今回は、アメリカの外食・中食業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて17社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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アメリカの主要レストラン・飲食企業12選〜ローカル編〜
McDonaldʼs Corporation (マクドナルド コーポレーション)
1955年創業。本社所在地はイリノイ州シカゴ。全世界で展開するハンバーガーファストフードチェーン。100ヵ国以上で3万8,000店舗以上を運営している。
元々はカリフォルニア州のマクドナルド兄弟が営業していた小さなレストランで、ハンバーガーなどの数種類の商品に限定することで迅速なサービスと品質を提供することができ繁盛していた。その店に営業に来ていたレイ・クロックが、そのシステムを用いてフランチャイズ化するため、マクドナルド兄弟から名称と独占権を買い取ったことが始まり。
2022年のシステム全体の売上高は過去最高の1,182億米ドル、昨年対比で10.9%増、客数も5%増えた。今後もさらなる成⻑のため、M (Marketingマーケティング)、C (Coremenuコアメニュー)、D (3-Ds:Digital Delivery&Drive Thruデジタル,配達,ドライブスルー)に注力するとしている。
出典︓https://www.mcdonalds.com/us/en-us/about-us.html
https://corporate.mcdonalds.com/corpmcd/investors.html
Chick-fil-A, Inc.(チックフィレイInc.)
1946年ジョージア州アトランタ郊外で創業したチキン料理専門のファストフードチェーン。現在もアトランタに本社を構えている。既存店売上高が最も大きいチキン・ファストフードチェーンである。株式は非公開で、家族経営を続けている。
敬虔なキリスト教徒であった創業者トゥルーエット・キャシーの意向で、日曜日が定休日。自身と従業員が休息と礼拝のために1日を確保できるようにした。
最も有名なメニューはオリジナル・チキンサンドウィッチ。バターバンズに、チキン、2枚のピクルス、ソースが挟まっており、1964年に創業者により開発された。最近では植物由来の肉代替食品が求められていることから、カリフラワーサンドウィッチをテスト販売している。
現在はアメリカ47州、カナダ等に約2,800店舗を出店している。売上高は公開されておらず、調査会社NPDグループによると2021年の売上高は1,684億米ドルで、マクドナルド、スターバックスに次いで第3位。
出典︓https://www.chick-fil-a.com/
Taco Bell Corp.(タコベルコーポレーション)
1962年にカリフォルニア州ダウニーで創業したタコス、ブリトーなどのテクス・メクス料理(メキシコ風アメリカ料理)のファストフードチェーン。2022年は、32ヵ国で8,218店舗を運営し、146億米ドルを売り上げている。現在の本社はカリフォルニア州アーバイン。
以前ペプシコに売却されたが、現在の親会社は、ケンタッキーフライドチキンやピザハットなどを運営するヤム・ブランズである。
ウェブを通した売上は成⻑を続けており、2022年は前年比40%増の成⻑を記録した。ドライブスルーと店内の両方の注文に対応するモバイルアプリを開発し、アメリカの外食企業で初めての展開したファストフードチェーンである。2016年にはファストカンパニー社の「世界で最も革新的な企業トップ10」の1社に選ばれた。
出典︓https://www.tacobell.com/about-us
https://www.yum.com/wps/portal/yumbrands/YumbrandsThe Wendyʼs Company(ウェンディーズカンパニー)
1969年にデイブ・トーマスによってオハイオ州コロンバスで創業したハンバーガーを中心としたファストフードチェーン。現在の本社は、同州ダブリン。2022年の売上高は、210億米ドルで前年対比6.8%増。調整後EBITDAは50億米ドル。全世界で6,949店舗を運営しており、その大半が米国内のフランチャイズ店舗(5,535店舗)である。
