現在、多様なビールやワインを製造する企業が多数存在し、インドネシアの酒類市場を盛り上げています。今回は、インドネシアの主要酒類製造メーカーに焦点を当て、ローカル・外資合わせて12社を厳選してお届けしていきます!
それぞれのメーカーの概要や特徴を5分間で理解することができます。
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インドネシアの主要酒類製造メーカー10選〜ローカル企業編〜
PT Bali Hai Brewery Indonesia(バリ・ハイ・ブリュウェリィ)
1975年に設立されたインドネシアのビール会社。「BALI HAI」という名前は、20世紀最高のミュージカルと言われている南太平洋のミュージカルの曲からインスピレーションを得たもの。
1988年には「DRAFT BEER」が発売された。1993年には「BALI HAI PREMIUM」が発売された。独特のフルフレーバーと滑らかさを備えたインドネシアで初めてのミュンヘンラガーであった。1995年には初めて海外に輸出された。最初に輸出した国はマレーシア、シンガポールと日本であった。1999年には「PANTHER STOUT」が発売された。ヨーロッパから輸入された高品質のローステッド・モルトとホップで作られたビールである。
2012年には「EL DIABLO ORIGINAL」が発売された。インドネシアで最初の「Belgian Golden Ale」で、さらにインドネシアで最初の500mlサイズの缶ビールであった。2013年には醸造所の拡張が行われた。2018年にはMunich Dunkel lagerの「PANTHER BLACK」が発売された。
出典:https://balihaibeer.com/
PT Lovina Beach Brewery(ロビナ・ビーチ・ブリュウェリィ)
2011年に設立されたインドネシアのビール会社。それまでピルスナーとラガーしかなかったインドネシアでクラフトビールの生産を手掛けた。バリ島北部の山中に醸造所を構えた。醸造所の背後にあるブドゥグル火山の岩盤から直接湧き出るミネラル分の豊富な天然の湧き水が数回ろ過された上でビール作りに使われる。
ビールのブランド名「STARK」の由来は、強力な世界クラスのクラフトビールをインドネシア市場に導入するという目的を果たすために、ドイツ語の「強い=STARK」が使われた。このスターク・クラフトビールの特徴は、常に新鮮で防腐剤はゼロ、化学薬品の使用もなく、100%モルトから醸造されていること。しかも、低炭水化物ビールで、砂糖やデンプンの含有率が低く、カロリーが低い。
ビール作りに重要な酵母はベルギーから輸入している天然の特殊な酵母で、必須のビタミンやミネラルが豊富に含まれている。また、独特のマンゴ・フレーバーやライチ・フレーバーもある。
出典:https://starkcraftbeer.com/
PT DIMA INTERNATIONAL WINES(ディマ・インターナショナル・ワインズ)
2010年に設立されたインドネシアのワイナリー。インドネシアの人々のワイン体験を向上させるというビジョンに基づきオーストラリアとインドネシアのコラボレーションを実現。
インドネシアでワインを生産するというアイデアを最初に検討したとき、インドネシアは伝統的な葡萄栽培の範囲が非常に限られているため、世界中から最高の葡萄をインドネシアに持ち込むことにした。
収穫直後に葡萄をブラストフリーズすることで収穫時の果実の品質が保たれ発酵しない。その技術を活用して、葡萄はオーストラリア、フランス、またはニュージーランドなどからバリ州北部にある最先端のワイナリーへの持ち込み、制御された条件下で葡萄を解凍、インドネシアでワインを醸造するプロセスを行ない豊かで、非常に芳香が強く、自然に丸みを帯びた、優れた品種特性を持つワインが出来上がる。生産するワインの品種は2種類。「CAPE DISCOVERY」と「BELLISSIMO」である。
出典:https://capediscovery-wines.com/
Cantine Balita(チャンティネ・バリタ)
2012年に設立されたインドネシアのワインメーカー。バリにて本格的で高品質のオーガニックイタリアワインの生産を行う。熱帯地方での独自の農学プログラムを開発しながら葡萄園の耕作を行う。2年間、絶え間ない実験、研究、開発が繰り返され、品質基準を損なうことなくワイン作りが成功し、2014年には最初の限定されたワインを市場に出荷。
2020年には葡萄園が成熟し、生産性が上がり、ワイナリーがフル稼働するようになった。「Cantine Balita」は、イタリアの葡萄栽培の知識とバリの伝統的農業を組み合わせて高品質な葡萄栽培を行うブティック・ワイナリーである。
「Cantine」はイタリア語でワインを貯蔵し熟成させるワインセラーを意味する。「Balita」はバリとイタリアの造語でパートナーシップを表している。イタリアのシチリア島とバリ島は火山性の土壌や暑い気候など葡萄作りの環境に類似点がある。そのためワインをイタリア語の「島=Isora」と命名している。
出典:https://cantinebalitawine.com/
