アメリカの人材サービス業界は、多様化する労働市場に対応するために、リモートワークの普及やデジタルツールの活用が進んでいます。企業は専門職の採用に注力し、短期契約やプロジェクトベースの仕事が増加。労働者のスキルアップ支援や柔軟な働き方の提供も重要視され、競争が激化しています。
今回は、アメリカの主要人材サービス企業に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて12社を厳選してお届けします!それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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アメリカの主要人材サービス企業8選〜ローカル編〜
Manpower Group (マンパワーグループ)
Manpower Groupは1948年に設立され、本社はアメリカのウィスコンシン州にある。人材派遣、採用・人材獲得、コンサルティング、アウトソーシング、キャリア管理などのサービスを提供している。世界75か国に3,500以上の拠点を有し、Manpower、Experis、Talent Solutionsなどのブランドを展開している。
2022年の収益は198億ドルとなった。また、同年の純利益は3億7,380万ドルで、前年の純利益の3億8,240万ドルと比較し、減少している。Ethisphereの「世界で最も倫理的な企業」のリストに13年連続で選出、企業の持続可能性を評価するDJSI North Americaに13年連続で選出など、これまでも数多くの受賞歴がある。
アルゼンチン、メキシコ、パナマを含むラテンアメリカ市場において、500以上の政府、企業、非営利団体と提携し、難民が仕事を確保し、自立しスキルを身につけるためのコーチングやトレーニングを提供し、これまで4,800人以上の難民が持続可能な雇用機会を獲得する支援をしてきた。
出典:https://www.manpowergroup.com/
Robert Half (ロバート・ハーフ)
Robert Halfは1948年に設立され、本社はアメリカのカリフォルニア州にある、人材ソリューションとコンサルティング業務を行う企業である。また、内部監査、リスク、ビジネスおよびテクノロジーのコンサルティングソリューションを提供するコンサルティング会社Protivitiの親会社である。
「Robert Half Finance & Accounting」、「Robert Half Technology」、「Robert Half Legal」などをはじめ、11社のブランドを展開し、世界中に16,000名以上の従業員と400以上の拠点を有している。2022年の純利益は6億5,790万ドルで、2021年の純利益は5億9,860万ドルとなっており、毎年増加している。
2023年、タイム誌から世界最高企業の1社として表彰、フォーチュン誌により第3回コンサルティングおよびプロフェッショナルサービス部門の最優秀職場のひとつに選出、Great Place to WorkおよびPEOPLE誌により、PEOPLE Companiesの1社として選出など、これまでも数多くの受賞歴がある。
出典:https://www.roberthalf.com/us/en
Korn Ferry (コーン・フェリー)
Korn Ferry は、1969年に設立され、本社はアメリカのカリフォルニア州にある。リーダーシップ開発、エグゼクティブサーチ、ヘルスケアコンサルティングなど、人材関連のサービスを提供している。また、11,000人以上の従業員を有し、世界50か国以上に事業を展開している。
2023年、Forbesでアメリカのベスト経営コンサルティング会社、アメリカの最優秀エグゼクティブ・リクルーター・ファーム、Seramountで女性活躍率No.1企業など、これまでも数多くの受賞歴がある。2023年7月31日に終了した四半期の収益は約7億ドルで、前年同期と比較し増加している。また、2022年度の収益は26億ドルで、前年度の収益の18億ドルと比較し増加している。
Korn Ferryは、自然災害の被害を受けた人々への支援活動、奨学金やプログラムへの資金提供、コミュニティの強化に取り組む慈善団体への助成金寄付など、これまで多くの支援活動を行ってきた。助成金受領者には、アメリカ赤十字社、USA for UNHCRなどがある。
出典:https://www.kornferry.com/
LinkedIn (リンクトイン)
LinkedInは2002年に設立され、本社はアメリカのカリフォルニア州にある。メンバーへのサブスクリプションサービスをはじめ、広告ソリューションや採用ソリューションのサービスを提供している。メンバーは自分のプロフィールを作成し、職歴、スキル、資格、業界などの情報を共有することができる。
19,500人以上の従業員と、世界30以上の都市に拠点を有している。また、世界200以上の国と地域に8億5,000万人以上のメンバーが、仕事やキャリアに関する情報を取得、交換し、26言語に対応している。2023年度第4半期の収益は150億ドルとなった。また、売上は前年比で5%増加した。LinkedInでは、2021年度に黒人とラテン系のリーダーやマネージャー数がそれぞれ35%と20.3%増加した。また、管理職の約42%が女性である。
