アメリカの水道業界は、複数州にまたがり事業を展開する上場水道会社が業界を主導する規制産業です。老朽化した水道インフラの更新需要と水資源管理の重要性の高まりを背景に、主要企業は設備投資と料金改定を進めています。
今回は、そんなアメリカの水道業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社の最新情報をお届けしていきます!
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アメリカの主要水道企業9選〜ローカル編〜
American Water Works (アメリカン・ウォーター・ワークス)
American Water Worksは1886年に創業し、本社はアメリカのニュージャージー州カムデンに置く、規制対象事業として全米最大の上下水道会社である。
2024年時点で14の州において1,400万人を超える人々に飲料水や排水などのサービスを提供し、18の軍事施設の水インフラも運営、従業員は約6,500人を数える。
2024年1〜9月の営業収益は約34億8,300万ドルと前年同期の約32億200万ドルから増加し、2025年の一株当たり利益は約8%成長となる5.65〜5.75ドルを見込む。
老朽化した水道網の更新を成長の柱に据え、2025〜2034年に400億〜420億ドル規模の設備投資を計画するほか、ペンシルベニア州バトラー地区の下水事業買収など地域公営インフラの取り込みを進めている。
上場企業として株主還元にも積極的で、長期的に年7〜9%の増配を目標に掲げている。
出典:https://www.amwater.com/
Essential Utilities (エッセンシャル・ユーティリティーズ)
Essential Utilitiesは1968年に創業し、本社はアメリカのペンシルベニア州ブリンマーに置く、上場する上下水道・天然ガス事業の持株会社である。
水道ブランドAquaと天然ガスブランドPeoplesを通じ、2024年時点で9つの州のおよそ550万人に上下水道と天然ガスのサービスを提供している。
2024年12月期の売上高は約20億8,610万ドル、純利益は約5億9,530万ドルで、一株当たり利益は2.17ドルであった。うち水道部門が約12億2,190万ドル、天然ガス部門が約8億4,300万ドルを占める。
事業基盤の約75%をペンシルベニア州に置き、2024年には老朽インフラの更新に約13億ドルを投じた。
中小規模の公営水道を買収して規模を広げる方針を続けており、規制下の安定した料金基盤の拡大を図っている。
出典:https://www.essential.co/
California Water Service Group (カリフォルニア・ウォーター・サービス・グループ)
California Water Service Groupは1926年に創業し、本社はアメリカのカリフォルニア州サンノゼに置く、投資家所有としては全米有数の上場水道会社である。
カリフォルニア、ハワイ、ニューメキシコ、ワシントン、テキサスの5州で規制対象の水道子会社を展開し、2025年時点で210万人を超える人々にサービスを提供している。
2025年12月期の営業収益は約10億ドル、純利益は約1億2,820万ドルで、一株当たり利益は2.15ドルとなった。
2025年には水道インフラへ過去最高となる約5億1,700万ドルを投じ、前年から9.8%増と設備投資を拡大している。
老朽管路の更新や水質確保、水源の持続可能性を経営の重点に据え、料金改定を通じた投資回収と安定配当の維持を続けている。
出典:https://www.calwatergroup.com/
American States Water (アメリカン・ステイツ・ウォーター)
American States Waterは1929年に創業し、本社はアメリカのカリフォルニア州サンディマスに置く公益事業持株会社である。
中核子会社Golden State Waterは、2024年時点でカリフォルニア州内の約80の地域で100万人を超える人々に水を供給し、電力子会社Bear Valley Electric Serviceも擁する。
契約子会社American States Utility Servicesは、政府との50年の民営化契約に基づき全米12か所の軍事基地で上下水道システムを運営している。
2024年も料金改定と軍事基地契約の拡大が業績を支え、規制水道と長期契約事業を組み合わせた安定した収益構造を持つ。
連続増配の記録は70年に及び、アメリカの上場企業の中でも最長級の配当実績を維持している。
出典:https://www.aswater.com/
Select Water Solutions (セレクト・ウォーター・ソリューションズ)
