アメリカの資格・社会人教育業界は、オンラインプラットフォームを通じた教育が主流となり、幅広い分野のコースが提供されています。最新技術を活用した個別化学習体験や柔軟な学習方法が重視されています。また、多様性と包括性を重視し、教育の機会均等と社会的影響力の拡大にも注力しています。
今回は、アメリカの主要学校企業に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて12社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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アメリカの主要資格・社会人教育企業8選〜ローカル企業編〜
Udacity (ユーダシティ)
Udacityは、2012年に設立され、本社はアメリカのカリフォルニア州にある。オンライン教育プラットフォームで、主にプログラミング、データサイエンス、人工知能、ビジネスなど、50以上のオンラインプログラムを企業や政府、個人向けに提供している。
97のプログラムと個別コース、700以上の専門家、240か国以上で1690万以上の登録ユーザーを有している。また、15,000以上の教育コンテンツを更新している。さらに、サービス導入後、290万ドルのコスト削減を実現した実績がある。
Udacityは、世界中の高校や十分なサービスを受けていない学生に、2,500のナノ学位奨学金を提供している。また、 世界中の30人の難民のスキルアップを目的とした奨学金プログラムも提供している。それに伴い、今後10年間で、100万人の難民を働かせることを目標としている。
2023年には、Udacityの進化版「Udacity all access」をリリースし、学生がひとつのメンバーシップで Udacity のコンテンツライブラリに無制限にアクセス可能となった。
出典: https://www.udacity.com/
LinkedIn Learning (リンクトインラーニング)
LinkedIn Learningでは、ビジネス、テクノロジー、クリエイティブの各分野の専門家から、ビジネススキルやプログラム言語、各種ソフトウェアなどについて学ぶことができるeラーニングサイトである。
LinkedIn Learningには、週に 60 以上のコースが作成され、7 か国語で20,000コース、50,0000動画が揃っている。 また、LinkedInを登録しているユーザーであれば誰でも利用可能である。さらに、Fortune 100 企業の80%が、LinkedIn Learning を利用している。
LinkedIn Learningを運営しているビジネスSNS最大手のLinkedInは、2002年に設立され、本社はアメリカのカリフォルニア州にあり、人材、マーケティング、販売、教育のソリューションサービスを提供している。また、19,500人以上の従業員と、世界30以上の都市に拠点を有している。
LinkedIn Learningでは、10社以上のコンテンツパートナーや学習管理システムを提供し、20社以上のパートナーを有している。
LinkedIn の2023年度第4半期の収益は、150億ドルとなった。また、売上は前年比で5%増加した。
出典: https://learning.linkedin.com/
Skillsoft (スキルソフト)
Skillsoftは、1998年に設立され、本社はアメリカのニュー・ハンプシャー州にある。ビジネスや管理スキル、リーダーシップ開発、デジタル変革、テクノロジー&デベロッパー、生産性およびコラボレーションツール、コンプライアンスに関するコース、ビデオ、書籍など、クラウドベースの企業学習コンテンツを総合的に提供するプラットフォームである。
154か国、31言語で展開しており、8200万人のユーザーと12000以上の企業や組織にサービスを提供している。また、2023年第3四半期のGAAP収益は、1億3,900万ドルである。
AWS の 2023 年北米トレーニング パートナー オブ ザ イヤー、Cisco の 2023 年グローバル ラーニング パートナー オブ ザ イヤー、デジタル アクセラレーション パートナー オブ ザ イヤーなど、これまでも多くの受賞歴がある。
Skillsoftには、女性、人種、障害、LGBTQなどの多様性や人権に関するグループがある。また、飢餓と教育へのアクセス向上に取り組む慈善団体に、サポート・還元している。
出典: https://www.skillsoft.com/
Pluralsight (プラーラルサイト)
Pluralsightは、2004年に設立され、本社はアメリカのユタ州にある。クラウド、ソフトウェア開発、IT運用、プログラミング、データサイエンス、サイバーセキュリティなどの技術系分野のトレーニングコースを提供するプラットフォームである。専門家主導のビデオコース、ダウンロード可能なコンテンツ、認定準備などにアクセス可能である。
Pluralsightの特徴として、テストを受けることで自分の実力を測り、その実力にあった講座を推奨してくれる。また、従業員は外部の専門家からトレーニングを受講し、特定のスキルについて社内資格を得ることも可能である。
