この記事では、統計データを用いてインドネシアの製造業(食品以外)業界の最新情報をお届けしていきます!
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インドネシアの化粧品事情〜統計データ〜
毎年新製品ラッシュの化粧品業界
BPOM(医薬食品監督庁)に流通許可を得ている化粧品の点数は2017年55,200点であったが、Covid-19パンデミック前の2019年には77,812点と2017年に比べ約40%増大した。しかし、2020年に発生したCovid-19の影響で、2020年はいったん70,161点へと約10%減少したが、2021年には2019年を上回る87,368点が登録されている。新製品の点数が多いということは、それだけ市場が活性化されることを示すので、化粧品業界はいち早く脱コロナの成長軌道へと切り替えが進んでいる業界だと言える。
出典:UN Comtrade
目まぐるしい流行の変化の中で成長する業界
2016年1.8億USDであった輸入金額が2019年には3.6億USDと2倍に増加しているが、Covid-19パンデミックの影響で2020年は2.6億USDと2019年比72%と大きく減少した。2016年のトップ3は日本(30百万USD)・米国(29百万USD)・フランス(26百万USD)であったが、2019年のトップ3は中国(63百万USD)・シンガポール(39百万USD)・韓国(38百万USD)とすべて入れ替わっている。
さらに、2020年はトップ3が韓国(46百万USD)・中国44百万USD)・米国(25百万USD)となっており、2016年にNo.1でった日本は2020年にはトップ5からも姿を消している。この結果から、化商品業界のトレンドの変化の速さと競争の激しさが分かる。
出典:UN Comtrade
インドネシアの美容事情〜統計データ〜
購買力の向上と市場成長
インドネシアにおける美容サロン業界は消費者の可処分所得の増大を背景に順調に成長を続けている。また、拡大を見せる中間層の購買意欲が引き続き旺盛であることや、労働者階層の間でSNSなどの情報拡散ツールが浸透したことにより、世界中で流通している最新トレンドが国境をまたいで伝播しやすくなったことからも、高い成長率が説明できる。
特に、オフィスなどの公共の場において容姿、身だしなみを気にする消費者が増加している。東南アジアの国々では、年間約1億USD程度のヘアケア商品を輸入しており、年々輸入量は増加傾向にある。インドネシアの輸入は減少しているが、輸出は2016年63百万USDから2019年87百万USDへと大幅に増加しており、特にインドネシア国内のヘアケアメーカーが力をつけてきている。
出典:UN Comtrade
成長が期待される理美容業界
美容サロン業界では今、大手化粧品メーカーによる製品の多様化、細分化により、男性向けサロンや男性向け美容サービス部門にまだ成長の余地があると言われている。一つの例として、男性も日常的にパーマをかけたり、髪を染めるようになり、パーマやヘアダイに使う調髪用機器には特殊なものが多いため輸入に頼っている。
2016年5.9百万USDであったものが、2020年には11.1百万USDと約2倍に増加している。一方、外国人観光客向けのサービス拡充も行われている。バリ島など観光地では、自然由来の成分のローションを使ったスパやエステなどに人気があり、このサービスを導入する店舗が増えている。国際通貨基金(IMF)によると、インドネシアは2030年までに世界第5位の経済大国へ成長を遂げるとみられ、必然的に身だしなみにかけるお金も増えることから、理美容業界の発展が期待されている。
出典:UN Comtrade
インドネシアの文房具・事務用品事情〜統計データ〜
文房具市場の概況
インドネシアの文房具市場は、ジャカルタをはじめとする主要都市部やオフィス街での事務用品の安定的な需要を取り込んでいる。また、高い出生率から、子供を持つ保護者をメインターゲットとする色鉛筆や絵の具の需要が増大し、人気ブランド、Faber-Castellの商品はほぼ全ての文房具店にその販路を拡大している。
近年、スマートフォンやタブレット端末などの電子機器の普及により、一時産業の停滞が懸念されたものの、製紙業界の生産高の推移を見ると、緩やかだがまだ右肩上がりの状況が続いており、ペーパーレス活動の具体的効果はまだ出てきていない。また、特に電子機器を設置できない学校やオフィス、農村部などでは文房具・事務用品の需要は底堅いとされる。同市場の主要プレーヤーは小規模文具店・事務用品店で、電子商取引(Eコマース)の利用はそれほど活発ではない。
