世界中の製造業が半導体不足に直面する中、ベトナムでは半導体産業の発展がかつてないほど加速しています。2024年には過去最高の市場規模を記録し、NVIDIAやIntel、Samsungといった世界的な大手企業が相次いで投資を拡大。政府も「半導体国家戦略」を掲げ、設計から製造までの包括的なエコシステム構築や人材育成に本腰を入れています。地理的優位性と豊富なレアアース資源を背景に、ベトナムはASEAN地域の半導体ハブとして急浮上しています。
本記事では、ベトナム半導体市場の現状と成長要因、主要プレーヤー、そして今後の展望を詳しく解説します
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ベトナムの半導体市場
世界の半導体事情
2024年の世界半導体市場は史上最高の売上高を記録し、人工知能(AI)需要の急拡大により前年比約19%の成長を達成した。地域別では北米市場が圧倒的な成長を示す一方、欧州と日本は苦戦し、アジア太平洋地域は堅調な回復を見せている。この市場構造の変化は、AI技術の普及とサプライチェーンの地政学的な再編によって推進されている。
2024年の世界半導体市場は記録的な成長を遂げ、複数の調査機関が過去最高の売上高を報告している。米国半導体工業会(SIA)によると、2024年の世界半導体売上高は前年比19.1%増の6,276億米ドルに達し、初めて6,000億ドルの大台を突破した。一方、市場調査会社ガートナーの発表では、前年比18.1%増の6,260億ドルという数値を示している。
この急激な成長の背景には、生成AI(人工知能)向けの高性能チップ需要が爆発的に増加したことがある。特にGPU(グラフィック処理装置)やHBM(高帯域幅メモリ)などのAI対応半導体への投資が市場全体を押し上げた。データセンター向け半導体の売上は2023年の648億ドルから1,120億ドルにほぼ倍増し、スマートフォンに次ぐ第2位の半導体市場となった。
2024年は半導体業界の勢力図が大きく塗り替わった年でもある。最も注目すべきは、NVIDIAが初めて売上高で世界の半導体企業の首位に立ったことである。NVIDIAの2024年売上高は766億9,200万ドルで、前年から120.1%の大幅成長を記録した。この急成長により、同社は前年の3位から一気に1位へと躍進し、従来の業界秩序を覆した。
Samsung Electronicsは前年比60.8%増の656億9,700万ドルを記録し2位を維持したが、DRAMおよびNANDフラッシュの価格回復による収益改善が主要因だった。一方、Intelは前年の1位から3位に転落し、売上成長はわずか0.8%にとどまった。同社のAIプロセッシング分野での遅れが順位下落の要因となった。
アジア太平洋地域(日本・中国除く)は2024年に前年比12.5%増の成長を示し、堅調な回復基調を維持した。この地域の成長は、新興市場でのチップ生産の増加に支えられている。2025年の世界半導体生産能力予測では、中国が世界シェアの24%を占めて首位、台湾と韓国がそれぞれ18%と続き、日本が15%で世界4位を維持する見込みである。
ベトナムの半導体市場
ベトナムの半導体市場は世界的なサプライチェーンの再編と政府の積極的な産業政策により劇的な成長を遂げており、2024年には187億ドルの収益を記録した。地理的優位性、豊富な人材、戦略的な投資誘致により、ベトナムは東南アジア地域における半導体製造の「ライジングスター」として注目を集めている。この成長は、174件の外国直接投資プロジェクトと約116億ドルの総投資額に支えられており、NVIDIA、Intel、Samsung、Amkorなどの世界的大手企業による継続的な投資拡大が市場の急速な発展を牽引している。
ベトナムの半導体市場は著しい拡大を続けており、複数の予測機関が一致して強い成長見通しを示している。グローバル半導体協会(SEMI)は、ベトナムの半導体市場は2028年までに70.1億米ドルに達し、年平均成長率約6.69%で成長すると予測した。。この成長軌道は、2022年の市場規模47億9,000万ドルから2027年の64億5,000万ドルへの拡大という別の予測とも整合性を示しており、ASEAN諸国の中でも最もホットな半導体市場として位置づけられている。