世界180か国でサービスを展開し、2,500専門家、2万人以上の顧客、2000人の従業員を有している。また、Fortune 500企業の70%から信頼を得ている。
Fortune 100 Best Companies to Work Forに選出、Fortune テクノロジー分野で最も優れた職場に選出、Great Place to Work と Fortune により、女性にとって最も働きやすい職場に選出など、これまでも数多くの受賞歴がある。
出典: https://www.pluralsight.com/
Skillshare (スキルシェア)
Skillshareは、2010年に設立され、本社はアメリカのニューヨークにある。デザイン、イラスト、写真、ビデオ編集、プログラミング、マーケティングなど、幅広いトピックのクラスが提供されているオンラインの学習プラットフォームである。
25,000以上のクラス、200 万人のユーザー、8000人以上の講師を有している。また、対応言語は、英語をはじめ、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、ドイツ語の 4 か国語である。
2023年には、Newsweekによってアメリカで最も愛される職場トップ100に選出され、アメリカ企業 100 社中 39 位にランクインした。
毎月、10 名に 1 年間のスキルシェア メンバーシップを無料で提供、VSCO と提携して 10 万ドルの奨学金を提供し、1 年間の無制限のスキルシェア クラスへのアクセスを提供、MailChimp と提携して 100,000 ドルの奨学金基金を創設し、中小企業の経営者にオンライン クラスの Skillshare カタログ全体への 1 年間の無制限のアクセスを提供など、これまでも教育の機会を創出してきた。
出典: https://www.skillshare.com/en/?via=header
edX (エデックス)
edX は、2012年にハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の共同によって設立された。世界トップクラスの大学や大手企業が授業を提供するオンライン学習サービスである。コンピュータサイエンス、ビジネス、言語学、デザインなどの分野の講座が提供されている。2021年には、デジタル教育会社 2U, Inc. によって買収された。
edXの特徴的な点は、多くのトップ大学や組織が提供する講座を一元化したプラットフォームとして、学生やプロフェッショナルがアクセスできるようになっていることである。また、MOOC(Massive Open Online Course)と呼ばれる大規模な大学レベルの授業を、無償で提供しており、誰でも受講可能である。
8,100 万人以上のユーザー、3,500以上のオンラインコース、250以上コンテンツパートナーを有している。
退役軍人や女性、民族など、様々な背景を持つ40人を対象に、無償の教育機会を提供した。その結果、89.7% の卒業率を達成し、短期集中的なスキル開発と雇用機会の創出に繋がった。
出典: https://www.edx.org/
Cengage (センゲージ)
Cengageは、2007年に設立され、本社はアメリカのマサチューセッツ州にある。高等教育や職業訓練、大学院プログラム向けの教材を開発・販売、デジタル教育プラットフォームなど、世界125か国以上で提供している。
主要サービスとして、デジタル教材や学習リソースを提供するプラットフォームであるMindTap、数学、科学、工学などの分野で使用される学習プラットフォームであるWebAssign、大学や高等教育機関向けに提供される学習および評価プラットフォームであるCengageNOWなどがある。
Cengageは、世界中の図書館と提携して、広範で信頼性の高いデジタルリソースを提供する情報サービスプロバイダーGaleを運営しており、学術的なジャーナル、電子書籍、百科事典、新聞などにアクセス可能である。
2024 年、2023 年、2019 年には、Glassdoor により Best Place to Workに選出された。
Cengageは、視覚障害または聴覚障害を持つ資格のある学生のリクエストに応じて、PDF または DOC ファイルをオンデマンドで DSS オフィスに無料で提供している。
出典: https://www.cengagegroup.com/
Coursera (コーセラ)
Courseraは、2012年にアメリカのスタンフォード大学の教授によって設立され、本社はアメリカのカリフォルニア州にある。世界中の大学や機関が提供するコンピュータサイエンス、ビジネス、データサイエンス、語学、芸術などの分野のコースを受講できるオンライン教育プラットフォームである。
300以上の主要な大学や企業と協力し、7 か国語で 4,000 以上のコースを提供している。また、1億2,400万人以上の 学習者と7,000以上のキャンパス、企業、政府によって利用されている。
2023 年第 3 四半期の収益は、1億6,550万ドルで、前年同期の1億3,640万ドルから21%増加した。
Courseraでは、ジェンダーギャップ縮小を目指している。2022年には、新規登録者のうち45%が女性であり、STEM コースの受講者の36%を占めた。また、ジェンダーに関するトピックについて、100以上のコースを提供している。
