アメリカアパレル市場攻略ガイド:日本企業が知るべき最新動向と主要プレイヤー

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貴社のアメリカ進出を成功させるために、まずは現地の市場を深く理解することが不可欠です。本記事では、世界最大級のアパレル市場であるアメリカの最新動向を徹底解説。主要プレイヤーの分析を通じて、市場の構造、トレンド、そして日本企業が取るべき戦略を明らかにします。アメリカ進出を検討中の経営者・担当者必見の内容です。

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目次

アメリカの主要アパレル5選〜ローカル編〜

Levi Strauss & Co.(リーバイ・ストラウス)

リーバイ・ストラウス&カンパニー(Levi Strauss & Co.)は、アメリカを代表するデニムブランド「リーバイス」を展開するアパレル企業である。同社は1853年にリーバイ・ストラウスが創業し、1873年にはヤコブ・デイビスと共同で金属リベットを用いたワークパンツの特許を取得。この革新がジーンズの耐久性を高め、現在のリーバイスブランドの礎を築いた。

2024年11月期の決算報告によると、同社の年間売上高は63億5,530万ドル(約9,850億円)で、前年同期比2.9%増加した。特に第4四半期(2024年9~11月)は前年同期比12.0%増の18億3,970万ドル(約2,851億円)と好調であった。しかし、営業利益は前年同期比25.2%減の2億6,410万ドル(約409億円)、純利益は同15.6%減の2億1,060万ドル(約326億円)と減少している。これは、人員削減に関連した費用や資産の減損処理などが影響しているためである 。

地域別の売上高を見ると、南北アメリカが前年同期比3.7%増の32億60万ドル(約4,960億円)、欧州は同2.4%増の16億1,790万ドル(約2,507億円)、アジアは同2.1%増の10億8,240万ドル(約1,677億円)であった 。

同社は、利益率の低い事業から撤退し、本業に注力する戦略を進めている。2024年には、カジュアルライン「デニゼン(DENIZEN)」とフットウエア事業の終了を発表し、傘下ブランド「ドッカーズ(DOCKERS)」の売却先を探していることを明らかにした。一方で、「リーバイス」ブランドのさらなる開発に注力し、ウィメンズの強化に取り組んでいる 。

近年、リーバイスはサステナビリティへの取り組みを加速。温室効果ガス排出量の90%削減目標や、再生可能エネルギー100%利用への移行を掲げている。また、同社の「Water<Less™」技術により10億リットル以上の水資源を節約するなど、環境負荷低減においても業界をリードしている

出典:https://www.levistrauss.com/

Hanes(ヘインズ)

ヘインズ(Hanes)は1901年、アメリカのノースカロライナ州ウィンストンでプレザント・ヘンダーソン・ヘインズと弟のジョン・ウェスレイにより創業されたアパレルブランドである。創業当初から「快適さ(Comfort)」をコンセプトとして掲げ、1940年代に登場した赤ラベル(赤地に白字の「Hanes」ロゴ)はブランドの象徴として定着した。

同社はインナーウェア市場において特に強みを発揮しており、1947年に複数枚パックのアンダーウェアを導入するなど、常に消費者の快適性と利便性を重視した革新的な製品を提供してきた。代表的な「BEEFY-T」シリーズは、丈夫で肉厚な生地と快適性を兼ね備え、世界的なベストセラーとなっている。

1979年に食品・消費財大手のサラ・リーに買収されたが、2006年に独立し、現在は「ヘインズブランズ(Hanesbrands Inc.)」として事業展開をしている。2016年にはオーストラリアの「Bonds」や「Berlei」を買収し、世界市場でのシェア拡大を加速させた。

2025年現在、同社はグローバルなインナーウェア市場においてトップシェアを維持しており、特に北米市場では20%以上の市場シェアを占めるリーディングブランドである(Statista, 2024)。2024年度の年間売上高は約60億ドル(約9,300億円)を記録し、特にECチャネルでの売上が顕著に伸びている(Hanesbrands Inc., 2024年年次報告書)。

近年ではサステナビリティ戦略を強化しており、再生可能エネルギーの利用促進、リサイクル素材の活用拡大、水資源消費の削減などを推進している。また、2025年までに全製品でのサステナブル素材比率を50%にする目標を掲げている(Hanesbrands サステナビリティレポート, 2024)。

