アメリカアパレル市場攻略ガイド:日本企業が知るべき最新動向と主要プレイヤー

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貴社のアメリカ進出を成功させるために、まずは現地の市場を深く理解することが不可欠です。本記事では、世界最大級のアパレル市場であるアメリカの最新動向を徹底解説。主要プレイヤーの分析を通じて、市場の構造、トレンド、そして日本企業が取るべき戦略を明らかにします。アメリカ進出を検討中の経営者・担当者必見の内容です。

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目次

アメリカの主要アパレル5選〜ローカル編〜

Levi Strauss & Co.(リーバイ・ストラウス)

リーバイ・ストラウス&カンパニー(Levi Strauss & Co.)は、アメリカを代表するアパレルメーカー、特にジーンズブランドとして世界中で広く認知されています。その歴史は1853年、リーバイ・ストラウスがカリフォルニア州サンフランシスコで雑貨店を開業したことに始まります。当初は労働者向けの丈夫なパンツを製造・販売しており、これが今日のジーンズの原型となりました。特筆すべきは、1873年にヤコブ・デイビスと共に特許を取得した、金属リベットで補強されたワークパンツです。この革新的な技術が、耐久性を飛躍的に向上させ、後のリーバイスジーンズの代名詞とも言える存在となりました。

創業以来、リーバイ・ストラウス&カンパニーは同族経営を続けており、現在も創業者の子孫が株式の大部分を保有しています。1999年までは一族による直接経営が行われていましたが、その後株式公開を経て、より多くの投資家が関わるようになりました。しかし、創業家が依然として大きな影響力を持っている点は特筆すべきでしょう。

リーバイスは、時代に合わせて素材やデザインの改良を重ねてきました。特に有名なのは、1890年に誕生した「501」です。これはジーンズの原点とも言えるモデルで、現在でも多くのファンに愛されています。現存する最古のデニム製ジーンズと言われるモデルは1880年代に生産されたもので、その歴史の深さを物語っています。また、1995年にはアパレル業界で初めて年間売上高50億米ドルを突破するなど、輝かしい業績も残しています。

近年、リーバイ・ストラウス&カンパニーは、サステナビリティへの取り組みを強化しています。環境負荷の低減を目指し、水の使用量削減やリサイクル素材の活用などを推進しています。また、労働者の権利保護にも積極的に取り組むなど、企業としての社会的責任を果たそうとしています。

生産に関しては、かつてはアメリカ国内にも生産工場を持っていましたが、現在はすべて海外への外注生産となっています。これは、グローバルなサプライチェーンを活用し、効率的な生産体制を構築するための方針転換と言えるでしょう。

2022年度の決算報告によると、リーバイ・ストラウス&カンパニーの年間売上高は61億7000万米ドルに達し、世界中に約3,100の店舗を展開、従業員数は約17,000人を超えています。これは、世界的なブランドとしての地位を確立し、成長を続けていることを示しています。ジーンズのリーディングカンパニーとして、伝統を守りながらも革新を続けるリーバイ・ストラウス&カンパニーは、今後もファッション業界に大きな影響を与え続けるでしょう。

出典︓https://www.levistrauss.com/

Hanes(ヘインズ)

ヘインズ(Hanes)は、1901年にプレザント・ヘンダーソン・ヘインズとその弟ジョン・ウェスレイによって、ノースカロライナ州ウィンストン・セーラムで設立されたアンダーウェアメーカーです。当初は「P.H.ヘインズ・ニッティング社」という社名で、男性用アンダーウェアの製造から事業をスタートさせました。兄弟はタバコ製造会社も経営していましたが、こちらは後にR.J.レイノルズ・タバコ・カンパニーに売却しています。この創業当初から「快適さ(Comfort)」をコンセプトに掲げ、複数枚をまとめて手頃な価格で提供するパックTシャツを1947年に開発するなど、画期的な製品を生み出し、アメリカのライフスタイルに深く根付くブランドへと成長を遂げました。

特筆すべきは、1924年に導入された「赤ラベル」です。これは、赤地に白文字で「Hanes」と記されたロゴで、ブランドの象徴として広く認知されるようになりました。この時期に、すべての製品を「Hanes」ブランドに統一し、ブランドイメージの確立に大きく貢献しました。また、1932年には、現代のブリーフの原型となるニット素材の男性用ブリーフを「スポーツ」という商品名で製造するなど、アンダーウェアの分野で革新的な製品を次々と開発しました。