出典:Food and Agriculture Organisation of the United Nations
オフィス用品市場の概況
オフィス用品部門では、堅調な国内経済とジャカルタにおける新オフィスエリアの誕生などプラス誘因を受け、今後も安定的に推移していくものと考えられる。特にバンドンを始め、自治体や民間企業を問わずペーパーレス化が進んでいるため、オフィス機器の販売が好調だと言われている。
また、インドネシアは国を挙げてスタートアップ企業の育成に熱心で、新たなオフィス需要を生み出している。一方、オフィス機器は複合プリンターを例に取ると、2020年グローバル輸出総額169億USDの内、インドネシアは9.7億USDと世界で第6位、輸出総額の5.8%を占めている。輸出により培った競争力で、国内市場にも安価な複合プリンターが供給されている。
出典:UN Comtrade
インドネシアの自動車事情〜統計データ〜
インドネシアの自動車市場規模
インドネシア自動車工業会(GAIKINDO)のデータによると、インドネシア国内市場での自動車販売台数(輸入車含む)は2017~2019年の年間平均台数が1,088千台であったが、2020年と2021年はCovid-19パンデミックの影響で、2020年が578千台、2021年は863千台であった。2021年は少し回復したものの、パンデミック前の2019年の1,043千台の83%に留まっている。
この5年時間の変化を見ると、2017年までトップ10は日系メーカーで独占していたが、2017年中国のWULINGが新規参入したことで、2018年初めて日系以外のメーカーがトップ10入りした。また、WULINGは2020年に他メーカーと同様に一旦販売を落としたが、2021年は2019年の販売を上回り過去最高を記録した。
出典:GAIKINDO
自動車産業を支える自動車部品産業
UNComtradeDatabaseによると、2020年の世界の自動車用部品輸出総額は、3,412億USD。トップ5は、ドイツ、米国、中国、日本、メキシコで、この5カ国の合計は全体の51%を占める。一方、ASEAN6カ国の輸出金額小計は、129億USD(構成比:3.8%)である。
アセアン諸国の中で2016~2020年の5年間の平均輸出金額が最も多いのはタイ、2番目がインドネシア、3番目がシンガポール、4番目がベトナム、5番目がフィリピン、そして最後がマレーシアである。ASEAN諸国の中で自動車の国内需要が最も多いのがインドネシアであることも加えて考えると、インドネシアはASEANの中ではタイに続いて自動車部品産業が盛んであると言える。
出典:UN Contrade Database
インドネシアのバイク事情〜統計データ〜
コロナで国内バイク市場低迷
インドネシアモーターサイクル産業協会(AISI)の生産統計によると、インドネシア国内向けに出荷したバイク台数はここ数年6百万台前後で推移していたが、2020年Covid-19パンデミックの影響で366万台(前年比:56%)と大幅に減少した。2021年は506万台と2020年よりは増加したが、Covid-19パンデミック前の2019年の台数までは回復していない。
2019年と2021年を四半期ごとに比較すると、Q1:77%、Q2:75%、Q3:77%、Q4:83%と総じて2019年を下回っている。コロナ前の2019年レベルに回復しさらに成長するためにはもう少し時間がかかるだろう。
出典:インドネシアモーターサイクル産業協会
バイクの輸出台数増加
UNContradeDatabaseによると、インドネシアのバイク(HSコード:8711)輸出金額は2019年:1,479百万USDで、2016年~2019年の4年間の平均年間伸び率は47%と非常に高かった。しかし、2020年にCovid-19パンデミックが発生し、輸出総額は1,356百万USD(前年比:92%)と減少した。
輸出先のトップ3は、No.1がフィリピンで599百万USD(前年比:88%、構成比:44%)、No,2はベトナムで316百万USD(前年比:92%、構成比:23%)、No.3はタイで120百万USD(前年比:87%、構成比:9%)、この3ヵ国で全体の76%を占める。以降、No.4は日本で42百万USD、No.5は韓国で24百万USDが続く。インドネシアがASEANのバイク供給拠点となりつつある。
出典:国連輸出入データベース
インドネシア在住のインドネシア人。観光ガイドと通訳者を務め、インドネシアの観光地を日本語で案内している。日本語学科の大学を卒業し、邦人対応観光ガイド・国際イベントでの日本代表団担当連絡係員・通訳者・日本領事事務所長の地元アシスタントを経験。