アメリカの保険業界は、生命保険から損害保険、医療保険まで多様な分野で大手企業が事業を展開する巨大市場です。気候変動リスクへの対応を迫られる中、主要企業はデータ活用による保険引受の高度化を進めています。
今回は、そんなアメリカの保険業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて14社の最新情報をお届けしていきます!
読了時間の目安:5分
アメリカの主要保険企業9選〜ローカル編〜
Berkshire Hathaway (バークシャーハサウェイ)
Berkshire Hathawayは1839年に前身の紡績会社として発足し、現在は米ネブラスカ州オマハに本社を置く巨大複合企業である。ウォーレン・バフェットが率いる持株会社で、保険を中核に鉄道、エネルギー、製造、小売など多岐にわたる事業を傘下に持つ。
保険部門では自動車保険大手GEICOのほか、General ReやNational Indemnityなどを擁し、潤沢な保険フロートを投資原資として活用する独自のモデルを築いている。
公式の決算発表によると、2025年通期のBerkshire株主帰属純利益は約669億ドル、営業利益は約445億ドルに達した。保険引受利益と保険投資収益がグループ収益の柱となっている。
2025年末にはバフェットが年内でCEOを退き、後継のグレッグ・アベル氏へ経営を引き継ぐ方針が示され、世代交代が大きな注目を集めている。
出典:https://www.berkshirehathaway.com/
Prudential Financial (プルデンシャル)
Prudential Financialは1875年に創業し、米ニュージャージー州ニューアークに本社を置く大手金融サービス会社である。生命保険、退職年金、資産運用、団体保険などを個人と法人の双方に提供し、日本やアジアを含む世界で事業を展開する。
公式の決算発表によれば、2025年通期の同社株主帰属純利益は約35億7,600万ドル、税引後調整後営業利益は約51億6,100万ドルであった。2025年12月末時点の運用・管理資産残高は約1兆8,040億ドルに達する。
運用子会社PGIMを通じた機関投資家向けアセットマネジメントと、日本市場での生命保険事業が収益の重要な柱となっている。
近年は株主還元の強化とデジタル化投資を進めており、教育や地域社会支援を担うプルデンシャル財団の活動も継続している。
出典:https://www.prudential.com/
MetLife (メットライフ)
MetLifeは1868年に創業し、米ニューヨークに本社を置く世界有数の生命保険・従業員福利厚生プロバイダーである。個人向けの生命保険や年金に加え、企業や団体向けの団体保険、退職・貯蓄商品を幅広く提供している。
米国を中心にアジア、中南米、欧州、中東など約40の国・地域で事業を展開する。公式の決算発表によると、2025年通期の純利益は約32億ドル、保険料・手数料等収入は約576億ドルに達した。
1株当たり調整後利益は前年比10%増の8.89ドルとなり、株主還元として年間で約44億ドルを実施した。
2025年には次期戦略「New Frontier」の下で成長分野への投資を進めており、資産運用子会社MetLife Investment Managementの拡大にも注力している。
出典:https://www.metlife.com/
American International Group (アメリカン・インターナショナル・グループ)
American International Groupは1919年に上海で創業した保険事業を起源とし、現在は米ニューヨークに本社を置く大手損害保険グループである。企業や個人に対し、財産保険、賠償責任保険、専門職保険などを世界200以上の国・地域で提供している。
近年は生命保険事業Corebridge Financialの分離を進め、損害保険を中核とする事業構造へと再編してきた。
公式の決算発表によると、2025年通期の一般保険の正味保険料は約236億7,500万ドル、コンバインド・レシオは90.1%と良好な引受収益性を維持した。純利益は約30億9,600万ドルであった。
引受規律の徹底とデジタル基盤への投資を通じ、収益性の一段の向上を経営目標に掲げている。
出典:https://www.aig.com/
UnitedHealth Group (ユナイテッドヘルスグループ)
UnitedHealth Groupは1977年に創業し、米ミネソタ州に本社を置く世界最大級のヘルスケア企業である。保険事業のUnitedHealthcareと、医療サービス・データ事業のOptumの二本柱で構成される。
公式の決算発表によると、2025年通期の売上高は前年比12%増の約4,476億ドルに達し、営業利益は約190億ドルであった。売上高では米国最大級の企業の一つに位置づけられる。
2026年の見通しとして、売上高4,390億ドル超、調整後1株利益17.75ドル超を掲げ、医療費上昇への対応と事業効率化を進める方針を示している。