2021年には、企業の利益追求だけでなく、社会的な影響や環境への影響を総合的に評価するB Corp 認証を取得した。
出典: https://www.coursera.org/
アメリカの主要資格・社会人教育企業2選〜日系企業編〜
Benesse (ベネッセ)
Benesseは、1955年に設立され、本社は日本の岡山県にある。乳幼児からシニアまでの年齢層向けに、教育、子育て、キャリア、介護分野のサービスを提供している。
特に、社会人向けのサービスUdemyでは、最新のIT技術やビジネススキルまでカバーし、個人での学びに加え、企業・行政・自治体でのDX人財育成、大学など教育機関でのキャリア教育にも活用し、学びをキャリアへ活かせる仕組みを提供している。また、Udemyの国内ユーザー数は130万人以上である。
2023年の収益は、4,118億円であり、前年度の収益の4,319億円より減少している。また、15,000人以上の従業員を有している。
1993年には、アメリカのニュージャージー州に本社がある世界最大の語学企業Berlitzを子会社化し、アメリカ進出した。
Benesseは、温室効果ガス排出量削減や気候変動緩和・適応活動に対して、リーダーシップレベル「A-」企業に選定、CDP2022のサプライヤー・エンゲージメント評価において、4年連続で最高評価を獲得した。
出典: https://www.benesse-hd.co.jp/en/index.html
Progate (プロゲート)
Progateは、2014年に設立され、本社は日本の東京にある。初心者から中級者までの幅広いプログラミングスキルを身に付けるためのオンライン学習プラットフォームを、220万人のユーザーと100か国以上に提供している。主に、プログラム言語やWeb開発、データベース、モバイルアプリ開発など、さまざまなトピックにわたるコースがある。
2022年には、エンジニア実務が学べるオンラインプログラミング学習教材『Progate Path』をリリースし、学生・教職員であれば無料で全学習コンテンツを受講できる新プランの提供を開始した。これまで5,000人以上のユーザーに利用されている。
2018年には、アメリカに現地法人を設立し、Progateの英語版をリリースした。
Progateは、「BOXIL SaaS AWARD Winter / Autumn 2023」eラーニングシステム部門のそれぞれの時期に、「Good Service」「サービスの安定性No.1」「使いやすさNo.1」に選出された。
出典: https://prog-8.com/about
アメリカの主要資格・社会人教育企業2選〜外資系企業編〜
Macmillan Education (マクミランエデュケーション)
Macmillan Educationは、1843年に設立され、本社はイギリスのロンドンにある。言語学習、科学、数学、社会科学などの分野について、学習教材、教科書、デジタルコンテンツ、評価ツールなどのサービスを提供している教育関連の 出版社である。
世界120 か国以上に拠点を有し、学生、教師、教育機関と連携している。また、1869年には、アメリカのニューヨークに2つの支社が設立された。
主な事業には、英語教育用のコンテンツと特定の地域向けのスペイン語と中国語のリソースを作成する Language Learningと、世界各国向けのカリキュラム教材を作成するSchools Curriculumがある。
2019 年には、教材でのプラスチックの使用を削減し、97,000 冊以上の教科書を低所得国の学校や大学に寄贈した。
Macmillan Educationは、科学、技術、医学の分野における研究出版や教育資源の提供するSpringer Natureを親会社に持っている。10以上のブランド、約9,000人以上の従業員、45か国以上に200以上のオフィスを有している。また、2021年の売上高は17億ユーロであった。
出典: https://www.springernature.com/gp/macmillaneducation
Pearson (ピアソン)
Pearsonは、1844年に設立され、本社はイギリスのロンドンにある。教科書の出版、デジタル教育プラットフォームの提供、検定試験や認定試験の開発、オンライン学習コースなどのサービスを提供している世界最大の教育サービスプロバイダーのひとつである。
本社はカナダのバンクーバ・ウィニペグ・トロントにあり、カリキュラムのすべてはカナダでのみ開発している。カナダのウィニペグ大学教育学部と学術協力を行っており、同大学でのコースの一部をオンライン及び対面で指導者向けに提供している。
アメリカにある校舎はアリゾナ州テンピ市・テキサス州ルイスビル市・フロリダ州ジャクソンビル市にある。例えばテキサス州の校舎では、背後6週目の乳児から預けることができる。この校舎では5歳児までを対象としている。スペイン語のイマージョン教室もあり、また、春・夏・冬のキャンプは幼児から12歳を対象としたコースも用意する。
アメリカでも高校部までの開講が期待されている。
出典: https://www.maplebearusa.com/about-us/#Maple-Bear-USA
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。