【統計データで解説!】インドネシアの医療・介護業界の最新トレンド・業界事情

この記事では、統計データを用いてインドネシアの医療・介護業界の最新情報をお届けしていきます!

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目次

インドネシアの病院事情〜統計データ〜

医療支援政策の概要

国家社会保険システムに関する2004年第40号法律が制定され、2014年1月1日から国民健康保険(JKN :JaminanKesehatan Nasional)が稼働し始めて以来、2019年末の加入率が65.9%、2020年末の加入率が69.3%、2021年末の加入率が68.4%と推移している。

2021年の加入者のうち、男性の加入率は67.9%、女性の加入率は68.8%と女性の加入率が男性をわずかに上回っている。地域別には都心部での加入率が72.8%、町村部での加入率が62.5%と都心部での加入率が高い。

また、加入書のうちトップを占めるのは、JKN-PBI(貧困層に対する国民健康保険で保険料は全額政府が負担している。)が38.5%、次いでJKN-non PBI(保険料を支払って加入している国民健康保険)が22.0%を占めている。

インドネシアの健康保険加入率推移

出典:中央統計局

医療機関の売上伸長

インドネシア株式市場に上場している5つの病院の販売金額の合計は、2016年:11.0兆ルピア、2017年:11.9兆ルピア、2018年:13.5兆ルピア、2019年:15.6兆ルピア、2020年:17.0兆ルピア、2021年:22.8兆ルピアで、平均年率(CAGR)15.5%で伸びている。

2004年に国家社会保険システムの法律が制定され、JKN-PBI(貧困層に対し保険料はを全額政府が負担)により、それまで病院にかかることの難しかった貧困層も気軽に病院にかかることができるようになったことから、病院の売上高は右肩上がりに増加している。とりわけ、2016年から2018年のCAGRが10.5%に対し2019年から2021年のCAGRは20%と倍増しているので、今後も増加傾向にあると推測される。

上場5病院の売上推移

出典:5社アニュアルレポートレポートより作成

インドネシアの医療機器事情〜統計データ〜

二桁成長の医療機器輸入

国連輸出入統計のデータによると、インドネシアの医療機器の輸入は2011年から2020年の10年間で年平均伸び率(CAGR)12%で増加しており、2020年の実績は1,162百万ドルになっている。また、医療用機器関連の輸入品目のほとんどはインドネシアで製造できない電気医療機器(60%)や放射線医療機器(18%)が中心である。

輸出はこの10年間で年平均伸び率(CAGR)▲1%で減少傾向にある。2020年の実績は207百万ドルで、主な品目は、電気医療機器(83%)と機械療法装置(9%)である。一方、インドネシア政府は放射線・エレクトロメディカル・エレクトロセラピー機器製造産業に統合される医療機器主要部品製造産業を誘致するため、法人所得税一時減免(タックスホリデー)を行っている。

医療機器輸出入金額推移

出典:UN Comtrade

ゴム手袋の輸出が急増

国連輸出入統計のデータによると、インドネシアの医療用ゴム手袋の輸出入は2012年から2019年まで毎年輸入が輸出を上回っていた。また、輸入は毎年10百万USD前後で推移、輸出は徐々に伸びて2019年に初めて10百万USDを超えた程度であった。ところが2020年を境に傾向が大きく変わった。

Covid-19の世界的なパンデミックで各国の医療用手袋の需要が急激に伸びたことを背景にインドネシアからの医療用ゴム手袋の輸出が急増した。2021年の輸出金額は77.2百万USDで、2012年の1.4USDの55倍となっている。もともと原料のゴムの主要生産国であり、今後も世界の需要動向に応じて輸出が拡大されるものと思われる。

インドネシア医療用手袋輸出入実績

出典:UN Comtrade

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インドネシアの製薬・バイオテクノロジー事情〜統計データ〜

食品医薬品監督庁の認可点数

食品医薬監督庁(BPOM)のデータによると、認可点数は年々増加しており、2017年15,007点であった総認可点数が2021年には135,730点と9倍に増加している。医薬品に関しては、2017年の2,981点から2021年には3,374点と1.13倍に。伝統薬については2021年の617点から4,011点と6.5倍に増加している。

製薬会社の中には薬だけでなくサプリや化粧品を作るところもあり、食品を除いた認可点数は2017年の3,754点から2021年には94,122点と25倍に増加している。医薬品の製品開発には莫大な費用がかかるため医薬品の認可点数の増加率は高くはないが、国民健康保険の導入により低所得者でも医療サービスを受けることができるようになり薬の需要は今後も増えると予想される。

