【統計データで解説!】フィリピンの建設・インフラ・環境業界の最新トレンド・業界事情

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この記事では、統計データを用いてフィリピンの建設・インフラ・環境業界の最新情報をお届けしていきます!

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目次

フィリピンの建設事情〜統計データ〜

ビルド、ビルド、ビルド(BBB)プロジェクト

総GDPに占めるインフラ比は、2016年の3.9%から2019年には5.4%に増加した。しかし、2020年にはパンデミックの検疫制限等に対処するための国家予算の再編成により、4.8%に低下した。またパンデミックにより、インフラプロジェクトの実施が中止され、遅延が発生した。

フィリピン政府は2021年に合計1兆2,000億ペソをインフラに支出することを計画し、そのうち79.2%(8,075億ペソ)は1月から9月までに支出された。2022年のインフラ支出は、1兆1800億ペソ、つまりGDPの5.3%になると予測され、当初のビルド、ビルド、ビルド(BBB)プロジェクトでの目標である7.0%を下回っていた。

インフラ予算の対GDP比

出典:フィリピン上院

セクターインフラストラクチャープロジェクト

2017年に承認された建築許可から建設された建築物の総数は152,012棟に達した。この数字は、2016年に記録された147,998棟の建設から2.7%の増加を表す。また、2016年の同じ期間に報告された113,097棟の建設から、110,942戸(1.9%)の住宅建築が減少した。その間、21,349棟の非住宅の構造は前年の17,845棟の数から19.6%の増加を記録した。

これは農業用建物(23.2%)、商業用建物(22.9%)、工業用建物(20.6%)、その他の非住宅用建物(33.5%)の建設数が2桁増加したことに起因する。既存の建造物への増築は、2016年の同時期の4,504から5,086プロジェクトへと12.9%の増加となった。同様に、既存の建造物の改造と修理の合計数は、前年に記録された12,552件のプロジェクトから16.6%増加した。

インフラ設備セクター別内訳

出典:フィリピン上院

フィリピンの不動産デベロッパー事情〜統計データ〜

フィリピン不動産市場

主要なモールデベロッパーは、2023年のマニラ首都圏の小売賃料を2%と予測している。コロナ禍の2020年は-10%、2021年は-5%、2022年は1%と推移している。フィリピンの不動産市場は、全国のオフィス取引の改善に支えられており、マニラ首都圏の中古マンション市場における需要と供給の増加や、モールの消費者トラフィックの回復がそれに貢献している。

また、ホテルの稼働率と平均宿泊料金(ADR)の上昇も影響している。マクロ経済のファンダメンタルズなどから同市場の回復が見通されており、この楽観的な見方は2023年まで続くと思われる。オフィス開発者は、新しいオフィスタワーを建設し、より柔軟なワークスペースを提供しようとしている。

また、住宅開発業者は、マニラ首都圏の中古マンション市場が回復するにつれて、持続可能で環境に配慮した新しいプロジェクトを開始する必要がある。一方、モールの運営者は、消費者の信頼感と客足の回復に伴い、より多くの外国および地元の小売業者に備える必要がある。

マニラ首都圏の小売賃料

出典:Colliers_Manila_2023

不動産デペロッパーの近況

建設のプロジェクトを種類別に見ると、住宅が23,364件で建設件数全体の69.5%を占め、四半期中の建設件数が最も多かった。次いで、一戸建てが19,642件、アパートメントが2,030件だった。このタイプの建設は年率6.2%増加し、前年同期の年率-27.2%の減少とは対照的である。住宅建設全体の過半数(89.4%)は一戸建て住宅であった。

一方で、第2四半期の建設全体の15.8%を占めた非住宅建設は2位にランクされ、前年同期と比べて年率-13.5%で減少した。非住宅建築物の約67.4%が商業ビルであり、2020年に30%減少した後、前年比6.2%増加し、徐々に改善の兆しを見せている。

建築タイプ別建設件数

出典:フィリピン統計局

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フィリピンの不動産仲介事情〜統計データ〜

不動産需要の概況

2022年のフィリピンのオフィス需要は975,000㎡に達した。2020年は389,000㎡、2021年は540,000㎡であり、2022年は過去2年間の合計需要を上回っていることがわかる。2023年に予定されている職場復帰ポリシーによると、IT-BPMセクターだけで100%オフィス業務を再開するには、約793,000㎡のオフィススペースが必要になることが示されている。

現在の物流のインフレや金利の問題は、製品を配送する際の建設コストに影響を与えるため、より大きな影響が見られるのは開発者側である。よって、不動産セクターが打撃を受けることは少ないと考えられ、今後も成長する見込みである。

