今回は、アメリカの飲料業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて12社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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アメリカの主要飲料メーカー8選〜ローカル編〜
The Coca-Cola Company(ザ コカ・コーラ カンパニー)
1892年創業の世界最大級の多国籍飲料メーカー。1886年にジョン・ペンバートン博士が、ジョージア州アトランタの薬局で販売し始めたコカ・コーラがはじまり。現在の本社も同地にある。ニューヨーク証券取引所に上場しており、ダウ平均株価を構成する30社のうちのひとつ。
ほぼ全ての種類の飲料を販売しており、炭酸飲料、飲料水、コーヒー&ティー、果実飲料、乳飲料、アルコール飲料と多岐に渡る。200以上のグローバルブランドを保有しており、トレードマークのコカ・コーラ、アクエリアス(ハイドレーション飲料)、ダサニ(飲料水)、ミニッツメイドやイノセント(果汁飲料)、スプライトやファンタ(炭酸飲料)などがある。
200以上の国・地域で販売されており、ボトリングパートナーは全世界で約200社、製造拠点は約950ヶ所あり、コカ・コーラシステム全体で70万人以上の従業員を雇用している。
2022年度の売上高は430億米ドルで、昨年度対比11%増。営業利益は109億米ドルで6%増。
出典︓https://www.coca-colacompany.com/
PepsiCo, Inc.(ペプシコInc.)
1965年に飲料メーカーのペプシ・コーラと、スナックメーカーのフリトレーが合併して設立。本社所在地は、ニューヨーク州パーチェス。500以上のブランドを運営し、29万1,000名の従業員を雇用している。
主なブランドは、スナックのレイズ(ポテトチップス)、ドリトス(コーンチップ)、チートス(コーンスナック)、飲料のゲータレード(スポーツ飲料)、ペプシコーラ、マウンテンデュー(炭酸飲料)、食品のクエーカー(オートミール等)、家庭用炭酸水製造機のソーダストリームなどである。
2022年度の売上高は、864億米ドルで対前年度比9%増。売上の60%強を北米地域が占める。営業利益は、123億米ドルで8%増。利益の44%が北米のスナック部門が生み出している。
PepsiCo PositiveというSDGsに関与した活動を行っており、年間報告書でもその年の実績を記載している。例えば、事業所における再生可能エネルギーの利用率を100%とする目標に対し、すでに65%まで達成した。
出典︓https://www.pepsico.com/
Keurig Dr Pepper,Inc.(キューリグ ドクターペッパーInc.)
約2万8,000名の従業員を雇用し、30ヶ所の製造拠点と150以上の倉庫・配送拠点を運用している。社名にあるキューリグは、アメリカで展開している一般家庭用シングルカップコーヒー抽出システムのブランド名で、この分野のリーダー的存在である。技術力に強みがあり、ネスレ社のネスプレッソと競合している。
コーヒー以外にも、ドクター・ペッパー、カナダドライ(炭酸飲料)、モッツ(果汁飲料)、コア(ハイドレーション飲料)などを主要ブランドとして保有している。リフレッシュメント系飲料の92%のシェアを持つ。
2022年度の売上高は141億米ドルで、対前年度比10.8%増。営業利益は35億米ドルで3.4%増であった。売り上げのうち、コンスタントカレンシー成⻑は、ラテンアメリカ地域が23.0%、濃縮飲料製品が16.4%となっており、成⻑を牽引している。
出典︓https://www.keurigdrpepper.com/
Monster Beverage Corporation(モンスター ビバレッジ コーポレーション)
1985年創業のカリフォルニア州コロナに本社を置くエネルギードリンク企業。元々は無殺菌のフレッシュジュースを販売していたが、2015年にザ・コカ・コーラ・カンパニーから様々なエナジーブランドを買収し、エナジー以外のブランドは売却することで、特価している。
ナスダックに上場しており、ナスダック100指数の構成銘柄である。主要ブランドはモンスターエナジー。現在、157の国や地域で販売されている。
アルコール飲料への投資を始めており、クラフトビールとハードセツルツァーの会社を買収したり、フレーバー付きモルトアルコール飲料を上市した。
30年連続で過去最高の売上高を記録している。2022年度の売上高は63億米ドルで、対前年度比13.9%増。営業利益は16億米ドルで21.3%増。これはモンスター・エナジーブランドの飲料の販売量が全世界で増加し、一方で販促費を削減したことによる。
出典︓https://www.monsterbevcorp.com/index.php
Ocean Spray Cranberries, Inc.(オーシャン スプレー クランベリーズ Inc.)
