アメリカの保育業界は、モンテッソーリ教育から宗教系スクール、アフタースクールプログラムまで多様な保育・教育施設が並ぶ市場です。共働き家庭の増加を受け、主要企業は受け入れ枠の拡大と教育プログラムの充実、人材確保を進めています。
今回は、そんなアメリカの保育業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて14社の最新情報をお届けしていきます!
読了時間の目安:5分
アメリカの主要保育企業7選〜ローカル編〜
Shir-Hasirim Montessori school (シル・ハシリム・モンテッソーリ・スクール)
1985年、カリフォルニア州ハリウッドで開園したモンテッソーリ教育を基盤とする私立幼児教育施設である。「シル・ハシリム」はヘブライ語で「創造の歌」に近い意味を持ち、マリア・モンテッソーリがアメリカで広めた教育法を軸に据えている。
対象は2歳児から6歳児までで、実践生活・感覚・言語・数学・芸術・音楽など多面的な領域を意識した環境を整えている。年齢混成のクラス編成により、子どもが「原因と結果」を自然に学ぶ仕組みを重視している。
現在の拠点はロサンゼルス市内にあり、カールトンウェイ校舎を中心に運営される。スペイン語や北京語といった言語学習をオプションとして加え、私立小学校受験を見据えた学習面の強化にも取り組む。
各種の幼児教育評価サイトで高い評価を獲得し、ロサンゼルスの厳しい私立小学校受験において優れた進学実績を残してきた点が地域で認知されている。2026年7月時点でも公式サイト上で在籍募集を継続している。
出典:https://www.montessorihollywood.org/
Westside Neighborhood School (ウエストサイド・ニーバーフッド・スクール)
1980年にカリフォルニア州ロサンゼルスで設立された、保育(プレスクール)から8年生までを対象とする男女共学の私立校である。ロサンゼルス国際空港の北側に位置し、開校当初は航空機の騒音に悩まされたという逸話も残る。
幼児教育部門は2歳半から受け入れており、全学年の生徒が年齢の垣根を越えて交流する「ファミリー・グループ」など、独自のコミュニティ形成プログラムを特色とする。生徒数は500名規模で、保育部門の生徒対保育士比率は7対1程度に保たれている。
公式情報によれば、在籍生徒の61%が有色人種であり、50以上の郵便番号地域から通学するなど多様性を重視する。毎年約400万ドルの学費補助を提供している点も特徴である。
2026年秋にはプレイビスタ地区の約5エーカーの新キャンパスへの移転を予定しており、最新の学習環境の整備を進めている。2026年7月時点で移転計画が公式に告知されている。
出典:https://wns-la.org/
Lowell School (ローウェルスクール)
1965年に創立された、ワシントンD.C.に所在する男女共学の私立進学校である。教会の地下室で保育園として始まり、年間保育料325ドルから出発したという歴史を持つ。段階的に学年を拡大し、現在は2歳半からの幼児教育部門と8年生までの一貫教育を提供する。
「プログレッシブ」と称される探究・プロジェクト重視の独自カリキュラムを掲げ、「コミュニティ・多様性・アイデンティティ」を学校全体のテーマとする。ジノットやピアジェ、モンテッソーリ、デューイらの教育思想を独自に編成した点が特色である。
在籍者は全部門で300名を超え、生徒対教員比率は8対1、50以上の郵便番号地域から通学者を集める。校舎は2014年に国家歴史登録財に認定されている。
公式サイトでは2026年5月にプロジェクト型学習の実践や多様性推進責任者の新任などが紹介されており、2026年7月時点でも積極的な情報発信を続けている。
出典:https://www.lowellschool.org/
East Linn Christian Academy (イーストリンクリスチャンアカデミー)
1982年にオレゴン州レバノンで創立されたキリスト教系の私立校である。教育者夫妻が聖書的世界観に基づく教育を実現するため、聖約キリスト教学校として設立した。近年は「East Linn Christian Schools」として保育から12年生までを一貫して運営している。