1979年には、食品・消費財メーカーのサラ・リー・コーポレーションに買収され、同社傘下に入りました。その後、2006年にヘインズ、チャンピオン、プレイテックスなどの複数のブランドをまとめて、独立した企業「ヘインズブランズ(Hanesbrands Inc.)」として分離独立しました。これにより、各ブランドの特性を活かした経営戦略を展開することが可能になりました。さらに、2016年にはオーストラリアのアンダーウェアブランドであるBondsとBerleiを買収し、グローバル展開を加速させました。

当初はインナーウェア、特に下着や肌着、靴下などを中心に展開していましたが、現在ではTシャツをはじめとするカジュアルウェア、アクティブウェア、スポーツウェアなど、幅広い製品を手掛けています。特に「BEEFY-T」は、肉厚で丈夫な生地と快適な着心地で長年愛されている定番商品です。また、様々なイベントやキャンペーンのユニフォームとして採用されるなど、アメリカのライフスタイルと密接に関わってきました。

ヘインズブランズは、サステナビリティにも積極的に取り組んでおり、環境負荷の低減や労働者の権利保護など、企業としての社会的責任を果たそうとしています。具体的には、再生可能なエネルギーの使用、水の節約、廃棄物の削減、持続可能な素材の使用などを推進しています。

最新の情報によると、ヘインズブランズは世界中に多くの従業員を擁し、グローバルに事業を展開しています。2022年度の純売上高は約69億7000万ドルを記録しています。直営の小売店やアウトレット店舗だけでなく、オンラインストアも展開しており、世界中の顧客に製品を提供しています。

ヘインズは、1世紀以上にわたり、快適さと品質を追求し続けることで、世界中で愛されるブランドとしての地位を確立しています。アンダーウェアからカジュアルウェアまで、幅広い製品展開とサステナビリティへの取り組みを通して、今後も進化を続けていくことが期待されます。

出典︓https://www.hanes.com/

Fruit of the Loom(フルートオブザルーム)

フルーツオブザルーム(Fruit of the Loom)は、1851年にロードアイランド州の織物業者ベンジャミン・ナイトとその兄弟によって創業された、非常に長い歴史を持つアメリカのアンダーウェアおよびアパレルメーカーです。1856年に、創業者たちがマサチューセッツ州グラフトンにある紡績工場を購入し、その工場の製品に使用するブランド名を検討していた際に、彼らの娘が描いたリンゴの絵からインスピレーションを受け、現在のロゴの原型が誕生したと言われています。その後、1871年にアメリカで商標法が制定されると、翌1872年に418番目の商標として正式に登録されました。この早い時期の商標登録は、フルーツオブザルームがアメリカの歴史と共に歩んできた証と言えるでしょう。

創業当初は綿織物やキャラコなどの製造・販売を行っていましたが、後にアンダーウェアやTシャツなどのベーシックアパレルに注力するようになりました。特に、パックTシャツはアメリカの日常着として広く普及し、フルーツオブザルームはアメリカ人の生活に欠かせないブランドとしての地位を確立しました。

1985年には、ウィリアム・ファーリー率いるファーリー・インダストリーズに買収されました。しかし、1990年代に入ると経営状況が悪化し、1999年には連邦倒産法第11条の適用を申請し、倒産に至りました。その後、2002年に投資会社バークシャー・ハサウェイによって買収され、経営再建が図られました。このバークシャー・ハサウェイによる買収は、フルーツオブザルームにとって大きな転機となり、安定した経営基盤を取り戻すきっかけとなりました。

さらに、2006年には、同じくアパレルメーカーであるラッセル・アスレチック(Russell Athletic)がバークシャー・ハサウェイ傘下に入り、フルーツオブザルームのグループに加わりました。この時、スポーツ用品メーカーのスポルディング(Spalding)も同時に買収されています。ラッセル・アスレチックは、1902年創業のアメリカンスポーツウェアの代表的なブランドであり、特にスウェットシャツの分野で高い評価を得ています。この買収により、フルーツオブザルームはアンダーウェアだけでなく、スポーツウェア分野にも事業を拡大することとなりました。

その後、2014年にはアメリカ国内の生産工場の一部を閉鎖し、コスト削減のため生産拠点をホンジュラスなど海外に移転しました。これは、グローバル競争の激化に対応するための戦略的な判断と言えます。

現在のフルーツオブザルームは、世界中で事業を展開しており、従業員数はグループ全体で32,400人を超えています。日本支社は1997年に設立され、日本市場においてもアンダーウェアやTシャツなどを中心に展開しています。取り扱いブランドは、フルーツオブザルームの他に、ラッセル・アスレチック、ジャージーズ(Jerzees)、スクリーンスターズ(Screen Stars)、ディスカス(Discuss)、バイク(Bike)など多岐に渡ります。これらのブランドは、それぞれ異なるターゲット層に向けて、多様な製品を提供しています。