従業員は、ボランティアプログラムであるLinkedIn Coachesに参加することが奨励されており、120万人以上の求職者のキャリアアップとネットワーク拡大の支援をしてきた。
出典:https://about.linkedin.com/ja-jp?lr=1
Kelly Services (ケリーサービス)
Kelly Servicesは1946年に設立され、本社はアメリカのミシガン州にある。仕事を探している個人と企業を結びつけるために、人材派遣、採用、研修、コンサルティングなどのサービスを提供している。また、毎年450,000人以上に仕事を提供し、2022年の収益は50億ドルであった。
2023年1月時点で、アメリカ国内では約4,800人、アメリカ国外拠点ではさらに2,700人のスタッフを雇用した。また、2022年には30万人以上の従業員に雇用を提供した。Kelly Servicesは、Forbesによって「アメリカ女性にとって最も優れた雇用主の1社」として選出された。その中で、7,000人以上のフルタイム社内従業員の71%、アメリカ国内で新規採用された従業員の65%、最高幹部の39%、社長をはじめ経営幹部チームの半数、取締役会の35%は全て女性である。
また、Kelly Servicesは同誌で「アメリカで最も優れた人材派遣会社」に選出された。さらに、アメリカのベストプロフェッショナル人材紹介会社ランキングでは第2位となった。
出典:https://www.kellyservices.com/
Kforce (ケーフォース)
Kforceは1962年に設立され、本社はアメリカのフロリダ州にある。情報技術、金融、ヘルスケア、エンジニアリング、専門職などの分野で専門的なスキルを持つ仕事を探している求職者と、それらの分野で人材を必要とする企業とを結びつけるサービスを提供している。Fortune 500の企業の大部分を含む約3,000のクライアントと提携しており、人材データベースには800万人以上の専門家が登録されている。
2023年6月末に終了した四半期の収益は3億8,920万ドルで、前年同期の収益の4億3,650万ドルと比較し、前年四半期比4.1%、前年同期比10.8%減少した。また2022年度の収益は、約17億1,000万ドルとなり、前年比7.9%増加した。
Kforceは2023年「アメリカで女性にとって最も優れた職場の1つ」に選出、Forbesの「アメリカのベスト人材紹介会社」に選出、Fortuneのコンサルティングおよびプロフェッショナルサービス部門の「最も優れた職場」に選出されるなど、これまでも数多くの受賞歴がある。
出典: https://www.kforce.com/
TrueBlue (トゥルーブルー)
TrueBlueは1989年に設立され、本社はアメリカのワシントン州にある。人材派遣、労働者供給、人材リクルートメント、労働市場データ分析、ワークフォース管理ソリューションなど、幅広い人材関連のサービスを提供している。
オンデマンドの産業人材派遣を提供するPeopleReady、人材採用プロセスアウトソーシングを提供するPeopleScout、商用ドライバーサービスを提供するPeopleManagementの3部門を展開している。2022年には、約611,000人に雇用機会を提供し、84,000人のクライアントの人材関連支援を行った。
2023年の第2四半期の収益は、4億7,600万ドルで、前年同期の収益の5億6,900万ドルと比較し、16%減少した。また、2022年度の収益は23億ドルで、前年度の収益の22億ドルと比較し、4%増加した。TrueBlueは、年間30,000人の退役軍人を雇用している。その活動を通し、PeopleScoutは退役軍人と雇用主を結びつけるVeteran Talent Exchangeを設立した。また、3年連続でMilitary Friendly Employerの指定を獲得している。
出典:https://www.trueblue.com/
Express Employment Professionals(エクスプレス エンプロイメント プロフェッショナルズ)
Express Employment Professionalsは、1983年に設立され、本社はアメリカのオクラホマ州にある人材派遣会社である。労働者の提供、人材リクルートメント、スキルアセスメント、労働市場データ分析などのサービスを提供している。
アメリカとカナダをはじめ、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドなど世界860以上に拠点を有し、世界中の数百のフランチャイズ拠点で年間50万人以上の従業員を雇用している。2022年、79,000社で579,000人を雇用し、設立以来1,000万人以上を雇用してきた。2022年の売上高は、前年から8%増加で、44億6,000万ドルとなった。