就学前早期教育プログラムは3歳児と4歳児を対象に提供され、キリスト教教育推進センターによる「Teaching for Transformation」プログラムを採用する。幼稚園段階からスペイン語教育を導入し、小学校の体育ではスペイン語イマージョンを取り入れる点が独自である。
2008年から留学生の受け入れを開始し、フィリピン・中国・韓国・ドイツ・香港・日本などからの生徒を、資格を持つホストファミリー宅で受け入れてきた実績を持つ。
保育から小学校以降へはエスカレーター式に接続する。2026年7月時点でも公式サイト上で入学募集と資料提供を継続している。
出典:https://eastlinnchristian.org/
Villa Duchesne (ヴィラ デュシェーヌ)
1929年に創立された、ミズーリ州セントルイス近郊フロンテナックに所在するローマ・カトリック系の私立校である。聖心(Sacred Heart)国際教育ネットワークに所属し、アメリカへ移住したフランス出身のシスターの名にちなむ校名を持つ。教育の随所にフランスの伝統が息づく。
幼児教育は3歳児(JK3)から始まり、ロウアースクール(JK3〜5年生)は男女共学である。2026年秋には6〜8年生を対象とする新たなミドルスクールを開設し、6年生以上を女子教育とする体制へ移行する計画を進めている。
在籍者は約270名規模で、ゴルフ・バレーボール・ホッケーなど運動部の活躍が知られ、卒業生からプロ選手も輩出している。
校舎は約60エーカーの森林に囲まれ、自然遊歩道は全米野生生物連盟の認定野生生物生息地に指定されている。2026年7月時点で新ミドルスクール計画が公式に告知されている。
出典:https://www.villa1929.org/
Cambridge-Ellis School(ケンブリッジ-エリス スクール)
マサチューセッツ州ケンブリッジに所在する非営利の私立幼児教育施設である。1980年代初頭にダウンタウンの聖公会教会の建物の一部を借りて開校し、公式サイトでは40年以上にわたり幼児教育を担ってきたとされる。現在は2歳児から5歳児までを対象とする。
1996年にMITの外国語言語学科の協力を得て北京語イマージョンプログラムを開始し、翌年にはスペイン語とフランス語の教室も加えた。2007年には台湾の幼稚園と姉妹校提携および文化教師交換プログラムを締結している。
イタリアで開発されたレッジョ・エミリア教育法に基づく指導を行い、「社会性」「時間に縛られないこと」「子どもの権利を守ること」を重視する。半日保育も選択でき、全日保育では年齢や発達、家庭の希望に応じて複数のクラスに編成する。
子ども対保育士比率は平均5対1、教員の平均在職年数は9年と、少人数で安定した運営を続けている。2026年7月時点で公式サイトを通じ在籍募集を継続している。
出典:https://cambridge-ellis.org/
Bright Horizons (ブライトホライズンズ)
1986年に創業した、アメリカ最大手の保育・早期教育事業者である。マサチューセッツ州ウォータータウンに本社を置き、ニューヨーク証券取引所に上場している(ティッカー:BFAM)。企業向けの従業員福利厚生型保育を軸に成長してきた点が特色である。
企業や病院、大学などと提携し、その従業員の子どもを対象とする保育施設を運営するモデルを展開する。2025年12月末時点でアメリカ、イギリス、オランダ、オーストラリア、インドにわたり1,010か所の早期教育・保育センターを運営し、約11万5千人分の受け入れ能力を持つ。提携する主要雇用主は1,450社を超える。
2025年通期の売上高は約29.3億ドルで前年比9%増、純利益は1億9,300万ドルへと拡大した。対象は乳児から就学前の子どもが中心である。
2026年6月には従業員が保育資格や学位を無償で取得できる「Horizons CDA & Degree Program」を開始するなど、人材確保策も強化している。2026年7月時点で第2四半期決算の発表を予定している。
出典:https://investors.brighthorizons.com/
アメリカの主要保育企業4選〜日系編〜
Kingsley Montessori School (キングスリー モンテッソーリ スクール)
1938年にマサチューセッツ州ボストンのバックベイ地区で開設された、モンテッソーリ教育を基盤とする私立幼児・初等教育機関である。開設時の園児はわずか6人であったが、歴史的建造物を校舎として使い続けてきた。