マサチューセッツ州レイクビル・ミドルボロに本部を構える世界最大のクランベリー飲料・食品メーカー。1930年にクランベリー農家が協同組合を立ち上げたことが始まり。現在では、北米と南米に700以上の生産者で構成されている。100ヵ国以上で販売されている。
アメリカでは良く飲まれているクランベリー飲料の最初の生産者である。最も人気がある商品は、創業時の商品であるオーシャン・スプレー・ゼリークランベリーソースと、同クランベリー・ジュースカクテルである。
飲料の他に、スナックとして乾燥クランベリーや生のクランベリー、感謝祭には欠かせないローストターキーのソースとしても缶入りソースなども販売している。l売上高は公開されていないが、調査会社の資料によると約12億米ドル。
出典︓https://allthatpower.oceanspray.com/
https://www.zoominfo.com/c/ocean-spray-cranberries-inc/28558207
Arizona Beverage Company(アリゾナ ビバレッジ カンパニー)
1992年にニューヨーク州ブルックリンで創業した家族経営のアイスティー、エナジードリンク企業。アメリカNo.1の紅茶とジュース飲料ブランド。様々な味のアイスティーを展開している。非上場。
社名の由来は、創業地がアリゾナという意味ではなく、オーナーの一人が地図を見て”hot”な土地がどこかと探し、アリゾナに着目したことによる。最初はサンタフェと名付けようとしたとのこと。本社所在地はニューヨーク州ウッドベリーである。
クラフトビールやエナジードリンクのような独創的なパッケージが特徴。期間限定パッケージも多く展開している。また、品質と天然原料にこだわっている。Arizona Iced Green Teaは、アメリカで最も販売されている緑茶飲料である。売上高は非公開だが、調査会社によると2022年度の売上高は30億米ドル。
出典︓https://drinkarizona.com/
Welch Foods Inc.(ウェルチフーズInc.)
1869年にウェルチ博士により創業されたブドウ飲料・食品メーカー。マサチューセッツ州発祥のコンコード種と、ナイアガラ種を生産する700の家族経営の農場によって構成されている。1956年に全米ぶどう協会に買収され、子会社となった。本社はマサチューセッツ州コンコード。
品質と原料に重点を置いている。原料のブドウは100%アメリカ産で、収穫後8時間以内にブドウの木からプレス機へと運ばれ、さらに健康に対する効果を最大限にするため、収穫したブドウの90%は皮と種ごと絞っている。また、人工的なフレーバー、着色料、甘味料は一切使用していない。
サスティナビリティにも力を入れており、多くの経営指標を設定している。例えば、二酸化炭素の排出量の減少、オーガニック認証の取得、温室効果ガスの減少、健康への寄与などである。
最も有名な商品は100%ブドウジュースだが、他にもグレープ・スプレッド、スパークリングジュース、フルーツ味のスナックも販売している。売上情報は公開されていないが、調査会社によると直近の売上高は3億8,810万米ドル。従業員数は920名。
出典︓https://www.welchs.com/
GTʻs Living Foods LLC(GTʼsリビングフーズ LLC)
2018年創業のカリフォルニア州ビバリーヒルズに本社を構えるコンブチャ飲料企業。アメリカのコンブチャは、日本の昆布茶とは異なり、紅茶キノコで発酵させて得られる発酵飲料である。
創業者のGTデイブの母が乳ガンに罹った時にコンブチャで得た効果を見て、自宅キッチンでコンブチャ飲料の開発をした。初回生産の2ケースは、LAの超高級ヘルスフードストアであるエレウォンで販売した。LAの健康食品店で徐々に広がっていき、1999年にはカリフォルニア州全域のホールフーズマーケットで販売され始めた。その後、事業拡大のために会社を設立している。
果汁飲料・ピューレを混ぜたSYNERGY (シナジー)ブランドを展開しており、他にもココナッツヨーグルトやケフィア飲料などのヘルシーイメージが強い商品を開発・販売している。
売上高は公開されていないが、調査会社によると直近の売上高は8億220万米ドルである。
出典︓https://gtslivingfoods.com/
アメリカの主要飲料メーカー2選〜日系編〜
Ito En,Ltd.(株式会社伊藤園)
1966年創業の日本の茶系・コーヒー飲料のリーディングカンパニー。本社所在地は東京都渋谷区。グループ会社としてアメリカ・テキサス州に販売会社であるITO EN(North America) INC.を2001年に設立した。アメリカ国内には、他に3社がある。
以前よりアメリカと中国に進出しており、最近ではアジア、ヨーロッパ、中東にも販売先を広げている。販売国は40ヵ国。グローバルブランドとして「お〜いお茶」と「MATCH GREENTEA」の2つのブランドを使い分けている。
2022年度は総売上高4,316億7,400万円(対前年度比+7.7%)のうち、海外事業が512億5,200万円(+22.2%)、アメリカ事業が453億6,100万円(+23.4%)であった。会社全体では売上総利益が前年度比3.8%増だったが、アメリカ事業ではコスト高の影響を受けて赤字であった。一方、他の海外事業は+14.4%と伸⻑している。
出典︓https://www.itoen.co.jp/
株式会社ヤクルト本社(Yakult Honsha Co.,Ltd.)