ヘインズはまた、デジタル戦略にも力を入れており、オンライン販売の強化やダイレクト・トゥ・コンシューマー(D2C)チャネルへの投資を拡大。近年のEC売上は前年比15%以上増加し、売上全体に占める割合も伸び続けている(Hanesbrands Annual Report, 2024)。

1世紀以上にわたり快適さと品質を追求し続けるヘインズは、消費者のライフスタイルの変化に適応しながら、今後もグローバルな市場での存在感を高め続けることが期待される。

出典︓https://www.hanes.com/

Fruit of the Loom(フルートオブザルーム)

​フルーツオブザルーム(Fruit of the Loom)は、1851年にベンジャミン・ナイトとその兄弟により創業された、アメリカの老舗アパレルメーカーである。​創業当初は綿織物の製造を手掛けていたが、後にアンダーウェアやTシャツなどのベーシックアパレルに注力し、アメリカ人の生活に欠かせないブランドとしての地位を確立した。​

創業当初は綿織物やキャラコなどの製造・販売を行っていましたが、後にアンダーウェアやTシャツなどのベーシックアパレルに注力するようになりました。特に、パックTシャツはアメリカの日常着として広く普及し、フルーツオブザルームはアメリカ人の生活に欠かせないブランドとしての地位を確立しました。

1985年には、ウィリアム・ファーリー率いるファーリー・インダストリーズに買収される。しかし、1990年代に入ると経営状況が悪化し、1999年には連邦倒産法第11条の適用を申請し、倒産する。その後、2002年に投資会社バークシャー・ハサウェイによって買収され、経営再建が図られる。このバークシャー・ハサウェイによる買収は、フルーツオブザルームにとって大きな転機となり、安定した経営基盤を取り戻すきっかけとなった。

現在のフルーツオブザルームは、世界中で事業を展開しており、従業員数はグループ全体で約30,000人を超えていry。日本市場においてもアンダーウェアやTシャツなどを中心に展開。取り扱いブランドは、フルーツオブザルームの他に、ラッセル・アスレチック、ジャージーズ(Jerzees)、スクリーンスターズ(Screen Stars)、ディスカス(Discuss)、バイク(Bike)など多岐にわたる。

2024年5月、伊藤忠商事はフルーツオブザルームの日本市場を含むアジアにおけるマスターライセンス権を取得し、日本市場での展開を開始した。 ​さらに、2025年1月には韓国のアパレル企業HILIGHT BRANDS、中国の靴下メーカーWALT TECHNOLOGY GROUPとライセンス契約を締結し、韓国および中国市場への進出を果たした。

2025年を通じて、フルーツオブザルームは北米のホールセール市場から撤退し、代わりにジャージーズ(Jerzees)ブランドに注力する計画だ。この戦略的変化により、ジャージーズは北米市場での「good, better, best」製品ラインナップを提供する一貫したブランドとしての地位を強化する。この決定は、フルーツオブザルームが北米市場での競争力を高めるための重要なステップだ。

フルーツオブザルームは、170年以上の歴史を持つ老舗ブランドとして、現在も世界中で愛される存在である。​今後も多様なコラボレーションや新たな市場への参入を通じて、ブランドの魅力をさらに広げていくことが期待される。

出典:https://www.fruit.com/

Skechers USA, Inc.(スケッチャーズ)

スケッチャーズUSA(Skechers USA, Inc.)は、1992年にロバート・グリーンバーグとその息子マイケル・グリーンバーグによってカリフォルニア州マンハッタンビーチで設立されたアメリカのシューズメーカー。ロバート・グリーンバーグは、かつて人気を博したスポーツシューズブランド「LAギア」の創業者としても知られている。LAギアがスポーツ選手向けのシューズに特化していたのに対し、スケッチャーズは当初、男性向けのカジュアルシューズ市場に焦点を当てていた。初期の製品ラインナップは、実用的なブーツやスケートシューズが中心だった。

特筆すべきは、スケッチャーズが創業から短期間で急成長を遂げ、アメリカ国内で3番目に大きなスポーツシューズブランドにまで発展したことだ。これは、ターゲット層を絞ったマーケティング戦略と、時代ごとのトレンドを捉えた製品開発が功を奏した結果と言えるだろう。