Select Water Solutionsは2008年に創業し、本社はアメリカのテキサス州ヒューストンに置く、エネルギー産業向けの水管理ソリューション企業である。
水道サービス、水インフラ、油田化学品の3事業を柱とし、2024年時点で約5,000人の従業員を擁する。
主力のパーミアン盆地などで、随伴水の調達・輸送・処理・リサイクルや廃棄までを一貫して手掛け、長期契約に基づく水インフラ事業の拡大を進めている。
2024年12月期の売上高は約15億ドル規模で、リサイクル水の比率向上や排水処理量の増加を通じて持続可能な水利用への取り組みを強めている。
掘削活動に左右されにくい契約型インフラへの投資を軸に、事業ポートフォリオの安定化を図っている。
出典:https://www.selectwater.com/
Xylem (ザイレム)
Xylemは2011年にITTからのスピンオフによって誕生し、本社はアメリカのワシントンD.C.に置く、水関連技術の世界的大手である。
ポンプや計測機器、水処理、デジタル監視などを、公共施設・工業・住宅・商業向けに世界150か国以上へ提供し、従業員は約2万3,000人に上る。
2023年に水処理大手Evoquaを約75億ドルで買収して事業を拡大し、2024年12月期の売上高は約85億6,200万ドルと前年比16%増、一株当たり利益は3.65ドルとなった。
事業は水インフラ、応用水、計測・制御ソリューション、水ソリューション・サービスの4部門で構成される。
2025年12月期は売上高86億〜87億ドルを見込み、スマート水道やデジタル技術を軸とした成長を続けている。
出典:https://www.xylem.com/
York Water Company (ヨーク・ウォーター・カンパニー)
York Water Companyは1816年に創業し、本社はアメリカのペンシルベニア州ヨークに置く、投資家所有としては全米最古の上場水道会社である。
ヨーク郡を中心にアダムズ、フランクリン、ランカスターの各郡で飲料水の採取・処理・配水を手掛け、2024年時点で約20万人にサービスを提供している。
1816年の創業以来一度も途切れることなく事業を続け、配当の連続支払い記録はアメリカ企業として最長級として知られる。
近年は周辺の中小水道・下水システムの買収を通じて給水区域を着実に広げ、規制下の安定した料金基盤を築いている。
老朽インフラの更新や水質管理への投資を継続し、地域に密着した公益事業者としての地位を維持している。
出典:https://www.yorkwater.com/
Veralto (ヴェラルト)
Veraltoは2023年9月にダナハー(Danaher)から分離・独立して誕生し、本社はアメリカのマサチューセッツ州ウォルサムに置く、水質と製品品質の検査・管理を手掛ける企業である。
中核の水質部門は全社売上の約6割を占め、水質分析計器のHach、紫外線消毒のTrojan Technologies、水処理薬品のChemTreatなど世界的なブランドを傘下に持つ。
上下水道事業者や産業顧客に対し、水質モニタリング、消毒、薬品処理といった水の安全性を支える製品・サービスを提供している。
2025年12月期時点でグループの売上高は約55億ドル、従業員は約1万7,000人に上り、売上の約半分を北米が占める。
分離独立後は水質分野を成長の中核に据え、買収も活用しながら事業基盤の拡大を進めている。
出典:https://www.veralto.com/
SJW Group (エスジェイダブリュー・グループ)
SJW Groupは、1866年創業のSan Jose Waterを中核とする上場水道持株会社で、本社はアメリカのカリフォルニア州サンノゼに置く。
カリフォルニアのSan Jose Waterに加え、コネチカット、メイン、テキサスの各州で規制対象の水道子会社を展開し、2024年時点で約150万人にサービスを提供している。
老朽管路の更新や水源保護への投資を続け、料金改定を通じて規制下の安定した収益基盤を築いている。
2024年12月期の売上高は約7億4,800万ドルで、増配の記録は57年に及ぶなど株主還元でも長い実績を持つ。
地域に密着した公益事業者として、カリフォルニアを中心に給水網の維持・拡充を進めている。
出典:https://www.sjwgroup.com/
アメリカの主要水道企業2選〜日系編〜
Kurita Water Industries (栗田工業)
Kurita Water Industries(栗田工業)は1949年に創業し、本社は日本の東京都に置く、水処理薬品と水処理装置を二本柱とする水事業の大手である。
ボイラーや冷却水向けの薬品、超純水供給、排水回収などを世界規模で展開し、電子産業やエネルギー分野の顧客を幅広く抱える。
