アメリカの電力・ガス業界は、大手電力会社から天然ガス開発企業、再生可能エネルギー事業者まで多様な企業が並ぶ巨大市場です。データセンター需要の急増を追い風に、主要企業は発電設備への投資を加速しています。
今回は、そんなアメリカの電力・ガス業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて16社の最新情報をお届けしていきます!
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アメリカの主要電力・ガス企業10選〜ローカル編〜
EQT (イーキューティー)
EQTは1888年に創業し、本社はアメリカのペンシルベニア州ピッツバーグに置く、アパラチア盆地を地盤とする天然ガス生産大手である。
2024年通期の天然ガス換算生産量は2,100Bcfeを超え、確認埋蔵量は約26.3兆立方フィート換算に達する、米国有数の天然ガス生産会社である。従業員は2024年末時点で約1,461人を数える。
2024年7月には中流事業のEquitrans Midstreamを買収し、探鉱・生産からパイプライン輸送までを一体で担う大規模な垂直統合型の天然ガス企業へと転換した。
この買収により約3,000マイルのパイプライン網とMountain Valley Pipelineを傘下に収め、生産コストの低減と供給の安定性向上を図っている。
2024年通期の営業収益は約53億ドルで、AIデータセンターなど増大する電力・ガス需要を追い風に、低コスト操業を軸とした成長を続けている。
出典:https://www.eqt.com/
Antero Resources (アンテロ・リソース)
Antero Resourcesは2002年に創業し、本社はアメリカのコロラド州デンバーに置く、アパラチア盆地を地盤とする天然ガス・NGL生産会社である。
2024年通期の天然ガス生産量は日量約2.2Bcf、総生産量は日量約3.4Bcfeで、年末時点の確認埋蔵量は約17.9兆立方フィート換算に達する。
2024年通期の総収益は約43億3,000万ドル、第4四半期の純利益は約1億5,000万ドルで、通期のフリーキャッシュフローは約7,300万ドルを確保した。
2024年は掘削・仕上げ費用を前年から32%削減し、資本効率の高い操業によって生産を維持した点が特徴である。
液体分(NGL)の輸出を強みとし、国際市場との価格差を取り込みながら、環境負荷の低い生産手法の徹底を続けている。
出典:https://www.anteroresources.com/
Exxon Mobil (エクソン・モービル)
Exxon Mobilは源流を1882年設立のスタンダード・オイルにさかのぼり、本社はアメリカのテキサス州スプリングに置く、石油・ガスの総合エネルギー大手である。
2024年12月期の売上高は約3,392億ドル、純利益は約337億ドル、一株当たり利益は7.84ドルで、生産量は日量約430万石油換算バレルと過去10年超で最高となった。
2024年5月にはシェール大手のPioneer Natural Resourcesを約630億ドルで買収し、パーミアン盆地での生産基盤を大きく拡大した。
探鉱・生産から製油、化学、LNGまでを垂直統合し、パイプラインや液化天然ガス輸出基地なども運営している。
2024年は株主還元として約360億ドルを配当と自社株買いで還元し、水素やカーボンキャプチャーなど低炭素技術への投資も進めている。
出典:https://corporate.exxonmobil.com/
Exelon (エクセロン)
Exelonは2000年にPECOとコモンウェルス・エジソンの合併で発足し、本社はアメリカのイリノイ州シカゴに置く、送配電に特化した米国最大級の電力・ガス会社である。
2022年に発電事業のConstellation Energyを分離し、現在はComEd、PECO、BGE、Pepco、DPL、ACEの6つの送配電会社を束ねる純粋な公益事業持株会社となっている。
2024年12月期のGAAPベース一株当たり利益は2.45ドル、調整後は2.50ドルで、顧客数は1,070万を超え、従業員は約2万人を数える。
イリノイ、ペンシルベニア、メリーランド、ワシントンDC、デラウェア、ニュージャージーの各地で電力とガスの配給を担っている。
2024年時点で2028年までの利益成長率を年5〜7%と見込み、送配電網への大規模投資と信頼性の向上を経営の柱に据えている。
