【最新版!】アメリカの主要化粧品メーカー14選〜製造業界〜

米国のビューティー・パーソナルケア製品市場は、新型コロナの影響で2020年と2021年は低調だったが、その後は回復が予想されています。スタティスタ・マーケット・インサイトによると、2024年の売上高は100億2,700万ドル、2028年には110億2,800万ドルに達すると予測されています。

今回は、アメリカの主要化粧品メーカーに焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて14社を厳選してお届けします!それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。

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目次

アメリカの主要化粧品企業10選〜ローカル編〜

Estée Lauder Companies Inc.エスティ ローダー カンパニーズ Inc.)

1946年にニューヨーク州で設立された、主にスキンケア、メークアップ、フレグランス、ヘアケア製品を製造・販売する世界有数の多国籍化粧品メーカー。会社名は創業者の名前に由来し、現在も同族経営を続けている。現在の本社所在地は、ニューヨークのフィフス・アベニュー。

創業当初は、マンハッタンの美容室でスキンクリームを販売していたが、翌年にニューヨークの高級百貨店であるサックス・フィフス・アベニューから現在の価値で1万米ドル分の受注を受け、事業が拡大していった。

数々の有名ブランドを約150ヵ国の国と地域で販売している。主な保有ブランドは、エスティローダー、クリニーク、オリジンズ、MCA、ジョー・マローン・ロンドン、ザ・オーディナリーなど。

2022年度の売上高は177億米ドル、営業利益は31億7,000万米ドルであった。売上の約半分をスキンケア商品が占める。6万名以上の従業員を雇用し、そのうち女性の比率は81% (2022年現在) 、副社長以上のポジションでは57%である。

出典: https://www.elcompanies.com/en

Coty Inc.(コティ Inc.)

1904年にフランス・パリで創業したアメリカの多国籍化粧品メーカー。社名は創業者の母親の名前をベースに名付けられた。現在の本社はアメリカ・ニューヨーク州である。ニューヨーク証券取引所に上場している。

創業時はパリで香水を製造・販売していたが、ヘアケア、ネイル、スキンケア向けの商品を拡大している。

2016年にP&Gより43ブランドを買収し、ヒューゴ・ボス、カバーガール、マックスファクターも取得した。それに伴い、香水で世界1位、プロ向けヘアカラー&スタイリング剤で2位、化粧品で3位となった。

2022年度の売上高は約53億米ドルで、対前年度比15%増と2桁成長となった。これは、商品カテゴリーの拡大とプレミアム化戦略によって免税店販売の売上が倍増したこと、高インフレ環境をうまく管理し続けているブラジルでの2桁成長、そして米国での継続的な勢いが収益の改善につながった。

出典:https://www.coty.com/

Anastasia Beverly Hills, LLC(アナスタシア ビバリー ヒルズ LLC)

アメリカ・ビバリーヒルズで美容サロンを経営するアナスタシア・ソアレが開発した、アイブロウ商品およびアイブロウ美容を販売する企業。1997年に自身のサロンでブランドを立ち上げた。

創業者であるアナスタシアは、眉の黄金比に基づいたアイブロウ・メイクアップメソッドを最初に生み出し、その関連商品を販売している。カーダシアン一家、カイリー・ジェンナー、ビクトリア・ベッカムなどの有名インフルエンサーが愛用していることで、トレンドを形成し事業が成長していった。

メイクアップ化粧品を広く販売しているが、最も有名なのはペンシル、パウダーなどのアイブロウ商品。最近ではハリウッドブロウを作るためにアイブロウワックスを販売している。売上高は公開されていないが、調査会社によると2022年度の売上高は360万米ドル。

出典:https://www.anastasiabeverlyhills.com/とhttps://www.zippia.com/anastasia-beverly-hills-careers-389364/revenue

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The Procter & Gamble Company(プロクター&ギャンブル カンパニー)

1837年創業の、洗剤や化粧品などの一般消費財を製造販売する一般消費財メーカー。本社所在地は、創業の地でもあるオハイオ州シンシナティ。ウィリアム・プロクターとジェームス・ギャンブルが石鹸を販売することで、事業をスタートさせた。約170ヵ国で事業を展開している。マーケティングを重要視している企業として知られている。

5つのカテゴリー (ビューティー、グルーミング、ヘルスケア、ファブリック&ホームケア、子供・女性・ファミリーケア) に分かれており、ビューティー部門 (ヘアケア&化粧品部門) は2022年度の売上高の18%、純利益の22%を占めている。

2022年度の販売高は801億8,700万米ドルで、対前年度比5%増。純利益は、147億1,300万米ドルで、3%増であった。ビューティー部門の主なブランドは、オレイ、SK-II、ハーバルエッセンス、パンテーンなど。

出典:https://us.pg.com/

Mary Kay Inc.(メアリー ケイ Inc.)