より短期的な視点では、英市場調査会社テクナビオが2027年までに16億5,000万米ドル規模への成長を予測しており、22年から27年までの6年間の年平均成長率を6.12%と見込んでいる。これらの数値の違いは測定範囲や定義の差異によるものと考えられるが、いずれも力強い成長トレンドを示している点で一致している。特に注目すべきは、2024年の実際の収益が187億ドルに達したことで、これは多くの予測を上回る成果となっている。
現在は主に後工程に特化した産業構造だが、政府の2050年までの半導体国家戦略により、設計から製造まで包括的な半導体エコシステムの構築が進められている。NVIDIAをはじめとする世界的なテクノロジー企業との戦略的パートナーシップ、50,000人の技術者育成という人材開発目標、そして豊富なレアアース資源という天然の優位性により、ベトナムは東南アジア地域の半導体ハブとしての地位を確立しつつある。
半導体不足によるベトナムの製造業への影響
昨年から始まった世界的な半導体チップ不足は、様々な業界に深刻な影響を与えている。ベトナム国内では企業により状況が異なる。ホンダベトナムの代表者は世界的な半導体チップ不足状態でもホンダベトナムの自動車生産及び組立活動には影響が出ておらず、ベトナム市場への自動車の供給源には問題が無いとコメントした。
自動車産業では、主要部品の調達難により生産ラインの停止が頻発している。三菱自動車やホンダはベトナム工場の操業を一時停止せざるを得なくなり、完成車の出荷台数が前年比20%以上減少した事例も確認されている。特に高級車種の納車待ち期間は最大1年に達し、消費者が中古市場に流れる現象まで発生している。この影響で自動車部品メーカーの稼働率も70-80%に留まり、サプライチェーン全体が機能不全に陥った。
ベトナムスズキ株式会社の代表者は、同社がベトナム国内で製造している自動車(キャリートラック、ブラインドバンなど)、海外から輸入している自動車(スイフト、XL7、エルティガ、シアズなど)の中でベトナム国内で製造している自動車が半導体チップ供給不足の影響を受けているとコメントした。
また、ベトナムの電気自動車メーカー(VinFast社)の北米での予想売上はチップの供給不足により、生産及び販売が大きく減少すると予想されている。また、韓国のヒュンダイブランドの自動車を製造するベトナム企業(TC Group)は、世界的な半導体やハイテクチップ、コンポーネント不足により、ベトナム国内で生産する一部のヒュンダイブランドの自動車の生産・供給に影響が出るとコメントした。
他国がベトナムで半導体産業に参入する理由
ベトナムの半導体市場には世界の主要企業が大規模な投資を行っており、現在174件のFDIプロジェクトが登録され、総資本投資額は約116億ドルに上っている。これらの投資は、ベトナムの戦略的地理的位置、競争力のある労働コスト、政府の強力な支援により実現している。
韓国のAmkor Technologyは2023年にバクニン省に16億ドル規模の半導体パッケージング・テスト施設を設立し、これはベトナムの半導体産業における最大級の投資案件となった。同社は2025年2月には生産能力を3倍に増やし、2025年10月までに年間36億ユニットを生産する計画を発表している。韓国のHana Micronも、バクザン省に6億ドルを投じてパッケージングおよびテスト工場を設立しており、2026年までに約1兆3,000億ウォン(9億3,049万ドル)を投資してレガシー半導体のパッケージング事業を強化する予定だ。
アメリカの大手企業も積極的に投資を拡大している。Intelはホーチミン市で運営している世界最大級の組立・テスト施設をさらに拡大し、これまでに総額14億75万ドルを投資している。Marvelは現拠点をGlobal Design Centerにアップグレードし、Synopsysは2020年にeSiliconを買収して4つの設計センターを開設するなど、設計分野での存在感も高めている。
また、ベトナムは半導体産業において独自の競合優位性を持っている。まず、世界の電子機器輸出国トップ15にランクインしており、半導体のパッケージング拠点設置に理想的なロケーションを提供している。東南アジアの戦略的な位置は、日本、中国、韓国の主要な半導体ハブへのアクセスに便利であり、地域内のサプライチェーン構築において重要な役割を果たしているのだ。
