アメリカの飲料業界は、世界的な炭酸飲料メーカーやエナジードリンク大手、クランベリー加工の老舗まで幅広い企業が競い合う巨大市場です。健康志向の高まりを受け、低糖・機能性飲料への投資を強める主要企業の戦略転換が進んでいます。
今回は、そんなアメリカの飲料業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社の最新情報をお届けしていきます!
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アメリカの主要飲料企業9選〜ローカル編〜
The Coca-Cola Company (コカ・コーラ)
1892年設立、ジョージア州アトランタに本社を置く世界最大級の総合飲料メーカーである。1886年にジョン・ペンバートンが薬局で売り出したコカ・コーラを起源とし、ニューヨーク証券取引所に上場するダウ工業株30種の構成銘柄でもある。
炭酸飲料からミネラルウォーター、コーヒー・紅茶、果汁、スポーツ飲料まで手がけ、コカ・コーラ、スプライト、ファンタ、ミニッツメイド、アクエリアスなど200を超えるブランドを保有する。約200の国と地域で販売し、世界のボトラーと組むコカ・コーラシステムを通じて供給している。
2025年通期の純営業収益は約479億米ドルで、為替中立ベースのオーガニック収益は5%増加した。会社は2026年もオーガニック収益4〜5%増を見込むと公表している。
近年はゼロシュガー飲料やアルコールRTD、健康志向カテゴリーの拡充を進め、価格・製品構成の改善で収益性を高めている。米国飲料市場の中核を担う企業である。
出典:https://www.coca-colacompany.com/
PepsiCo, Inc. (ペプシコ)
1965年に飲料のペプシコーラとスナックのフリトレーが合併して誕生した、食品・飲料の総合大手である。本社はニューヨーク州パーチェスに置き、ナスダックに上場している。
飲料のペプシ、マウンテンデュー、ゲータレード、トロピカーナ、スナックのレイズ、ドリトス、チートス、食品のクエーカーなど多数のブランドを世界200以上の国と地域で展開する。売上の過半を北米が占める構造である。
2025年通期の純収益は約939億米ドルで前年比2.3%増、オーガニック収益は2%増だった。営業利益は約115億米ドルで、北米飲料事業の立て直しとコスト管理を進めている。
環境・社会目標「pep+(pepポジティブ)」を掲げ、再生可能エネルギーの活用や包装の再設計に取り組む。飲料・スナック双方で強固な地盤を持つ企業である。
出典:https://www.pepsico.com/
Keurig Dr Pepper, Inc. (キューリグ ドクターペッパー)
2018年にキューリグ・グリーンマウンテンとドクターペッパー・スナップルが統合して発足した飲料大手である。本社はマサチューセッツ州バーリントンとテキサス州プレイノに置き、従業員は約2万9,000名を数える。
家庭用シングルサーブ抽出機キューリグでコーヒー市場をリードするほか、ドクターペッパー、カナダドライ、モッツ、7UP、GHOSTなど炭酸・果汁・エナジー飲料を幅広く保有する。
2025年通期の純売上高は約166億米ドルで前年比8.2%増と発表した。米国清涼飲料部門とエナジー分野が成長を牽引した。
2025年にはコーヒー大手JDEピーツの買収を決定し、2026年前半の完了後に飲料事業とグローバルコーヒー事業の2社へ分離する計画を示している。事業構造の再編を進める局面にある。
出典:https://www.keurigdrpepper.com/
Monster Beverage Corporation (モンスター ビバレッジ)
1985年創業、カリフォルニア州コロナに本社を置くエナジードリンク専業大手である。ナスダック上場でナスダック100指数の構成銘柄でもある。もとは無殺菌ジュースを扱っていたが、2015年にコカ・コーラとの戦略提携でエナジー事業へ集中した。
主力ブランドはモンスターエナジーで、リアーンやバーン、NOSなども展開する。製品は世界150以上の国と地域で販売され、コカ・コーラの流通網を活用している。
2025年通期の純売上高は約82億9,400万米ドルで前年比10.7%増、第4四半期は四半期として初めて20億米ドルを突破し過去最高を更新した。
近年はアルコール飲料領域にも参入し、フレーバーモルト飲料やハードセルツァーを手がける。エナジー市場で世界有数の地位を保つ企業である。
出典:https://www.monsterbevcorp.com/
Ocean Spray Cranberries, Inc. (オーシャン スプレー クランベリーズ)
1930年にクランベリー農家3人が設立した、世界最大級のクランベリー飲料・食品メーカーである。農業協同組合の形態をとり、現在は北米を中心に約700の家族農家が組合員として所有する。本部はマサチューセッツ州レイクビル・ミドルボロに置く。
代表商品はクランベリージュースカクテルやゼリークランベリーソースで、100か国以上で販売されている。飲料のほか、ドライクランベリーなどのスナックや原料事業も展開する。