1963年にテキサス州ダラスで創業したマルチレベルマーケティングの化粧品会社。世界約40ヵ国に数百人の独立系販売員を擁している。社名は、創業者メアリー・ケイ・アッシュに由来。現在の本社所在地は、同州アディソン。

女性の自立とエンパワーメントをビジネスの目標として掲げ、事業をスタートさせた。当時のバスルームの配色が主に白であったことから、バスルームに置きやすいピンク色が同社のメインカラーとして商品パッケージに選ばれた。

本社では1,200名以上の従業員を雇用し、自社製造施設では650名以上の従業員が週6日、24時間体制で働いている。研究所も保有し、多くの博士の学位保有者がスキンサイエンスを研究している。売上高は公表されていないが、調査会社によると2022年度の売上高は30億米ドルであった。

出典:https://www.marykay.com/とhttps://www.zippia.com/mary-kay-careers-30490/revenue/

Seed Beauty(シード ビューティ)

2014年創業の化粧品会社。元々はグローバルブランドの外部サプライヤーであったが、ネルソン兄妹が経営転換を行い、自社ブランドを立ち上げ直接消費者へ販売するようになった。本社所在地はカリフォルニア州オックスナード。

創業当初から運営するブランドであるカラーポップ・ビューティや、フォース・レイ・ビューティ、SOLボディなどを成長させている。旗艦ブランドであるカラーポップ・ビューティは、100%無農薬、適正な価格で販売することに重点を置いている。リップティントやカラーパレットが有名で、多くのインフルエンサーから指示を得ている。

カラーポップの姉妹ブランドであるフォース・レイ・ビューティはスキンケアを主に展開しており、100%クルエルティフリー、ヴィーガン、植物成分から成る処方で作られた化粧品を販売している。売上高は公表されていないが、調査会社によると直近の売上高は524万米ドル。

出典:https://seedbeauty.com/とhttps://www.zoominfo.com/c/seed-beauty/369306731

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e.l.f. Beauty Inc(エルフ ビューティ Inc)

2004年創業のカリフォルニア州オークランドに本社を構える化粧品企業。宣伝費を出来るだけ抑え、クリーンでクルエルフリーの商品を低価格で提供することをミッションとしている。ニューヨーク証券市場に上場。

保有するブランドは、旗艦ブランドであるe.l.f.コスメティックの他に、e.l.g.スキン、アリシア・キーズと共同開発したKeys Soulcareなどがある。調査会社ニールセンによる調査で、アメリカのマス化粧品ブランドとして2022年に初めて3位にランキングされた。オンライン、アメリカの大手美容小売店、量販店、専門店が主な販路である。

2023年度の売上高は5億7,880万米ドルで、前年度比48%増となった。これは、主に小売店およびECの好調によるものである。調整後EBITDAは1億1,680万米ドルで、これは売上高の20%にあたり、前年度比56%増となった。

出典:

Bath & Body Works, Inc.(バス&ボディ ワークス Inc.)

オハイオ州コロンバスに本社を構えるオリジナル化粧品、ホームフレグランスを販売するグローバル企業。ニューヨーク株式市場に上場しており、S&P500の構成銘柄である。元々は女性用下着チェーンであったヴィクトリアズ・シークレットも運営していたが、現在は投資会社に一部売却しており、現在は主にバス&ボディ・ワークスのみを運営している。アメリカとカナダで1,800店舗以上を運営しており、海外でも427店舗をフランチャイズ展開している。

企業理念として「フレグランスの力で顧客に喜びをもたらし、世界を明るい場所にする」と掲げている通り、全ての商品で様々な香りのバリエーションを展開している。主力商品は、フレグランスミスト、ボディローション、ボディクリームで、コロナ禍によりハンドソープやハンドサニタイザーも伸長した。

2022年度の売上高は75億6,000万米ドルで、対前年度比4%減。営業利益は、13億7,600万米ドルで32%減であった。前年度 (2021年度) は減収減益だが、コロナ禍前の2019年度よりは増加していた。これは、コロナ禍により同社の需要が2021年度は急上昇したが、それが2022年度は正常化し、さらにコロナ禍前よりも事業が成長したと考えている。

出典:https://www.bbwinc.com/

Nu Skin Enterprises, Inc.

1984年創業の、約50ヵ国で事業を展開しているマルチレベルマーケティングのビューティー&ウェルネス企業。ニューヨーク証券取引所に上場している。本社所在地は、ユタ州プロボ。約3,800名の従業員を雇用している。

事業はパーソナルケア、ニュートリション、美容機器の3つに分かれている。美容機器は評価が高く、ユーロモニターの調査で美容機器ブランドとして世界1位を5年連続で受賞している。社会貢献に力を入れている。20以上の社会的プロジェクトを運営し、8億食の食事を慈善団体を通じて提供している。

2022年度の売上高は22億3,000万米ドルで、対前年度比5%減であった。販売先の内訳は、多い順からアメリカ23%、中国16%、東南アジア16%、韓国12%、日本10%とほとんどがアジア地域から成る。そのため、為替の変動により売上が減少したと報告している。

出典:https://www.nuskin.com/us/en/

Olaplex Holdings, Inc.(オラプレックス ホールディングス Inc.)

