フィリピンの化粧品市場は2021年に急速に回復し、特に高級品と皮膚化粧品の需要が増加しています。さらに、自然で持続可能な製品への関心が高まっています。オフィス需要の回復に伴い、文具市場も再び成長し、自動車販売は回復基調にあります。バイクの需要は燃料価格の上昇と配達アプリの普及で増加傾向にあります。
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フィリピンの化粧品事情〜統計データ〜
化粧品業界の概要
複雑な世界情勢の中で、化粧品市場は2021年に力強い回復を遂げ、2019年の水準に戻った。消費者の需要は全面的に増加し、高級品と皮膚化粧品のセグメントが特に増加。フィリピンでのメイクアップの売上高は、パンデミックによって人々の移動が制限され、社交行事が制限されたため、2020年は減少傾向にあった。2022年以降は回復すると予測されているが、国がパンデミック前の通常の状態に戻るには時間がかかることを考えると、その割合はせいぜい中程度であると予想される。
メイクアップは、スキンケア製品などの他のセクターと比較して、特殊な位置づけで、ロックダウン制限の緩和、消費者の個人経済状況の改善、ワクチン接種の普及により、メイクアップ製品の需要が高まると予想される。また、消費者需要の潜在的な成長力は、中所得層と高所得層の台頭、高齢者数の増加、都市人口の拡大によって後押しされる。
出典:William Reed Ltd , L’ORÉAL 2021
海外ブランドがメイン
フィリピンの化粧品業界は国際的なブランドが市場を支配している。アメリカのスキンケアブランドは35%の市場シェアを持ち、韓国と日本のスキンケア製品はそれぞれ市場の34%と20%を占めている。若年成人が健康的な外見を維持することに重点を置いているため、フィリピンのパーソナルケア製品の需要は増加し続けている。
全人口の約2%から5%がハイエンド製品を買う余裕がある。これらのハイエンドの消費者は、海外から商品を調達するサードパーティのプラットフォームを通じて商品購入する。またフィリピンは価格に非常に敏感な市場であり、すぐに入手できるスキンケア製品は、5ドルから10ドルの幅である。年配の消費者はブランドに精通しているため、アメリカのブランドを好む一方、ミレニアル世代とZ世代の人々は韓国と日本の製品を購入する傾向がある。
出典:International Trade Administration
フィリピンの美容事情〜統計データ〜
「クリーン」ビューティーのトレンド
フィリピンのスキンケアの1人あたりの支出(PCE)は、2016年の4ドルから2021年は4.6ドルにまで増加した。コンビニエンスストアは、2021年のフィリピンのスキンケア市場における主要な流通チャネルであり、ハイパーマーケットとスーパーマーケット、直販店、健康と美容の店、ドラッグストアがそれに続く流通チャネルとなった。2026年には6.1ドルまでに達すると予想される。
今後は、家計の可処分所得、およびオフィスへの復帰により、フィリピンではスキンケア製品の需要が高まるとみられる。パンデミックにより、自然で持続可能な化粧品やパーソナルケア製品に対する消費者の関心が高まったが、今後も自然で持続可能なスキンケア製品の発売に拍車がかかると予想される。
出典:PREMIUM BEAUTY MEDIA SAS
スキンケアがトレンド
フィリピンの美容およびパーソナルケアのオンラインマーケットプラットフォームの月間平均トラフィックは、Shopeeが第2位のLazadaの約1.3倍のトラフィックとなっており、健康食品の専門サイトのIherbの約1.5倍である。
これは、美容関連の専門のサイトのBeauty MNLの100倍以上のトラフィックであり、美容品の購入を総合オンラインプラットフォームで行う傾向が強いということがうかがえる。パンデミックでモールやショッピングセンターでのショッピングが出来なくなり、フィリピンの健康と美容の愛好家はオンラインショッピングを利用しだした。
このeコマースへの移行は、パンデミック後もトレンドとなっている。オンライン会議やウェビナーに慣れるにつれて、コンテンツクリエーターがvlogを撮ったりTiktokにアクセスしたりする機会が増え、メイクアップからスキンケア製品への関心が高まっている。有名人による夜間のスキンケアルーティーンに関するYouTube動画が数十万回再生され、透明で健康な肌がフィリピン人にとってのゴールであることを表している。
出典:ninjavan BLOG
フィリピンの文房具・事務用品事情〜統計データ〜
オフィス勤務による文房具・事務用品の需要の増加
2020年のオフィス、住宅、ホテル、小売店など、すべての不動産市場が急落したことが示されました。2019年のオフィス空室率は4%だったが、パンデミックにより、ロックダウンでの行動制限に伴う在宅勤務への移行は、オフィスでの勤務の体系を変えた。ハイブリッド型、オフィスでも在宅でも勤務できる体系になり、2020年度のオフィス空室率はさらに上昇して9%となった。