非上場の協同組合であり売上高は公表していないが、業界では有数のクランベリー加工事業者と位置づけられる。2025年時点も約700の生産者ネットワークを基盤に事業を続けている。
近年は自社ブランドを冠さないB2B原料供給事業を拡大し、菓子や缶入りカクテル向けなどにクランベリー由来素材を提供している。協同組合モデルを軸に事業を広げている。
出典:https://www.oceanspray.com/
Arizona Beverage Company (アリゾナ ビバレッジ)
1992年にニューヨーク州ブルックリンで創業した家族経営の飲料企業である。ドン・ヴァルタジオらが立ち上げ、アイスティーを中心にジュース、コールドブリューコーヒー、エナジードリンクなどを展開する。本社はニューヨーク州ウッドベリーに置く。
公式に「アメリカでナンバーワンのアイスティーブランド」を掲げ、大容量缶やボトルの独創的なパッケージで知られる。緑茶やアーノルド・パーマーなどが看板商品である。
非上場で売上高は非公表だが、看板の大容量缶を長年99セントで販売し続ける価格戦略が象徴的である。2025年時点もこの姿勢を維持している。
天然原料や独自フレーバーにこだわり、期間限定パッケージやコラボ商品も積極的に投入する。米国のアイスティー市場で確固たる存在感を持つ企業である。
出典:https://drinkarizona.com/
Welch Foods Inc. (ウェルチフーズ)
1869年に医師トーマス・ウェルチが創業したブドウ飲料・食品メーカーである。1956年に生産者組合ナショナル・グレープ・コーオペラティブの傘下に入り、現在も同組合が所有する。本社はマサチューセッツ州コンコードに置く。
コンコード種とナイアガラ種を育てる家族農家によって支えられ、原料のブドウは100%米国産である。人工香料や着色料を使わない方針を掲げる。
看板は100%ブドウジュースで、グレープゼリーやスパークリングジュース、フルーツスナックも展開する。協同組合形態のため売上高は非公表だが、米国のブドウ飲料分野で長い歴史を持つ。
サステナビリティを重視し、温室効果ガス削減やオーガニック認証取得などの指標を設定している。2025年時点も生産者組合を基盤に事業を続けている。
出典:https://www.welchs.com/
GT’s Living Foods LLC (GTʼsリビングフーズ)
カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点とするコンブチャ飲料の草分け企業である。創業者GTデイブが1990年代前半、乳がんを患った母のために自宅キッチンでコンブチャを仕込んだのが始まりで、米国で初めてコンブチャを瓶詰めして店頭に並べたとされる。
最初の商品はロサンゼルスの高級健康食品店エレウォンで販売され、その後ホールフーズなどに広がった。果汁やピューレを加えたSYNERGYブランドを中心に展開する。
現在はコンブチャに加え、ココナッツヨーグルトのCOCOYO、アダプトゲン飲料のALIVE、水ケフィアのAGUA DE KEFIRなど発酵・健康志向の製品群を手がける。
非上場で売上高は公表していないが、米国コンブチャ市場を切り開いた先駆者として知られる。2025年時点も健康志向の発酵飲料を軸に事業を展開している。
出典:https://gtslivingfoods.com/
Celsius Holdings, Inc. (セルシウス)
2004年に設立され、フロリダ州ボカラトンに本社を置く機能性エナジードリンク企業である。ナスダックに上場し、代謝を高めるとうたう炭酸エナジー飲料「セルシウス(CELSIUS)」を主力とする。
砂糖不使用でビタミンや植物由来成分を配合した点を訴求し、フィットネスや健康志向の消費者に支持を広げてきた。2022年にはペプシコと米国流通の提携を結び、販路を大きく拡大した。
2025年通期の売上高は約25億1,500万米ドルで前年比85.5%増と急成長した。2025年4月には競合ブランド「アラニ・ヌー(Alani Nu)」を買収し、同ブランドが約10億米ドルの売上を寄与した。
2025年第4四半期には米国エナジードリンク市場で金額ベース約20%のシェアを握り、上位の一角に躍り出た。近年の米国飲料市場で最も成長著しい企業の一つである。
出典:https://www.celsiusholdingsinc.com/
アメリカの主要飲料企業2選〜日系編〜
Ito En, Ltd. (イトウエン)
1966年創業、東京都渋谷区に本社を置く日本の茶系・コーヒー飲料の最大手である。緑茶飲料「お〜いお茶」を主力とし、2001年に米テキサス州へ販売会社ITO EN (North America) INC.を設立して北米へ本格進出した。
米国ではハワイ法人などとともに緑茶・抹茶飲料を展開し、グローバルブランドとして「お〜いお茶」と「MATCHA GREEN TEA」を使い分けている。販売エリアはアジア、欧州、中東にも広がる。
