最近のアメリカの旅行業界は、レジャー旅行需要の高まりとともに成長が見込まれています。パンデミック後の需要の反動が続いており、目的地での活動や多様な旅行先への関心が増加しています。また、リモートワークやハイブリッドワークの普及により、旅行の頻度や期間が延びる傾向があります。
今回は、アメリカの主要旅行会社に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社を厳選してお届けします!それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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アメリカの主要旅行会社9選〜ローカル編〜
Airbnb (エアビーエヌビー)
Airbnbは2007年に設立され、本社はアメリカのカリフォルニア州サンフランシスコにある。これまでの登録されたホスト数は400万人以上で、世界のほぼすべての国と地域で、14億回のゲストの受け入れをしてきた。
事業内容は、個人の宿泊施設(民宿・ゲストハウス・アパートメント等)を提供するオンラインマーケットプレイスの運営である。旅行者はウェブサイトおよびモバイルアプリを介して宿泊施設を予約し、ホストと直接取引することができる。また、宿泊施設だけでなく、ツアーやアクティビティの提供も行っている。
2022年の売上高は2021年に比較し46%増加し、純利益は19億ドルとなっている。また、全ホストによる通算ホスティング収入は、1,800億ドル以上となっている。「誰もがどこにでも居場所のある世界の実現」をミッションとして掲げ、2020年に「プロジェクト・ライトハウス」を発足し、Airbnbにおける人種間格差や差別に対して取り組んでいる。
出典:https://investors.airbnb.com/home/default.aspx
expedia group (エクスペディア・グループ)
expedia groupは1996年に設立し、本社はアメリカのワシントン州ベルビューにある。複数のブランドを運営しており、Expedia®、Hotels.com®、Expedia® Partner Solutions、Vrbo®、trivago®、Orbitz®、Travelocity®、Hotwire®、Wotif®、ebookers®などがある。
事業内容は、航空券、ホテル、パッケージツアー、レンタカー、アクティビティなどの旅行関連商品やサービスを提供している。ユーザーはウェブサイトやモバイルアプリを通じて予約することができる。
2022年の収益は、2021年の収益の8,598百万ドルより約35.7%増加の11,667百万ドルと、前年の収益を上回っている。expedia groupは、労働形態、人権、差別に対して取り組んでいる。特に、2025年末までに職務のレベルに関わらず、50%を女性が占めるという採用目標を掲げている。また、従業員が働きやすいような福利厚生が充実している。
出典:https://www.expediagroup.com/home/default.aspx
Internova Travel Group (インターノヴァ)
2008年に設立され、本社はアメリカのニューヨークにある。InternovaTravel Group は、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア全土など世界80カ国以上にある 6,000以上の自社、フランチャイズ、提携旅行代理店を通じて、レジャー、高級品、法人のクライアントにサービスを提供している業界最大手の旅行サービス会社のひとつである。
主要なブランドには、Travel Leaders、Tzell Travel Group、ProtravelInternational、Altour、In the Know Experiencesなどがある。これらのブランドは、航空券予約、ホテル予約、パッケージツアー、クルーズツアー、旅行保険など、多様な旅行商品やサービスを提供している。
特に、Travel Leadersの成長は著しく、2022年には、215,000件以上のリードを提供し、これは前年の2021年から43%増加し、パンデミック前の2019年の最高値から24%成長している。また、2023年の第一四半期までには97,000件のリードが提供されており、これは2022年を54%上回るペースで増加している。さらに、Travel Weeklyで2009年以降のトップ10で複数回の受賞歴がある。
出典:https://internova.com/
Fareportal (フェアポータル)
Fareportalは、2002年に設立し、本社はアメリカのニューヨークにある。北米、ヨーロッパ、アジアで事業を展開している。
また、世界中の 500以上の航空会社、100万以上のホテル、数百の自動車代理店と提携しており、オンラインとオフラインを融合させてサービスを提供しているため、「ハイブリット旅行代理店」として知られている。ブランドには、CheapOairとOneTravelがあり、個人向けに航空券、ホテル、レンタカーなどの旅行商品を提供している。また、企業向けの旅行業務代行やイベントの企画・運営などの旅行サービスも提供している。
「アメリカン・ビジネス・アワード」の受賞歴をはじめ、アメリカのオンライン旅行会社の売上高トップ5、Travel Weeklyの大手旅行会社のトップ10などにランクインし、世界で最も急速に成長している旅行会社のひとつとして認知されている。
出典:https://www.fareportal.com/