マルコス大統領化の下、より明確な規制、課税ガイドライン、および高いワクチン接種率とCOVID-19(コロナウイルス病2019)の急増の再発防止による移動制限の緩和により、オフィスの需要は高まると予想される。それに伴い、文具用品や事務専用用品の需要も増加すると思われる。
出典:Manila Bulletin The Nation’s Leading Newspaper
教育の再開
2020年から2021年にかけてCovid-19パンデミックは人々のライフスタイルを完全にニューノーマルにした。紙パルプ業界では、1年で10年分の市場変化を経験。オンライン教育とリモートワークにより、コピー用紙の必要性が減少し、印刷およびライティングセグメント内での需要が大幅に減少した。その結果、2020年の成長率は-15.4%と大きく減少した。
また、文房具についても、オンライン教育に伴い、教材はデータでのやり取りとなり、子供たちも学用品を購入する必要もなった為、需要は大幅に減少した。2020年は、行動制限の緩和に伴い、フィジカルでの教育も再開され始めたため、文房具についての需要は増加する見通しである。
出典:Philippine Statistics Authority
フィリピンの自動車事情〜統計データ〜
フィリピンの自動車市場規模
2021年の自動車販売台数は294,223台に達し、フィリピンの自動車産業はわずかに勢いを取り戻した。DTIがセーフガードの措置を課したため、自動車産業は困難なスタートであったが、販売台数は増加した。前年の248,171台と比較して46,052台多く販売し、世界の自動車産業に大混乱をもたらした世界的なパンデミックによって引き起こされた2020年から18.56%増加した。
また、地政学的リスクによる世界的な半導体不足であり、自動車業界に大きな影響を与え、生産の停止と配送の遅延を引き起こしましたが、需要は堅調だった。商用車(SUV、MPV、ピックアップ、クロスオーバー、トラック、バスを含む)は、197,044台を記録し市場66.97%のシェア、普通車の販売台数は97,179台で、残りの33.03%を占めた。
出典:AutoIndustriya.com
自動車メーカー別市場シェア
2021年トヨタは129,101台の販売台数で43.88%の市場シェアを獲得し、前年の99,545台から29.69%増加し、市場第1位だった。三菱自動車は、38,436台で13.06%の市場シェア2位であり、昨年の37,366台の販売台数と比較して、2.86%増加した。フォードは、2021年に前年の6位から全体で3位に急上昇し、合計20,004台で6.8%の市場シェアを獲得した。
アメリカの自動車メーカーの販売台数は、前年の14,775台と比較して35.39%増加。一方、日産は4位に転落し、前年21,751台より9.88%少ない19,603台で、2年連続減少傾向にある
出典::AutoIndustriya.com
フィリピンのバイク事情〜統計データ〜
フィリピンのバイク市場規模
2021年1月から10月ホンダは625,675台(31.8%)で市場の第1位で、ヤマハは400,472台(20.3%)で僅差で第2位。国産のRusiブランドは319,368台(16.2%)で第3位であり、より有名なブランドのKawasakiは150,649台(7.6%)およびSuzukiは146,649台(7.4%)を上回っている。5つのブランドを合わせると、最初の11か月で登録されたオートバイの総台数の83.4%を占めた。
地政学的なリスクにおける燃料価格の上昇により、二輪車の需要が増加する傾向にある。また、パンデミックでの行動制限による移動の制限と公共交通機関の不足により、移動手段としてのオートバイやその他の代替手段に対する新たな需要が生まれた。オートバイは手頃な資金調達で購入が可能で、簡単に所有できることも需要につながっている。
出典:MotoMag Philiphines
バイクドライバーの増加
2021年食品配達アプリによる収益は、6,900万ドルとなり、2021年は9,400万ドルになると予想される。これは、フィリピンでの可処分所得と都市化が拡大を続けると予測されているため、移動制限が緩和されたとしても食品と食料品の配達はさらに成長すると予想される。
配達アプリの収益の増加は、配達員の増加にも大きく関係がある。手軽な資金調達で購入できるバイクは、小額投資で始められる個人事業として人気である。また、食品配達アプリでの配達員は、副業や失業者に人気の職業であり、今後もアプリの収益増加と比例していくと思われる。
出典:INQUIRER
マニラ在住5年目の日本人。法政大学経済学部卒業後、2010年4月よりWeb業界を目指す社会人向けのスクールのインストラクターとして主にコーディングソフトや画像編集ソフトの授業を担当。2015年より海外での生活とキャリア形成を目的に、青年海外協力隊に参加。