フルーツオブザルームは、170年以上の歴史を持つ老舗ブランドとして、その歴史の中で様々な変遷を経験してきました。現在は、バークシャー・ハサウェイの傘下で安定した経営を続けながら、アンダーウェアやアパレルだけでなく、スポーツウェア分野においても存在感を示しています。

出典︓https://www.fruit.com/

Skechers USA, Inc.(スケッチャーズ)

スケッチャーズUSA(Skechers USA, Inc.)は、1992年にロバート・グリーンバーグとその息子マイケル・グリーンバーグによってカリフォルニア州マンハッタンビーチで設立されたアメリカのシューズメーカーです。ロバート・グリーンバーグは、かつて人気を博したスポーツシューズブランド「LAギア」の創業者としても知られています。LAギアがスポーツ選手向けのシューズに特化していたのに対し、スケッチャーズは当初、男性向けのカジュアルシューズ市場に焦点を当てていました。初期の製品ラインナップは、実用的なブーツやスケートシューズが中心でした。

特筆すべきは、スケッチャーズが創業から短期間で急成長を遂げ、アメリカ国内で3番目に大きなスポーツシューズブランドにまで発展したことです。これは、ターゲット層を絞ったマーケティング戦略と、時代ごとのトレンドを捉えた製品開発が功を奏した結果と言えるでしょう。

現在のスケッチャーズは、大人から子供まで幅広い年齢層を対象に、ライフスタイル、パフォーマンス、キッズといったカテゴリーで多様なシューズを展開しています。レジャーやカジュアルシーン向けの靴はもちろん、ランニング、ウォーキング、ゴルフといったスポーツアクティビティに適した高機能シューズも開発しています。さらに、シューズだけでなく、アパレルやアクセサリーなど、幅広い製品ラインナップを展開する多角的なブランドへと進化を遂げています。

スケッチャーズの代表的なブランドとしては、以下のようなものがあります。

  • Skechers Uno: アイコニックなスタイルと快適な履き心地が特徴のスニーカーコレクション。
  • D’Lites: ボリューム感のあるソールが特徴の、90年代のトレンドを反映したレトロスタイルのスニーカー。
  • Max Cushioning: 極上のクッション性と快適性を追求した、長時間のウォーキングやランニングに適したシューズ。
  • Our Planet Matters: 環境に配慮した素材を使用した、サステナブルなコレクション。
  • Mark Nason: 洗練されたデザインと高品質な素材が特徴の、プレミアムライン。
  • Skechers Work: 作業現場での安全性と快適性を考慮した、ワーキングシューズ。
  • Go Walk: 快適なウォーキング体験を提供する、軽量でクッション性に優れたシューズ。
  • Go Run: ランニングパフォーマンスを向上させるための、高機能ランニングシューズ。
  • Go Golf: ゴルフプレーに特化した、グリップ力と安定性に優れたゴルフシューズ。

スケッチャーズは、広告戦略においても著名なスポーツ選手だけでなく、カントリー歌手やテレビタレントなどを起用することで、幅広い層への訴求力を高めています。こうした広告戦略も、ブランドの認知度向上に大きく貢献しています。

最新の情報によると、スケッチャーズは世界中に4,900以上の店舗を展開しており、2022年度の売上高は74億米ドルを超えています。従業員数は約12,000人に達しています。これは、スケッチャーズがグローバルブランドとして確固たる地位を築き、成長を続けていることを示しています。

スケッチャーズは、創業以来、快適性、スタイル、革新性を追求し続けてきました。多様な製品ラインナップと効果的なマーケティング戦略によって、今後も世界中の人々に愛されるブランドとして成長していくことが期待されます。

出典︓https://www.skechers.com/

Wrangler(ラングラー)

ラングラー(Wrangler)は、リーバイス(Levi’s)、リー(Lee)と並び、アメリカを代表する3大ジーンズブランドの一つとして世界中で広く知られています。そのルーツは、1904年にノースカロライナ州グリーンズボロで設立されたブルーベル社に遡ります。ブルーベル社は当初、ワークウェア(作業着)の製造を手掛けていましたが、1943年にラングラーの商標を持つワークウェア会社を買収し、1947年に正式に「ラングラー」ブランドとしてジーンズの展開を開始しました。

特筆すべきは、ラングラーが単なる作業着であったジーンズにファッション性をもたらした先駆的なブランドの一つであるということです。当時のジーンズは鉱山労働者やカウボーイなどの労働者向けの作業着として認識されていましたが、ラングラーはカウボーイやロデオライダー向けに特化したジーンズを開発し、その機能性とデザイン性で注目を集めました。