Entrepreneurのフランチャイズ500で、2012年から2023年まで11年連続でカテゴリー部門最優秀賞を受賞、2023年のNewsweekで「アメリカで最もダイバーシティに優れた職場」に選出、Forbesの「アメリカで最も優れたプロフェッショナル人材紹介会社」、「アメリカで最も優れた人材派遣会社」、「アメリカで最も優れた大規模雇用主」に選出されるなど、これまでも数多くの受賞歴がある。
出典:https://www.expresspros.com/
アメリカの主要人材サービス企業2選〜日系編〜
Recruit Holdings(リクルートホールディングス)
Recruit Holdingsは1963年に設立され、本社は日本の東京にある。広告・メディア、人材、教育、ライフ、不動産など、さまざまな分野で事業を展開している日本の大手人材サービス企業である。組織には、リクルートキャリア、リクルートライフスタイル、リクルートホールディングス国際、およびその他の子会社がある。主要なサービスには、求人情報サイトの運営や人材派遣、転職サポート、不動産情報提供などがある。
アメリカには、1985年にRecruit U.S.A Inc.が設立され、事業展開する日本企業へ採用支援のサービスを提供している。58,493名の従業員、連結子会社257社、関連会社10社を有している。また、2022年度の収益は3.4兆円となった。
2022年7月から12月の間に社外から53の受賞があった。その中には、複数名が人材派遣業界アナリストで「グローバルパワー150の人材派遣業界の女性インターナショナル50」に選出、「最も働きやすい職場」に選出など、これまでも数多くの受賞歴がある。
出典:https://recruit-holdings.com/ja/
Pasona Group (パソナグループ)
Pasona Groupは、1976年に設立され、本社は日本の東京にある。人材派遣、採用支援、教育研修、人事コンサルティングなどの人事関連サービスを提供している。
子会社69社、従業員23,918名を有し、国外でもアジア各国や欧米で日本企業の海外進出を支援している。近年はASEAN地域のネットワークを強化している。2012年には、アメリカに進出する日系企業や現地アメリカ企業へ福利厚生サービスを提供するべネフィット・ワンUSAが設立された。2022年度の売上高は、3,726億円となった。前年度の売上高の3,660億円と比較し、増加している。
Pasona Group は、SDGsに基づく 6つの重点テーマに沿って国内外で社会貢献活動を推進している。その中で、2005年に「社会貢献室」を設置し、社会貢献活動のリーダーとして、全国のグループ各社より40名の「社会貢献委員」を任命した。
出典:https://www.eosllp.com/
アメリカの主要人材サービス企業2選〜外資系編〜
Adecco Group (アデコグループ)
Adecco Groupは1957年に設立され、本社はスイスにある。従業員の雇用適性の分析や雇用支援を行うワークフォースソリューション、人材変革やスキルアップ支援を行う人材ソリューション、人材サービスとスキルを活用してデジタル変革を推進するテクノロジーソリューションの3つの事業により、約10万のクライアントにサービスを提供している。
Adecco、Modis、Pontoonなどをはじめ、10のブランドを世界60か国以上の国と地域に展開し、38,000名の従業員を有している。また、1日あたり350万のキャリアを支援している。2022年度の売上高は、236億4000万ユーロである。
十分なサービスを受けていない人々の雇用可能性と労働市場へのアクセスを高めるための実践的なソリューションを作成することで、持続可能な生計をサポートするイノベーション財団がある。Adecco Groupの支援を受けているイノベーション財団は、Fortuneグローバル500企業のノウハウを活用している。
出典:https://www.adeccogroup.com/
Randstad (ランスタッド)
Randstadは1960年に設立され、本社はオランダにある。12のブランドを持つ、世界最大の人材会社である。39の市場に4,905の拠点と46,190名の従業員を有し、毎日662,200人が雇用されている。2022年には200万人以上の人々を支援し、23万人以上のクライアントに人材関連のアドバイスやサービスを提供している。
2022年度の収益は276億ユーロで、前年度の収益の246億ユーロと比較し、増加している。Randstadは、2023年から2025年の間で5万人の難民支援を強化することに取り組んでいる。2011年以来、職業紹介や訓練を通じて10万人以上の難民をサポートし、2022年には18,800人以上の人々をサポートした。
Randstadは、EcoVadisの持続可能性評価で、「ゴールド」の評価を獲得、人材派遣業界アナリストで、6人の幹部が「グローバルパワー150の人材派遣業界の女性」に選出されるなど、これまでも数多くの受賞歴がある。さらに、指導的地位にある女性の割合は50%を占めており、女性の活躍が高く評価されている。
出典:https://www.randstad.com/
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。