この記事では、統計データを用いて台湾の製造業(食品以外)業界の最新情報をお届けしていきます!
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台湾の化粧品事情〜統計データ〜
チャンスを多く生み出す台湾化粧品市場
台湾では性別関係無く美容に関心を持っている人が多い為、化粧品業界は繁栄し、多くのビジネスチャンスを生み出しており、年間生産額は1,000億台湾元を超えている。加えて、過去4年間の年間平均輸出額は6億USドルを超え、2020年の輸出額は7億3,000万USドルで、過去最高を記録した。
経済部の統計によると、台湾国内の化粧品ブランドと代理店は1,000以上あり、クリームやローション等のスキンケア製品、アイシャドウやマスカラ等の化粧品、シャワージェルや洗顔料等の洗浄化粧品の3つのカテゴリーに分類されており、その中で特に洗浄化粧品が近年急速に成長を見せている。
さらに、台湾の消費者が好む購入チャネルに関しては、1位は全体の25%を占めた百貨店、続いてドラッグストア、直販販売、オンラインショッピングという順番となった。
出典:経済部
化粧品市場にも環境意識の流れ
台湾では環境意識の高まりに伴い、消費者は化学合成成分を避ける傾向にあり、無添加の純粋な化粧品に興味が向いている。 “無添加”や“天然”など、安全規制に準拠した製造プロセスのアピールは、台湾化粧品市場競争に必要不可欠な条件と言える。
また、基礎化粧品には医療品要素が加わり、明確な有効性が期待できる医療化粧品への関心も高まりを見せている。2022年上半期の化粧品とドラッグの売上高を見ると、3月の売上高前期比が20.35%増、4月が10.77%増で、その他の月は前期比マイナスとなった。
加えて、2018年に成立された化粧品衛生安全法に伴い、2018年から2023年の猶予期間はあるものの、今後化粧品製造現場はGMP規制に準拠する必要があり、監査基準は厳しくなると予想される。
出典:経済部統計局
台湾の美容事情〜統計データ〜
自宅ヘアケア製品への関心と消費額
台湾での新型コロナウィルスの流行は増加と減少を繰り返しており、人々は徐々に生活習慣を変え、自宅で過ごす時間が増えているだけでなく、自宅でのヘアケアの需要も高まっている。
18歳から35歳の内86.4%が女性を対象とした調査によると、ヘアケア製品への毎月の支出意欲は依然として低く、消費者の半数以上である52.5%が1ヵ月のヘアケア製品への支出額は500台湾元未満で、支出額501から1,000台湾元の消費者は37.4%、1,001台湾元以上は僅か10.1%という結果であった。
購入先別で見ると、大半の消費者がドラッグストアチェーンでより頻繁に購入しており、比較的価格の高いヘアケア製品を扱うヘアサロンやSPAでの購入者は20.7%となった。
出典:Dcard
絶えず更新される台湾の美容医療技術と設備
台湾の美容医療技術と設備は絶えず更新されており、日常的なスキンケアに加えて医療美容を選択する人の数も少なくはない。更に、衛生福利部は国際的な観光医療の道を開くために、骨縮小術やフェイスリフト等の高度医療美容手術を行う病院や診療所の資格要件を設定している。
2020年時点で認定された医療機関は168件で、その中には60の病院と108の診療所があり、都市別で見ると、台中市が45件で1番多く、続いて台北市が27件、次に台南市が25件、高雄市が20件となっている。
調査によると、顔周りへのボトックス注射、シミ・ほくろ切除の件数が1番多く、2番目は脱毛・植毛、次に、豊胸手術、脂肪吸引、続いて、目頭切開や二重手術という順番になっている。
出典:衛生福利部
台湾のトイレタリー(日用品)事情〜統計データ〜
好調な伸びを見せるクリーニング関連用品
2020年以降、新型コロナウィルスの流行は、家計の消費パターン、仕事のパターン、そして生活活動を大きく変える強い影響を与えた。人々の買い物の目的やアイテム、チャネルが大型店から中小規模のチャネルにシフトするなど、様々な変化が見られた。日用品の売上高を見ると、クリーニング関連用品が好調な伸びを見せ、マウスウォッシュ、家庭用消毒剤、液体クリーナー等の家庭用クリーニング製品の年間売上高は31.9%増加した。
その他の日用品では、トイレットペーパーやキッチンペーパー等の紙製品の売上高が10.6%増加、 洗剤の売上高が5.9%増加し、家庭環境の洗浄と消毒に対する意識の高まりが如実に数字に表れた結果となった。
出典:経済部統計局
オンラインショッピングでの日用品購入率
台湾は、新型コロナウィルス流行の初期段階では大規模な感染拡大は回避したものの、防疫政策により多くの業界で電子商取引を選択する消費者の数が増えた。日用品業界も例に漏れず、2022年に毎週オンラインを利用して日用品を購入している消費者の割合は34.7%で、米国の23.1%を上回る割合となった。加えて、世界平均23.3%と比較しても上回る結果となった。
特に、オムツ・トイレットペーパー等の紙製品、洗濯洗剤・食器洗剤等のホームクリーニング用品を代表とする再購入率の高い日用品の重要な購入チャネルとなったと言える。2021年の調査によると、日用品の中で、台湾の消費者が最も多くオンラインで購入している商品は、トイレットペーパーで、続いてボディソープであった。
出典:Statista Digital Market Outlook
