アメリカの文房具・事務用品業界は、老舗文具メーカーからテープ・接着剤大手、クレヨンブランドまで多様な企業が並ぶ市場です。オンライン学習や在宅ワークの定着を背景に、主要企業は商品ラインアップの見直しを進めています。
今回は、そんなアメリカの文房具・事務用品業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて14社の最新情報をお届けしていきます!
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アメリカの主要文房具・事務用品企業7選〜ローカル編〜
Westcott Rule (ウェストコット・ルール)
1872年にニューヨーク州セネカフォールズで創業した定規・裁断用具の老舗ブランドである。1970年代に上場企業Acme United Corporation(NYSE American:ACU、本社コネチカット州)の傘下へ入り、現在も北米で高いブランド力を保つ。
Westcottははさみ・定規・鉛筆削りなどを主力とし、Staplesなど大手小売や学校・オフィス向けに供給する。人間工学デザインのはさみやチタンコート刃など製品開発でも知られる。
親会社Acme Unitedの2024年12月期売上高は前年比2%増の1億9450万ドル、純利益は1002万ドルと過去最高を更新した。2024年5月にはElite First Aidを買収し、応急手当分野も強化している。
Westcottブランドは同社の中核事業の一つであり、First Aid OnlyやClauss、DMTなどと並ぶ主要ラインを構成する。参照時点は2026年7月。
出典:https://www.westcottbrand.com/
Newell Custom Writing Instruments (ニューウェル・カスタム・文房具)
1857年にインクと糊を扱うSanford Manufacturing Companyとして創業した筆記具事業で、現在は米消費財大手Newell Brands(NASDAQ:NWL)の傘下にある。主力ブランドは油性ペンのSharpie、ボールペンのPaper Mate、ホワイトボードマーカーのExpo、高級筆記具のParkerとWatermanである。
製造はジョージア州アトランタを中心に行い、英国やカナダ、メキシコ、ドイツなど海外にも拠点を持つ。ドイツの製図機器Rotring、修正用品Liquid Paper、ラベル機Dymoなども同系列に含まれる。
親会社Newell Brandsの2024年12月期売上高は約76億ドルであった。筆記具を含むLearning & Development部門は第4四半期に販売が改善し、通期でコア売上がプラスへ転じた。
正規化後の粗利益率は34.1%へ改善し、財務体質の立て直しが進む。参照時点は2026年7月。
出典:https://newellbrands.com/our-brands
Crayola (クレヨーラ)
1885年創業のBinney & Smithを前身とし、2007年に社名をCrayolaへ変更した画材大手である。1903年に子ども向けの安全なクレヨンを発売して以来、米国世帯の認知率は99%とされ、世界80か国以上で製品を販売する。
1984年からはグリーティングカード大手Hallmark Cardsの完全子会社であり、ペンシルベニア州イーストンに本社と主力工場を置く。色鉛筆・マーカー・絵具・粘土・塗り絵などを幅広く手掛け、いずれも無毒で子どもが安全に使える原料で製造している。
製造の中心はペンシルベニア州で、カナダ・オンタリオ州やメキシコにも工場を持つ。色鉛筆はブラジルの専用工場で生産する。
2026年に向けても新製品ラインを発表し、環境配慮型の取り組みを続けるなど、教育・クリエイティブ市場での存在感を保っている。参照時点は2026年7月。
出典:https://www.crayola.com/
Elmer’s Products (エルマー)
接着剤ブランドの草分けで、1947年にボーデン社が最初の「エルマー」ブランド製品を発表したことに始まる。1994年にボーデンの再編でスピンアウトし、学校・家庭向け接着剤に注力してきた。