AMERICAN EXPRESS GLOBAL BUSINESS TRAVEL (アメリカンエクスプレスグローバルビジネストラベル)
American Express Global Business Travel (GBT) は2014年に設立され、本社はアメリカのニューヨークにある、企業向けにビジネストラベルに特化したサービスを提供する企業である。企業の出張管理、旅費精算、経費、会議やイベントを管理するためのソフトウェアとサービスを提供し、世界140か国以上に2,000人以上の旅行専門家が在籍している。
2023年第一四半期の売上高は5億7800万ドルで、2022年の同時期の3億5000万ドル比較し65%増加している。GBTは、アメリカで最も多くの航空予約を行っている企業をランキングするコーポレート・トラベル100において、法人旅行プロバイダーの中で第1位にランクされた実績がある。
GBTはビジネス旅行における持続可能な社会づくりによって、社会的・環境的な影響を最小限に抑えることを取り組んでいる。具体的には、環境への配慮、地域社会への支援や慈善活動、デジタルソリューションの活用などが挙げられる。
出典:https://www.amexglobalbusinesstravel.com/
Tripadvisor (トリップアドバイザー)
Tripadvisor, Inc.は2000年に設立され、本社がアメリカのマサチューセッツ州ニーダムにある。世界最大の旅行プラットフォームで、毎月数億もの旅行者に利用され、世界中の旅行者に対してホテル、レストラン、観光名所などのレビューや評価を提供するオンラインレビューサイトである。また、旅行者は自らの旅行経験を投稿し、他の旅行者と情報を共有することもできる。さらに、ホテルや航空券の予約機能も提供している。
約800万件の宿泊施設、レストラン、ツアーやチケット、航空会社、クルーズについて投稿された10億件以上の口コミ情報や評価を参照でき、世界49の国と地域、28言語でサービスを展開している。
2022年度の収益は、前年比65%で、約15億ドルとなっている。人道的課題や、災害や避難の影響を受けた地域の回復力をサポートすることに取り組んでおり、2010年以来、トリップアドバイザー財団は世界中のコミュニティに4,400万ドル以上を投資してきた。
出典: https://tripadvisor.mediaroom.com/us-about-us
Vacatia (バケーシア)
Vacatiaは、2013年にアメリカのカリフォルニア州サンフランシスコに設立された、バケーションレンタルとタイムシェア物件の予約に特化したオンラインプラットフォームである。アメリカをはじめ、世界各国で展開されており、主に北米やヨーロッパなどの観光地やリゾート地で人気がある。
主なサービスは、家族やグループ向けのバケーションレンタルとタイムシェア物件の予約サービスである。ユーザーは目的地や日程を指定し、バケーションレンタルやタイムシェアの宿泊施設を検索し、予約することができる。Vacatiaは、2022年アメリカリゾート開発協会の年次ARDY賞を受賞した。また、今年には従業員3名が、ARDY Awardに表彰された。
2021年1月から5月末までの賃貸料は、2020年の同時期と比較し164%増加した。また、過去数年間でVacatiaはサービスを急速に拡大し、全国26のタイムシェア協会を設立してきた。さらに、最大手タイムシェア会社を含む750以上の業界パートナーがサービスを利用している。
出典:https://vacatia.com/company/about-vacatia
World Travel Holdings (ワールドトラベルホールディングス)
World Travel Holdingsは、ブラッド・トールキンとジェフ・トールキンによって2005年に共同設立された。本社はアメリカのマサチューセッツ州ウェイクフィールドにある。クルーズ旅行やリゾートパッケージ、ホテル予約など、旅行サービスを提供するオンライン旅行代理店である。
主要ブランドには、24時間対応や予約が可能なCruiseOneやCruises Inc.、旅行の専門家が多数在籍しているDream Vacations、世界52か所以上に高級ヴィラを備えているVillasOfDistinctionなどがある。起業家雑誌 Franchise 500®によると、Dream Vacationsが2022年と2023年の2年連続で旅行代理店フランチャイズ部門1位にランクインしている。また、Entrepreneur Magazineでは、「最も急成長しているフランチャイズ」として表彰されている。その他にも、毎年数多くの受賞歴や実績がある。
2008年にはイギリスのランカシャー州の町チョーリーにWorld Travel Holdings UKが設立された。イギリスでは、最大かつ急成長している旅行代理店のひとつであり、数々の賞を受賞したCruise118を含む多数のブランドを所有している。
出典:https://worldtravelholdings.com/
ALTOUR (アルツアー)
ALTOURは1991年に、アメリカのニューヨーク州に設立された、個人や企業向けの旅行サービスを提供する旅行管理会社である。主にビジネス旅行、レジャー旅行、グループ旅行などを提供している。
売上高が30億ドル以上であり、世界中に43以上のオフィスと690名以上の旅行専門家が在籍している。また、ALTOURは、ALTOUR Air、ALTOUR Leisure、ALTOUR Entertainment、ALTOUR Meetings and Incentives、ALTOUR Global Networkなどのブランドを展開している。主要サービスとして、航空券・ホテル・レンタカー予約、会議・イベントプランニング、個人旅行のカスタマイズなどがある。また、企業の旅行プログラムの効率化やコスト削減を重視した取り組みも行っている。
