【統計データで解説!】台湾の運輸・物流業界の最新トレンド・業界事情

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この記事では、統計データを用いて台湾の運輸・物流業界の最新情報をお届けしていきます!

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目次

台湾の鉄道・バス事情〜統計データ〜

順調に進む2030年大型バス完全電動化計画

台湾のバス業界では、国家発展委員会が発表した「2050年実質ゼロ炭素排出計画」に準じて、電動大型バスの導入を進めている。当初2050年を目標としていた“完全電動化計画”であるが、ロシアとウクライナの戦争の影響で原油価格が大きく変動している事を受け、交通部は2030年の目標に大型バスの完全電動化計画を加えることを発表した。

また、短期的な目標としては、2025年までに都市部での電動バスの普及率を35%にする事であると述べた。2022年4月時点での普及率は10%で、1,300台以上の電動バスの代替が承認されている。電動バス導入成長率も、2021年が4.9%、2022年は2月迄で5.23%となり、導入スピードが加速している事が見て取れる。

電動大型電動バス導入量成長率(2022年2月)

出典:交通部公路総局

バス業界に大きな打撃を与えた防疫期間

新型コロナウィルス流行下で、国民の外出自粛、リモートワークやオンライン授業の増加などの様々な要因が重なり引き起こされた人流激減の影響により、バスの便数は大幅に削減され、台湾のバス業界にとって大きな打撃となった。

結果、2017年から2019年迄は24億人前後であった公共バス年間累計乗車人数も、2020年は21億900万人、更に2021年には15億8,000万人へと落ち込んだ。このような状況を受け、台北市政府は都市自動車旅客輸送業の運営救済措置として補助金を開始した。

期間は2022年5月1日から7月31日で、バス1台あたり月額8,000台湾元の補助金を提供した。また交通部は、2021年5月からの1年間、消毒液やマスク、手袋などの防疫用品の提供を行った。

公共バス累計乗車人数(2021)

出典:中華民国交通部

台湾の空運事情〜統計データ〜

社会情勢の影響を受け減少した航空貨物量

2022年、台湾桃園空港の航空貨物と郵便の総量は253万9,000トンで、2021年の281万2,000トンと比べ9.72%減少したが、2019年の218万2,000トンと比べると16.33%増加している。2022年の1年間の動きを見ると、航空貨物量は7月に年率13%減で減少傾向を見せ始め、その後毎月減少し、12月は21.59%減となった。2022年航空貨物量の減少は、主に世界市場における消費者需要の弱体化が影響したといえる。

電子機器製造輸出で知られる台湾は、輸出量が15.8%減少した事が1つの要因としてあげられる。加えて、中国の防疫政策による封鎖や中米間の継続的な技術戦争により、桃園空港の中国からの輸入量が14.9%減、輸出量が22.7%減とそれぞれ減少を見せた。

台湾桃園空港航空貨物量(2022)

出典:交通部

防疫政策緩和後10倍に増加した航空旅客数

台湾では、新型コロナウィルスに対する防疫政策の緩和後、航空旅客数が10倍に増加した事で、エバー航空、チャイナエアライン、スターラックス航空の航空会社3社の業績が急上昇した。2022年12月の3社の業績を見ると、エバー航空の総収入は146億7800万台湾元、そのうち旅客収入は81億4000万台湾元で年間13倍以上増加した。

次に、チャイナエアラインの総収入は141億7600万台湾元、そのうち旅客収入は61億3600万台湾元で年間10倍近く増加した。最後に、スターラックス航空の総収入は9億6500万台湾元、そのうち旅客収入は8億2100万台湾元で、年間16倍以上の増加を見せた。旅行需要の増加と旧正月に帰省する流入が相まって、旅客収入の大幅な増加へと繋がったと考えられる。

台湾航空会社3社の総収入(2022)

出典:公開資訊觀測站

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台湾の陸運事情〜統計データ〜

陸運貨物の取り扱い商品分類

重量別陸運貨物の取り扱い商品分類では、「砂、砂利、粘土、その他の鉱物製品」が18%と首位に立っているものの、「その他」に分類される商品も多く、様々な商品を取り扱っていることが読み取れる。オンラインショッピングの急成長に伴う業界の成長が著しく、物流各社は配送スピードの向上やクール配送の対応等、サービスの拡充を進めている。

ローカル大手の新竹物流では、1日あたり最大58万件の貨物を取り扱うため、デジタル化の第一歩として「貨物バーコード」を導入し、これまでドライバー40分かけていた荷物の確認を5秒に短縮し、フロントエンドのドライバーの負担を軽減した。また以前から蓄積していた大量のデータを利用し、より消費者に寄り添ったサービスを進めている。