TWO Islands(トゥー・アイランズ)
2007年に設立されたインドネシアのワインメーカー。南オーストラリア産の葡萄を使いバリ州サヌールにあるワイナリーでオーストラリア・ワインを生産する。設立年度の2007年は4本のワインを生産することから始めた。
設立の目的は高額の輸入品のオーストラリアワインと同等の品質のものを手頃な価格で一貫して提供するということ。TWO Islandsは、南オーストラリアで最も有名な葡萄栽培地域から葡萄を調達している。これまでのワインの生産の過程の中で、いくつかの葡萄園の変更もあった中、都度生産者との関係を築いて行き、バロッサバレー、アデレードヒルズ、クーナワラ、クレアバレー、およびライムストーンコーストの中のさまざまなサブリージョンにある12以上の葡萄園と協力関係を確立している。
また、インドネシア全国の主要都市を拠点とする20社以上のサブ・ディストリビューターのネットワークによりワインの販売を拡大している。
出典:https://twoislands.co.id/
Sababay Winery(サババイ・ワイナリー)
2010年に設立されたインドネシアのワイナリー。「Sababay」はインドネシアの農業の可能性を進化させるという夢から始まった。「Sababay」という名称はバリ州ギアニアールの美しい「Saba」海岸沿いに位置することから命名された。
「Sababay」は地元のブドウ農家、ワインメーカー、ワインの専門家、流通業者と緊密に協力して、会社とコミュニティの透明性、平等、多様性、個人の権利の原則を尊重しながら、国際基準の地元の製品を製造している。2013年にワインの初出荷が行なわれた。2014年にはシンガポールで開催された国際ワインとスピリッツ品評会で最初の受賞をした。2018年には国際的な賞を40以上受賞し、パッケージングも刷新し、一般客にワイナリーツアーも始めた。
2019年にはスパークリングワインシリーズが発売された。さらにワインを蒸留して作られる「Grappa」も発売された。2020年には、さらに2種類の蒸留酒が発売された。「Saba Vodka」と「Saba Vodka Infusion」である。
出典:http://sababaywinery.com/
PT ARPAN BALI UTAMA(アルパン・バリ・ウタマ)
1994年に設立されたインドネシアのワイナリー。バリの伝統的な葡萄品種から作られたロゼの単一の製品から始めて、インドネシア製のワインを世界の地図に載せることを目標としてきた。
現在、受賞歴のあるワインは10種類に及び、バリ北部の葡萄園で栽培された伝統的な葡萄品種と国際的な葡萄品種の両方のワインを紹介している。赤道の南約8°にあるバリは、低緯度地域であり、常に高温多湿の気候のため、葡萄の木は常緑樹で、年間3回収穫できる。「Hatten Wines」は北バリの葡萄園でバリの伝統的な葡萄品種と国際的な葡萄品種の両方を栽培しており、豊かな火山性の土壌がワインに個性と複雑さを加えている。
年間1,000トン栽培される葡萄はすべて南バリのサヌールにある最先端のワイナリーで醸造、熟成、瓶詰めされている。また、収穫から収穫までのスタイルと品質の一貫性を確保するため、現代のワイン製造慣行と昔ながらのフランスの技術をブレンドしている。
出典:https://hattenwines.com/
Plaga Wine(プラガ・ワイン)
インドネシアに設立されたワイナリー。「Plaga Wine」はインドネシアで最も古く最大のワイン輸入業者のPT Indowines groupの傘下にある。
「Plaga Wine」では、チリ、西オーストラリア、そして間もなくヨーロッパの高級ワイン生産地域から輸入された最高級の葡萄から、アルゼンチンのワイン技術者の手によってワインが醸造されている。「Plaga Wine」では、利用可能な最先端の技術を使用することで軽くてトロピカルで遊び心のあるモダンなワインが製造されている。
5年前からワイン作りに取り組み始め、現在ではインドネシアの主要市場で取り扱われているほか海外市場でも販売が開始されている。消費者に手頃な価格でワインを提供するだけでなく、マイルドで少しフルーティーな「Chardonnay」、軽くてトロピカルな「Rose」、さわやかな「Sauvignon Blanc」、風味豊かな「Cabernet Sauvignon」など新しい種類のワインを「Plaga Wine」の製品ラインナップに積極的に付け加えている。
出典:https://plagawine.com/
PT Bali Moon Indonesia(バリ・ムーン・インドネシア)
インドネシアに設立されたリキュール酒のメーカー。「Bali Moon」は名前の通りバリのメーカーで25年近く高品質のリキュールを製造している。インドネシア全土から最高品質の地元産原材料を調達し一貫して競争力のある価格を維持している。
「Bali Moon」はカクテルの材料とリキュールのインドネシア最大の生産・販売業者で、その製品はインドネシア全国の600を超える店舗で利用できる。また、特別なイベントやパーティーのスポンサーシップ、スタッフトレーニング、毎月のサポートプログラムを提供している。