現在のスケッチャーズは、大人から子供まで幅広い年齢層を対象に、ライフスタイル、パフォーマンス、キッズといったカテゴリーで多様なシューズを展開する。レジャーやカジュアルシーン向けの靴はもちろん、ランニング、ウォーキング、ゴルフといったスポーツアクティビティに適した高機能シューズも開発している。さらに、シューズだけでなく、アパレルやアクセサリーなど、幅広い製品ラインナップを展開する多角的なブランドへと進化を遂げている。

スケッチャーズの代表的なブランドとしては、以下のようなものがある。

  • Skechers Uno: アイコニックなスタイルと快適な履き心地が特徴のスニーカーコレクション。
  • D’Lites: ボリューム感のあるソールが特徴の、90年代のトレンドを反映したレトロスタイルのスニーカー。
  • Max Cushioning: 極上のクッション性と快適性を追求した、長時間のウォーキングやランニングに適したシューズ。
  • Our Planet Matters: 環境に配慮した素材を使用した、サステナブルなコレクション。
  • Mark Nason: 洗練されたデザインと高品質な素材が特徴の、プレミアムライン。
  • Skechers Work: 作業現場での安全性と快適性を考慮した、ワーキングシューズ。
  • Go Walk: 快適なウォーキング体験を提供する、軽量でクッション性に優れたシューズ。
  • Go Run: ランニングパフォーマンスを向上させるための、高機能ランニングシューズ。
  • Go Golf: ゴルフプレーに特化した、グリップ力と安定性に優れたゴルフシューズ。

スケッチャーズは、広告戦略においても著名なスポーツ選手だけでなく、カントリー歌手やテレビタレントなどを起用し、幅広い層への訴求力を高めている。こうした広告戦略も、ブランドの認知度向上に大きく貢献している

2025年2月27日から3月2日にかけて、三重県津市の日硝ハイウエーアリーナにて、スケッチャーズが公式フットウェアサプライヤーを務める国際ピックルボール大会「SKECHERS PWR MASTERS 700 TOURNAMENT JAPAN」が開催された。​この大会には、俳優の石黒賢がスペシャルゲストとして登場し、元プロテニス選手の佐藤博康とペアを組んでエキシビションマッチを行った。

また、スケッチャーズは新製品の投入も積極的に行っている。​2025年2月20日には、超軽量でスニーカーのような履き心地のビジネスシューズ「パフォーマンスシューズ」を発売した。 ​

しかし、2025年2月に発表された第4四半期の決算では、調整後1株当たり利益が0.65ドルとアナリスト予想の0.74ドルを下回り、2025年通期の1株当たり利益予想も4.30~4.50ドルと市場予想を下回った。​これを受けて、株価が急落する場面も見られた。

2025年3月1日には、社長兼ディレクターのマイケル・グリーンバーグが同社の株式33,656株を約204万ドルで売却したことが報告されている。

スケッチャーズは、快適性、スタイル、革新性を追求し続け、多様な製品ラインナップと効果的なマーケティング戦略によって、世界中の人々に愛されるブランドとして成長を続けている。

出典:https://www.skechers.com/

Wrangler(ラングラー)

ラングラー(Wrangler)は、リーバイス(Levi’s)、リー(Lee)と並ぶアメリカの三大ジーンズブランドの一つである。その起源は1904年、ノースカロライナ州グリーンズボロで設立されたブルーベル社に遡る。同社は1943年に「ラングラー」の商標を持つワークウェア会社を買収し、1947年に正式にラングラーブランドとしてジーンズの展開を開始した。​

ラングラーは、カウボーイやロデオライダー向けに特化したジーンズを開発し、ジーンズにファッション性をもたらした先駆的なブランドである。​乗馬時の快適性を追求し、リベットの突起をなくして鞍を傷つけない工夫や、股上を深くして動きやすさを向上させるなど、機能的なディテールが特徴である。​また、「ブロークンデニム」と呼ばれるねじれにくい特殊な織り方のデニム生地を採用し、耐久性を高めている。その他、以下のような特徴的なディテールが挙げられる

  • 7本のベルトループ: 通常のジーンズよりも多いベルトループは、ベルトをしっかりと固定し、激しい動きにも対応。
  • フラットリベット: 前述の通り、鞍を傷つけないようにリベットの突起をなくす。
  • サイレントWステッチ: バックポケットのW字型のステッチは、ラングラーの象徴的なデザイン。
  • ウォッチポケット: 右フロントポケットの内側には、時計を収納するための小さなポケットが設けられている。