出典:https://www.exeloncorp.com/
Duke Energy (デューク・エナジー)
Duke Energyは1904年に創業し、本社はアメリカのノースカロライナ州シャーロットに置く、米国最大級の電力・ガス会社の一つである。
2024年時点で6つの州の電力顧客約840万、5つの州のガス顧客約170万にサービスを提供し、発電容量は約5万4,800メガワットに上る。
電力事業はノースカロライナ、サウスカロライナ、フロリダ、インディアナ、オハイオ、ケンタッキーの各州で展開し、フォーチュン150に数えられる規模を持つ。
2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする目標を掲げ、天然ガス、原子力、再生可能エネルギー、蓄電への投資を進めている。
2024年12月期も送配電網の近代化を軸に大規模な設備投資を継続し、エネルギー転換の推進に取り組んでいる。
出典:https://www.duke-energy.com/
Southern Company (サザン・カンパニー)
Southern Companyは1945年に設立され、本社はアメリカのジョージア州アトランタに置く、南部を地盤とする米国有数の電力・ガス会社である。
2024年12月期の営業収益は約267億ドルと前年から5.8%増加し、純利益は約44億ドル、一株当たり利益は4.02ドルとなった。
2024年12月時点で電力顧客約455万、ガス顧客約439万を抱え、アラバマ、ジョージア、ミシシッピの電力子会社と4州のガス配給会社を通じてサービスを提供している。
傘下のジョージア・パワーが手掛けたVogtleのUnit3・Unit4の新規原子力発電所は運転を開始し、米国で約30年ぶりの大型原子力稼働として注目された。
2024年時点でも送配電、再生可能エネルギー、原子力などへの投資を続け、増大する電力需要への対応を進めている。
出典:https://www.southerncompany.com/
Pacific Gas & Electric (パシフィック・ガス&エレクトリック)
Pacific Gas & Electricは1905年に創業し、持株会社PG&E Corporationの本社はアメリカのカリフォルニア州オークランドに置く、同州最大の電力・ガス会社である。
北カリフォルニアと中央カリフォルニアの約7万平方マイルの地域で、1,600万人にわたる人々に電力とガスを供給している。
2024年12月期の営業収益は約244億ドル、純利益は約24億7,500万ドル、一株当たり利益は1.15ドルで、営業キャッシュフローは80億ドルへと増加した。
2018〜2019年の山火事を機に破産法適用を経て2020年に再建した後は、送電線の地中化など設備強化を進め、2024年まで2年連続で自社設備に起因する大規模山火事ゼロを達成した。
2028年までに630億ドルの設備投資計画を掲げ、電力網の安全性向上と気候対策への投資を続けている。
出典:https://www.pgecorp.com/
Expand Energy (エクスパンド・エナジー)
Expand Energyは2024年10月1日、Chesapeake EnergyとSouthwestern Energyの合併によって誕生し、本社はアメリカのオクラホマ州オクラホマシティに置く天然ガス生産会社である。
生産量で北米最大の天然ガス生産会社とされ、ナスダックにティッカーEXEで上場している。
約74億ドル規模の株式交換による合併で発足し、アパラチア盆地とハインズビルシェールという二大生産地盤を併せ持つ。
両社の資産統合により、低コストで柔軟な生産体制と強固な財務基盤を備えた大規模事業者となった。
2024年後半の発足以降、増大する天然ガス・LNG需要を追い風に、生産の最適化と株主還元の両立を進めている。
出典:https://www.expandenergy.com/
NextEra Energy (ネクステラ・エナジー)
NextEra Energyは源流を1925年設立のフロリダの電力会社にさかのぼり、本社はアメリカのフロリダ州ジュノビーチに置く、米国最大級の電力会社である。
規制電力子会社Florida Power & Light(FPL)を通じてフロリダ州で電力を供給し、その料金水準は全米平均を約4割下回っている。