特に注目すべきは、ベトナムが半導体製造に不可欠なレアアースの埋蔵量において世界第2位を誇ることだ。アメリカ合衆国地質調査所によると、ベトナムは約2,200万トンの希少鉱物を保有しており、これは世界の希少鉱物埋蔵量の18.9%に相当し、中国に次ぐ規模となっている。この資源的優位性は、将来的なサプライチェーンの安定性と自立性において重要な意味を持つ。
外資企業のベトナムの半導体産業への参入状況
Samsung
Samsungは韓国を代表する世界最大級のテクノロジー企業であり、ベトナムへの本格的な進出は1996年のホーチミン市テレビ工場設立に始まり、2008年以降はバクニン省やタイグエン省を中心に携帯電話や家電の大規模生産拠点を展開してきた。2025年5月時点で累計投資額は224億~232億米ドルに達し、ベトナム最大の外国直接投資(FDI)企業となっている。ベトナム国内には6つの生産工場と研究開発センター、販売会社を有し、2024年の輸出額は544億~625億米ドル、サムスンベトナムの売上高はベトナムGDPの20%前後を占める規模に成長した。
近年は半導体分野への投資が加速しており、2023年にはタイグエン省の工場でFC-BGA(フリップチップボールグリッドアレイ)基板の量産を開始した。これは高性能半導体チップと基板を接続する重要なパッケージ基板であり、AIや5G、クラウド、自動運転など次世代分野の需要増加を背景に、ベトナムの半導体産業成長を牽引している。サムスン電機はこの分野に1兆ウォン(約10億米ドル)以上を投資し、ベトナム工場を主要な生産拠点として位置付けている。
また、サムスンは2024年にバクニン省で18億ドルを投じたOLEDディスプレイ新工場建設や、ハノイのR&Dセンター拡充など、AI・IoT・ディスプレイ分野でも積極的な投資を続けている。ベトナムにおけるサムスンの携帯電話生産量は世界生産量の50%以上を占め、Galaxy SシリーズやZ Fold/Flipなどのフラッグシップモデルも現地で生産されている。
サムスンの進出はベトナムの産業高度化、サプライチェーンの拡大、現地人材の育成にも大きく貢献しており、政府も引き続き投資環境の整備やイノベーション支援を進めている。今後もベトナムはサムスンのグローバル生産・研究開発の戦略拠点として重要性を増し、半導体、AI、ディスプレイなど先端分野での成長が期待される。
出典:https://www.samsung.com/vn/?srsltid=AfmBOooOOtLaDQb-8E39FtCYYijDhF6qZg0jravn2MxVE9pfkyYV8Wxz
Intel
Intelは1968年に設立されたアメリカの大手テクノロジー企業であり、2006年にホーチミン市サイゴン・ハイテクパークに約3億米ドルを投資してベトナム事業を開始した。その後も段階的に投資を拡大し、2025年5月時点で累計投資額は15億米ドルを超えている。Intel Products Vietnamは、同社のグローバルネットワークにおいて最大規模の組立・テスト工場であり、2024年末までに累計39億個以上の製品を出荷し、2025年4月には40億個到達が見込まれている。
このベトナム工場は、Intelの世界4拠点ある組立・テスト工場の中で最大規模を誇り、全世界で販売されるIntel半導体製品の60~70%がここで組立・テスト・パッケージングされている。生産品目はFC-BGAチップセットやSoC、デスクトップCPU、IoTデバイス、モデム、モバイルCPUなど多岐にわたり、最新のLunar LakeやArrow Lakeなど先端製品も含まれる。
Intelは2021年に4億7,500万米ドルの追加投資を行い、最先端のマイクロエレクトロニクスアセンブリおよびテスト工場の拡張を進めた。また、ベトナム国内で600社以上の現地パートナーと協力し、サプライチェーンの拡大と半導体エコシステムの強化に注力している。さらに、現地の大学や政府と連携し、AIや半導体分野の人材育成にも積極的で、これまで8,000~10,000人のエンジニア・技術者を育成してきた。
ベトナム政府は2024年に半導体産業発展戦略を策定し、2030年までに半導体製造工場やパッケージング・テスト工場の拡充を目指している。Intelはこれを高く評価し、今後も市場動向を見極めつつ長期的な投資拡大を検討している。2024年までのIntel Vietnamの輸出額は962億米ドルを超え、サイゴン・ハイテクパークの輸出額の約60%、ホーチミン市全体の25%を占めるなど、ベトナム経済への貢献度も極めて高い。