創業者が提唱した「Quality is our Recipe (品質こそ私たちのレシピ)」というコピーは商標登録されている。一度も冷凍されていない新鮮な牛肉を使ったオーダーメイドのスクエアハンバーガー、手で刻んだレタスを使った作り立てのサラダ、チリ、ベイクドポテト、フロスティ(デザート)などの特徴ある商品で知られている。
出典︓https://www.wendys.com/en-ca
The Subway Group(サブウェイ)
1965年にコネチカット州ブリッジポートで創業したサンドウィッチのファストフードチェーン。作り立てでカスタマイズ可能なサブマリンサンドウィッチ(潜水艦型のサンドウィッチ)を、手頃な価格で提供している。現在の本社は同州ミルフォード。
100ヵ国以上、3万7000以上の店舗を運営している。2022年は売上高が対前年比9.2%増、デジタルでの売上が前年度比2桁成⻑した。これは、名前と番号で注文するシグネチャーサンドウィッチの新しいメニュー「サブウェイシリーズ」を販売したことによる。
公式ウェブサイトでは売上高は公開されていないが、調査会社NPDグループによれば、2021年の売上高は99億米ドルである。
出典︓https://www.subway.com/en-US/AboutUs
Burger King Corporation(バーガーキング)
1954年にフロリダ州マイアミで創業したハンバーガーチェーン。現在もマイアミに本社を構える。ファストフード・ハンバーガーチェーンとしては世界で2番目に大きい。ティム・ホールトンズやポパイズなどを運営するカナダのレストラン・ブランド・インターナショナルの子会社。
2022年時点で、100以上の国で1万9,789の店舗を運営している。店舗のほぼ100%が独立したフランチャイジーにより所有・運営されており、その多くが何十年もビジネスを続けている家族経営によるものである。
2022年の売上高は255億米ドル、調整後EBITDAは10億米ドルだった。大型のハンバーガー「ワッパー」が有名で、牛肉のパティを直火で焼くことが特徴.。
出典︓https://www.rbi.com/English/corporate-profile/default.aspx
Chipotle Mexican Grill,Inc.(チポテル メキシカン グリルInc.)
1993年創業のメキシコ料理ファストカジュアルのチェーン。ブリトー、ブリトーボウル、タコスなどのメキシコ料理を、顧客の好みに合わせてカスタマイズしてくれる。本社は、カリフォルニア州ニューポートビーチ。
2022年の売上は昨年対比で14.4%増加し、86億米ドルとなった。2022年に236店舗を新規出店し、年末時点での総店舗数は3,187店舗となった。ファストフードチェーンだが、毎日店舗で野菜そのものをカットし調理していることが特徴。人工香料や人工色素・保存料は使わず、冷凍品や缶詰も使用していない。食材は限定された53種類のみ使用。
出典︓https://ir.chipotle.com/
Pizza Hut(ピザハット)
1958年にカンザス州ウィチタでカーニー兄弟により創業された、レディ・トゥ・イートに特化したピザチェーン。100ヵ国以上に1万9,000店以上の店舗を展開し、2022年は129億米ドルを売り上げている。ヤム・ブランズの子会社のひとつ。現在の本社はテキサス州プレイノ。
2022年は約1,600店舗を新規出店し、成⻑を続けている。売上の41%がアメリカ国内、16%が中国、14%が他のアジア地域となっている。
ピザレストランチェーンとして数々の試みを続けている。2001年の国際宇宙ステーションへのピザの配達、2007年の大手ピザレストランチェーンとして初のフェイスブック解説、2020年の植物肉を用いたピザの発売など。
1995年にピザの耳にチーズを入れたオリジナル・スタッフド・ピザ(商標取得済み)を販売したところ、瞬く間にこれまでの売上記録を更新した。
出典︓https://www.yum.com/wps/portal/yumbrands/Yumbrands
Panda Restaurant Group, Inc.(パンダ レストラン グループInc.)
