アメリカの鉄道・バス業界は、大陸を横断する貨物鉄道大手と、都市間を結ぶ旅客鉄道会社や長距離バス会社が併存する市場です。サプライチェーンの効率化を背景に、主要企業は輸送能力の増強と安全対策の強化を進めています。
今回は、そんなアメリカの鉄道・バス業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社の最新情報をお届けしていきます!
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アメリカの主要鉄道・バス企業9選〜ローカル編〜
Union Pacific (ユニオン・パシフィック)
Union Pacificは1862年に創業し、本社をアメリカのネブラスカ州オマハに置く、西部23州を結ぶ北米最大級の貨物鉄道会社である。
太平洋岸から中西部、メキシコ国境近くまでを網羅し、約7,300のコミュニティにサービスを提供している。
2024年通期の営業収益は約243億ドル、純利益は約67億ドルで、一株当たり利益は11.09ドル、営業費用率は59.9%へと改善した。同年の設備投資は約34億ドルに達している。
2025年7月には同業のNorfolk Southernとの約850億ドル規模の合併で合意し、同年11月に両社株主が承認した。北米初の大陸横断鉄道の実現を目指すが、2026年時点で連邦の陸上運輸委員会(STB)による審査が続いており、統合完了は2027年ごろが見込まれている。
貨物輸送の効率化と環境負荷低減を経営の軸に据え、機関車の生産性や燃料効率の改善を進めている。
出典:https://www.up.com/
Amtrak (アムトラック)
Amtrak(全米鉄道旅客公社)は1970年に設立され、本社をアメリカのワシントンD.C.に置く、連邦政府が出資する都市間旅客鉄道である。
46州とコロンビア特別区、カナダの一部を結ぶ全米最大の旅客鉄道網を運営し、ボストン〜ワシントンD.C.間を結ぶ高速列車「アセラ」などを運行している。
2024会計年度には過去最高となる3,280万人の利用を記録し、前年比15%増となった。乗車券収入は初めて25億ドルを突破し、州補助を含む営業収益は約36億ドルへと7%増加した。
北東回廊では地域列車の増発や新駅の設置が進み、長距離列車の利用も年間420万人へと拡大している。
2045年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標を掲げ、車両更新やインフラ近代化への投資を続けている。
出典:https://www.amtrak.com/
CSX (シーエスエックス)
CSXは1980年に設立され、本社をアメリカのフロリダ州ジャクソンビルに置く、アメリカ東部を地盤とする大手貨物鉄道会社である。
アメリカ東部を中心に約2万3,000マイルの鉄道網を運営し、東部人口の約3分の2が集中する主要都市圏を結ぶ。240以上の短距離鉄道や70を超える港湾ターミナルと接続している。
2024年通期の営業収益は約145億4,000万ドルで前年比1%減、純利益は約34億7,000万ドル、一株当たり利益は1.79ドルであった。営業費用率は36.1%と業界屈指の効率性を維持している。
石炭や化学品、複合一貫輸送など多様な貨物を扱い、トラックと鉄道を組み合わせたインターモーダル輸送にも注力している。
設備更新と輸送品質の向上を進めつつ、退役軍人支援など地域貢献活動にも継続的に取り組んでいる。
出典:https://www.csx.com/
BNSF Railway (ビーエヌエスエフ・レイルウェイ)
BNSF Railwayは1995年に設立され、本社をアメリカのテキサス州フォートワースに置く北米最大級の貨物鉄道会社で、投資会社バークシャー・ハサウェイの完全子会社である。
アメリカ西部3分の2を中心に28州とカナダ3州にまたがる約3万2,500マイルの路線網を運営し、農産物、消費財、石炭、複合一貫輸送など幅広い貨物を扱う。
2024年通期の営業収益は約233億5,000万ドル、純利益は約50億3,000万ドルで、営業費用率は68%であった。
西海岸の主要港と内陸を結ぶ大動脈を担い、輸入貨物やインターモーダル輸送で重要な役割を果たしている。
2000年以来、BNSF財団を通じて教育や文化事業に多額の寄付を続けるなど、地域社会への支援にも力を入れている。
出典:https://www.bnsf.com/
Norfolk Southern (ノーフォーク・サザン)
Norfolk Southernは1827年に起源を持ち、本社をアメリカのジョージア州アトランタに置く、東部を地盤とする大手貨物鉄道会社である。
22州とワシントンD.C.にまたがる貨物輸送網を運営し、年間約700万カーロードを輸送する。石炭や自動車、農産品のほか、鉄道とトラックを組み合わせたインターモーダル輸送にも注力している。
2024年通期の鉄道営業収益は約121億ドル、鉄道事業からの利益は約41億ドル、一株当たり利益は11.57ドルであった。営業費用率は66.4%となっている。
