短く、唯一シンガポール(36日)がマレーシアを上回っている。
出典:世界銀行
宅配事業者の物流ハブ数
電子商取引の活発化に伴い、マレーシア国内の宅配事業者のハブ数(ロジスティクスセンター、ロジスティクスゾーン、貨物ターミナル、ディストリビューションセンター、倉庫など)は急速な拡大を続けている。2017年時点で国内におけるハブ数は18ハブであったが、2020年には2017年比で約21倍となる380ハブへと大きく増加した。
また、2020年における州別のハブ数を比較すると、最も多いのがセランゴール州で137ハブとなっており、全体の36%を占めた。以降はジョホール州の44ハブ、ペナン州と連邦直轄領で各28ハブが続いている。また、セランゴール州は2019年から16ハブ増加しており、国内物流拠点が同州に集中している状況にある。
出典: Postal and Courier Service
クアラルンプール在住4年目の日本人。大学卒業後、東京で飲料メーカーの営業を担当。その後、マレーシアのクアラルンプールへ移住し食品商社の営業及び購買のサポートを担当。