対象は2歳児から12歳児まで。1986年開校の6〜12歳向け校と1991年に合併したことで、2歳児から12歳児までをエスカレーター式に指導する体制が整った。現在は30フェアフィールド通りと26エクセター通りの2校舎で運営される。
在籍者は300名を超え、専任・非常勤を含む教員は約80名を数える。生徒対教員比率は6年生で4対1、2歳児クラスで7対1と、全国平均を大きく下回る少人数体制を敷いている。
各種の幼児教育評価サイトで高評価を得ており、一般的な全日保育コースの学費は年額3万ドルを超える。2026年7月時点でも公式サイト上で両校舎の在籍募集を継続している。
出典:https://www.kingsley.org/
Enso Daycare (円相デイケア)
ニューヨーク州ブルックリンで運営される個人経営の保育所である。「円相」は禅における書道画のひとつで、丸を一筆で描いたものを指す。日本文化とモンテッソーリ式を融合させた教育方針を掲げる点が特色である。
責任者のアンナはヨガのインストラクターでもあり、早期幼児教育の経験と日本の教育観を背景に、日々の保育のなかにヨガやマインドフルネスを取り入れている。対象は生後間もない乳児から10歳児までと幅広い。
公式サイトによれば、現在はブルックリン区内の15番通りと17番通りの2拠点で運営されている。開園時間は平日午前8時から午後6時までで、日本式の朝食や弁当など食事面にも日本文化を色濃く反映させている。
場所柄、若い共働き世帯の利用が多いとされる。少人数クラスを基本とし、保育士1人あたりの担当児童数を抑えた丁寧な保育を志向する。2026年7月時点で公式サイトを通じ在籍募集を継続している。
出典:https://www.ensodaycare.com/
Yoko‘s Day Care (ヨーコのデイケア)
ニューヨーク州ブルックリンで運営される個人経営の保育所である。日本人女性職員らが中心となって運営し、生後6週間の乳児から就学前の5歳児までを対象としている。責任者はヨーコ・ミマタ氏である。
週1日から週5日までの柔軟な保育に対応し、州保健当局のデイケア局から認可を受けている。園児向けの保険や保育士のCPR認定など、州の基準を満たした運営体制を整えている。
英語と日本語のバイリンガル環境を活かし、日本の伝統的な物語の読み聞かせ、日本の歌、季節の行事、折り紙、箸の使い方などを指導に取り入れている。ヨガや手話も採用し、3歳児以上には武道も指導する。
土曜日には日本語クラスも開講している。公式サイトは2026年7月にも更新されており、同時点で在籍募集と問い合わせ受付を継続している。
出典:https://www.yokosdaycare.com/
Japanese Children‘s Society (ニューヨーク育英学園)
1979年にニューヨーク州マンハッタンで開設された「日本語によるプレイグループ」を起源とする教育機関である。1980年に非営利団体Japanese Children‘s Society, Inc.を設立し、1989年にニュージャージー州イングルウッドクリフスの現校舎へ移転した際に現名称となった。
3歳児から6年生までを対象とする全日制の幼小一貫教育機関としては東海岸で唯一の存在とされる。ニュージャージー州の主要校舎に加え、マンハッタンのアッパーイーストサイドおよびグラマシー、ロングアイランドのポートワシントンにも拠点を展開している。
ニュージャージー州の「きりんのへやこども園」は州の認可を得た長時間日本語保育であり、早朝7時30分から夕方6時までの保育やスクールバス・給食に対応する。
公式情報によれば在籍者は750名を超え、卒業生は1万人以上に達する。私立日本人学校として歴史があり、赴任家庭が近隣に住居を構える例も多い。2026年7月時点でも各校舎で活発に運営されている。
出典:https://japaneseschool.org/
アメリカの主要保育企業3選〜外資編〜
The British International School of Chicago (BISC-SL)
ブリティッシュ・インターナショナル・スクール・オブ・シカゴのサウスループ校舎である。母体のNord Anglia Educationは1972年にロンドンで英語学校として設立され、その後インターナショナルスクール運営者として成長した。現在は世界で80校以上の私立校を展開する国際的な教育グループである。