2015年に消費財大手Newell(現Newell Brands)が約6億ドルで買収し、現在は同社の学習・工作分野の中核ブランドとなっている。白のスクールグルーやグルースティックのほか、瞬間接着剤Krazy Glue、切削工具X-Actoなどを擁する。
近年はスライム人気を背景に、暗所で光るグルーなどDIY・工作需要向けの新製品を投入している。動物由来のカゼインは使わず、洗濯で落ちる安全設計を守る。
親会社Newell Brandsの2024年12月期売上高は約76億ドルで、Elmer’sは学習・開発部門に属する。参照時点は2026年7月。
出典:https://www.elmers.com/
3M (スリーエム)
1902年にミネソタ州で採掘会社として創業した多国籍複合企業である。現在はセロファンテープ(スコッチテープ)や付箋のPost-it、ラミネート用品、壁掛けフックなど、文房具・事務用品分野でも定番ブランドを多数展開する。
2024年4月にヘルスケア事業をSolventumとして分離・独立させ、事業ポートフォリオを再編した。分離後の2024年12月期の売上高は約246億ドルで、消費財事業にPost-itやScotchが含まれる。
毎年多数の特許を取得する技術志向の企業として知られ、世界70か国以上で事業を展開する。
Solventum分離により素材・産業・消費財に事業を集中させ、収益性改善を進めている。文房具領域では引き続き粘着技術を核とした製品が強みである。参照時点は2026年7月。
出典:https://www.3m.com/
Dixon Ticonderoga (ディクソン・タイコンデロガ)
1795年に創業し、現在はフロリダ州ヒースローに本社を置くオフィス製品・画材メーカーである。黄色いNo.2鉛筆(日本のHB相当)の代名詞的存在として米国で広く知られる。
2005年にイタリアの学用品・画材大手F.I.L.A.(Fabbrica Italiana Lapis ed Affini、ミラノ証券取引所上場)に買収され、同グループの北米事業を担う。鉛筆はイタリア・フランス・ドイツ・アジア・南米でも製造販売される。
FILAグループの2024年12月期売上高は約6億1300万ユーロ、従業員は約3300人であった。北米はSAP物流システム刷新の影響もあり、2024年は有機ベースで前年を下回った。
グループはLYRAやDaler-Rowney、Cansonなど多数の画材ブランドを抱え、Ticonderoga鉛筆はその中核商品である。参照時点は2026年7月。
出典:https://dixonticonderogacompany.com/
Mead (ミード)
1846年にオハイオ州デイトンで製紙業として創業し、ノート・バインダー・プランナーなど学用品・事務用品で知られるブランドである。黒いコンポジションノートは米国の定番文具として親しまれてきた。
度重なる再編を経て、学用品のMead部門は事務用品大手ACCO Brands(NYSE:ACCO)の傘下に入った。ACCOはFive StarやAT-A-GLANCE、Swingline、Mead、Leitzなど多数のブランドを保有する。
ACCO Brandsの2024年12月期売上高は前年比9.1%減の16億7000万ドルで、のれん減損などにより1億160万ドルの純損失を計上した。一方でコスト削減を進め、2026年末までに累計1億ドルの削減を目指す。
主力はノート・フォルダ・バインダー・カレンダーなど学校・オフィス向け製品で、欧州やアジアにも展開する。参照時点は2026年7月。
出典:https://www.mead.com/
アメリカの主要文房具・事務用品企業3選〜日系編〜
Pilot Corporation (株式会社パイロットコーポレーション)
1918年に東京で創業した筆記具メーカーで、東京証券取引所プライム市場に上場する(証券コード7846)。1926年にはボストンに海外事務所を設けるなど早くから国際展開を進めてきた。
世界で初めて消せるボールペン(FriXionシリーズ)を実用化した企業として知られ、ゲルインキのG2やドクターグリップなど、学校・オフィス向け筆記具を主力とする。北米本社はフロリダ州ジャクソンビルにある。