もう一つの柱であるNextEra Energy Resourcesは、風力と太陽光を中心とする世界最大級の再生可能エネルギー発電事業者である。
2024年12月期のGAAP純利益は約69億ドル、調整後一株当たり利益は3.43ドルで、前年から約8%増加した。
2024年には6ギガワットを超える再生可能エネルギーを新規に稼働させ、受注残は25ギガワットを超えるなど、電化やデータセンター需要を背景に成長を続けている。
出典:https://www.nexteraenergy.com/
Constellation Energy (コンステレーション・エナジー)
Constellation Energyは2022年にExelonから発電事業として分離・独立し、本社はアメリカのメリーランド州ボルチモアに置く、米国最大級のクリーンエネルギー発電会社である。
米国最大の原子力発電フリートを核に、無炭素電源を中心とした発電と電力小売を全米で手掛けている。
商業・産業向けを含む電力小売事業も展開し、フォーチュン100企業の多くを顧客に持つ。
2025年にはガス火力大手Calpineの買収で合意し、2026年1月に完了したことで発電容量は約55ギガワットとなり、電力量で全米最大の発電会社となった。
2024年時点では原子力発電所の運転延長やデータセンター向けの電力供給に注力し、増大する無炭素電力の需要に応えている。
出典:https://www.constellationenergy.com/
アメリカの主要電力・ガス企業3選〜日系編〜
Mitsubishi Power Americas (三菱パワーアメリカ)
Mitsubishi Power Americasは、三菱重工業のパワー部門であるMitsubishi Powerの南北アメリカ地域法人で、本社はアメリカのフロリダ州レイクメアリーに置く。
2024年時点で北米・中米・南米にわたり約2,800人の従業員を擁し、ガスタービンや蒸気タービン、発電設備を供給している。
主力のガスタービンに加え、水素混焼・専焼タービン、バッテリー蓄電、排出制御、カーボンキャプチャーなど脱炭素技術に力を入れている。
世界最高効率とされる大型ガスタービンや、電力需要が急増するデータセンター向けの電源ソリューションも手掛けている。
2024年時点ではAIを活用した運転支援やグリーン水素の実用化に取り組み、脱炭素と電力の安定供給の両立を目指している。
出典:https://power.mhi.com/regions/amer/company
Osaka Gas USA (大阪ガスUSA)
Osaka Gas USAは、関西を地盤とする大阪ガスの完全子会社で、本社はアメリカのテキサス州ヒューストンに置く、北米事業の統括会社である。
上流(天然ガス開発)、LNG、ガス火力発電、再生可能エネルギー、新規事業開発の5分野を柱に事業を展開している。
2019年にシェールガス生産会社Sabine Oil & Gasを買収して上流事業を拡大し、テキサス州東部などで天然ガスの探鉱・生産を手掛けている。
ニューヨーク州ホワイトプレインズやカリフォルニア州サニーベールにも拠点を置き、電源開発や再生可能エネルギーへの投資を進めている。
2024年時点ではバイオメタンやe-NG(合成メタン)など次世代燃料の調達・生産にも取り組み、北米での事業基盤の拡大を続けている。
出典:https://www.osakagasusa.com/
JERA (株式会社JERA)
JERAは2015年に東京電力フュエル&パワーと中部電力の折半出資で発足し、本社は日本の東京都に置く、日本最大の発電事業者である。
日本の電力の約3割を供給し、燃料の調達から発電、電力・ガスの販売までのバリューチェーンを一体で担っている。
2024年5月に公表した2035年に向けた成長戦略では、LNG取扱量3,500万トン超、再生可能エネルギー20GW、水素・アンモニア約700万トンを目標に掲げ、総額5兆円規模の投資を計画している。
米国では子会社JERA Americasを通じて事業を展開し、2024年にはテキサス州のFreeport LNGへの出資を積み増すなどLNGバリューチェーンを強化した。
2025年には米国のパートナーと年最大550万トンの長期LNG調達で合意し、脱炭素と安定供給の両立を目指している。
出典:https://www.jera.co.jp/en
アメリカの主要電力・ガス企業3選〜外資編〜