一方で、公的医療保険を巡る費用増や規制環境の変化への対応が引き続き経営課題となっており、Optumを軸とした事業多角化を加速させている。
出典:https://www.unitedhealthgroup.com/
Humana (ヒューマナ)
Humanaは1961年に創業し、米ケンタッキー州ルイビルに本社を置く大手健康保険会社である。当初は病院運営から出発したが、その後に健康保険と医療サービスへ事業を転換し、高齢者向け公的医療保険メディケア・アドバンテージに強みを持つ。
公式の決算発表によると、2025年通期の総収入は約1,296億6,400万ドル、GAAPベースの1株利益は9.84ドル、調整後は17.14ドルであった。
2026年についてはスターレーティングの影響で減益を見込み、GAAPベースの1株利益を8.89ドル以上と保守的に設定している。
近年は薬局・在宅医療を担うCenterWell事業の拡大に注力し、収益源の多様化と提供する医療の質の向上を進めている。
出典:https://www.humana.com/
Marsh McLennan (マーシュ・マクレナン)
Marsh McLennanは1871年に創業し、米ニューヨークに本社を置く世界最大の保険仲介・コンサルティング会社である。リスク・保険仲介事業(Marsh、Guy Carpenter)とコンサルティング事業(Mercer、Oliver Wyman)の二部門で構成される。
公式の決算発表によると、2025年通期の総収入は約270億ドル、当社帰属純利益は約42億ドルに達した。世界130か国で9万5,000人超の従業員を擁する。
企業のリスク移転や再保険手配、人事・組織コンサルティングなど、専門性の高いサービスを幅広く提供している。
近年は買収を通じた事業拡大とデジタル・データ分析基盤への投資を積極化しており、複雑化する気候・サイバーリスクへの対応力強化を進めている。
出典:https://www.marshmclennan.com/
Elevance Health (エレバンス・ヘルス)
Elevance Healthは1946年に前身組織が発足し、米インディアナ州インディアナポリスに本社を置く米国最大級の健康保険会社である。旧称はAnthemで、多くの州でBlue Cross Blue Shieldブランドの保険を提供している。
公式の決算発表によると、2025年通期の営業収益は前年比13%増の約1,976億ドルに達した。2025年12月末時点の医療会員数は約4,520万人にのぼる。
GAAPベースの希薄化後1株利益は25.21ドル、調整後は30.29ドルであった。ヘルスサービス部門Carelonを通じ、薬剤給付管理やケア提供へと事業領域を広げている。
2026年は医療費や利用率の上昇圧力を踏まえ、慎重な業績見通しを示しており、費用管理の徹底を進めている。
出典:https://www.elevancehealth.com/
Progressive (プログレッシブ)
The Progressive Corporationは1937年に創業し、米オハイオ州メイフィールドビレッジに本社を置く米国大手の損害保険会社である。自動車保険を中核に、住宅保険や商業保険も手掛け、ダイレクト販売と代理店の両チャネルで事業を展開する。
テレマティクスを活用した使用量連動型保険や高度な料率設定に強みを持ち、業界の技術革新を牽引してきた。
公式の年次報告によると、2025年通期の正味計上保険料は約831億7,400万ドル、総収入は約876億7,100万ドル、純利益は約113億800万ドルに達した。2025年12月末時点の保有契約件数は約3,862万件にのぼる。
近年は自動車保険市場でのシェア拡大を続け、料率の機動的な調整と広告投資を通じて成長を維持している。
出典:https://www.progressive.com/
アメリカの主要保険企業2選〜日系編〜
Tokyo Marine Holdings (東京海上ホールディングス)
Tokyo Marine Holdingsは1879年創業の東京海上日動を中核とする、日本最大手の保険グループである。本社は東京にあり、国内損害保険、国内生命保険、海外保険事業を三本柱として世界46の国・地域で事業を展開する。
米国では複数の子会社を通じて損害保険・スペシャルティ保険を提供し、Delphi FinancialやHCC、Philadelphiaなどの買収を通じて北米事業を拡大してきた。
公式の決算資料によると、2024年度(2025年3月期)の修正純利益は実績ベースで約1兆2,150億円に達し、海外保険事業が利益成長の大きな牽引役となっている。
近年は資本効率の向上と政策株式の削減を進めるとともに、分散されたグローバルなポートフォリオを強みに成長投資を継続している。
出典:https://www.tokiomarinehd.com/
Nippon Life Insurance Company (日本生命保険相互会社)