陸運貨物の取扱商品分類

出典:中華民國交通部(中華民国交通省)

陸運貨物取り扱い量の推移

2020年の陸運貨物量は8.5億トン、昨年比0.6%減となったが、新型コロナウイルスの流行に伴い、オンラインショッピング需要が激増した影響で、BtoBをメインに行っていた物流会社でもBtoCの比率が高まる傾向にあり、物流各社は大型オンラインショッピングプラットフォームとの提携を進めている。

2020年以来、台湾の物流業界では、各企業が長年取り組んできた「品質革命」に成功している例が多い。オンラインショッピング業界の急成長に牽引され、顧客は高品質のサービスには高いプレミアムを支払うようになり、各物流企業の収益指標を見ても利益率が大きく改善していることが見て取れる。

陸運貨物取扱楼の推移

出典:中華民國交通部(中華民国交通省)

台湾の海運事情〜統計データ〜

コンテナ貨物の取扱商品分類

台湾海運における貨物量は2020年以降、新型コロナウイルス流行に伴う欧米の海運渋滞を受けて減少していたが、2021年には貨物量は6.7%増、コンテナ量は5.9%増で、過去最高の1545万TEUに達した。台湾政府と長栄海運は、世界的なコンテナ輸送と船舶の大型化に対応するため、高雄港第7コンテナセンターの建設に着手している。

運営スペースの飽和と水路の水深制限に悩まされていた高雄港は、このコンテナセンターの落成によりコンテナ処理の効率が大幅に向上し、総合的な競争力が高まることが見込まれている。尚、台湾におけるコンテナ貨物の取扱商品では、「プラスチック、ゴム製品」が最も多く、全体の約22%を占める。

コンテナ貨物の取扱商品分類

出典:台湾港務局

台湾の国際商業港別貨物取扱量

台湾の国際商業港は基隆港、台中港、高雄港、花蓮港、及び台北港(基隆港補助)、蘇澳港(基隆港補助)、安平港(高雄港補助)の7つから構成される。世界第6位のコンテナ港である高雄港の貨物取扱量が圧倒的に多く、台湾全体の約半数を占める。台北港はスマート自動車物流センターを目指し、今後5年間でスマート自動車産業パークを導入する予定であり、成長中の港となっている。

台中港は洋上風力発電やLNG開発の拠点と位置づけられるグリーンエネルギーの重要な開発拠点で、基隆港は元々あった軍港の外部移設、蘇澳港、花蓮港、安平港もウォーターフロント観光の推進や地元政府との連携を積極的に行う等、各港毎の特徴を活かした成長が今後も期待される。

国際港においての商業別貨物取り扱い量

出典:台湾港務局

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台湾の倉庫事情〜統計データ〜

直近5年の運輸、倉庫、及び通信業の登記業者数変化

倉庫業のみの統計はなく運輸及び通信業と合わせた数となるが、登記されている業者数を見ると直近5年間で9.5%増加している。新型コロナウイルス流行に伴う巣ごもり消費(中国語:宅経済)の拡大により、物流や倉庫の需要が高まっていると考えられる。このような背景を受け、物流・倉庫業者各社はテクノロジーを使ったより効率的な倉庫運営に投資を続けている。

例えばスーパー大手のPxmartは、2022年に200億元を投資し、台湾北部・中部・南部それぞれに物流パークを設置し、台湾最大の全自動多温度帯物流センター等を備えている。また、台湾三大モバイル通信業者の一社である遠伝は、大手自動化機器メーカーと共同で5Gスマート倉庫・物流ソリューションを提供している。

直近5年の運輸、倉庫、及び通信業の登記業者数変化

出典:経済部統計処

普通倉庫と冷蔵冷凍倉庫の売上比率

ここ数年の普通倉庫と冷蔵冷凍倉庫の売上比率は、それぞれ約6割弱と4割強で安定していたが、2021年以来、食品・飲料・タバコ製品、医薬品・医療用品・化粧品などの小売りの勢いが弱まっていることもあり、台湾における冷蔵冷凍倉庫・物流需要が減少し、2021年1-10月は普通倉庫が60.86%、冷蔵冷凍倉庫が39.14%と、普通倉庫の割合が高くなっている。

また、ハイテク産業やベースメタル・石油化学などの関連産業の好調な生産・販売実績が2021年の台湾輸出貿易の大幅な拡大を支え、新型コロナウイルスの流行に伴う医薬品・生物製剤の倉庫需要や電子商取引によるフルコンテナ出荷が普通倉庫需要を生み出したことで、普通倉庫の売上比率が上昇している。

普通倉庫と冷凍倉庫の売上比率(2020年)

出典:財団法人台湾経済研究院

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