アメリカの携帯電話事業者業界は、大手キャリア3社を中心に格安ブランドや衛星通信サービスがひしめく競争の激しい市場です。5G投資の回収とMVNO対応を進める主要企業の戦略が、シェア争いを左右しています。
今回は、そんなアメリカの携帯電話事業者業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて14社の最新情報をお届けしていきます!
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アメリカの主要携帯電話事業者企業9選〜ローカル編〜
AT&T Mobility LLC (エーティーアンドティーモビリティ)
アメリカ最大級の携帯電話事業者であり、通信大手AT&Tのモバイル部門である。前身は2000年設立のCingular Wirelessで、2004年にAT&Tワイヤレスを買収し、2007年にAT&T Mobilityへと改称した。本社はジョージア州アトランタ都市圏に置く。
2025年12月期のモビリティ・サービス収益は約674億ドルと前年比3.1%増を記録し、グループ全体の総営業収益は約1256億ドルに達した。ポストペイド携帯の純増数は5年連続で150万件超を維持している。
全米に広がる直営店・提携店網と5Gネットワークを軸に、無制限プランや通信と光ファイバーのバンドル戦略を推進する。2016年に2年縛りを廃止し、料金体系の簡素化を進めてきた。
2025年8月にはEchoStarから約226億ドル規模の周波数免許を取得すると発表し、ネットワーク容量の増強を図っている。参照時点は2026年1月公表のAT&T2025年通期決算である。
出典:https://www.att.com/
Verizon (ベライゾン)
アメリカを代表する総合通信事業者であり、無線事業は業界でも最大級の契約基盤を持つ。起源は1999年にベル・アトランティックとボーダフォンが設立したVerizon Wirelessで、2014年にボーダフォン持分を取得して完全子会社化し、2019年に本体へ統合した。本社はニューヨーク市。
2025年12月期の総営業収益は約1382億ドルと前年の約1348億ドルから増加した。第4四半期のポストペイド携帯純増は61.6万件で、2019年以来最高の四半期実績となった。
広域な4G・5Gカバレッジと安定した回線品質を強みとし、地方の小規模事業者に自社回線を開放するLTE in Rural Americaプログラムも展開する。固定無線アクセスの加入者は570万を超える。
2025年にはFrontier買収を完了し、光ファイバーと無線の統合を加速している。参照時点は2026年1月発表のVerizon2025年通期決算である。
出典:https://www.verizon.com/
Xfinity Mobile (エクスフィニティモバイル)
ケーブルテレビ・通信最大手Comcastが運営する携帯電話ブランドである。Comcastは2010年にブランド名をXfinityへ刷新し、2017年にVerizon回線を用いたMVNOとしてXfinity Mobileを開始した。本社はペンシルベニア州フィラデルフィア。
XfinityインターネットとWi-Fiホットスポットを組み合わせたバンドル戦略を軸に成長し、プリペイドから月額無制限、5Gデータプランまでを提供する。加入者は自宅内外で高速な通信環境を利用できる。
2020年代に入りケーブル各社のモバイル事業は成長領域となっており、Comcastのワイヤレスはブロードバンド収益を補完する柱と位置づけられている。
2025年7月にはComcastとCharterがT-Mobileの5Gを法人顧客向けに活用する提携を発表し、ネットワーク調達の多様化を進めている。参照時点は2026年時点のComcast公式・IR情報である。
出典:https://www.xfinity.com/mobile/
DISH Wireless, LLC (ディッシュワイヤレス)
衛星放送を源流とするEchoStar傘下の携帯電話事業者であり、消費者向けにはBoost Mobileブランドで展開する。2019年にSprintのプリペイド事業を取得し、2020年のSprint・T-Mobile統合を機にMVNOから第4のネットワーク構築へと歩を進めた。
2025年9月末時点のBoost Mobileの加入者は約752万で、四半期で22.3万の純増を確保した。ワイヤレス部門の四半期収益は約9.4億ドルであった。