Nippon Life Insurance Companyは1889年に創業し、東京に本社を置く日本を代表する相互会社形態の大手生命保険会社である。生命保険と年金を中心に、幅広い保障性商品を国内外で提供している。
米国では子会社の米国日本生命が1991年にニューヨークで設立され、団体生命保険や医療保険などを日系企業や個人に提供している。
公式の決算資料によると、2024年度(2025年3月期)のグループ保険料等収入は約7兆8,613億円、総資産は約96兆3,426億円、連結純剰余は約4,354億円に達した。
近年は海外の生命保険・資産運用会社の買収を通じて国際分散を進めており、コアブリッジへの出資など米国事業の強化にも取り組んでいる。
出典:https://www.nissay.co.jp/
アメリカの主要保険企業3選〜外資編〜
Ping An Insurance (平安保険)
Ping An Insuranceは1988年に中国初の株式会社形態の保険会社として深圳で創業した、中国有数の総合金融グループである。保険を中核に、銀行、資産運用、ヘルスケア、フィンテックを組み合わせた総合金融モデルを展開する。
米国ではボストンやシカゴを拠点に保険・不動産投資などを行っている。公式の決算発表によると、2024年通期の親会社株主帰属純利益は約1,266億元と前年比47.8%増、営業利益は約1,219億元であった。
2024年末時点の個人顧客数は約2億4,200万人にのぼり、金融と医療・介護を組み合わせた「総合金融+健康・介護」戦略を推進している。
近年はAIやデジタル技術の活用による業務効率化と、ヘルスケア・高齢者介護分野への事業拡大を加速させている。
出典:https://group.pingan.com/
Allianz (アリアンツ)
Allianzは1890年にドイツ・ベルリンで創業し、現在はミュンヘンに本社を置く世界有数の保険・資産運用グループである。損害保険、生命保険、資産運用の三分野で、70か国以上の顧客にサービスを提供している。
傘下にはPIMCOとAllianz Global Investorsという大手運用会社を擁し、世界最大級のアセットマネジメント事業を展開する。
公式の決算発表によると、2025年通期の事業総取扱高は約1,869億ユーロ、営業利益は過去最高の約174億ユーロ、株主帰属コア純利益は約111億ユーロに達した。約9,700万人の個人・法人顧客を抱える。
2025年は新たな中期戦略サイクルの初年度と位置づけ、堅調な業績を背景に成長投資と株主還元の強化を進めている。
出典:https://www.allianz.com/en.html
Chubb (チャブ)
Chubb Limitedはスイス・チューリッヒに本店を置く、世界最大級の上場損害保険会社である。前身のACEが2016年に旧Chubbを買収し現社名となった。損害保険、傷害・健康保険、生命保険、再保険を世界54の国・地域で提供している。
企業向けスペシャルティ保険や富裕層向け個人保険に強みを持ち、規律ある引受と分散されたグローバル展開を特徴とする。
公式の決算発表によると、2025年通期の純利益は過去最高の約103億1,000万ドルと前年比11.2%増、コア営業利益は約99億5,000万ドルであった。連結正味計上保険料は約548億ドルに達した。
アジアや中南米など新興市場での事業拡大と、損害保険・生命保険双方での成長を通じ、収益基盤の一段の強化を進めている。
出典:https://www.chubb.com/
FAQ
アメリカの保険業界でAIと自動化技術の導入がどのように進んでいるのですか?
アメリカの保険業界では、AIと自動化技術の導入が進み、特にリスク予測やカスタマーサービスの向上に大きな影響を及ぼしています。これにより、業務の効率化や顧客満足度の向上が期待されています。
クラウド技術はアメリカの保険会社にとってどのような役割を果たしていますか?
クラウド技術は、アメリカの保険会社にとって柔軟でスケーラブルなソリューションを提供し、データ管理や業務効率化、コスト削減に寄与しています。これにより、迅速かつ効率的にサービスを展開できるようになっています。
組み込み型保険の普及が業界の成長を加速させる理由は何ですか?
組み込み型保険の普及により、保険が他のサービスや製品と一体化し、顧客にとって便利に利用できるようになるため、顧客基盤拡大や新たなビジネスモデルの構築を通じて業界の成長を促進しています。
アメリカの主要保険会社にはどのような企業がありますか?
アメリカの主要保険会社には、Berkshire Hathaway、Prudential Financial、MetLife、American International Group、UnitedHealth Group、Humana、Elevance Health、Marsh McLennanなどが含まれます。
アメリカの保険業界の今後の展望はどのようなものですか?
今後、AIや自動化、クラウド技術の活用がさらに進展し、顧客ニーズに応じたサービスの最適化や環境への配慮、組み込み型保険の拡大などにより、業界の効率化と成長が期待されています。

