アメリカの2024年のインフレ率は3%以上であり、物価の上昇が続いています。高金利とインフレにもかかわらず、消費者支出は予想を上回るペースで成長しています。
この記事では、化粧品、美容、トイレタリー(日用品)、文房具・事務用品、自動車、バイク業界を中心に、統計データを用いてアメリカの製造業(食品以外)最新情報をお届けしていきます!
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アメリカの化粧品事情〜統計データ〜
美容・パーソナルケア商品の オンラインショッパー
美容・パーソナルケアは世界的に急速に成長しているマーケットである。美容・パーソナルケア業界の収益は、2021年に5,000億ドル以上に達した。 また、この業界の年間複利成長率は4.76%と予想されている。
米国Amazonのリサーチによると、 化粧品・ケア商品はオンラインで商品を購入されることが増えており、各メジャーブランドは広告などを通し買い物客の記憶に残る機会を得ている。オンラインで商品を購入する28%の顧客は、低価格を求め、24%は実店舗での買い物を避けたいためにオンラインで買い物をする。
21%は実店舗では通常取り扱いのない、見つけにくいブランドや商品を探す。そして、39%はオンラインで購入できる商品を探していると答えた。
出典:Amazon ads
美容・パーソナルケア商品は 計画的な購入か衝動買いか
美容・パーソナルケア市場において、Amazonは販売者として大きなシェアを持つ。 Amazonの美容カテゴリには、一般的な美容ブランドと高級美容ブランドどちらも含まれ、化粧品、ヘアケア、スキンケア、フレグランス、美容家電、ネイル用品など幅広く扱われている。
オンライン美容品の購入の45%は半計画的である。半計画的な購入には、「ある製品を購入したいが正確にどれが分からなかった」、または「購入したいブランドや製品は知っていたがどのモデルが自分に良いのか分からなかった」なども含まれる。
高級スキンケアの買い物客の84%は、そのブランドの広告を見た記憶がある。高級スキンケアの買い物客の2人に1人は、AlexaやFire TVなどのAmazonデバイスを所有している。美容・パーソナルケア商品の買い物客は、「保湿」がスキンケアの最大のニーズであると答えた。
出典:Amazon ads
アメリカの美容事情〜統計データ〜
マッサージ療法の市場調査結果
2022年の調査結果によると、家に18歳未満の子供がいる消費者は、家に子供がいない消費者よりもマッサージを受ける割合が高かった。また、収入は消費者がマッサージを受ける確率に影響を与えている。
2022年、収入10万ドル以上の人のうち43%がマッサージを受けたのに対し、収入5万ドル以下の人のうちマッサージを受けた人はわずか18%だった。マッサージを受ける場所としては、スパが42%と最も高く、続いてマッサージ士のオフィス、マッサージのフランチャイズまたはチェーンと続く。
そして、マッサージ利用者全体の48%が、健康とウェルネスを理由にマッサージを受けたと回答している。しかし、2021年34%の人が自分への贅沢の為にマッサージを受けたと答えたのに対し、2022年はわずか18%だった。
出典:全米マッサージ療法協会
医療美容業界の平均収益
医療美容業界は7万人を雇用する150億ドル規模の産業に成長した。2022年には8,841の医療スパがあり、2021年の7,430、2018年の5,431から各段に増加している。
また、平均年収も増加しており、2022年のメディカルスパの平均年間収益は1,982,896ドル。2021年は1,722,551ドル、2018年は1,526,382ドルだった。2020年の経済は困難な状況にあったが、エステティック業界は回復力を示し、新型コロナウイルス感染症以前の予測に沿って好調を維持している。
なお、市場調査員は調査データ(患者の平均来院数、患者あたりの支出、2021年と2020年に報告された典型的な医療スパの年間収益、支出、患者の人口統計など)を取得し、それを他の公的に利用可能なデータ ソース(国勢調査)と組み合わせた。
出典:全米医療美容協会
アメリカのトイレタリー(日用品)事情〜統計データ〜
P&G 事業セグメント別売上高
トイレタリー業界、全米トップクラスの規模を誇るP&Gの事業セグメント別売上高の統計データ。1位は、35%で、ファブリック&家庭用品。洗濯用洗剤や食器用洗剤などが含まれる。