連結ベースの2025年12月期の売上収益は約1264億円、純利益は約121億円で、堅調な業績を維持している。ホワイトボードマーカーやシャープペンシルも展開する。
高級万年筆も手掛けるが、米国では日常筆記具としての存在感が大きい。参照時点は2026年7月。
出典:https://pilotpen.us/
Tombow Pencil Co.,Ltd. (株式会社トンボ鉛筆)
1913年に東京で創業した鉛筆メーカーの草分けで、鉛筆のほかマーカー・接着剤・粘着テープ・ボールペン・修正テープなど幅広い筆記・事務用品を手掛ける。1939年には製造と販売を法人化した。
米国では1983年にカリフォルニア州へ現地法人を設立し、2003年にジョージア州スワニーの施設へ移転した。米国拠点の従業員は約45名規模とされる。
日本では消しゴムのMONOシリーズが著名だが、鉛筆・消しゴムの使用頻度が低い米国では修正テープ(MONO correction tape)が最も人気の高い製品となっている。美術用筆記具や工芸品制作器具なども展開する。
非上場企業のため詳細な財務は非開示だが、2020年代も北米で文具・美術用品ブランドとして安定した販売を続けている。参照時点は2026年7月。
出典:https://www.tombowusa.com/
Zebra Co., Ltd. (ゼブラ株式会社)
1914年に東京で創業したゼブラ株式会社は、自家製ペン先の製造から出発した筆記具メーカーである。1959年に最初のボールペンを製造・販売し、1982年に米国へ進出した。
米国本社はニュージャージー州エジソンにあり、カナダ・インドネシア・中国・メキシコ・英国などにも拠点を持つ。米国では油性ペンよりもボールペンが主力で、Z-GripやSarasa(サラサ)シリーズがスーパーやコンビニでも流通する。
日本で著名な複合ペンのシャーボや油性ペンのマッキー、折れないシャープのデルガードは米国での知名度は限定的だが、ジェルボールペンを軸に着実な販売を続けている。
非上場企業で、米国事業は中小規模ながら自己表現をテーマにした製品ラインを2024年のカタログでも拡充している。参照時点は2026年7月。
出典:https://www.zebrapen.com/
アメリカの主要文房具・事務用品企業4選〜外資編〜
Société Bic S.A. (ビック)
1945年にフランス・パリ近郊で事業を興し、ハンガリーの発明家からボールペン特許を取得して1950年に「Bic Cristal」を発売した仏筆記具大手である(ユーロネクスト・パリ上場)。世界で最も売れたボールペンとして知られる。
米国へは1958年に進出し、現在の米国本社はコネチカット州シェルトンにある。筆記具のほかライターやカミソリでも世界的に有名で、160か国以上で事業を展開し、従業員は1万3000人を超える。
2024年12月期の連結売上高は約21億9700万ユーロであった。文房具を担うHuman Expression部門は約8億1390万ユーロで、比較可能ベースで0.7%増となった。
1992年に買収した修正液ブランドWite-Outも米国の事務用品市場で高いシェアを持つ。参照時点は2026年7月。
出典:https://corporate.bic.com/
Waterman Pen Company (ウォーターマン)
1884年にニューヨークで創業した高級万年筆・インクの老舗で、現存する筆記具ブランドの中でも屈指の歴史を持つ。パーカーやシェーファーとの競争の末、1954年に米国本社を閉鎖し、繁栄した仏子会社が本体を吸収してフランス企業となった。
2000年以降は米消費財大手Newell Brandsの傘下にあり、同社の高級筆記具ポートフォリオを構成する。本社機能はフランス・パリに置かれる。
製品は高級万年筆やボールペン、替え芯などが中心で、米国ではコロラド州を拠点に流通する。日常筆記具というより、贈答・記念品向けのプレミアム筆記具として位置づけられる。
親会社Newell Brandsの2024年12月期売上高は約76億ドルで、Watermanは筆記具事業に属する。米国製の耐久性と仏流のエレガンスを併せ持つブランドとして支持を集める。参照時点は2026年7月。
出典:https://www.waterman.com/
Staedtler Mars GmbH & Co. KG (ステッドラー)