ラングラーのジーンズは、乗馬をする際の快適性を追求した機能的なディテールが特徴です。例えば、リーバイスが先駆けて採用していたリベットを改良し、馬の鞍を傷つけないように突起をなくしたり、乗馬時の動きやすさを考慮して股上を深くしたりするなどの工夫が凝らされています。また、「ブロークンデニム」と呼ばれる、通常よりもねじれにくい特殊な織り方のデニム生地を採用することで、耐久性を高めている点も特徴の一つです。その他、以下のような特徴的なディテールが挙げられます。

  • 7本のベルトループ: 通常のジーンズよりも多いベルトループは、ベルトをしっかりと固定し、激しい動きにも対応します。
  • フラットリベット: 前述の通り、鞍を傷つけないようにリベットの突起をなくしています。
  • サイレントWステッチ: バックポケットのW字型のステッチは、ラングラーの象徴的なデザインです。
  • ウォッチポケット: 右フロントポケットの内側には、時計を収納するための小さなポケットが設けられています。

現在、ラングラーはアメリカの大手老舗アパレル企業であるVF Corporation(VFコーポレーション)の傘下にあります。VFコーポレーションは、ラングラーの他に、リー(Lee)、ノースフェイス(The North Face)、ヴァンズ(Vans)、ティンバーランド(Timberland)など、数多くの有名ブランドを所有する巨大企業です。

VFコーポレーションの本社はコロラド州デンバーにあり、全世界で5万人以上の従業員を擁しています。2023年度の収益は116億米ドルと報告されており、世界を代表するグローバルアパレルおよびフットウェア企業の一つとしての地位を確立しています。

ラングラーは、その歴史の中で、カウボーイ文化と密接に結びつきながら、機能性とファッション性を兼ね備えたジーンズを提供し続けてきました。現在でも、デニム愛好家やファッションに敏感な人々から支持されており、その伝統と革新性は今後も受け継がれていくことでしょう

出典︓https://www.wrangler.com/

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アメリカの主要アパレル5選〜日系編〜

Fast Retailing(ファーストリテイリング)

ファーストリテイリングは、ユニクロ(UNIQLO)やジーユー(GU)などを傘下に持つ日本の持株会社であり、グローバルアパレル企業として世界的に事業を展開しています。特に、ユニクロは海外展開において目覚ましい成功を収めており、日本発のアパレルブランドとして世界で最も認知されていると言っても過言ではありません。

ユニクロのアメリカ展開は、グローバル戦略の中でも重要な位置を占めています。2005年にニューヨークのソーホー地区に初の旗艦店をオープンし、アメリカ市場への本格的な進出を果たしました。これは、ユニクロがグローバルブランドとしての地位を確立するための重要なステップであり、ニューヨークという世界的なファッションの中心地で成功を収めることは、世界市場におけるブランドイメージの向上に大きく貢献すると考えられました。

当初、アメリカ市場では苦戦を強いられましたが、その後、着実に店舗網を拡大し、オンラインストアの強化、コラボレーション戦略の成功などにより、徐々に認知度と人気を高めていきました。特に、デザイナーやアーティストとのコラボレーションは大きな話題を呼び、アメリカのファッションシーンにおいても注目を集めるきっかけとなりました。

アメリカにおけるユニクロの特徴的な展開として、以下が挙げられます。

  • 旗艦店戦略: ニューヨークのソーホー店を皮切りに、シカゴのミシガンアベニュー、ボストンのニューベリーストリートなど、主要都市の一等地に出店することで、ブランドイメージの向上を図っています。
  • オンラインストアの強化: 実店舗と並行して、オンラインストアの充実にも力を入れており、アメリカ全土の顧客に商品を提供しています。オンライン限定の商品やサービスも展開することで、顧客の利便性を高めています。
  • コラボレーション戦略: アレキサンダー・ワン、JW ANDERSON、KAWSなど、著名なデザイナーやアーティストとのコラボレーションを積極的に展開し、ファッション感度の高い層への訴求力を高めています。
  • サステナビリティへの取り組み: リサイクル素材の使用や環境負荷の低減など、サステナビリティへの取り組みを積極的に推進し、アメリカの消費者の環境意識の高まりに対応しています。

最新の情報によると、ユニクロはアメリカ国内に50店舗以上を展開しており、東海岸から西海岸まで主要都市に店舗を構えています。オンラインストアも好調で、アメリカ市場におけるユニクロの存在感は着実に増しています。

ファーストリテイリング全体の業績も好調で、2023年度の連結売上高は2兆7665億円、営業利益は3700億円を超えています。従業員数はグループ全体で5万人を超え、世界26の国と地域に3500店を超える店舗を展開しています。