1983年にアジア系移⺠であるチェン夫妻により、カリフォルニア州グレンデールで創業したアメリカ風中華料理チェーン。現在の本社は、同州ローズミードに構える。メインブランドはパンダエクスプレス。非上場の家族経営企業である。
2,300以上の店舗、4万7,000人の従業員、30億米ドルの売上高を誇り、アメリカ最大のアジアンダイニングとなっている。詳細な売上データなどは公開されていない。
パンダエクスプレスでは、オレンジチキンやブロッコリービーフが有名で、これらの調理済み主菜をチャーハンや中華風焼きそばなどとセット販売している。顧客は自分の好きな主菜や主食などを組み合わせることができる。
出典︓https://www.pandarg.com/
Popeyes Louisiana Kitchen Inc.(ポパイズ ルイジアナ キッチンInc.)
1972年にルイジアナ州ニューオーリンズで創業したチキンのファストフードチェーン。フライドチキンなどのニューオーリンズスタイルのメニューを取り扱っている。現在の本社はフロリダ州マイアミ。2017年にカナダのレストラン・ブランズ・インターナショナルの子会社となった。
2022年時点でアメリカを含む世界中に4,091店舗を展開しており、売上高は60億米ドル、調整後EBITDAは2億米ドル。2019年8月に発売したチキンサンドウィッチはソーシャルメディアを通して大人気となり、顧客の行列がドアの外まで伸びるほどで、収益が急上昇した。行列に並んでいる顧客同士で殺人事件が発生しニュースとなった。
出典︓https://www.rbi.com/English/corporate-profile/default.aspx
KFC(ケンタッキーフライドチキン)
カーネル・ハーランド・サンダースによりケンタッキー州コービンで創業された世界的なチキン・ファストフードチェーン。現在の本社は同州ルイスビルに構える。レストラン・フランチャイズ・コンセプトの先駆的企業。1939年にチキンを発売し、1952年に最初のフランチャイジーと契約した。
タコベルなどと同様に、親会社はヤムブランズである。2022年は、149ヵ国で2万7,760店舗を運営し、311億米ドルを売り上げた。売上のうち25%が中国、15%がアメリカ、12%がヨーロッパ、7%がオーストラリアである。
2022年は世界中で約2,500の新店舗をオープンさせ、インド、タイ、トルコ、中国での大規模出店を含め、100以上の市場に進出している。
出典︓https://www.yum.com/wps/portal/yumbrands/Yumbrands
Olive Garden(オリーブガーデン)
1982年にフロリダ州オーランドで1号店がオープンしたイタリア風アメリカ料理のカジュアルダイニング・レストランチェーンの大手。フルサービスダイニング型のイタリアンレストランとしてはアメリカ最大。元々はジェネラル・ミルズの一部門であったが、現在はフロリダ州オーランドに本社を構えるダーデン・レストランの子会社である。
2022年度の売上高は45億米ドル。コロナ前の売上高が44億米ドルと比較し回復している。店舗数は884店舗で、昨年度と比較し9店舗増えた。
殆どのディナーメニューが10~20米ドル、ランチメニューが8~10米ドル。メインディッシュについてくるフレッシュサラダのドレッシングが有名で、小売店でも販売されている。2022年度の顧客ひとり当たりの売上額は約21ドルだった。
出典︓https://www.olivegarden.com/home
アメリカの主要レストラン・飲食企業2選〜日系編〜
Kura Sushi, Inc.(くら寿司株式会社)
1977年創業の日本の大手回転寿司チェーン。日本、台湾、アメリカに500以上の店舗を展開している。アメリカでは2008年に設立された子会社のKuraSuhiUSA, Inc.が運営している。Kura SushiUSAの本社はカリフォルニア州アーバイン。2019年に日本外食企業の子会社として初めてNASDAQ市場に上場した。
2009年に同州アーバインに1号店をオープンさせ、現在では18州で45店舗を展開している。最も多く出店しているのはカリフォルニア州(19店舗)。現在、アメリカ最大の回転寿司チェーンである。今後も17店舗を出店予定。