リキュールの「甘さ」の原料は、パームシュガーか糖蜜である。製造プロセスは、①生の砂糖を発酵させてワインにし、3回蒸留し96%プルーフのアルコールにする。②湧き水を加えアルコール含有量を調整。③糖蜜の甘さと果物、豆、ナッツ、ハーブの自然なエッセンスを組み合わせる。④秘密の処方でフレーバーを組み合わせる。⑤古いバリのレシピを使用してエッセンスを強化する。
出典:http://balimoon.co.id/
Dewi Sri(デウィ・スリ)
1968年に設立されたインドネシアのライスワインメーカー。発酵米から作られる伝統的な「Arak」と「Brem Bali」ワインを生産している。宗教的な儀式や地元の食卓で見られる「Dewi Sri」のライスワインとスピリッツは、伝統的な方法による品質と熟練したワイン造りによるもので、「Arak Attack」カクテルのベースとして有名である。
「Dewi Sri」はバリ州で最初の専門的かつ合法的な蒸留所として設立された。「Dewi Sri」はバリのヒンズー教で米、豊穣、家族の繁栄と調和の女神の名から取っている。作り方は、地元産の米を発酵させてアルコールを作り、スペイン製の銅釜で蒸留することで、蒸留中に生成される流加化合物を減らし、滑らかに仕上げる。
製品は二つ。一つは「Arak Bali」。白米を発酵して作った伝統的なスピリッツで、供物の一部として、または宗教的な儀式に続くお祝いでよく使われる。もう一つは「Brem Bali」。まろやかなライスワインで、主に島周辺の宗教儀式で使われる。
出典:https://dewisri.biz/
インドネシアの主要酒類製造メーカー2選〜外資系企業編〜
PT Multi Bintang Indonesia Tbk (ムルティ・ビンタン・インドネシア)
1921年に北スマトラ州メダン設立されたインドネシアのビール会社。設立時の社名はN.V. Nederlandsch-Indische Bierbrouwerijen。1931年に最初の醸造所が東ジャワ州スラバヤに設立された。1936年には、本社もスラバヤに移転された。ハイネケンが会社の筆頭株主になり、社名をHeineken’s Nederlandsch-Indische Bierbrouweerijen Maatschappijに変更した。
1973年には2番目の醸造所が操業を開始。1981年にはメダンでビールとソフトドリンクを製造するPT Brasseries del’ Indonesiaを買収し、社名をPT Multi Bintang Indonesiaに変え、本社もジャカルタに移転した。同年、インドネシア証券取引所(IDX)に上場。IDXコードは「MLBI」である。筆頭株主はHEINEKEN INTERNATIONAL B.V.で81.78%を保有している。
2014年には東ジャワのサンパンアグンにノンアルコール飲料の工場を建設。MLBIの主力ブランドは「Bintang」と「Haineken」。2020年の売上高は1兆9,850億ルピアであった。
出典:https://multibintang.co.id/id/
https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202103/5b3d4b9bad_69c9810e91.pdf
PT Delta Djakarta Tbk(デルタ・ジャカルタ)
1932年に設立されたインドネシアのビール会社。設立当初、ArchipelBrouwerij、NVというインドネシアで最初のドイツ式醸造所であった。その後、オランダの会社に買収され、社名はNV De OranjeBrouwerijに変更され、1970年に現在のPT Delta Djakartaになった。
1984年にはインドネシア証券取引所(IDX)に上場。IDXコードは「DLTA」であった。筆頭株主はSAN MIGUEL MALAYSIAで58.33%を保有している。また、DKIジャカルタ州政府が26.25%を保有している。
1997年には醸造所を北ジャカルタの元の拠点から西ジャワのブカシに移転。より大きく、より近代的な施設に移転する積極的な拡張計画に着手した。DLTAの主力ブランドは「Anker」、「Carlsberg」、「San Miguel」と「Kuda Putih」で、国内市場向けの高級ビールを製造。北スマトラのメダンからパプア州のジャヤプラまでの全国的ディーラーネットワークで販売。2020年の売上高は5,463億ルピアであった。
出典:https://www.deltajkt.co.id/
https://www.idx.co.id/StaticData/NewsAndAnnouncement/ANNOUNCEMENTSTOCK/From_EREP/202106/0e141a9274_a2f1aa1583.pdf
インドネシア在住のインドネシア人。観光ガイドと通訳者を務め、インドネシアの観光地を日本語で案内している。日本語学科の大学を卒業し、邦人対応観光ガイド・国際イベントでの日本代表団担当連絡係員・通訳者・日本領事事務所長の地元アシスタントを経験。