代表的な製品には、ダウニーやアリエールなどが挙げられる。2位は、25%で子供用品。ティッシュ、トイレットペーパーやおむつ、大人用おむつも含まれる。代表的な製品にはパンパースやBountyが挙げられる。3位は、18%で美容。シャンプーなどのヘアケアや日焼け止めなどのスキンケア商品が含まれる。4位は、14%で健康商品。歯磨き粉などのオーラルケアや痛み止めやサプリなどが含まれる。5位には、8%でグルーミング。髭剃りや男性用・女性用カミソリを含む。
出典:P&G
米国トップティッシュ企業のEBITDAパフォーマンス
Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortizationの略で、企業の財務健全性と収益性を評価する際に使われる指標の一つであるEBITDAパフォーマンスを全米トップティッシュ企業5社で比較。
前年の平均が12%だったのに対し、2020年には平均が17%と5%アップ。最も伸びが顕著だったのは、Clearwater社で、10%パフォーマンスが増加している。Cascadesも同様に、7%パフォーマンスを伸ばしている。
全体的に、トップ5社ではパフォーマンスが下がった企業はいなく、新型コロナウイルスの影響でおうち時間が増えたことや清潔感に対する意識が上がったこと、需要と供給のバランスに変化があったことが大きな要因として挙げられる。P&Gが最も高く、25.0%を記録。次いでKCが20.0%、Clearwaterが17.0%、Krugerが14.0%、Cascadesが11.0%となった。
出典:Tissue World
アメリカの文房具・事務用品事情〜統計データ〜
文房具店の店舗数推移
文房具は米国ではSchool SupplyやOffice Supplyにと呼ばれ、筆記具、ノート、糊、ハサミ、ファイルなどの文具が含まれる。米国では小学校から高校まで、学校から”School Supply list”と呼ばれる個人で用意する文房具リストが渡され、保護者や学生はリストをもとに新学期に必要なものを買いそろえるのが一般的である。
過去10年間、2013年-2023年で全米で17歳までの子供の人口は1.1%増加。コロナ禍を除きSchool supply listの中身やボリュームに変化はないが、School SupplyやOffice Supplyを扱う文具店は毎年減る傾向にあり、店舗数は2013年から2023年までに全米で600店舗以上、40%の減少となった。時代とともに、文具もオンラインでの購入に移行されつつあると見られる。
出典:Federal Reserve Bank of St. Louis & Federal Interagency Forum on Child and Family Statistics
物価高騰と文房具購入動向
米国の消費者物価指数は過去10年間において、毎年1~8%づつ上昇しているが、米国労働統計局の調べでは、文具・School Supplyの価格は過去2年間で24%上昇したことが分かった。全米小売業連盟によると、近年では多くの保護者や学生は計画的にBack to Schoolセールイベントで学校で必要なものの買い物をする。
さらに、デロイトの調査によると、今年は69%の人がAmazonプライムデーのセール中にSchool Supply商品をお得に買えるかチェックしたというデータがあり、物価高騰により、消費者動向に変化がみられる。また、学校側でのSchool Supply購入動向として、米国の最大規模の教育機関100 社のうち 80% が Amazon Businessを使用しているという。Amazon Business を利用することで、個人購入よりも安く、まとめ買い割引があり、請求書でのやりとりをする事ができるメリットがある。
出典:Amazon business, SSA.gov & NPR
アメリカの自動車事情〜統計データ〜
電気自動車の販売台数と未来予想
米国における電気自動車の販売は、2011年の販売全体のわずか0.2%から、2021年には4.6%まで増加した。近年の政府政策と自動車製造業界の急速な変化を考慮すると、今後10年のEV普及率の予測は大幅に加速すると予想されている。2030年までに総販売の40%~50%を超えると予測されている。
EVに対する消費者の需要はここ数年で大幅に増加し、2011年から2021年の10年間に、22,000台から200万台強に急増した。航続距離の不安が、消費者が長い間EVの購入を思いとどまらせてきたが、バッテリーの容量と航続距離は大幅に向上しており、2011年の1 回の充電での走行距離の中央値 68マイルから2021年には234マイルにも伸びた。