2025年8月、EchoStarは保有周波数をAT&Tへ約226億ドル、SpaceXへ約190億ドル規模で売却すると発表し、自前の5G網構築を縮小してAT&T回線を利用するハイブリッドMNO型へと事業モデルを転換した。
本社はコロラド州エングルウッド。都市部を中心とした顧客獲得と料金競争力を軸に事業を続けている。参照時点は2025年11月公表のEchoStar第3四半期決算である。
出典:https://www.boostmobile.com/
Cricket Wireless (クリケットワイヤレス)
AT&T傘下のプリペイド専門携帯電話ブランドである。カリフォルニア州サンディエゴのLeap Wireless International傘下の子会社として発展し、2014年にAT&TがLeapごと買収して現在の体制となった。本社はジョージア州アトランタ。
契約審査や年間契約が不要な手軽さを売りに、全米のショッピングモールなどに直営店網を展開する。買収前はCDMA方式だったが、AT&T傘下でGSM方式のネットワークへ移行した。
近年の米国市場ではインフレを背景にプリペイド需要が再拡大しており、Cricketは大手系プリペイドブランドとして上位の契約数を維持している。ネット完結型の運営で少人数の正社員体制を採る。
親会社AT&Tは2025年12月期にポストペイド携帯純増150万件超を計上し、プリペイド事業もその収益基盤を支えている。参照時点は2026年1月公表のAT&T2025年通期決算である。
出典:https://www.cricketwireless.com/
TracFone Wireless, Inc. (トラックフォンワイヤレス)
アメリカを代表するプリペイド携帯電話事業者である。前身は1996年設立のTopp Telecomで、1999年にメキシコのAmérica Móvil傘下となり、2000年にTracFone Wirelessへ改称した。2021年にVerizonが約2000万加入者を抱える同社を買収し、現在はVerizon傘下で運営される。
Straight Talk、Total by Verizon、SafeLinkなど複数の低価格ブランドを展開し、スーパーマーケットや量販店でも入手できる手軽さを強みとする。ネットワークは親会社Verizonの回線へ順次統合されている。
低所得層向けの連邦Lifelineプログラム対応など、公共性の高いサービスも担う。買収以降はVerizonのプリペイド事業の中核を成す。
親会社Verizonの2025年12月期の総営業収益は約1382億ドルで、プリペイド部門も安定した契約基盤を維持している。参照時点は2026年1月発表のVerizon2025年通期決算である。
出典:https://www.tracfone.com/
Cellcom (セルコム)
ウィスコンシン州を地盤とする地域密着型の携帯電話事業者である。1910年設立の電話会社を源流とし、1923年以来family経営を続けるNsightを親会社とする。全米展開はせず、ウィスコンシン州北東部・中央部およびミシガン州の一部を営業エリアとする。
VerizonのLTE in Rural Americaパートナーとして同社回線を活用し、地方部の通信を補完する。山間部などの電波が届かないデッドゾーンには、ソーラーパネルや風力を用いたグリーンセルサイトで対応してきた。
2025年にはT-MobileによるUScellular買収など地域通信の再編が進んだが、Cellcomは自社が同取引の対象ではなく、独立系として事業を続ける旨を公式に表明した。
本社はウィスコンシン州グリーンベイ近郊に置く。地域雇用と地元密着のサービスを強みとする。参照時点は2025年時点のCellcom・Nsight公式情報である。
出典:https://www.cellcom.com/
US Mobile (USモバイル)
2015年創業のニューヨーク発MVNOで、急成長を遂げた新興の携帯電話事業者である。VerizonやT-Mobile、AT&Tの複数網を選択できるマルチキャリア型を特徴とし、カスタマイズ可能な月額プランで支持を広げた。本社はニューヨーク市マンハッタン。
2016年に約2万だった顧客数は数年で大幅に拡大し、柔軟なプラン設計と通信の安定性・低価格が評価されている。2021年には複数デバイスでデータを共有するプールプランを導入した。