台湾の文房具・事務用品事情〜統計データ〜
続々と値上げを発表する台湾文房具市場
台湾の文房具市場では、原材料価格の上昇、為替レートの変動等の不利な要因により、文房具の製造及び輸入のコストが 上昇している。それを受けて、台湾を代表する地元の大手文具メーカー順徳工業は、ホッチキスやナイフ、ハサミ、修正テープ等の価格を2021年に10%から15%増加させた。 また、2022年の第二四半期には更に5%上昇するであろうと発表した。
その他の企業でも、続々と価格の上昇について言及している。2022年上半期の、文房具を含む文化・教育及び運動娯楽用品卸の売上高を見ると、2月と4月に前年同期比がマイナスを記録したが、他の月ではプラス成長となり、特に3月は売上高197億台湾元で、前年比31.32%と高い成長率であった。
出典:経済部統計局
台湾で安定的な人気を見せる日本の文具
4年に一度開催される、台中市政府教育局と台湾商工会議所が共同で監督し、台湾図書教育用品協会連合会と台中世界貿易センターが共催する国内最大規模の文具展「第17回台湾文具展」が、2022年1月台中世界貿易センター で開催された。
2022年の文具展は“文具におもちゃを組み合わせたデザイン“がトレンドになっており、 会場には国内外の約100社の出展者が集まり、創意と工夫に満ちた新世代文具約10,000点が展示された。
台湾の文具輸入国の割合を見ると、日本が全体の40%を占め1番高い割合となり、続いて米国、香港、ドイツと続いた。日本の文具は高品質且つ斬新なデザインで、台湾で安定的な人気を誇っている。
出典:財政部關稅暑
台湾の自動車事情〜統計データ〜
台湾で依然として人気を誇るTOYOTA
2022年上半期、台湾の自動車納品台数は合計20万3,151台で、前年同期比8.4%減となった。全体の納車数の内訳は、国産車11万5583台、輸入車8万7635台であった。輸入車は新型コロナウィルス流行の影響で、前年同期の15.3%しか達成する事が出来ず、大幅に落ち込みを見せた。
また、4月の上海閉鎖によるサプライチェーン閉塞等の複数の要因により、輸入車のみならず国内生産への影響も大きく、自動車業界全体へのプレッシャーとなっている。自動車メーカーのランキングでは、依然としてTOYOTAが台湾で最も売れているメーカーであり、2022年上半期に6万台以上の新車を販売した。2位はHONDAで販売台数1万3,372台、市場シェア6.6%となった。
出典:交通部公路総局
コロナ流行下で起こっている中古車ブーム
近年、台湾国内の中古車市場の年間販売台数は新車の約1.5倍から2倍の数字を見せており、2021年の中古車譲渡件数は新車の約1.6倍であった。新型コロナウィルス流行の間、世界的な半導体不足が引き起こり新車の引き渡しの継続的な遅れが発生している事に加えて、コロナ流行下での通勤習慣の変化を受けて、多くの消費者が中古車市場に目を向けている。
これまで中古車市場は年間平均2%のペースで成長していたが、2022年最初の8カ月間の合計譲渡数は45万8,000台で、年間成長率は約9%となり、2022年の台湾の中古車市場は歴史的な販売数を記録する可能性があると予測される。更に、半導体不足がまだ解消されていない事から、台湾の中古車ブームは少なくとも2023年の上半期まで続くであろうという声もある。
出典:交通部公路総局
台湾のバイク事情〜統計データ〜
20年以上振りの大きな順位変動
2022年上半期、台湾のバイク市場は20年以上振りに大きな順位変動が見られた。SYM三陽は多数の新車を発売し話題になり、5月6月と販売台数を伸ばした。また、2022年上半期の累計販売台数が100万台を突破し、長年台湾国内の覇者であったKYMCOを抜きトップとなった。
SYM三陽が業界シェア率30.7%を達成したのに対し、KYMCOは上半期の販売台数9万6,900台で、シェア率29.7%に留まった。KYMCOがトップの座を失った理由として、 新型コロナウィルス流行下での半導体不足により、注文の消化が円滑でなかった事も大きく影響したものと考えられる。
続いて、2022年上半期の累計販売台数の3位以降を見ると、3位がYAMAHAで6万5,759台、4位がGogoroで2万8,174台となり、上位2社と比べると明らかに差がある事がわかる。
出典:台灣二輪部品同業促進協會
台湾の”鬼月“が与えるバイク業界への影響
台湾では、旧暦の7月を”鬼月”と言い、その間は“結婚をしない”や“新店舗をオープンしない”等、様々なタブーや注意すべき事柄が多くある。その中の一つに“車・バイ クを買わない”があり、それに伴い鬼月の間はバイク市場の売上高が伸び悩む傾向にある。
2022年の鬼月は 7/29から8/26で、8月の電動バイクの総販売台数7,707台、9月は8,742台、10月は7,510台であった。例年であれば鬼月が明けた数ヶ月は販売台数を伸ばす傾向にあるが、2022年10月は9月比15%減となった。ブランド別で見ると、Gogoroが2位以下と大きく差をあけ、5,732台で電動バイク販売台数全体の76.32%を占めた。
出典:電動機車產業網(電動機車産業サイト)
台北在住の台湾人。日本の東北大学で修士号取得後、7年以上IT企業でマーケティングを担当。デジタルマーケティングと市場分析の専門家として、製品の市場導入とブランド戦略を得意とする。