この記事では、統計データを用いてマレーシアの教育業界の最新情報をお届けしていきます!
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マレーシアの学校事情〜統計データ〜
高等教育進学率
マレーシアにおける高等教育への進学率は2016年に46.8%にまで増加したものの、以降は減少傾向が続いており、2020年は2016年比で4.2ポイント減となる42.6%となった。男女別では、女性の進学率が高い傾向が続いており、2020年時点で男性の高等教育進学率が37.0%であるのに対して、女性は男性より11.4ポイント高い48.4%となっている。
高等教育と同様に、初等教育と中等教育への進学率も減少傾向にあり、初等教育は2016年の99.8%をピークとして2020年は98.4%へ、中等教育は2019年の75.2%をピークとして2020年は73.6%にまで落ち込んでいる。全体として、近年マレーシアの進学率は僅かながら減少の傾向にある。
出典:UNESCO
教育費支出合計
2019年におけるマレーシア連邦政府の教育費支出合計は557億5,210万リンギットとなり、前年の462億2,470万リンギットから20.6%の増加となった。また、連邦政府の総支出に対する教育費支出の割合は2019年に21.1%となり、2018年の同16.2%から大幅に増加した。
セクター別では、高等教育機関が140億6,500万リンギットで最も多く、中等教育の94億100万リンギットが続いた。次に、2020年における学生一人当たりの年間コストについては、就学前教育機関で4,426.9リンギット、初等教育機関で7,010.5リンギット、中等教育機関で9,401.0リンギット、高等教育機関で14,065.0リンギットであった。
出典:マレーシア統計局
マレーシアの幼児教育・学習塾事情〜統計データ〜
SPM受験者数推移
中等学校5年次のSPM(マレーシア教育証書=中等教育修了試験)受験者数は年々減少傾向が続いており、2020年には2017年比で約8%減となる38万8,436人であった。また、受験者の内、私立校の受験者数は4万1,299人で、全体の約10.6%を占めた。受験に合格した人数は全体の88.43%となる30万2,477人となり、前年の合格率から1.78ポイント増加した。
男女別では、女性の合格率が93.13%で、男性の83.36%より9.77ポイント高くなっている。また、全教科でA評価を取得した人数は7,588人で、全体の2.22%であった。A評価についても女性の方が高い傾向にあり、女性の2.71%に対して男性は1.69%であった。
出典:マレーシア教育省、マレーシア統計局
州別18歳未満の人口・割合
2021年時点において、国内18歳未満の人口は913万人となっており、前年から10万人の減少となった。男女比では、男性が471万人、女性442万人となっており、男性の方が29万人多くなっている。次に、2021年にマレーシア国内で最も18歳未満の人口が多かった州はセランゴール州の178万人であり、州内人口の27%を占めた。
以降は、サバ州の112万人(29%)、ジョホール州の106万人(28%)が続いている。また、18歳未満の人口割合が最も高いのはプトラジャヤの37%となっており、トレンガヌ州(36%)とケランタン州(35%)が続いた。対して、ペナン州は23%で18歳未満の割合が最も低くなっている。
出典:マレーシア統計局
マレーシアの保育事情〜統計データ〜
就学前教育機関数
マレーシア教育省によると、国内の教育省傘下の就学前教育機関は2018年の6,111校から2021年には91校増となる6,203校となった。また、2021年の在籍人数は200,143人であり、2018年から3,547人減少した。教員数に関しては、9,158人で同33人減であった。
対して、私立や宗教学校など教育省以外の就学前教育機関は2018年の18,991校から2021年には19,208校へ増加し、全就学前教育機関の約76%を占めた。2021年の在籍人数は568,531人であり、2018年の680,299人から111,768人減少している。全体として、就学前教育機関は増加しているが、就学前教育を受けている子供の人数は減少している。
出典:教育省
就学前教育就学率変動