近年は独自のマルチネットワーク基盤やeSIM対応を強化し、大手キャリアからの乗り換え需要を取り込んでいる。少人数の運営体制ながらデジタル完結型で効率的に事業を回す。
米国では2025年にかけてプリペイド・MVNO市場が拡大しており、独立系MVNOとして存在感を高めている。参照時点は2026年時点のUS Mobile公式情報である。
出典:https://www.usmobile.com/
Spectrum Mobile (スペクトラムモバイル)
ケーブル・通信大手Charter Communicationsが運営する携帯電話ブランドである。2018年にVerizonの回線を用いるMVNOとして開始し、Spectrumインターネット加入者向けのモバイルサービスとして急拡大した。本社はコネチカット州スタンフォード。
2025年1月に契約回線数が1000万を突破し、ケーブル事業者として初めて同水準に到達した。2025年12月末時点の総モバイル回線数は約1176万で前年比19.4%増、通期で約190万の純増を確保した。
ブロードバンドとのバンドルや無料回線キャンペーンを武器に、全米で最も成長の速いモバイル事業者を掲げる。5GとWi-Fiを組み合わせ、低価格と高速通信を訴求する。
2025年7月にはComcastとともにT-Mobileの5Gを法人向けに活用する提携を発表し、ネットワーク調達を多様化している。参照時点は2026年1月公表のCharter2025年通期決算である。
出典:https://www.spectrum.com/mobile
アメリカの主要携帯電話事業者企業3選〜日系編〜
Amesma (アメスマ)
日本語対応を強みとする、在米・渡米日本人向けの携帯電話サービスである。VerizonやT-Mobileの一次代理店であったMMTM社が開始し、現在の親会社はJPEXアメリカ社である。Verizon、T-Mobile、AT&Tの回線を利用するMVNOとして運営される。
最大の特徴は、日本にいながらアメリカの携帯電話・SIM・eSIMを契約し受け取れる点にある。問い合わせから利用開始まで全て日本語で対応し、初めての留学・海外赴任者から高い評価を得ている。
拠点は日本人人口が増加するテキサス州プレイノに置き、手続きはオンラインで完結するため全米どこでも利用できる。年間契約の縛りはなく、他社からのMNPにも対応する。
公式サイトでは2025年版の料金・サービス情報を継続的に更新しており、在米日本人コミュニティ向けの主要な選択肢となっている。参照時点は2025年時点のアメスマ公式情報である。
出典:https://amesma.net/
Hanacell (ハナセル)
在米日本人を対象とした日系の携帯電話サービスである。1989年創業でイギリスに本社を置くMobell Groupが、2007年にアメリカ在住日本人向けブランドとして設立した。ネットワークはT-Mobile回線を利用するMVNOである。
クレジットカード1枚で契約でき、いつでも無料で解約可能な柔軟性と、丁寧な日本語サポートを強みとする。日本への一時帰国時に使える日本用SIMの販売など、在米日本人の細かなニーズに応えるサービスを複数展開している。
JAL、ANA、JTBなどを主要取引先とし、渡米が決まった日本人が一度は目にする存在となっている。アメリカ支店はニューヨーク州メルビルに、日本にも文京区に拠点を置く。
老舗の日系キャリアとして、幅広い料金プランと安定したサポート体制を維持している。社員数は数十名規模である。参照時点は2026年時点のハナセル公式情報である。
出典:https://www.hanacell.com/
H2O (エイチツーオー)
低価格を訴求するアメリカのプリペイドMVNOである。かつてはKDDIアメリカの子会社であったが、2019年に通信事業者Telrite Holdingsに買収され、同社傘下のLocus Telecommunicationsが持つGSMプリペイドブランドとして再編された。回線はAT&Tのネットワークを利用する。
KDDI時代の名残から日本語サービスを継続しているが、現在は日本語対応に特化しているわけではない。大型スーパーや家電量販店でも入手できる手軽さがあり、最新端末はウェブでの購入に対応する。
SIMプランは月額30ドル程度からと、同業MVNOと同等の低価格帯を提供する。日本語サイトでは端末販売を行わず、SIMとホットスポットのみを扱う。