インドネシア食品医薬品監督庁認可点数推移

出典:BPOM

医薬品業界のGDP

BI(インドネシア銀行)が公表している名目GDPのデータによると、インドネシアの「化学・製薬・伝統医薬業界」のGDPは2017年から2021年の5年間に年平均成長率(CAGR)9.5%で成長している。インドネシア全体の名目GDPのCAGRが5.7%なので「化学・製薬・伝統医薬業界」の成長率がインドネシア全体の名目GDP成長率より高い。

「化学・製薬・伝統医薬業界」の2021年の名目GDPは、339兆ルピアでインドネシア全体のGDPの2%を占める。残念ながら公表されているGDPの数値は「化学業界」と「製薬・伝統威嚇業界」の合算の数値で各々の業界の数値は明らかにされていない。

インドネシア科学・制約・伝統医薬業界名目GDP

出典:BI

インドネシアの医療卸事情〜統計データ〜

変化する車椅子需要

インドネシアの車椅子輸入金額は2012年から2021年の年平均増加率(CAGR)が13%と二桁成長を続け、2021年には12.0百万USDまで拡大している。手動車椅子と電動車椅子の輸入金額について、手動車椅子は2017年以降ほぼ5百万USDを前後する形で伸び悩んでいる。

一方、電動車椅子は2017年以降車椅子全体の伸びをけん引する形で増加しており、2017年から2021年の年平均増加率(CAGR)は25%と極めて高い率を示している。車椅子の需要が、使いやすく機能性の高い製品に人気がシフトしていることを示している。そのため、今後もこの傾向は続くものと考えられる。

インドネシア・タイプ別車いす輸入

出典:UN-Comtrade

2045年には5人に1人が高齢者

インドネシア中央統計庁の発行している「Statistics of Aging Population 2021(2021年高齢者人口統計)」の中で示されているインドネシアの高齢化予測は、60歳以上の人口が総人口に占める割合で示されており、これまでの実績は、2010年が7.6%、2015年が9.0%、2020年が10.7%と緩やかに増加してきている。

今後の予測は、2025年が12.5%、2030年が14.6%、2035年が16.6%、2040年が18.3%、2045年が19.9%とほぼ5人に1人が高齢者の社会が到来するとしている。高齢者が増加することによる医療体制と介護体制の充実が今後の課題になってくる。従来インドネシアでは大家族制度の中で高齢者の介護も家族で行っていたが、近年は核家族へと社会構造が変化しており新たな課題になってきている。

インドネシアの高齢者比率推移予測

出典::国連データベース

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インドネシアの介護事情〜統計データ〜

高齢者の同居状況

インドネシア中央統計庁(BPS)の発行する「Statistics of Aging Population 2021(2021年高齢者人口統計)」のデータによると、インドネシアの高齢者は、一人暮らしが10.0%、夫婦二人暮らしが22.8%、家族と同居が29.7%、三世代同居が36.7%、その他が2.9%となっている。BPSの解説によると、インドネシアでは、文化的および宗教的要因により、子供は親の世話や高齢者のサポートをする必要があるため、両親に援助を提供できる最も近い人々は子供だけであることを考えると、子供は依然として経済と健康の両方の観点から高齢者が依存する場所と見なされている。家族のサポートがあれば、親は誰かがまだ注意を払っていると感じ、幸福感を持ちメンタルヘルスを改善するとのこと。

インドネシアの高齢者の同居状況

出典:BPS

高齢者扶養比率の推移

インドネシア中央統計庁(BPS)の発行する「Statistics of Aging Population 2021(2021年高齢者人口統計)」のデータによると、過去5年間で、高齢者の扶養比率は2017年の14.0%から2021年の16.8%に増加し続けている。この数字は、生産年齢(15〜59歳)の100人ごとに少なくとも17人の高齢者がいるということを意味する。

高齢者人口の増加は、介護を含むニーズの増加に正比例し、それが高齢者人口にかかる費用を賄うための資金調達のために生産年齢人口の経済的負担となる。このため、政府は生産年齢層への高齢者の依存による負担を軽減するため高齢者向けプログラムを実施している。可能な限り高齢者を健康で、自立し、活動的に保つことを目的としている。

インドネシアの高齢者扶養比率推移

出典:BPS

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