2022年度の売上高は、昨年度の6,490万米ドルに対し、1億4,110万米ドルと大幅増。既存店売上高は2021年と比較した81.9%増加した。調整後EBITDAは、昨年度のマイナス10.9万米ドルに対し、プラス920万米ドルであった。
出典︓https://kurasushi.com/
Yoshinoya Holdings Co.,ltd(株式会社吉野家ホールディング)
1899年に東京・日本橋で創業した大手牛丼チェーン。アメリカを皮切りに1973年から海外展開を進めており、現在では中国、東南アジア、オーストラリア(ラーメン子会社)に出店している。東南アジアではジョリビーフーズと提携している。アメリカ子会社Yoshinoya AmericaInc.は、カリフォルニア州トーランスに本社を構えている。
2023年1月現在、吉野家ブランドで海外に956店舗、うちアメリカで100店舗を運営している。2022年度のアメリカ事業は、新商品導入や価格政策により対前年比107.8%増、2019年と比較し120.3%増となった。
アメリカでは日本と異なるメニューを提供している。牛丼の他に照り焼きチキン、餃子などを主菜として販売しており、牛丼のごはん部分も焼うどんや茹で野菜などを選択することができる。日本を想起させるメニュー開発に注力している。
出典︓https://www.yoshinoya-holdings.com/
アメリカの主要レストラン・飲食企業3選〜外資系編〜
Jollibee Foods Corporation(ジョリビーフーズコーポレーション)
フィリピン最大のファストフードチェーンブランドであるジョリビーを運営している。本社はフィリピン・パシグ市。17ヵ国で1,500店舗以上を運展開。フィリピンにおいては、他の多国籍ファストフードブランドよりも高いマーケットシェアを誇る。最新の報告書(2020年)では、売上高は1246億ペソであった。
アメリカでは68店舗を運営しており、カリフォルニア州が最も多い(31店舗)。また、カナダ、香港、ベトナムなどのアジア諸国、UAEなどのアラブ諸国、イタリア、スペイン、英国などに270以上の海外店舗を持っている。
主なメニューは、手作業で焼き上げられたフライドチキン「チキンジョイ」、ハンバーガー、甘めのスパゲティ、フィリピン産マンゴーを使ったピーチマンゴーパイである。サイドメニューとしてライス(白米)がある。lカルフォルニア州や韓国に多く出店するザ・コーヒービーン&ティーリーフの親会社でもある。
出典︓https://www.jollibeefoods.com/
Nandoʼs(ナンドズ)
1987年に南アフリカ共和国ヨハネスブルグで創業。東南アフリカで使用されていた、ペリペリというアフリカンバーズアイという唐辛子塩、にんにく、レモン、玉ねぎ、オイル、酢からできたソースを用いたチキン料理のファストフードチェーン。現在の本社は同地。
南アフリカをはじめとするアフリカ諸国の他、オーストラリア、アメリカ、インド、カタール、サウジアラビアなど20ヵ国以上に展開している。lアメリカでは2008年にワシントンD.C.に1号店をオープンして参入した。現在は、バージニア、メリーランド、ワシントン、シカゴ、間もなくテキサスで約50店舗を展開しいる。アメリカではフランチャイズではなく、子会社が全店舗を運営している。
非上場のため売上は公開されていないが、調査会社statistaの資料によると2022年の売上高は約11億英ポンド。
出典︓https://www.nandosperiperi.com/
Din Tai Fung(鼎泰豊)
1958年に台湾で食用油問屋として創業したが、1972年に小籠包と麺・点心を販売する店へ経営転換した。販売する小籠包などが評判を呼び、現在ではアメリカ、日本、韓国、シンガポールなどの13ヵ国に170以上の店舗を展開している。
アメリカでは、子会社のDin Tai FungUSAがカリフォルニア州に地域本社を構えている。4州で13店舗を運営しており、カリフォルニア州で最も多い7店舗を営業している。すべての店舗がショッピングモールでの出店で、特にウェストフィールド系のショッピングモールへの出店が多い。売上高は非公開。調査会社ZIPPIAによると、2022年の販売高は4600億米ドルであった。
出典︓https://dintaifungusa.com/us/
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。