また、2021年11月に署名されたインフラ投資・雇用法は、全国的な充電ネットワークの構築に75億ドルを割り当てた。これにより、バッテリーの航続距離に対する不安が軽減され、長距離移動が可能になる。法案には、EVの普及に伴う電力需要の増加に対応するための鍵となる国内の送電網をアップグレードし、国内のバッテリー生産とリサイクル能力を拡大するための大規模な投資も含まれている。
出典:U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS
自動車整備士の労働統計
アメリカで自動車サービス技術者および整備士の数は現在664,070人で、雇用の0.5%の産業である。平均時給は23.89ドル、平均年間賃金は49,690ドルとなっている。ちなみにアメリカ全体での平均賃金は69,717ドルである。アメリカで自動車サービス技術者および整備士の業界図としては、自動車ディーラーが250,680人と一番高く、続いて自動車の修理とメンテナンス会社が234,810人、自動車部品、アクセサリー、タイヤの小売業者が51,430人と続く。
自動車サービス技術者および整備士の給与が最も高い業界としては、電気通信で平均年賃金は91,870ドルである。続いて、自動車サービス技術者および整備士の雇用が最も高い州はテキサス州(61,200人)、続てカリフォルニア州(60,500人)、フロリダ州(48,650人)、ペンシルベニア州(31,580人)、ニューヨーク州(30,750人)である。
また、自動車サービス技術者および整備士の給与が最も高い州としては、コロンビア特別区が年間平均賃金61,090ドルと最も高く、続いてアラスカ州60,640ドル、カリフォルニア州58,980ドル、ワシントン州56,260ドル、ニュージャージー州55,100ドルと続く。
出典:U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS
アメリカのバイク事情〜統計データ〜
オートバイによる死亡事故
アメリカで登録されるバイクの割合は、登録車両数全体の3%に過ぎない。それにもかかわらず、2021年におけるバイク死亡事故の交通事故死亡者数全体に対する割合は14%にも上る。バイクによる死亡事故数はコロナ禍にもかかわらず、2020年から2021年にかけて8%増加している。
過去10年間のデータからは、バイク事故による死亡者数は19%増加し、死亡率は29%増加している。コロナ禍によって、バスや電車などの不特定多数が乗り合い乗車する移動交通手段が敬遠され、バイクの購入者数も増加した。事故の多いフロリダ州をはじめとする27州ではヘルメット着用は任意。カリフォルニア州をはじめとする20州では着用が義務付けられている。
全米平均では10年間で任意を含めてのヘルメット着用率は50%が70%まで向上したが、死亡事故を母集団とすると事故の38%がヘルメット未着用であった。
出典:全米安全評議会(The National Safety Council)
バイクの安全データ
2020年から2021年にかけて、バイクによる事故のうち致命的ではない負傷者数は5%増加している。ただし負傷率でみてみると4%減少している。これはコロナ禍によりバイクの利用度が高まったことで母集団が増えたことに原因がある。
バイクの登録率は2007年から2021年の長いレンジで見れば38%増加しているが、同じように2007年から2021年のレンジでバイクの利用具合を見る「車両走行距離」をみると8%減少していた。これがコロナ化を経て、2021年以降は回復傾向がみられる。バイクにもABSなどの安全走行のための新技術が装備され、また、ヘルメットなどは厳しい安全基準をクリアするものへと技術革新された。
バイクの利用率が増加し、走行距離が伸びたとしても、これらの最新技術による安全対策が死亡率や死亡者数を抑え込んでいるのは間違いない。バイク登録者数が多いカリフォルニア州やフロリダ州の死亡事故数が目立つが、全体としては負傷者数は20%減少し、負傷率は17%減少している。
出典:アメリカ運輸省統計局(The Bureau of Transportation Statistics)
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。