ユニクロのアメリカ展開は、グローバルブランド戦略の成功事例の一つと言えるでしょう。今後も、アメリカ市場における更なる成長と、グローバル展開の加速が期待されます。

出典︓https://www.uniqlo.com/us/en/

RYOHIN KEIKAKU(リョウヒンケイカク)

良品計画(RYOHIN KEIKAKU)は、「無印良品」ブランドおよび海外向けブランド「MUJI」を通じて、小売店舗の運営、商品開発、製造、販売を行う企業です。衣料品だけでなく、家具、雑貨、食品、さらには住宅まで幅広く手掛ける点が特徴です。元々はセゾングループの一員であり、1977年に西友のプライベートブランドとして誕生したのが起源です。その後、1980年に「無印良品」として西友、西武百貨店、ファミリーマート、阪神百貨店などで販売が開始されました。

無印良品の海外展開は1991年のロンドン出店を皮切りに始まりました。アメリカ市場への進出は2007年、ニューヨークのソーホー地区への出店が最初です。ソーホーはファッションの最先端を行くエリアであり、ここに旗艦店を構えたことは、アメリカ市場におけるブランドイメージの確立を目指す上で重要な戦略でした。その後、ニューヨーク市内を中心に店舗網を拡大し、ボストンやポートランドなど他の都市にも進出しました。

以下、アメリカ展開に焦点を当て、最新情報と特筆すべき点を追加してリライトします。

アメリカにおける無印良品の展開

無印良品のアメリカ展開は、シンプルで機能的なデザイン、高品質な素材、そして環境への配慮といったブランドの核となる価値観をアメリカの消費者に伝えることを目指してきました。ソーホーへの出店以降、ニューヨーク市内には複数店舗を展開し、地域に根差した店舗運営を行っています。また、オンラインストアも展開しており、アメリカ全土の顧客に商品を提供しています。

特筆すべき点として、2020年7月にMUJI U.S.A. Limitedが連邦倒産法第11条の適用を申請したことが挙げられます。これは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる店舗の閉鎖や消費行動の変化などが影響したと考えられます。しかし、その後、事業再編を行い、オンライン販売の強化や店舗の最適化などを進めることで、アメリカ市場での事業継続を図っています。

アメリカにおける無印良品の店舗展開は、以下のような特徴を持っています。

  • 都市部への集中出店: ニューヨーク、ボストン、ポートランドといった大都市を中心に店舗を展開し、ブランドの認知度向上を図っています。
  • 旗艦店戦略: ソーホーのような注目度の高いエリアに旗艦店を構えることで、ブランドイメージを高めています。
  • 地域に合わせた品揃え: 各店舗の立地や顧客層に合わせて、品揃えを調整しています。
  • オンラインストアとの連携: 実店舗とオンラインストアを連携させることで、顧客の利便性を高めています。

良品計画の最新の決算資料によると、2023年8月末時点で、海外のMUJI店舗数は626店舗となっています。アメリカ国内の店舗数は、ニューヨークに複数店舗、ボストンとポートランドに各1店舗ずつ展開しています。

出典︓https://www.muji.us/

ISSEY MIYAKE U.S.A.(イッセイミヤケ)

イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)は、日本人ファッションデザイナーである三宅一生氏によって設立されたブランドであり、アジア人デザイナーとして世界的な成功を収めた代表的な例です。山本耀司、川久保玲と共に、1980年代の日本において「3大DCブランド」と呼ばれ、日本のファッションシーンを牽引しました。

三宅一生氏は、1970年4月に三宅デザイン事務所を設立し、その後1971年11月には販売などを中心とした株式会社イッセイ ミヤケを設立しました。海外展開は1979年7月のパリを皮切りに、1996年にはロンドンに子会社を設立。アメリカではニューヨークに非上場企業として子会社を設立しています。

アメリカにおけるイッセイ ミヤケの展開

アメリカにおけるイッセイ ミヤケの展開は、ニューヨーク、特にマンハッタンに集中しています。かつては3店舗を展開していましたが、現在はオンラインストアが中心となっています。アメリカ子会社は、南北アメリカにおけるすべての事業運営と卸売流通を担っており、アメリカ市場だけでなく、南北アメリカ全体に影響力を持っています。