2018年に米国の水処理会社U.S. Water Servicesを買収して現在のKurita America(本社ミネソタ州)を設立し、北米での薬品・サービス事業の基盤を築いた。
2024年時点でグループの売上高は約4,000億円規模に達し、環境価値の創出を掲げて研究開発と海外展開を強化している。
半導体製造に不可欠な超純水技術などを武器に、北米市場でも顧客基盤の拡大を進めている。
出典:https://www.kurita-water.com/
Ebara Corporation (荏原製作所)
Ebara Corporation(荏原製作所)は1912年に創業し、本社は日本の東京都に置く、ポンプを源流とする総合機械メーカーである。
事業は精密・電子、エネルギー、建築・産業、インフラ、環境の5部門で構成され、2024年12月期の連結売上高は約9,583億円、従業員は連結で約2万1,000人に上る。
上下水道や産業向けのポンプ・送風機、廃棄物処理プラントなどインフラ・環境分野に強みを持ち、水の輸送や処理を支える基幹設備を供給している。
北米では、タービンやコンプレッサーを手掛けるEbara Elliott Energyなどを通じて発電・エネルギー関連の顧客に製品を提供している。
半導体製造装置の需要拡大を追い風に、水・環境分野と精密分野の両輪で事業拡大を続けている。
出典:https://www.ebara.com/
アメリカの主要水道企業2選〜外資編〜
Veolia (ヴェオリア)
Veoliaは1853年に創業し、本社はフランスのパリ近郊に置く、上下水道・廃棄物・エネルギーを手掛ける世界最大級の環境サービス企業である。
上下水道システムの運営、汚水処理、飲料水供給などを世界規模で展開し、飲料水を約1億人超に供給するとされる。
2022年にライバルのSuezを統合して規模を拡大し、北米では民間水道運営の最大手として自治体の水インフラを支えている。
2024年12月期の売上高は約446億9,200万ユーロ、純利益(グループ帰属)は約15億3,000万ユーロと前年比14.6%増となった。
2024年には水技術部門Water Technologies & Solutionsの残る30%株式を取得して完全子会社化し、水処理技術事業の強化を進めている。
出典:https://www.veolia.com/en
Siemens (シーメンス)
Siemensは1847年に創業し、本社はドイツのミュンヘンに置く、電力・オートメーション・デジタル技術などを手掛ける総合エンジニアリング大手である。
従業員は約31万人を数え、産業オートメーションやデジタルソフトウェアを軸に幅広い産業分野へソリューションを提供している。
水分野では、上下水道や浄水・排水処理プラント向けに制御システムやデジタルツイン、監視技術を供給し、水道事業者の効率化を支えている。
2024年9月期の売上高は約759億ユーロと前年から増加し、産業向けソフトウェア基盤Siemens Xceleratorを通じた事業拡大を続けている。
近年は水道事業者向けにAIを活用した運用支援やソフトウェア製品の拡充を進め、水インフラのデジタル化を後押ししている。
出典:https://www.siemens.com/
FAQ
アメリカの水道業界の現状と課題は何ですか?
アメリカの水道業界は、約50,000の水道システムで構成されており、その多くは老朽化したインフラや水質問題に直面しています。投資不足や水源の枯渇も懸念されており、安全性と持続可能性の向上が求められています。
アメリカの主要水道会社にはどのような企業がありますか?
アメリカの主要水道会社には、American Water WorksやEssential Utilities、California Water Service Groupなどが含まれます。これらの企業は公共および民間のサービスを提供し、国内外で事業を展開しています。
アメリカの水道会社で特に注目すべきポイントは何ですか?
注目すべきポイントは、各企業の規模、サービスの範囲、水質管理の取り組み、環境配慮や持続可能性への取り組み、そして地域社会への貢献などです。特にAmerican Water WorksやVeoliaなどは、その規模と実績で注目されています。
日系企業のアメリカの水道業界での役割や取り組みは何ですか?
日系企業の栗田工業は、水処理薬品や水処理装置の供給を通じて、アメリカの水道インフラの改善や持続可能性向上に貢献しています。先進的な技術と信頼性の高い製品を提供し、環境保護と効率化をサポートしています。
アメリカの水道業界の今後の展望や改善策は何ですか?
今後は老朽化したインフラの更新や水質の改善、持続可能な水資源の確保に重点が置かれる見込みです。革新的技術の導入や投資拡大、環境負荷削減に向けた企業の取り組み強化が期待されます。