BP (ビーピー)
bpは源流を1908年に設立されたアングロ・ペルシャ石油会社にさかのぼり、本社はイギリスのロンドンに置く、石油・ガスの総合エネルギー大手である。
探鉱・生産から製油、燃料販売、再生可能エネルギーまでを世界規模で手掛け、アメリカでも上流やガス、低炭素事業を展開している。
2024年12月期の基準取替原価ベースの利益は約89億ドルと前年から約3分の1減少し、原油価格の下落や精製マージンの縮小が響いた。
2025年2月には戦略の見直しを表明し、石油・ガスへの投資を増やす一方で再生可能エネルギー分野への支出を絞る方針へと転換した。
2024年時点では株主還元と負債の削減を重視しつつ、収益基盤の立て直しと成長の土台づくりを進めている。
出典:https://www.bp.com/
Shell (シェル)
Shellは1907年にロイヤル・ダッチとシェル・トランスポートの合併で発足し、本社はイギリスのロンドンに置く、世界有数の石油・ガス・LNG大手である。
上流の石油・ガス開発から、世界最大級のLNG事業、製油、燃料小売、電力・低炭素事業までを幅広く展開している。
2024年12月期の調整後利益は約237億ドルと、前年の約282億ドルから減少したものの、市場予想を上回った。
好調なキャッシュフローを背景に配当を約4%増額し、自社株買いを継続するなど株主還元を強化した。
アメリカではメキシコ湾の深海油田開発やLNG輸出、再生可能エネルギー事業を手掛け、2024年時点でも収益性の高い事業への選択と集中を進めている。
出典:https://www.shell.com/
Avangrid (アバングリッド)
Avangridは、スペインのエネルギー大手Iberdrolaを親会社とし、本社はアメリカのコネチカット州オレンジに置く、電力・ガスの公益事業と再生可能エネルギー事業を営む会社である。
Central Maine PowerやNYSEG、RG&Eなど8つの電力・ガス配給会社を通じ、ニューヨーク、コネチカット、メイン、マサチューセッツの各州で約700万人に電力を届けている。
再生可能エネルギー部門は約8,700メガワットの設備容量を持ち、米国初の大型洋上風力であるVineyard Wind 1にも参画している。
2024年12月、親会社Iberdrolaが残る約18.4%の株式を取得して完全子会社化し、ニューヨーク証券取引所への上場を廃止した。
総資産は460億ドルを超え、2024年時点でも送配電網の整備と、洋上風力を含む再生可能エネルギー開発を進めている。
出典:https://www.avangrid.com/
FAQ
アメリカの電力・ガス業界の主要な動向は何ですか?
2022年のアメリカの電力生産において、天然ガスが約40%を占めており、再生可能エネルギーは21.7%、石炭19.4%、原子力18.4%となっています。再生可能エネルギーの拡大と新技術の開発が進められ、化石燃料とゼロカーボン電力の比率は約60:40です。
アメリカの主要電力会社の中で、特に注目すべき企業は何ですか?
エクソン・モービルは世界最大のスーパーメジャーの一つであり、収益が非常に高いです。エクセロンはアメリカ最大の規制電力親会社で、多くの州でガスや電気を供給しています。デューク・エナジーは2050年までに二酸化炭素排出量をゴールドゼロにする計画を持ち、再生可能エネルギーへの投資も積極的です。
アメリカの電力・ガス産業において、日本企業の役割や展望は何ですか?
日本の電力企業は、アメリカのエネルギーインフラ開発や再生可能エネルギー技術の導入に積極的に関与しています。三菱パワーアメリカや大阪ガスUSAなどは、発電技術やエネルギーソリューションを提供し、持続可能なエネルギーへの移行を支援しています。
アメリカの主要電力・ガス会社の環境に対する取り組みはどのようなものですか?
多くのアメリカの電力・ガス会社は、クリーンエネルギー推進とCO2排出削減に取り組んでいます。例として、デューク・エナジーは2050年までに排出量実質ゼロを目指し、水素や再エネへの投資を行っています。エクセロンも環境に配慮したエネルギー開発を推進しています。
アメリカの電力・ガス業界の今後の動向や挑戦は何ですか?
今後は再生可能エネルギーの拡大とともに、脱炭素化と持続可能なエネルギーシステムの構築が重要な課題です。気候変動への対応や新たな技術導入、インフラ整備や規制改革も進められる見込みです。