以下、アメリカ展開に焦点を当て、最新情報と特筆すべき点を追加してリライトします。

  • オンラインストアの強化: 現在、アメリカでは実店舗は縮小傾向にありますが、公式オンラインストア(https://us.isseymiyake.com/)が充実しており、最新コレクションや限定アイテムなどを購入することができます。これは、近年の消費行動の変化に対応した戦略と言えるでしょう。
  • 卸売流通: アメリカ子会社は、百貨店やセレクトショップなどへの卸売流通も担っており、より広い層へのブランド認知度向上に貢献しています。
  • ブランドポートフォリオ: イッセイ ミヤケは、PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE、HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE、BAO BAO ISSEY MIYAKEなど、複数のラインを展開しており、それぞれ異なるターゲット層にアプローチしています。これらのラインは、アメリカ市場でも展開されており、多様なニーズに応えています。
  • デザイン哲学の継承: 三宅一生氏のデザイン哲学である「一枚の布」のコンセプトや、機能性(ポケットの有無、家庭洗濯の可否など)を重視する姿勢は、現在もブランドに受け継がれています。

出典︓https://us-store.isseymiyake.com/

Onitsuka Tiger(オニツカタイガー)

オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)は、1949年に鬼塚喜八郎氏によって創業された日本のスポーツシューズブランドです。創業当初は鬼塚商会という名称でしたが、その後、鬼塚株式会社、そして1977年にアシックスへと社名を変更しました。2022年からはアシックスタイガーとして共同ブランド化されています。

創業当初、最初に製造したのはバスケットボールシューズでしたが、これは当初は全く売れませんでした。しかし、1951年に靴底を改良したことで、たちまちヒット商品となりました。その後、ランニングシューズの開発にも着手し、1955年には500店舗のスポーツ用品店にまで販路を拡大しました。

オニツカタイガーとナイキの関係は非常に有名です。ナイキの前身であるブルーリボンスポーツ(BRS)社は、1963年にオニツカタイガーのシューズをアメリカで販売する代理店契約を結び、アメリカ市場への本格的な進出を開始しました。フィル・ナイト氏が創業したBRS社は、オニツカタイガーのシューズをアメリカ西海岸を中心に販売し、大成功を収めました。1968年には輸入量を大幅に増やし、オニツカタイガーのアメリカでの成功は、後にナイキが誕生する大きなきっかけとなりました。1977年に社名がアシックスに変更された後も、アメリカでの販売は継続されました。

オニツカタイガーは一時、ブランド名が消滅していましたが、その後、ファッションブランドとして復活を遂げました。特に、1966年に発売されたモデル「メキシコ66」は、現在でもオニツカタイガーの代表的なモデルとして世界中で販売されており、その人気を支えています。

以下、アメリカ展開に焦点を当て、最新情報と特筆すべき点を追加してリライトします。

アメリカにおけるオニツカタイガーの展開

オニツカタイガーは、アメリカにおいて、スポーツシューズとしての歴史的な背景と、ファッションアイテムとしての魅力を併せ持つブランドとして認知されています。

  • スポーツシューズとしてのルーツ: ナイキのルーツと深く関わっていることは、アメリカのスポーツファンやスニーカーヘッズの間ではよく知られています。この歴史的な繋がりが、オニツカタイガーのブランドイメージを特別なものにしています。
  • ファッションブランドとしての確立: 近年では、スポーツシーンだけでなく、ストリートファッションやカジュアルファッションのアイテムとして、アメリカの若者を中心に人気を集めています。洗練されたデザインと快適な履き心地が、ファッションアイテムとしての魅力を高めています。
  • コラボレーション戦略: 様々なブランドやデザイナーとのコラボレーションを積極的に行っており、アメリカ市場においても話題を集めています。例えば、デザイナーのアンドレア・ポンピリオとのコラボレーションなどは、ファッション感度の高い層に支持されています。
  • 直営店とオンラインストア: アメリカ国内の主要都市には直営店を展開しており、ブランドの世界観を体験できる場を提供しています。また、オンラインストアも充実しており、アメリカ全土の顧客に商品を提供しています。

出典︓https://www.onitsukatiger.com/us/en-us/

Makerʻs Shirt KAMAKURA(メーカーズシャツカマクラ)

メーカーズシャツ鎌倉(Maker’s Shirt KAMAKURA)、通称「鎌倉シャツ」は、高品質なシャツを適正価格で提供することで知られる日本のシャツメーカーです。創業は1993年、神奈川県鎌倉市のコンビニエンスストアの2階という小さな店舗から始まりました。この小規模なスタートが、高品質と適正価格の両立というビジネスモデルの原点となっています。

鎌倉シャツの海外展開において、アメリカ市場は重要な位置を占めていました。2012年、海外初店舗としてニューヨークに出店したことは、アメリカ市場への本格的な進出を意味していました。このニューヨーク店は、マンハッタンの中心部に位置し、「メイドインジャパン」の高品質なドレスシャツが79ドルという価格で手に入るという点が大きな話題を呼びました。これは、当時のアメリカ市場において、同等の品質のシャツがより高価格で販売されていたことを考えると、非常に魅力的な価格設定でした。