ラングラーは、アメリカの大手アパレル企業であるVFコーポレーション(VF Corporation)の傘下にある。​同社はノースフェイス(The North Face)やヴァンズ(Vans)など、多くの有名ブランドを所有する。​2025年1月29日に発表された第3四半期決算では、売上高が前年同期比2%増の28億3000万ドルとなり、アナリスト予想を上回った。​これは、同社の事業再構築計画が奏功し、ヴァンズやノースフェイス、ティンバーランド(Timberland)などの主要ブランドの需要回復が寄与した結果である。

​2025年1月29日に発表された第3四半期決算では、売上高が前年同期比2%増の28億3000万ドルとなり、アナリスト予想を上回った。​これは、同社の事業再構築計画が奏功し、ヴァンズやノースフェイス、ティンバーランド(Timberland)などの主要ブランドの需要回復が寄与した結果である。

ラングラーは、その歴史の中でカウボーイ文化と密接に結びつき、機能性とファッション性を兼ね備えたジーンズを提供し続けている。​現在でもデニム愛好家やファッションに敏感な人々から支持されており、その伝統と革新性は今後も受け継がれていくであろう。

出典:https://www.wrangler.com/

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アメリカの主要アパレル5選〜日系編〜

Fast Retailing(ファーストリテイリング)

ファーストリテイリングは、ユニクロ(UNIQLO)やジーユー(GU)などを傘下に持つ日本の持株会社であり、世界的なアパレル企業である。特にユニクロは、シンプルで高品質な製品を提供する戦略が功を奏し、グローバルな成功を収めている。​

ユニクロのアメリカ市場への進出は、2005年にニューヨークのソーホー地区に初の旗艦店をオープンしたことから始まった。​当初はブランド認知度の低さや差別化の難しさから苦戦を強いられたが、2012年に再挑戦し、現在では北米市場での成長を続けている。​2027年までに北米の店舗数を200店舗に増やす計画を立てており、その拡大戦略は注目されている。

ユニクロの競争優位性は、シンプルで高品質な製品、顧客志向の製品開発、革新的な店舗体験にある。​例えば、HEATTECHやAIRismといった機能性ウェアは大ヒット商品となり、HEATTECHは2022年までに累計15億枚以上販売されている。​また、顧客の声を重視し、製品開発に活かす姿勢も評価されている。

最新の情報によると、ファーストリテイリングは2024年8月期において、北米事業で売上収益2,177億円(前期比32.8%増)、営業利益348億円(同65.1%増)を達成している。​これは、戦略的な商品展開と積極的な情報発信が功を奏した結果である。

ユニクロのアメリカ市場での成功は、グローバル展開の一環として重要な意味を持つ。​今後も、シンプルで高品質な製品を提供し続けることで、世界中の消費者に愛されるブランドとして成長していくことが期待される。

出典:https://www.uniqlo.com/us/en/

RYOHIN KEIKAKU(リョウヒンケイカク)

良品計画(RYOHIN KEIKAKU)は、「無印良品」ブランドを展開する日本の小売企業である。衣料品、家具、雑貨、食品、住宅など、多岐にわたる商品を手掛けている。​同社は1979年に西友のプライベートブランドとして誕生し、1980年に「無印良品」として販売を開始した。​

海外展開は1991年のロンドン出店から始まり、2007年にはアメリカ市場に進出。​ニューヨークのソーホー地区に初の店舗をオープンし、その後、ニューヨーク市内やボストン、ポートランドなど主要都市に店舗を拡大した。​しかし、2020年7月、MUJI U.S.A. Limitedは連邦倒産法第11条の適用を申請。​これは新型コロナウイルス感染症の影響によるもので、その後、事業再編やオンライン販売の強化を図り、アメリカ市場での事業継続に努めている。​

2025年2月現在、良品計画は世界中で店舗を展開しており、最新のニュースリリースによれば、2025年3月1日には世界最大の店舗となる「無印良品 イオンモール橿原」をオープンした。 ​また、同年3月27日には「無印良品 酒田」をオープンする予定である。​これらの新店舗展開は、国内市場でのプレゼンス強化を示している。

同社はサステナビリティにも注力しており、地域社会との共生や環境負荷の低減に取り組んでいる。​例えば、2025年2月には地域共生型宿泊施設「MUJI room SAKAMOTOYA」をオープンすることを発表した。 ​また、竹材を使用した製品の回収対象拡大についてのお詫びとお知らせを発表するなど、品質管理にも力を入れている。