1935年創業の日本の乳製品・医薬品企業。創業者である代田稔が人の健康に役立つ乳酸菌(シロタ株)の強化・培養に成功したことから、乳飲料ヤクルトの製造・販売を開始した。
1964年から海外進出をしており、現在も全世界へ事業展開している。飲料・食品および医薬品などの事業全体の2022年度の売上高は4,830億円だった。そのうち、飲料・食品部門の海外における売上高は2,151億円とほぼ半分を占めている。その中でも早くから進出していたアジア・オセアニア地域で1,404億円を販売しており、対前年比+9.6%といまだ伸⻑している。
米州における2022年度の売上高は649億円で、対前年度比37%増。営業利益は会社全体で660億円(+24.2%)、米州事業で159億円(+27.2%)であった。これは、当初から営業活動を行ってきたカリフォルニア州を中心とする南⻄部の6州ににおいて、1店舗あたりの販売本数が増え、また取引店舗数も順調に増えていることによる。
出典︓https://www.yakult.co.jp/
アメリカの主要飲料メーカー2選〜外資系編〜
Red Bull Gmbh(レッドブルGmbh)
1984年創業のオーストリアの世界No.1エナジードリンク企業。本社所在地はオーストリア・ザルツブルグ。東アジアの機能性飲料をヒントを得た創業者が、ユニークなマーケティングコンセプトと共に、エナジードリンクという全く新しい商品カテゴリーを誕生させた。2022年末現在、1万5,779名の従業員を雇用している。
スポーツチームへのスポンサードなどを通した広告などにより、若い世代をターゲットにした洗練されたマーケティングを展開している。「レッドブル翼をさずける」がモットー。
2022年度は、全世界175ヵ国でで115億8,200万本のレッドブルを販売しており、前年度対比18.1%増であった。売上高は78億1,600万ユーロと23.9%増であった。同社史上、最も良い実績となった。
さらなる拡大に向けて、コア市場である⻄ヨーロッパとアメリカ、および成⻑市場である発展途上国に注力すると共に、250mLのオリジナルパッケージとレッドブル・オーガニックシリーズを引き続き推進するとしている。
出典︓https://www.redbull.com/us-en/
Ekaterra(エカテラ)
2021年創業の世界最大のティーブランドカンパニー。本社所在地はオランダ・ロッテルダム。ユニリーバが保有していたリプトンなどのティーブランドを、投資会社のCVCキャピタル・パートナーズに売却して誕生した。
保有するブランドは、PGティップス、リプトン、ブルック・ボンド、プッカ、タゾなど34ブランド。100以上の国で販売している。会社自体は新しいが、保有しているブランドは100年以上の歴史がある。
「ウェルビーイングの世界をはぐくむ」「自然のように、私たちは学び、適応し、変化し、成⻑する」ことをビジョンとして掲げ、再生可能資源である茶葉を用いた健康と環境に良い事業を行うとしている。lアメリカでは茶葉以外にも、リプトンブランドのRTD紅茶飲料をぺプチコが製造・販売している。売上高は公開されていないが、調査会社によると2022年度の売上は19億ユーロ。
出典︓https://ekaterratea.com/us/en/
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。