2024年現在、ニューヨークの店舗は残念ながら閉店しています。しかし、鎌倉シャツはアメリカ市場から完全に撤退したわけではなく、オンラインストアを通じてアメリカの顧客に商品を提供し続けています。このオンライン戦略へのシフトは、近年の消費行動の変化、特にECサイトの利用増加に対応したものです。

出典︓https://kamakurashirts.com/

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アメリカの主要アパレル5選〜外資系編〜

H&M(エイチアンドエム)

H&M(エイチ・アンド・エム)は、スウェーデン発祥の世界的なファストファッションブランドです。1947年にスウェーデン中部のヴェステロース市で、創業者アーリング・パーションによって婦人服店「Hennes(ヘネス、スウェーデン語で「彼女のもの」の意)」として創業されました。1968年に狩猟用品店「Mauritz Widforss(モーリッツ・ヴィドフォース)」を買収したことで紳士服の取り扱いを開始し、社名も「Hennes & Mauritz(ヘネス・アンド・モーリッツ)」に変更されました。この経緯から、日本でも「ヘネス・アンド・モーリッツ」と表記されることがあります。現在は、スウェーデンのストックホルムに本社を置いています。

H&Mのアメリカ進出は、グローバル展開の中でも重要なマイルストーンとなりました。2000年3月にニューヨークの5番街に初の店舗をオープンし、アメリカ市場への本格的な参入を果たしました。このニューヨーク旗艦店のオープンは、アメリカの消費者にH&Mのブランドイメージを印象付ける重要な戦略でした。その後、H&Mはアメリカ国内の主要都市、ショッピングモール、繁華街などに店舗網を急速に拡大しました。

2024年現在、H&Mはアメリカ国内に500店舗以上を展開しており、オンラインストア(https://www2.hm.com/en_us/index.html)も充実しています。実店舗とオンラインストアの両方を活用することで、アメリカ全土の顧客に商品を提供しています。また、H&Mグループ全体では、COS、& Other Stories、Weekday、Monkiなどの姉妹ブランドも展開しており、これらのブランドもアメリカ市場で展開されています。

出典︓https://www2.hm.com/en_us/index.html

ZARA(ザラ)

ZARA(ザラ)は、スペイン発祥のファストファッションブランドで、比較的低価格ながらトレンドを意識したデザインの服を提供することで世界的に人気を集めています。特にヨーロッパでの人気は高く、企画・デザイン・製造・販売までを自社で一貫して行うSPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)と呼ばれる業態をとっているのが特徴です。この垂直統合型のビジネスモデルにより、コスト削減と迅速な商品展開を実現しています。

ZARAのアメリカ進出は、グローバル展開において重要な戦略の一つでした。アメリカのファッション市場は世界的に見ても規模が大きく、トレンドの発信地の一つでもあるため、ZARAにとっても重要な市場です。アメリカにおけるZARAの店舗展開は、主要都市の繁華街やショッピングモールを中心に進められてきました。

2024年現在、ZARAはアメリカ国内に複数の店舗を展開しており、オンラインストア(https://www.zara.com/us/)も充実しています。オンラインストアでは、最新のコレクションや限定アイテムなどが購入可能です。また、アプリも提供されており、より手軽にショッピングを楽しめるようになっています。

出典︓https://www.zara.com/

Cartier(カルティエ)

カルティエがアメリカに進出したのは1909年のことです。当初は宝石や時計の販売が中心でしたが、その後、婦人服を含むレザーグッズ、アクセサリーなど、幅広い商品展開を行うようになりました。現在、アメリカ国内には複数のブティック(店舗)を展開しており、主要都市に店舗を構えています。

2024年現在、カルティエはアメリカ国内に29店舗以上を展開しています。具体的な店舗情報は、カルティエの公式ウェブサイト(https://www.cartier.com/en-us/home)で確認できます。オンラインストアも充実しており、アメリカ国内の顧客はオンラインでも商品を購入することができます。