良品計画は今後も、無印良品ブランドを通じて、シンプルで機能的なデザインの商品を提供し、国内外での事業展開を推進していくと考えられる。​

出典:https://www.muji.us/

ISSEY MIYAKE U.S.A.(イッセイミヤケ)

イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)は、日本のファッションデザイナー三宅一生氏が1971年に設立したブランドである。​同社はレディス、メンズ服、アクセサリーの企画・製造・販売を手掛け、2024年3月時点で売上高は445億円、従業員数は811名に達している。

三宅一生氏は、1970年4月に三宅デザイン事務所を設立し、その後1971年11月には販売などを中心とした株式会社イッセイ ミヤケを設立しました。海外展開は1979年7月のパリを皮切りに、1996年にはロンドンに子会社を設立。アメリカではニューヨークに非上場企業として子会社を設立しています。

アメリカ市場においては、ニューヨークを中心に展開してきたが、近年は実店舗を縮小し、オンラインストアを強化する戦略に転換している。 ​また、百貨店やセレクトショップへの卸売も行い、広範な顧客層へのアプローチを図っている。

同社は、PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKEやHOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE、BAO BAO ISSEY MIYAKEなど、多彩なラインを展開し、各々が異なるターゲット層に支持されている。 ​さらに、2023年春夏コレクションでは、東レと共同開発した世界初の100%植物由来ポリエステルを使用したウェアを発表し、サステナビリティへの取り組みを強化している。 ​

三宅一生氏は2022年に逝去したが、その革新的なデザイン哲学は現在もブランドに受け継がれている。 ​同社は今後もオンラインとオフラインの融合を図りながら、アメリカ市場でのプレゼンスを維持・拡大していくことが期待される。

出典:https://us-store.isseymiyake.com/

Onitsuka Tiger(オニツカタイガー)

オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)は、1949年に鬼塚喜八郎氏によって創設された日本のスポーツシューズブランドである。​当初はバスケットボールシューズの製造から始まり、その後ランニングシューズなど多彩な製品を展開してきた。​

近年、オニツカタイガーは世界的に好調な業績を維持している。​2021年の売上高は385億円で前年比13.6%増加し、2022年には430億円とさらに11.6%の成長を遂げた。 ​特に、海外市場での売上比率は約85%に達しており、グローバルブランドとしての地位を確立している。​

アメリカ市場においても、オニツカタイガーは積極的な展開を行っている。​2021年にはニューヨークとロサンゼルスに旗艦店をオープンし、ブランドの存在感を強化した。 ​これらの店舗は、ラグジュアリーブランドが集まるエリアに位置しており、ブランドイメージの向上に寄与している。​さらに、オンラインストアを通じて全米の顧客に商品を提供し、デジタルチャネルの強化にも注力している。

オニツカタイガーの製品は、レトロなデザインと現代的な機能性を融合させた特徴を持つ。​例えば、1966年に発売された「MEXICO 66」は、細身のシルエットと独特のカラーリングで現在も高い人気を誇る。​また、最新の素材と技術を取り入れた製品開発により、快適な履き心地と耐久性を実現している。

今後も、オニツカタイガーは新たな市場への進出や製品ラインの拡充を通じて、さらなる成長を目指している。​特に、欧米市場での直営体制の強化や新製品の投入により、ブランドのプレゼンスを一層高める戦略を展開している。 ​

出典︓https://www.onitsukatiger.com/us/en-us/

Makerʻs Shirt KAMAKURA(メーカーズシャツカマクラ)

​メーカーズシャツ鎌倉(Kamakura Shirts)は、1993年に神奈川県鎌倉市で創業した日本のシャツメーカーである。​高品質なシャツを適正価格で提供することを理念とし、国内外で評価を得ている。​

2012年には、海外初の店舗としてニューヨークのマディソン・アベニューに出店し、「メイドインジャパン」の高品質なドレスシャツを79ドルで提供し、話題を呼んだ。​その後、ニューヨーク市内に複数の店舗を展開し、アメリカ市場での存在感を高めた。​