1835年にドイツ・ニュルンベルクで創業した老舗の総合文具メーカーで、製図機器を含む筆記具・画材・事務用品を幅広く製造・販売する。ブランド名の「マーズ」は古代ローマの軍神に由来する。
米国へは1922年に子会社を設立し、北米本社はカナダ・ミシサガに置いて米・加・墨を統括する。世界に9つの製造拠点と26の子会社を持ち、150か国以上で製品を販売、従業員は2200人を超える。
日本には1926年に進出し、1974年にステッドラー日本を設立した。製図用筆記具を中心に高い人気を持つ。米国でも定規・コンパス・鉛筆削りなどが定番商品となっている。
モデリング粘土のFimoなど多彩なブランドを擁し、非上場企業として2020年代も欧州・アジア・北米で事業を展開している。参照時点は2026年7月。
出典:https://www.staedtler.com/us/en/
Avery Products Corporation (エイブリー・プロダクツ)
米国の事務用品ブランドAveryを展開する企業で、粘着ラベルやバインダー、仕切り(ディバイダー)、名札、ラベル作成ソフトなどを製造・販売する。そのルーツは1935年にStan Averyが粘着ラベルを発明したことに遡る。
2013年、素材科学企業Avery Dennisonから消費者・事務用品事業を分離する形で、カナダのラベル・パッケージ大手CCL Industries(トロント証券取引所上場)が買収し、Avery Products Corporationとして再編した。
本社機能は親会社CCLのもとトロントおよびマサチューセッツ州フレーミンガムに置かれ、家庭用プリンタで印刷できる宛名ラベルや名刺、学校・オフィス向けのバインダー・仕切りなどを幅広く供給する。
家庭のプリンタで手軽に出力できるラベル・カード類は、2020年代の米国の学校やオフィスでも定番の必需品として広く使われている。参照時点は2026年7月。
出典:https://www.avery.com/
FAQ
アメリカの文房具・事務用品市場の現状と特徴は何ですか?
2023年現在、アメリカの文房具・事務用品市場の規模は約60億米ドルで、企業数は382社です。パンデミックの影響で売上は2018年から2023年まで平均2.9%減少し、2023年前半だけで3.3%の減少となっています。大手企業は業界内での合併や買収を進めており、市場は変動しています。
アメリカの主要文房具メーカーの中でローカル企業はどこですか?
アメリカの主要ローカルな文房具メーカーにはWestcott RuleやNewell Custom Writing Instruments、Crayola、Elmer’s Products、3M、Dixon Ticonderoga、Mead、Avery Dennisonなどがあります。これらの企業は長い歴史と高いブランド力を持ち、多くの商品を製造しています。
主要な日系アメリカ企業の文房具メーカーにはどのような会社がありますか?
主要な日系アメリカの文房具メーカーには株式会社パイロットコーポレーションと株式会社トンボ鉛筆があります。パイロットは2022年に約1億6000万米ドルの収益を上げており、消せるボールペンや高品質の筆記具を展開しています。トンボ鉛筆は鉛筆や修正テープなどを米国内で販売しています。
アメリカの外資系文房具メーカーの代表例は何ですか?
外資系の代表的な文房具メーカーにはSociété Bic S.A.やWaterman Pen Company、Staedtler Mars GmbH & Co. KGがあります。ビックは1942年にフランスで創業し、ボールペンや修正液で有名です。Watermanは高級万年筆のブランドで、フランスに本社があります。ステッドラーはドイツの老舗メーカーで、日本やアメリカでも製図用具などが人気です。
アメリカの文房具メーカーの中で特に著名な企業はどこですか?
アメリカで特に著名な企業は3Mで、セロファンテープやラミネート用品、壁掛けフックなどを製造しています。また、Dixon Ticonderogaは黄色のNo2鉛筆、Crayolaは安全な子供用色彩文具、Meadは学用品を代表しています。これらは長い歴史と広い認知度を持ち、業界を牽引しています。