2025年7月にはUnion Pacificと約850億ドル規模の統合で合意し、同年11月に株主が承認した。ただし2026年時点で陸上運輸委員会(STB)の審査が続いており、統合完了は2027年ごろが見込まれている。
2007年に業界初の最高持続可能性責任者を任命するなど、温室効果ガス削減にも早くから取り組んでいる。
出典:https://www.norfolksouthern.com/
Greyhound (グレイハウンド)
Greyhoundは1914年に創業した、アメリカを代表する長距離バス会社である。2021年にドイツのFlix SEに買収され、2022年以降は北米統括会社Flix North Americaの傘下で運営されている。
アメリカ全土とカナダ、メキシコを結ぶ北米最大級のバス網を持ち、1,600を超える目的地にサービスを提供している。
2023年には、姉妹ブランドのFlixBusと合わせた北米事業で1,200万人以上の乗客を輸送した。都市部だけでなく地方の小規模なコミュニティも結ぶ点に強みがある。
2024年12月には、FlixBusと共同で運営するダラスの新ターミナルの供用を開始するなど、拠点網の再整備を進めている。
Amtrakのスルーウェイ・バスや独立系バス会社との接続を通じ、鉄道や他社路線と組み合わせた広域移動の選択肢を提供している。
出典:https://www.greyhound.com/
Megabus (メガバス)
Megabusは2006年にサービスを開始した、アメリカとカナダを中心に展開する格安都市間バスである。予約制の低運賃モデルで知られ、北米で500を超える都市や大学キャンパスを結んでいる。
長らく運営会社Coach USAの傘下にあったが、同社は2024年6月に連邦破産法第11章(チャプター11)の適用を申請した。
その後の資産売却手続きを経て、Megabus事業は2024年8月にThe Renco Group傘下のBus Company Holdings USへと承継された。
オンラインとスマートフォンで完結する予約や、他の交通手段と比べた環境負荷の低さを訴求し、価格を重視する利用者の需要を取り込んでいる。
体制の変化を経てもなお、北米の低価格な長距離移動を支える代表的なブランドのひとつとして運行を続けている。
出典:https://us.megabus.com/
Alaska Railroad (アラスカ・レイルロード)
Alaska Railroadは1903年に起源を持ち、本社をアメリカのアラスカ州アンカレッジに置く、州が所有する公営鉄道会社である。
セワードやウィッティアからアンカレッジを経てフェアバンクスへと至る総延長656マイルの路線を運営し、旅客と貨物の双方を扱う全米でも数少ない総合鉄道である。
2024年には約52万9,000人の乗客を輸送し、季節運行の観光列車と通年の地域輸送を組み合わせて運行している。
2024年の純利益は約2,530万ドル、総資産は約13億9,000万ドルで、州の公営企業でありながら民間企業のように独立採算で運営されている。
約600人の通年雇用と138人の季節雇用の従業員を擁し、廃棄物削減や省エネなど環境保全の取り組みでも評価を得ている。
出典:https://www.alaskarailroad.com/
Brightline (ブライトライン)
Brightlineは、アメリカのフロリダ州マイアミを拠点とする民営の都市間旅客鉄道会社である。2018年に南フロリダで運行を開始し、2023年9月にはオーランドまで路線を延伸した。
マイアミとオーランドを結ぶ総延長235マイルの路線を運営し、アベンチュラやフォートローダーデール、ボカラトン、ウェストパームビーチの各都市中心部に駅を置く、全米でも珍しい民間資本の旅客鉄道である。
2024年通期の利用者は約276万人、総収益は約1億8,790万ドルで、うち乗車券収入が約1億5,250万ドル、付帯収入が約3,550万ドルであった。オーランド延伸により長距離利用が大きく伸びている。
2024年4月には、ラスベガスと南カリフォルニアを結ぶ高速鉄道「Brightline West」を着工し、全米初の本格的な高速鉄道の実現を目指している。
公的補助に依存しない民営モデルで旅客鉄道の新たな可能性を示し、全米の都市間輸送で存在感を強めている。
出典:https://www.gobrightline.com/
アメリカの主要鉄道・バス企業1選〜日系編〜
Central Japan Railway Company (JR東海)
Central Japan Railway Company(JR東海)は1987年に設立され、本社を日本の愛知県名古屋市に置く鉄道会社である。東海道新幹線を中核に、運輸・流通・不動産などの事業を展開している。
連結従業員数は約2万9,000人で、リニア中央新幹線の建設を進める事業者としても知られる。
2025年3月期の連結営業収益は約1兆8,318億円で前期比7.1%増、営業利益は約7,027億円、親会社株主に帰属する当期純利益は約4,584億円で同19.3%増となり、新幹線利用の回復を背景に増収増益を達成した。