しかし、近年の消費行動の変化や経済状況の影響により、ニューヨークの実店舗は閉店した。​現在、鎌倉シャツはオンラインストアを通じてアメリカの顧客に商品を提供している。​公式ウェブサイトでは、最新のコレクションや限定商品を購入することが可能であり、アメリカ市場へのサービスを継続している。​

鎌倉シャツは、オンライン販売を強化しつつ、アメリカの顧客に高品質なシャツを提供し続けている。​今後も、オンラインストアを通じて、アメリカ市場でのプレゼンスを維持し、顧客満足度の向上に努めていくことが期待される。

出典:https://kamakurashirts.com/

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アメリカの主要アパレル5選〜外資系編〜

H&M(エイチアンドエム)

H&M
H&M(エイチ・アンド・エム)は、スウェーデン発祥の世界的なファストファッションブランドです。1947年にスウェーデン中部のヴェステロース市で、創業者アーリング・パーションによって婦人服店「Hennes(ヘネス、スウェーデン語で「彼女のもの」の意)」として創業されました。1968年に狩猟用品店「Mauritz Widforss(モーリッツ・ヴィドフォース)」を買収したことで紳士服の取り扱いを開始し、社名も「Hennes & Mauritz(ヘネス・アンド・モーリッツ)」に変更されました。この経緯から、日本でも「ヘネス・アンド・モーリッツ」と表記されることがあります。現在は、スウェーデンのストックホルムに本社を置いています。

H&Mのアメリカ進出は、グローバル展開の中でも重要なマイルストーンとなりました。2000年3月にニューヨークの5番街に初の店舗をオープンし、アメリカ市場への本格的な参入を果たしました。このニューヨーク旗艦店のオープンは、アメリカの消費者にH&Mのブランドイメージを印象付ける重要な戦略でした。その後、H&Mはアメリカ国内の主要都市、ショッピングモール、繁華街などに店舗網を急速に拡大しました。

2024年現在、H&Mはアメリカ国内に500店舗以上を展開しており、オンラインストア(https://www2.hm.com/en_us/index.html)も充実しています。実店舗とオンラインストアの両方を活用することで、アメリカ全土の顧客に商品を提供しています。また、H&Mグループ全体では、COS、& Other Stories、Weekday、Monkiなどの姉妹ブランドも展開しており、これらのブランドもアメリカ市場で展開されています。

出典:https://www2.hm.com/en_us/index.html

ZARA(ザラ)

​ZARA(ザラ)は、スペイン発祥のファストファッションブランドで、最新のトレンドを取り入れたデザインと迅速な商品展開で世界的な人気を博している。​同社は、企画から製造、販売までを自社で一貫して行うSPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)モデルを採用し、これによりコスト削減と迅速な商品展開を実現している。​

アメリカ市場への進出は、ZARAのグローバル戦略において重要な位置を占めている。​2024年9月には、秋冬コレクションの売上が前年同期比11%増加し、好調な業績を示している。 ​また、同年10月には、アメリカで中古衣料の販売・修理・寄付を行う「Pre-Owned」サービスを開始し、製品のライフサイクル延長と廃棄物削減に取り組んでいる。 ​

ZARAの親会社であるインディテックス社は、2024年1月期の連結売上高が359億4,700万ユーロ(約5兆6,796億円)となり、前年同期比10.4%増を記録した。​この増収は、主力業態であるZARAの好調な業績が牽引している。 ​さらに、同社は物流と技術への投資を強化し、競争の激しい市場での地位を維持している。

ZARAは、アメリカ国内の主要都市やショッピングモールに多数の店舗を展開しており、オンラインストアも充実させている。​これにより、全米の顧客に最新のファッションアイテムを提供している。 ​また、ライブショッピングの導入など、新たな購買体験の提供にも積極的に取り組んでいる。 ​

これらの戦略により、ZARAはアメリカ市場での存在感を強化し、消費者の多様なニーズに応え続けている。

出典︓https://www.zara.com/

Cartier(カルティエ)

カルティエ(Cartier)は、1847年にパリで創業した高級ジュエリーおよび時計のブランドである。​1909年にアメリカ市場へ進出し、ニューヨークの5番街に拠点を構えた。​このニューヨーク店は、1917年に歴史的な邸宅を取得し、以来カルティエの象徴的な店舗として知られている。 ​

2024年現在、カルティエはアメリカ国内に29店舗以上を展開しており、主要都市にブティックを構えている。​例えば、ニューヨークのソーホー地区には、2022年11月に新たなブティックがオープンした。 ​各店舗の詳細な所在地や営業時間は、カルティエの公式ウェブサイトで確認できる。 ​