近年のマレーシアの就学前教育において、2017年に85.9%が就学したのをピークとして下降傾向にあり、2020年は2017年比で3.0ポイント低下して82.9%となった。男女別でみると、女性の方が就学前教育機関で就学する割合が高くなっている。
女性については、2017年に86.9%が就学したが2020年には2017年比で3.1ポイント減となる83.8%となった。男性は、2017年の85.0%をピークとして、2020年には2017年比で2.9ポイント減となる82.1%にまで減少している。また、学校全体における不登校の割合も増加傾向にあり、2017年の10,381人から2020年には47,580人へと大きく拡大している。
出典:UNESCO
マレーシアの語学学校事情〜統計データ〜
マレーシアの英語力
EFエデュケーションによると、2021年におけるマレーシアのEF英語能力指数スコアは562ポイントとなり、前年の547ポイントから15ポイント改善された。このスコアはフィリピンより30ポイント低く、ベトナムより76ポイント高い結果となり、英語能力レベルが「高い」に分類された。また、マレーシアの順位は世界112ヵ国中で28位、アジア諸国24ヵ国中で3位となっている。
マレーシア教育省では、「ロードマップ2015-2025」を発表しており、マレーシアの英語教育改革を示している。ロードマップでは、教育の各段階における目標習熟度が設定されており、設定値はCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の専門家との協力で設けられている。
出典:EF EPIスコア
マレーシアの識字率
世界銀行の発表では、近年マレーシアにおける15歳以上の国民の識字率は95%前後の水準で推移している。男女別でみると、2019年時点での数字としては男性が96.2%、女性が93.6%となっており、男性の識字率が2.6ポイント高くなっている。
ただ、周辺諸国と比較するとマレーシアの識字率はシンガポール97.1%(2020年)、インドネシア96.0%(2020年)、フィリピン96.3%(2019年)より低い水準となっている。
また、15~24歳の識字率に関しては、2019年時点で96.7%となっており、15歳以上の同95.0%より1.7ポイント高くなっているものの、この年齢層での識字率は2010年の98.4%から徐々に下降傾向にある。
出典:世界銀行
マレーシアの資格・社会人教育事情〜統計データ〜
スキル別雇用割合
マレーシア統計局が実施した労働力調査によると、2020年におけるマレーシアの労働力人口は1,570万人と、前年の1,560万人から僅かに増加した。また、男性の労働力率(LFPR)は80.6%(生産年齢男性1,190万人のうち960万人)、女性のLFPRは55.3%(生産年齢女性1,100万人のうち610万人)であった。
スキルレベル別の雇用では、高スキル雇用(管理職、専門職、技術職)の割合は28.2%であった一方、セミスキルの割合は59.9%、低スキルの割合は11.9%となった。全体として、高スキル雇用の割合が2019年より僅かに増加している。また、高等教育を受けた労働力シェアは、2019年の29.6%から2020年には32.0%に増加している。
出典:TalentCorp
職業訓練受講者比率
人的資源開発基金(HRDF)の報告書によると、人的資源開発公社(HRDコープ)に登録した雇用主数は2020年の3万3,000から2021年には6万7,125に増加した。2021年、登録雇用主の中で訓練を受けた従業員の割合は、製造業とサービス業、採石・鉱業業で8~10%の範囲となり、2020年の12~14%より低下した。2021年にHRDコープに登録された357万8,691人の従業員の内、訓練を受けたのは32万4,483人のみだった。
州別では、ヌグリ・スンビラン州とペナン州、ラブアン、パハン州が11%と最も高かった。また、同公社より承認された訓練場所は、2020年の50万3,781ヵ所から2021年には55万3,009ヵ所へと10%増加した。
出典:HRDF
クアラルンプール在住4年目の日本人。大学卒業後、東京で飲料メーカーの営業を担当。その後、マレーシアのクアラルンプールへ移住し食品商社の営業及び購買のサポートを担当。