2025年4月期の連結売上高は約4,727億円で前年比4.1%増、海外事業は約588億円で10.5%増だった。米国事業の売上高は約3億4,000万米ドルで6.8%増と伸長している。
健康志向を背景に無糖茶飲料の需要が世界的に高まる中、北米での供給体制強化を進める。日本の茶飲料をグローバルに広げる役割を担う企業である。
出典:https://www.itoen.co.jp/
Yakult Honsha Co., Ltd. (ヤクルト)
1935年創業、東京都港区に本社を置く乳酸菌飲料・医薬品企業である。創業者代田稔が人の健康に役立つ乳酸菌シロタ株の培養に成功したことに始まり、乳酸菌飲料ヤクルトの製造・販売を手がける。
1964年から海外進出を進め、現在は世界各地で事業を展開する。訪問販売を担う「ヤクルトレディ」の仕組みを各国に広げていることが特徴である。
2025年3月期の連結売上高は約4,997億円で、飲料・食品の海外売上高は約2,388億円と全体の約半分を占めた。米州地域の売上高は約918億円で前年比11.7%増と伸長した。
米国ではカリフォルニア州を中心に取扱店舗と1店舗あたり販売本数を増やしている。腸内環境や予防医療への関心の高まりを追い風に、機能性飲料の需要を取り込む企業である。
出典:https://www.yakult.co.jp/
アメリカの主要飲料企業2選〜外資編〜
Red Bull GmbH (レッドブル)
1987年に製品を発売したオーストリアの世界最大手エナジードリンク企業である。本社はザルツブルク近郊のフシュル・アム・ゼーに置く。東アジアの機能性飲料に着想を得た創業者ディートリヒ・マテシッツが、エナジードリンクという新カテゴリーを切り開いた。
スポーツチームやイベントへのスポンサーシップを軸に、若年層に訴求する洗練されたマーケティングを展開する。「レッドブル、翼をさずける。」をスローガンに掲げる。
2025年には世界178か国で約139億6,900万缶を販売し、グループ売上高は前年比8.6%増の約121億9,600万ユーロと過去最高を更新した。従業員数は約2万1,924名である。
中核市場である欧米に加え、成長市場の開拓や新パッケージ・オーガニックシリーズの拡充を進める。米国エナジードリンク市場でも主要ブランドの一角を占める。
出典:https://www.redbull.com/us-en/
Ekaterra (エカテラ)
2021年にユニリーバの紅茶事業が分離して誕生した、世界最大級のティーブランド企業である。投資会社CVCキャピタル・パートナーズが取得し、本社はオランダ・ロッテルダムに置く。
発足時はエカテラ(ekaterra)を社名としたが、2023年にリプトン・ティーズ・アンド・インフュージョンズ(LIPTON Teas and Infusions)へと社名を変更した。資本の所有者はCVCのまま変わっていない。
リプトン、PGティップス、ブルックボンド、プッカ、タゾなど約36ブランドを保有し、世界で1日あたり約4億人が同社の紅茶を飲むとされる。従業員は約1万7,000名、売上高は約20億ユーロ規模である。
「再生可能資源である茶葉を用いた健康と環境に良い事業」を掲げる。米国ではリプトンブランドのRTD紅茶をペプシコが製造・販売しており、2025年時点も同市場で存在感を持つ。
出典:https://www.liptonteas.com/
FAQ
アメリカの主要飲料メーカーの中で、コカ・コーラとペプシコの主な事業内容は何ですか?
コカ・コーラは、炭酸飲料、飲料水、コーヒー、果汁飲料、乳飲料、アルコール飲料などを販売し、200以上のグローバルブランドを持ち、世界中で販売しています。ペプシコは、スナック菓子や飲料を取り扱い、代表的なブランドにはペプシコーラ、レイズ、ドリトス、ゲータレードなどがあり、多岐にわたる商品を展開しています。
エネルギードリンク市場において、モンスター・ビバレッジとレッドブルの特徴は何ですか?
モンスター・ビバレッジは、エナジードリンクのリーディングブランドであり、健康志向の飲料やアルコールへの投資も行っています。レッドブルは、スポーツや若者向けのマーケティングを特徴とし、世界的に展開しているエナジードリンク企業です。特にスポーツイベントやスポンサー活動を通じて、若者への浸透を図っています。
アメリカの飲料業界において、日系企業の伊藤園とヤクルトの主要な事業内容は何ですか?
伊藤園は、お〜いお茶やMATCH GREENTEAなどの茶系・コーヒー飲料の制作・販売を行うグローバルブランド企業で、アメリカでは主に緑茶やお茶製品を販売しています。ヤクルトは、乳酸菌を使用した飲料や食品、医薬品を扱い、特に乳酸菌飲料のヤクルトは健康増進や予防医療への意識の高まりとともに展開しています。
外資系で主要な飲料ブランドを持つレッドブルとエカテラの特徴は何ですか?
レッドブルは、エナジードリンクを主力とし、スポーツやイベントのスポンサーやマーケティングに力を入れ、若者を中心に絶大な人気を誇っています。エカテラは、ティーブランドの大手であり、リプトンなどのブランドを所有し、健康と環境に配慮した事業展開を志向しています。