出典:https://www.intel.vn/content/www/vn/vi/homepage.html
AMKOR
Amkor Technologyは米国本社を持つ世界最大級の半導体パッケージングおよびテストサービスのアウトソーシング企業であり、グローバルな半導体メーカーやファウンドリー、エレクトロニクスOEMの戦略的パートナーとして重要な役割を果たしている。同社は2021年11月、ベトナム北部バクニン省イェンフォンII-C工業団地で、総額16億米ドル規模の半導体部品製造・組立・テスト工場の建設契約を締結した。2023年10月には同工場の第1期が完成し、先端SiP(システムインパッケージ)やメモリ製品の設計から電気的テストまでの一貫生産体制を開始した。2024年7月には追加投資10億7,000万米ドルを決定し、当初2035年までの計画を大幅に前倒しして累計投資額は16億米ドルに達した。
工場は23.1ヘクタールの敷地に建設され、2025年第3四半期から本格稼働、2035年には年産36億個規模の生産能力を見込んでいる。2024年時点で1,300人超の従業員を雇用し、今後は最大5,700人まで増員予定である。2024年の輸出額は1,330万米ドル、納税額は350万米ドルに達し、現地従業員の平均月収はベトナム平均の約3倍となっている。
Amkorのベトナム進出は、同国の半導体産業エコシステム形成やサプライチェーン強化に大きく寄与しており、政府も先端パッケージング分野での投資拡大や人材育成を積極的に支援している。ベトナムは地理的優位性や安定した投資環境を背景に、Amkorをはじめとするグローバル半導体企業の重要拠点となりつつあり、今後も生産能力増強や技術革新を通じて国際競争力を高めていく見通しである。
出典:https://amkor.com/jp/amkor-technology-vietnam/
Synopsys
Synopsysは、米国に本社を置き、電子設計自動化(EDA)や半導体IP分野で世界をリードする企業である。同社は2016年にベトナムに進出し、2024年12月にはハノイに4つ目のオフィスを開設するなど、ベトナムでの事業拡大を加速している。Synopsysは、サイゴンハイテクパーク(SHTP)やハノイのHoa Lacハイテクパークにおいて、政府系機関や大学と連携し、IC設計人材の育成に注力している。具体的には、SHTPやベトナム国家イノベーションセンター(NIC)と覚書を締結し、チップ設計センターの設立を支援、数千万米ドル相当のEDAソフトウェアライセンスやカリキュラム、教育リソースを提供している。
また、「Train the Trainers」プログラムを通じて大学教員の育成や、学生へのインターンシップ、就職支援も積極的に行っている。これらの取り組みにより、2030年までに1,800人以上の高度なチップ設計エンジニアを輩出する計画が進行中である。2023年にはハノイのIC設計インキュベーションセンター設立への投資が米国・ベトナム首脳会談でも言及され、両国の包括的戦略的パートナーシップの一環として位置付けられている。
さらに、Synopsysはベトナム国内の半導体スタートアップ支援や、マルチプロジェクトウエハ(MPW)サービスの展開も視野に入れており、現地の半導体産業エコシステムの発展に大きく貢献している。ベトナム政府は2025~2030年に5万人~10万人の半導体人材育成を目標に掲げており、Synopsysの技術と人材育成支援はその中核を担っている。このように、SynopsysはEDA分野の世界的リーダーとして、ベトナムの半導体設計力強化と人材育成、産業基盤拡大において極めて重要な役割を果たしている。
出典:https://www.synopsys.com/community/snug/snug-vietnam.html
Hana Micron Vina
Hana Micron Vinaは、韓国本社を持つ半導体パッケージングおよびテストサービスの大手企業Hana Micronのベトナム現地法人であり、同社はベトナム北部バクザン省およびバクニン省に生産拠点を展開している。2023年9月にはバクザン省で北部初となる半導体製造工場を竣工し、これまでに累計約6億ドルを投資してきた。2025年までに投資総額を10億ドル超へ拡大し、年間売上高8億ドル、4,000人の新規雇用創出を目指している。主力製品はスマートフォンやスマート電子機器向けのIC基板や、DDR5・MCP(NAND+DRAM)など高付加価値パッケージングで、SKハイニックスやサムスンなど大手顧客向けの量産を安定的に拡大中である。