サウスループ校舎は2001年に生徒4名・教室2つで開校し、2015年に現在の校舎へ移転した。対象は3歳児から18歳までで、総生徒数は300名を超える。
幼児教育は国際初等カリキュラム(IPC)に基づき、イギリス式のナショナルカリキュラムを組み合わせて上級学年へと接続する。高校課程では国際バカロレア(IB)を採用している。
公式サイトによれば、2026年に新校長が着任し、2026年のNicheによるイリノイ州の私立K-12校ランキングで第1位に評価された。UNICEFやMIT、ジュリアード音楽院などとの連携も掲げており、2026年7月時点でも積極的な運営を続けている。
出典:https://www.nordangliaeducation.com/bisc-south-loop
Wu Yee Centers (ウー・イー・センター)
カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とする中国系の非営利保育組織である。1976年に児童の権利を守る奉仕協会として設立され、広東語で「子どもの保護者」を意味する「ウー・イー(Wu Yee)」を名称に冠する。
1990年代には幼児保育の公的支援拡充のためにサンフランシスコの保育提供者組織を創設し、低所得家庭の子どもを支援するアメリカ政府のヘッドスタートおよび早期ヘッドスタート補助金を獲得してきた。
公式情報によれば、現在は市内12か所以上のセンターを運営し、サンフランシスコ最大のヘッドスタート/早期ヘッドスタート提供者とされる。生後間もない乳児から5歳児までを対象に、14の地域・5言語でサービスを展開する。
2026年5月にはテンダーロイン地区の児童遊技場再開に協力し、7月には新たな理事長が就任した。一般家庭が保育を担えるよう親向けの資格取得コースも用意しており、2026年7月時点で活発に活動している。
出典:https://wuyee.org/
AGBU Manoogian-Demirdjian School (AGBU マヌージャン デミルジャン スクール)
カリフォルニア州ロサンゼルスに所在する、アルメニア一般慈善連合(AGBU)が運営するアルメニア系アメリカ人の私立校である。授業はアルメニア語とイギリス英語で行われる。
1976年に開校し、1980年までに幼稚園から6年生までの129名規模へ成長した。現在はアルテミス・ナザリアン幼児教育プログラムを含む2歳児からの保育を提供し、12年生までの一貫教育を担う。数学・科学・芸術・創造性を重視するSTEM教育を幼児段階から導入している点が特色である。
ロサンゼルス都市圏では規模の小さいアルメニア系私立校ながら、成績優秀者を多く輩出し、統一試験SATで満点を取得した生徒やアイビーリーグ進学者を出してきた実績を持つ。
公式サイトによれば、2026年3月に開校50周年を記念するガラを予定し、2025年末には生徒のピアノコンクール入賞などが紹介された。2026年1月には新施設に関する見学会も開催され、2026年7月時点でも活発に運営されている。
出典:https://agbumds.org/
FAQ
アメリカの保育施設ではどのような教育アプローチや内容が採用されていますか?
アメリカの保育施設では、STEM教育、バイリンガル教育、社会情動的学習などの革新的なアプローチを取り入れ、テクノロジーを活用した学習プログラムも進んでいます。
アメリカの主要な保育企業にはどのような特徴がありますか?
アメリカの主要な保育企業は、ローカル・日系・外資系を含め、多様な教育理念に基づいたプログラムを提供しており、それぞれの特色について詳しく紹介されています。
モンテッソーリ教育法を採用しているアメリカの保育施設はどこですか?
シル・ハシリム・モンテッソーリ・スクールやキングスリー・モンテッソーリ・スクールなど、多くの施設でモンテッソーリ式教育を基盤とした教育が行われています。
アメリカの保育施設にはどのような国際的なプログラムや交流がありますか?
一部の学校では、MITとの協力による中国語イマージョンプログラムや、姉妹校提携や文化教師交換プログラムなど、国際交流や言語学習の機会が提供されています。
アメリカの保育施設の中で、日本の文化や教育方針を取り入れる例はありますか?
はい、Yoko’s Day Careや円相デイケアなどでは、日本文化や日本語を取り入れた教育やプログラムを実施しています。