オフィス需要

出典:Philippine Statistics Authority

住宅用不動産価格指数

住宅用不動産価格指数(RREPI)Bangkok Sentral ng Filipinas(BSP)は、国の不動産状況を評価するために使用される指数である。このデータは全国のユニバーサルバンク、商業銀行、貯蓄銀行のレポートに基づいている。

2016年の第1四半期以降、BSPは住宅価格の変化に関するレポートを提出していて、そのデータによると2016年は前年比9.2%、2017年は前年比9.2%、2018年は前年比0.5%、2019年は前年比10.2%と、フィリピンの不動産価格の上昇率は2番目に高くなった。

2020年は前年から23.6%上昇したコンドミニアムユニットが増加率を牽引している。住宅用不動産価格指数は増加傾向にあり、フィリピンでは不動産の価値と価格が上昇していることがわかる。

住宅用不動産価格指数

出典:A Vista Land Company

フィリピンの水道事情〜統計データ〜

上下水道事業の概要

2019年の上下水道事業所調査では、集水・処理・供給が976事業所(86.8%)で最も多く、次いで物資回収が63事業所(5.6%)、廃棄物回収が34事業所(3.0%)となっている。一方、下水道は23事業所の中で最もシェアが低かった(2.0%)。

フィリピンのインフラ整備「ビルド、ビルド、ビルド」プログラムには4.1兆ペソに相当する92の主要プロジェクトがあるが、13のプロジェクトが新たに追加され、そのうちの5つは水セクターのプロジェクトとなっている。2019年8月26日、ロドリゴドゥテルテ大統領は行政命令(AO)32、つまり「水セキュリティに関するインフラストラクチャの主要プロジェクトの審査と承認プロセスの迅速化」に署名し、今後は全国の水プロジェクトが優先されると予想されている。

フィリピン上下水道事業者数

出典:フィリピン統計局

安全な水の供給

2020年、フィリピンの人口の47.46%が安全に管理された飲料水にアクセスできた。フィリピンの最初の目標は、2030年までに「安全で手頃な価格の飲料水への普遍的かつ公平なアクセス」を達成することである。WHOとユニセフは、安全に管理された飲料水サービスを「施設内にあり、必要なときに利用でき、汚染されていないもの」と定義した。

2030年までにすべての人をその対象とするために、安全に管理された飲料水サービスと衛生サービス、および基本的な衛生サービスの進歩率を現在の4倍にする必要がある。国家経済開発庁(NEDA)によると、フィリピンは水の供給と衛生の目標を達成するために、2020年から2023年にかけて約1兆ペソを費やすことを目指している。

完全な飲料水を利用できる人口

出典:Inquirer.ne

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フィリピンの電力・ガス事情〜統計データ〜

パンデミックの影響による電力消費量の減少

フィリピンでは、一般家庭を除く電力消費量が2019年以降減少している。これは、世界的なパンデミックの影響で、商業施設や職場の利用機会が減ったためである。現在、ルソン島のエネルギー消費の30%を供給しているマランパヤ天然ガス田が2024年までに枯渇すると予想されており、フィリピンは深刻なエネルギー危機に直面している。

現在のエネルギーの供給元は、石炭(30.2%)、天然ガス(6%)、再生可能エネルギー(35.5%)、および石油ベース(28.3%)で構成されている。電力部門は完全に民営化されており、大手電力会社のメラルコが80%の市場シェアを占めている。残りの20%は、少数の地域プレーヤーと島にサービスを提供する100以上の電気協同組合で構成されている。

電力消費量

出典:フィリピンエネルギー省

再生可能エネルギー

2020年、フィリピンのエネルギー需要は15,282MWに達した。これは、2019年のピーク需要よりも299MW、1.9%減少した。この需要の減少は、COVID-19パンデミックの影響に大きく起因すると考えられる。2020年3月15日から、フィリピンはさまざまなレベルのコミュニティ検疫を実施した。コミュニティ検疫の宣言は、多くの企業や商業施設に莫大な経済的損失を引き起こし、結果として商業および産業部門の業務が明らかに減速した。

さらに、フィリピン政府が国全体に課した旅行制限により、人々の移動が制限され、予想されていた電力需要の伸びがさらに妨げられることになった。ルソン島のエネルギー消費の30%を供給しているマランパヤガス田が2024年までに枯渇すると予想されていることを受け、フィリピンのエネルギー省はエネルギープランを発表し、積極的な再生可能エネルギーの導入を推進している。

ルソン、ビサヤ、ミンダナオの電力網のピーク需要

出典:エネルギー省

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