ALTOURは、「ロサンゼルスで最も働きやすい場所」「ロサンゼルス郡最大の旅行代理店」など、他にも数多くランクインしてきた実績がある。ALTOURは、環境、医療、美術、教育の分野でも活動している。活動例のひとつには、アメリカの450以上のエイズおよび家族サービス団体に毎年補助金を送っている。
出典:https://www.altour.com/
アメリカの主要旅行会社2選〜日系編〜
HIS (エイチ・アイ・エス)
1980年に設立し、日本の東京に本社がある。国内・海外の旅行商品を提供する旅行代理店として、航空券、ホテル予約、パッケージツアー、ツアーコンダクターの手配などの旅行関連サービスを提供している。また、132の子会社を持ち、グループ全体で10,849人の従業員が在籍している。
国内拠点数131拠点、世界60ヵ国112都市157拠点がある。主にアジア地域を中心に展開しており、台湾、韓国、香港、中国、タイ、ベトナムなどのアジア諸国に支店や事務所がある。また、ヨーロッパやアメリカなどにも海外拠点がある。
2022年売上高は、グループ全体で1,427億円となっている。長崎県佐世保市にて、2015年にオープンした「変なホテル」が、世界で初めてロボットがスタッフとして働いたホテルとして、ギネス世界記録に認定されている。今後は、日本国内をはじめ、海外進出も予定している。
出典:https://www.his.co.jp/
JTB (ジェイティービー)
1912年に設立され、本社は日本の東京にある。事業内容は、旅行代理店として国内外の航空券、ホテル予約、パッケージツアー、クルーズツアー、バスツアー、旅行保険、企業向けの旅行業務代行やイベントの企画・運営などの旅行商品やサービスを取り扱っている。
JTBは日本国内を中心に支店や営業所を持っている。また、中国、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイなどアジア地域にも支店や事務所を持っている。その他にも、ヨーロッパやアメリカなどにも海外拠点を持ち、インバウンド・アウトバウンドの両方においてグローバルに事業展開している。
1964年に設立されたJTB Corp.のアメリカの子会社であるJTB USA, Inc.は、アメリカへの日本人旅行者向けの旅行情報サービス会社から、すべての旅行者のニーズを満たす総合旅行管理会社へと規模を拡大してきた。2022年度のグループ全体の売上高は、2021年度売上高の約5,823億円と、前年比約167%増の約9,779億円となっている。
出典:https://www.jtbcorp.jp/jp/
アメリカの主要旅行会社2選〜外資系編〜
BOOKING HOLDING(ブッキングホールディングス)
Booking Holdingsは1996年に設立され、本社はオランダのアムステルダムにある。オンライン旅行および関連サービスの世界有数プロバイダーであり、6つの主要ブランド (Booking.com、Priceline、Agoda、Rentalcars.com、KAYAK、OpenTable ) や子会社ブランド(Rocketmiles、Fareharbor、HotelsCombined、Cheapflights、Momondo)がある。
220以上の国と地域に、2800万以上のホテル、住宅、アパートなどの宿泊施設を提供している。また、140以上の国籍の従業員が在籍し、Booking Holdings取締役会の4人のメンバーが女性である。「世界で最も優れた雇用主」、「世界で最も革新的な企業」、「アメリカで最も優れた中規模雇用主」、「世界の女性にとって最も優れた雇用主」、「世界の多様性に優れた雇用主」などのランクイン実績がある。また、「世界で最も賞賛される企業」、「Fortune 500」、「Fortune Future 50」にもランクインしている。
2022年の旅行総予約額は、前年比58%増加の1,213 億ドルであった。また、ブッキングホールディングス全体で前年比52%増加で9億泊が予約された。
出典:https://ir.bookingholdings.com/overview/default.aspx
Trip.com Group(トリップドットコムグループ)
Trip.com Group Limitedは、1999年に設立され、2003年にNASDAQに、2021年にHKEXに上場し、Ctrip、Qunar、Trip.com、Skyscannerなどのブランドを展開している。本社は中国の上海にある。
45,100名の従業員が在籍し、会員数も4億人以上となる。ニューヨーク、エジンバラ、シドニー、香港、ソウル、東京など、世界中の都市にオフィスを構えている。また、それぞれの商品やサービスは、世界の現地通貨や言語で利用可能である。
宿泊事業では、ホテル、モーテル、リゾート、住宅、アパート、B&B、ホステルなど120万件以上の宿泊施設を世界中に提供している。また、航空券事業では、200以上の国と地域の2,600 以上の空港をカバーし、480以上の航空会社のフライトを提供している。さらに、世界中で 310,000以上のアクティビティも提供している。2023年第一四半期の純売上高は前年同期比で124%増加し、純利益は34億人民元(4億9100万米ドル)となった。これは、パンデミック前の2019年の同時期を上回った結果となっている。
出典:https://group.trip.com/
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。