また、カルティエはオンラインストアも充実させており、ジュエリーや時計、アクセサリーなど多彩な商品を提供している。 ​オンラインでの購入に加え、ギフトラッピングや配送サービスなど、顧客の利便性を高める取り組みも行っている。​

カルティエは、タンクやサントスといったアイコニックな時計コレクションや、ラブブレスレットなどのジュエリーで知られており、アメリカでも高い人気を誇っている。​その卓越したデザインとクラフツマンシップは、多くのセレブリティや愛好家から支持を集めている。

出典︓https://www.cartier.com/en-us/home

Hermès(エルメス)

エルメスのアメリカ進出は、同ブランドのグローバル展開において重要な出来事である。​アメリカは世界有数の消費市場であり、特に高級品市場は成熟しているため、エルメスにとっても重要な市場の一つである。​アメリカにおけるエルメスの展開は、主要都市の高級ショッピングエリアを中心に、ブティックの出店と、百貨店での販売を通じて行われてきた。​

2025年3月現在、エルメスはアメリカ国内に複数のブティックを展開している。​具体的な店舗数や所在地は、エルメスの公式ウェブサイトで確認できる。​オンラインストアも充実しており、アメリカ国内の顧客はオンラインでも商品を購入することが可能である。 ​

エルメスは2024年12月期決算において、売上高が前期比13.0%増の151億7000万ユーロ(約2兆4120億円)を記録した。​特に、アメリカ大陸での売上高は14.5%増の28億6500万ユーロ(約4555億円)と好調であった。 ​さらに、2024年第4四半期には、米州での売上高が22.3%増加し、エルメスの高額商品への需要が引き続き強いことを示している。 ​wwdjapan.com+1wwdjapan.com+1ロイター

エルメスの製品は、熟練した職人による手作業で丁寧に作られており、この「サヴォアフェール(職人技)」がブランド価値の中核をなしている。​バッグ、革小物、プレタポルテ、スカーフ、ネクタイ、香水、時計、ジュエリー、ホームコレクションなど、幅広い製品ラインを展開しており、いずれも高品質な素材と卓越した職人技によって作られている。​

アメリカ市場においても、エルメスはその高品質と希少性から高い評価を得ている。​特に、バーキンやケリーといったアイコン的なバッグは、世界中のセレブリティや富裕層に愛されており、その希少性と高品質から、中古市場でも非常に高い価値で取引されている。​

エルメスは、アメリカ市場での需要増加に対応するため、現地での生産を検討している。​これは、貿易戦争や関税の影響を回避し、アメリカ市場での競争力を維持するための戦略である。 ​jp.wsj.com

エルメスのアメリカ市場での成功は、同ブランドのグローバル戦略における重要な要素であり、今後もその動向が注目される。

出典:https://onl.bz/zUFrSvP

Adidas(アディダス)

アディダスのアメリカ進出は、同社のグローバル戦略において極めて重要な要素である。アメリカは世界最大のスポーツ用品市場の一つであり、2023年には北米のスポーツ市場規模が約838億ドルに達すると予測されている。アディダスは早い段階からこの市場への参入を試み、バスケットボール、アメリカンフットボール、野球といった人気スポーツとの結びつきを強化することで、ブランドの認知度を高めてきた。

2025年2月現在、アディダスはアメリカ国内に多数の店舗を展開しており、オンラインストア(https://www.adidas.com/us)も充実している。オンラインストアでは、最新のコレクションや限定アイテム、コラボレーション商品などを購入することができる。また、アプリも提供されており、より手軽にショッピングを楽しめるようになっている。

さらに、アディダスは地域密着型の取り組みも積極的に行っている。例えば、2025年3月にはヒューストンのスニーカー小売店「Active Athlete」と協力し、RodeoHoustonにインスパイアされた限定版の「H-Town Superstar」を発売した。デニム素材のアッパーやロープ状のシューレース、「H-TOWN」のロゴが特徴で、ヒューストンの多様な文化を反映している。

これらの戦略により、アディダスはアメリカ市場での存在感をさらに強化している。最新の市場動向や消費者ニーズに対応しつつ、地域との連携を深めることで、今後も成長が期待される。

出典:https://onl.bz/3kqSFEH

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