アメリカでは、ダラス〜ヒューストン間を東海道新幹線方式で結ぶ高速鉄道計画や、ワシントンD.C.〜ニューヨーク間の超電導リニア構想を推進し、日本の高速鉄道技術の海外展開を図っている。
訪日外国人向けの予約サービス「スマートEX」なども拡充し、インバウンド需要への対応を進めている。
出典:https://global.jr-central.co.jp/
アメリカの主要鉄道・バス企業3選〜外資編〜
Canadian National Railway (カナディアン ナショナル レールウェイ)
Canadian National Railway(CN)は1919年に設立され、本社をカナダのモントリオールに置く北米大手の貨物鉄道会社である。鉱石や穀物、化学品、原材料など多様な貨物を輸送している。
カナダと米国にまたがる約1万8,900マイルの路線網を持ち、大西洋岸、太平洋岸、メキシコ湾岸の三つの海岸と米国中西部を結ぶ数少ない鉄道である。
2025年通期の収益は約173億カナダドルで前年比2%増、純利益は約47億2,000万カナダドルで同6%増、一株当たり利益は7.57カナダドルとなった。営業費用率は61.9%へと改善した。
需要が力強さを欠く環境の中でもコスト管理と生産性向上を進め、増収増益を確保した。
先住民コミュニティとの協働や雇用促進にも取り組み、独立した諮問委員会を通じて関係強化を図っている。
出典:https://www.cn.ca/
FlixBus (フリックスバス)
FlixBusは2013年に創業し、本社をドイツのミュンヘンに置く、都市間バスを中核とする交通テック企業Flix SEの主力ブランドである。
欧州を発祥とし、FlixBusやFlixTrain、買収したGreyhoundなどのブランドを通じて、40か国以上・5,600を超える目的地で運行している。
2023年通期のグループ総収益は過去最高の約20億ユーロで前年比30%増、利用者は世界全体で8,100万人に達した。このうち北米では約1,200万人が利用している。
アメリカでは2018年の参入以降、独自の低価格ネットワークを拡大し、Greyhoundとあわせてアメリカとカナダ、メキシコで事業を展開している。
電気バスやバイオガス車両の導入など、環境負荷の低減に向けた取り組みでも先行している。
出典:https://www.flixbus.com/
Canadian Pacific Kansas City (カナディアン・パシフィック・カンザス・シティ)
Canadian Pacific Kansas City(CPKC)は、2023年にCanadian PacificとKansas City Southernが統合して誕生した、本社をカナダのアルバータ州カルガリーに置く貨物鉄道会社である。
カナダ、アメリカ、メキシコの3か国を単一の運行体制で結ぶ北米唯一の鉄道網を持ち、約2万マイルの路線と約2万人の従業員を擁する。
2024年通期の営業費用率は64.4%、コア調整後の希薄化後一株当たり利益は4.25ドルで前年比11%増となった。統合による収益シナジーの実現を背景に業績を伸ばしている。
クラスI鉄道の中で最も低いFRA報告基準の列車事故発生率を2年連続で達成するなど、安全運行でも業界をリードしている。
三国間の農産物や自動車、複合一貫輸送の需要を取り込み、統合効果を生かした成長を目指している。
出典:https://www.cpkcr.com/
FAQ
アメリカの鉄道・バス業界の概要は何ですか?
アメリカの鉄道・バス業界は、大手企業が広範な路線網を持ち、貨物輸送と旅客輸送の両方で重要な役割を果たしています。環境への配慮や技術革新に注力しつつ、効率化とサービス向上を進めており、長距離バスサービスも格安で広範囲をカバーしています。
主要なアメリカの鉄道企業にはどのようなものがありますか?
アメリカの主要鉄道企業には、Union Pacific、Amtrak、CSX、BNSF Railway、Norfolk Southern、Alaska Railroadがあります。これらの企業は国内の広範な路線網を運営し、貨物や長距離旅客輸送を担っています。
アメリカのバス企業にはどのようなものがありますか?
代表的なバス企業にはGreyhound、Megabusがあります。Greyhoundは長距離バスを運行し、アメリカ国内とカナダ、メキシコの一部の都市を結び、Megabusは低価格の高速バスを提供し、多くの都市を結んでいます。
日系企業のアメリカにおける鉄道事業にはどのようなものがありますか?
日系企業の代表例として、JR東海がアメリカの高速鉄道計画に関与しており、ダラスとヒューストン間の高速鉄道路線や、ワシントンD.C.とニューヨークを結ぶ超電導リニアシステムなどの海外展開を進めています。
アメリカの鉄道・バス業界の今後の展望は何ですか?
アメリカの鉄道・バス業界は、環境負荷の低減と技術革新を背景に、持続可能性と効率性の向上を目指しています。長距離公共交通の拡充や高速鉄道の導入など、輸送インフラの近代化と国際展開が今後の重要な方向性となっています。