親会社TelriteはPure TalkなどのMVNOブランドも運営しており、H2Oはその一角として事業を続けている。参照時点は2026年時点のH2O Wireless公式情報である。
出典:https://www.h2owireless.com/
アメリカの主要携帯電話事業者企業2選〜外資編〜
Telefónica, S.A. (テレフォニカ)
スペイン・マドリードに本社を置く多国籍通信大手であり、欧州と南北アメリカで携帯・固定・ブロードバンド事業を展開する。米国では法人・卸売事業のTelefónica Global Solutionsや、テクノロジー事業のTelefónica Tech USAがフロリダ州マイアミなどを拠点に活動する。
傘下の携帯ブランドには、中南米・ヒスパニック市場で強いMovistar、英独のO2、ブラジル中心のVivoなどがある。世界有数のモバイルネットワーク基盤を持つ通信グループである。
2025年1月にはマルク・ムルタ氏がCEOに就任し、経営体制を刷新した。同社は中南米(Hispam)資産の売却を進め、欧州中核市場への集中を図る構造改革を推進している。
マイアミではハリケーンに耐える設計のデータセンターKeyCenterを運営し、米州の通信基盤を支える。参照時点は2025年時点のTelefónica公式・IR情報である。
出典:https://www.telefonica.com/
T-Mobile US,Inc. (T-モバイル)
ドイツのドイツテレコムを筆頭株主とする、アメリカの大手携帯電話事業者である。1994年設立のVoiceStream Wirelessを起源とし、2001年にドイツテレコム傘下となり2002年にT-Mobile USAへ改称した。2020年のSprint買収で規模を大きく拡大した。
2025年12月期の総契約数は約1億4240万に達し、通期のポストペイド純増は780万、ポストペイド携帯純増は330万を記録した。サービス収益は約713億ドルであった。
5Gネットワークの先行整備を強みとし、業界随一の顧客純増を続けている。プリペイドではMetro by T-Mobileブランドを展開する。本社はワシントン州ベルビューとカンザス州オーバーランドパークに置く。
2025年8月にはUScellularの無線事業と一部周波数の買収を完了し、地方部のカバレッジを一段と強化した。参照時点は2026年1月発表のT-Mobile2025年通期決算である。
出典:https://www.t-mobile.com/
FAQ
アメリカの携帯市場の現状はどうなっていますか?
2023年現在、アメリカの携帯市場はAT&Tがシェア46%でトップに立ち、続いてVerizonとT-Mobileが主要企業となっています。携帯普及率は80%を超え、スマートフォンユーザーは3億人を超え、約25%がプリペイド方式を利用しています。
アメリカの主要携帯キャリアの特徴は何ですか?
アメリカの主要キャリアは、それぞれ独自のサービスエリアや契約条件、料金プランを持ち、AT&Tは広範な通信網と無制限プランを提供し、Verizonは広いカバレッジと安定した通信を誇ります。また、Xfinity MobileやDISH WirelessなどのMVNOも多く、地域やニーズに合わせたサービス展開をしています。
日系企業や外資系企業のアメリカ携帯キャリアにはどのようなものがありますか?
アメリカの日系キャリアには、アメスマやハナセルがあり、VerizonやT-Mobileのネットワークを利用し、日本語サポートや日本向けサービスを提供しています。外資系では、中国モバイルやスペインのテレフォニカ、T-Mobileが米国で活動しています。
アメリカでのプリペイド携帯の利用状況はどうですか?
2022年時点で、アメリカのスマホユーザーの約25%がプリペイド方式を利用しており、これはコストを抑えたいユーザーや契約の柔軟性を重視する層に人気です。プリペイドプランは基本料金が安く、契約期間の縛りも少ないため、多くのユーザーに利用されています。
アメリカの携帯キャリアの今後の展望や課題は何ですか?
今後は5Gの普及と高速通信の拡大が重要な課題となります。地域格差の解消や料金の競争、セキュリティとプライバシーの強化も求められています。これらに対応しつつ、新たな通信技術やサービスの開発が市場の競争力を左右すると考えられます。