宝石と時計の圧倒的な存在感: カルティエは、アメリカにおいても、やはり宝石と時計の分野で圧倒的な存在感を誇っています。特に、タンク、サントス、ラブブレスレットなどのアイコン的なコレクションは、アメリカのセレブリティや富裕層に非常に人気があります。これらのコレクションは、デザインの美しさだけでなく、歴史的な背景や卓越した技術によって、高い価値を認められています。 ブティックの展開: アメリカの主要都市、例えばニューヨーク、ビバリーヒルズ、シカゴ、マイアミなどにブティックを展開しており、洗練された空間でショッピング体験を提供しています。これらのブティックは、単なる販売拠点ではなく、カルティエの世界観を表現する場としての役割も担っています。 ハイジュエリーとオーダーメイド: カルティエは、アメリカにおいても、ハイジュエリーと呼ばれる非常に高価な宝石や、顧客の要望に応じたオーダーメイドのジュエリーを提供しています。これらのサービスは、特別な顧客層に向けたものであり、カルティエの卓越した技術と創造性を象徴しています。 レザーグッズとアクセサリー: 時計や宝石に加えて、レザーグッズ(バッグ、財布など)、アクセサリー(スカーフ、ベルトなど)、フレグランスなども展開しており、ライフスタイル全体を彩る商品を提供しています。これらの商品は、時計や宝石に比べると比較的購入しやすい価格帯のものもあり、幅広い層にカルティエの世界観を提供しています。 リシュモングループ: カルティエは、リシュモン(Richemont)というスイスの高級品コングロマリットに属しています。リシュモングループは、他にヴァンクリーフ&アーペル、ピアジェ、IWCシャフハウゼンなど、多くの高級ブランドを傘下に収めています。 歴史と伝統: 1847年にルイ=フランソワ・カルティエがパリで創業して以来、カルティエは王室御用達のジュエラーとして、世界中の王侯貴族やセレブリティに愛されてきました。その歴史と伝統は、現代においてもカルティエのブランド価値を支える重要な要素となっています。 文化的貢献: カルティエは、芸術や文化の分野への支援も積極的に行っています。例えば、カルティエ現代美術財団は、現代アートの振興に貢献しています。

出典︓https://www.cartier.com/en-us/home

Hermès(エルメス)

エルメスのアメリカ進出は、同ブランドのグローバル展開において重要な出来事でした。アメリカは世界有数の消費市場であり、特に高級品市場は成熟しているため、エルメスにとっても重要な市場の一つです。アメリカにおけるエルメスの展開は、主要都市の高級ショッピングエリアを中心に、ブティック(店舗)の出店と、百貨店での販売を通じて行われてきました。

2024年現在、エルメスはアメリカ国内に複数のブティックを展開しています。具体的な店舗数や所在地は、エルメスの公式ウェブサイト(https://www.hermes.com/us/en/)で確認できます。オンラインストアも充実しており、アメリカ国内の顧客はオンラインでも商品を購入することができます。

皮革製品の卓越性: エルメスの起源は1837年にパリで創業した馬具工房にあります。この歴史的背景から、エルメスは皮革製品において卓越した技術と品質を誇っています。特に、バーキン(Birkin)やケリー(Kelly)といったアイコン的なバッグは、世界中のセレブリティや富裕層に愛されており、その希少性と高品質から、中古市場でも非常に高い価値で取引されています。 プレタポルテの進化: 1980年代から90年代にかけて、エルメスはシャツや帽子などを製造していた企業を次々と買収し、プレタポルテ部門を強化しました。1988年にヴェロニク・ニシャニアンがメンズプレタポルテのディレクターに就任して以降、売り上げは飛躍的に伸びました。また、2004年から2010年まで、ジャン=ポール・ゴルチエがレディースプレタポルテのデザイナーを務め、数々のヒット商品を生み出しました。その後、クリストフ・ルメール、ナデージュ・ヴァネ=シビュルスと続き、現在も高い評価を得ています。 サヴォアフェール(職人技): エルメスの製品は、熟練した職人による手作業によって丁寧に作られています。この「サヴォアフェール(職人技)」は、エルメスのブランド価値の中核をなす要素であり、製品の品質と耐久性を保証しています。 多様な製品ライン: エルメスは、バッグ、革小物、プレタポルテ、スカーフ、ネクタイ、香水、時計、ジュエリー、ホームコレクションなど、幅広い製品ラインを展開しています。これらの製品は、いずれも高品質な素材と卓越した職人技によって作られており、エルメスの世界観を表現しています。

出典︓https://onl.bz/zUFrSvP

Adidas(アディダス)

アディダスのアメリカ進出は、同社のグローバル戦略において極めて重要な要素でした。アメリカは世界最大のスポーツ用品市場の一つであり、アディダスは早い段階からこの市場への参入を試みてきました。アメリカでは、バスケットボール、アメリカンフットボール、野球といった人気スポーツとの結びつきを強化することで、ブランドの認知度を高めてきました。

2024年現在、アディダスはアメリカ国内に多数の店舗を展開しており、オンラインストア(https://www.adidas.com/us)も充実しています。オンラインストアでは、最新のコレクションや限定アイテム、コラボレーション商品などを購入することができます。また、アプリも提供されており、より手軽にショッピングを楽しめるようになっています。

出典︓https://onl.bz/3kqSFEH

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