近年は中国からの生産移転需要や米中摩擦の影響を受け、ベトナムでの生産体制強化を加速している。2026年までに1.3兆ウォン(約9億3,000万ドル)規模のレガシーメモリチップパッケージング事業拡大を計画し、バクザン省の工場では今後も新規投資や雇用増加が見込まれる。同社はベトナムをグローバル戦略の中核拠点と位置付けており、地元大学や教育機関と連携した半導体人材育成にも注力している。2025年から2030年には従業員数約6,300人、うち大卒以上1,200人規模の体制を目指し、現地の産業高度化と人材供給の両面で地域経済に大きく貢献している。
ベトナム半導体市場は2024年時点で182億ドル規模、2029年には約314億ドルに達すると予測されており、Hana Micron Vinaの積極的な投資と生産拡大は、同国がASEAN地域の半導体製造拠点として地位を強化する重要な要素となっている
出典:https://www.hanamicron.com/eng/index.do
ベトナム政府の半導体に関する政策と動向
2050年までの半導体国家戦略
ベトナム政府は2023年末に同国初となる「半導体国家戦略」を起草し、ベトナムを2030年までに世界的な半導体製造地にするという野心的な目標を掲げています。この戦略は3段階のロードマップで構成されており、各段階で具体的な数値目標が設定されています。
2030年までの第1段階では、少なくとも1つの半導体製造工場(ファブ)の設立、20のパッケージング・テスト施設の運営、300の集積回路(IC)設計会社の育成、そして半導体分野に特化した技術者50,000人の養成が目標とされています。この人材育成目標は特に重要で、現在の労働力が先進的な半導体設計および製造に十分な専門知識を欠いているという課題に対応するものです。
2050年までの最終段階では、ファブを3カ所に拡大し、20のバックエンド施設の整備、高度な半導体製造および設計を支える強固な研究開発(R&D)エコシステムの構築を目指しています。この長期ビジョンは、ベトナムが単なる製造拠点から、設計・開発機能も含む包括的な半導体ハブへと進化することを意図しています。
「Make・in・Vietnam」の推進
半導体チップ不足が世界中の様々な製造業に壊滅的な打撃を与えている中でベトナムは半導体産業を大きく発展させる機会に直面している。近年、外資系企業や外国人投資家がベトナムで半導体事業を行うために投資したり、ベトナムを有望な候補地として高い関心を持っており、上流工程に必要な半導体チップ設計エンジニアの育成から半導体部品製造施設や半導体材料などを含めた幅広い分野に興味・関心を持っている。
多くの利点があるベトナムでの半導体チップの生産は「Make・in・Vietnam」の開発意向にも沿っている。ベトナムの半導体産業が成功すれば、通信機器やコンピューター、医療機器、軍事機器などのハイテク製品の世界的なサプライチェーンに参画することができる。そのため、国内でもFPT社やViettel社などのITや通信分野の大企業が世界的なチップ不足を踏まえて、国内需要及び海外輸出するために自社製半導体チップの製造を目指している。
半導体分野の専門家はベトナムでの半導体チップの製造は、世界中で半導体チップが不足している事に加え、ベトナム政府がデジタル政府やデジタル経済/デジタル社会への転換(DX)を進めている適切なタイミングで行われているとコメントしている。
ベトナムの半導体産業の中長期的な計画・目標として上流工程の研究開発を行っていく必要があるとされている。ベトナム政府は、世界中の半導体に関わる大企業をベトナムに誘致し、ベトナム国内での研究開発拠点の設立や研究開発拠点の拡大をし易い投資優遇政策などを検討・導入、継続するとしている。
ハノイ在住のベトナム人。名古屋大学で文部科学省奨学金の日研生として留学経験有り。日越の翻訳、通訳などが得意で、日本語教師の経験有り。ハノイで日系IT企業に入社後、主に総務・人事、日本親会社との取引業務を約3年経験し、その後長野県で日本企業で勤務。