2014年に創業した高級ヘアケア商品をを販売する美容企業。科学的根拠に基づいた商品開発を行っており、特許で保護された実証済みの効果的な商品を提供している。ナスダック上場企業。本社所在地は、カリフォルニア州サンタバーバラ。

同社の技術の要は、ビスアミノと略される独自成分ジマレイン酸ビス-アミノプロピリジグリコール。関連技術も含め特許で保護している。創業当初は、プロフェッショナル向けにのみ販売していたが、化粧品専門店、DCチャンネルを通じて一般消費者にも販売されるようになった。

2022年度の売上高は7億430万米ドルで、対前年度比17.7%増であった。これは、アメリカでの売上が+15.4%、海外での売上が+20.9%伸長したことによる。チャネルでは、化粧品専門店での販売が+33.9%と大きく伸びた。調整後EBITDAは4億2,910万米ドルと+5.0%であった。

出典:https://ir.olaplex.com/

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アメリカの主要化粧品企業2選〜日系編〜

Shiseido Company, Limited(株式会社資生堂)

1872年に民間洋風調剤薬局として東京・銀座で創業した日本の多国籍化粧品メーカー。現在の本社所在地も東京。約120ヵ国の国と地域で事業展開している。従業員数は3万3,414名。アメリカでは、Shiseidoブランドの他に、+22%と大きく成長しているNARSなどを展開している。

2022年度の総売上高は1兆100億円で、対前年度比5.6%増。EBITDAは945億円で、同8.3%増であった。中国が厳しい市場環境で、シェアは拡大したものの出荷減。欧米は好調が継続し、他市場の業績をカバーした。円安に伴い、為替ポジティブも影響した。

2022年度の米州は、対前年度比9%増、コロナ禍前の2019年度と比較し26%増であった。NARSブランドがけん引しており、シェアを継続的に拡大している。今後、NARS、Shiseidoに加え、Drunk Elephantをコアブランドとして継続強化すると発表している。

出典:https://corp.shiseido.com/jp/

KOSE Corporation(株式会社コーセー)

1946年に東京都北区で創業した日本の多国籍化粧品メーカー。現在の本社所在地は東京都中央区。アメリカの自然派化粧品メーカーTarte (タルト) Incを買収し、欧米他に展開している。主な保有ブランドは、アルビオン、DECORTE、雪肌精など。

2022年度の総売上高は2,891億円で前年度比7.5%増。これは、中国のゼロコロナ政策の影響を受けたものの、日本のハイプレステージおよびTarteがけん引したことによる。北米の2022年度の売上高は401億円で、対前年度比22.7%増。これは、底堅い個人消費と円安効果によるものである。

特に、ギフト商品の拡売やSNSによるプロモーションに成功し、ホリデーブランドとしての存在感が向上している。特に、小売りのULTAにおけるホリデー商戦が実績を牽引した。

出典:https://maison.kose.co.jp/

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アメリカの主要化粧品企業2選〜外資系編〜

L’OREAL S.A.(ロレアル S.A.)

1909年に化学者ージェンヌ・シュエレールが創業した、世界最大のグローバル化粧品メーカー。創業時は、ヘアカラーを販売するメーカーであった。現在は、8万7,400名の従業員を抱え、150以上の国と地域で事業を展開している。本社所在地は、創業の地でもあるフランス・パリ。

有名な36のグローバルブランドを保有している。ロレアル・パリ、メイベリン・ニューヨーク、ランコム、ビオテルム、アメリカ創業のキールズ、日本創業のタカミ、プロフェッショナル向けヘアケアブランドのケラスターゼ、ダーマトロジカルブランドのラ・ロッシュ・ポゼ、セラヴィなどである。多くが買収により取得したブランドである。

2022年度の売上高は382億6,000万ユーロで、対前年度比+18.5%であった。営業利益は74億5,000万ユーロで、21.0%増。ヨーロッパ、北アジア、北アメリカで約3割ずつ占める。11ヵ国に20か所の研究センターを有し、4、000名以上の研究者と5,500名以上の技術・デジタル専門家を有している。

出典:https://www.loreal.com/en/

Natura &Co(ナチュラ &Co)

1969年創業のブラジルの化粧品メーカー。100ヵ国以上の国で2,300以上の店舗を運営し、3万2,000人以上の従業員を雇用している。また、世界最大のBコープでもある。保有ブランドは、エイボン、ナチュラ、ザ・ボディショップ。

スキンケアブランドであるイソップも同社のブランドであったが、2022年4月に25億2,500万米ドルでロレアルへ売却することが発表された。イソップは、ナチュラ&Coの傘下に入った10年間で総売上高が2,800万米ドルから5億3,700万米ドルと大きく成長した。

グループ全体の2022年度の売上高は363億レアルで、前年度比9.5%減であった。これは、営業通貨の一部 (特に英ポンド、豪ドル、アルゼンチンペソ) がブラジルレアルに対し下落したためである。さらに、世界的なインフレや為替の逆風により、調整後EBITDAは32億レアルと前年度比23.7%と減少した。

出典:https://www.naturaeco.com/

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