アメリカの学校教育業界は、多様性と革新性に富んでいます。公立・私立を問わず寄付金や基金が重要な役割を果たし、国際化や多言語教育の需要に応える特色あるプログラムが増加しています。また、大学進学を重視し、早期から 高度な教育を行う傾向があり、グローバル人材の育成に力を入れています。
今回は、アメリカの主要学校企業に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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アメリカの主要学校企業8選〜ローカル企業編〜
Massachusetts Institute of Technology(マサチューセッツ工科大学)
2023年全米大学ランキング1位。1861年設立の私立大学。職員数1069名。学部在籍学生4657名、学院在籍学生7201名。所在地はマサチューセッツ州ケンブリッジ市。
寄付金は235億米ドル。101人のノーベル賞受賞者。もともとは、アメリカの工業化の進展に対応して、ヨーロッパの 工科大学をモデルにして作られた。
1862年に農学・軍事学・工学を教える高等教育機関を設置するのであれば、連邦政府所有の土地を州政府に供与できるという「ランドグラント法」が成立した。この法律により多くの州立大学が設立されたが、MITは、この法律で設立した3私立大学のひとつである。
非営利団体。MITコーポレーションが管理。医学部を持たないのが特徴ともいわれる。学生構成ではアジア人が32%で最も多く、次いで白人の26%と続く。卒業生には多くの国家元首や元国連事務省庁のコフィ・アナンなどがいる。
出典:https://web.mit.edu/
Harvard University(ハーバード大学)
2023年全米大学ランキング2位。1631年設立の私立大学。アイビーリーグのひとつ。教職員数約2400名。関連病院での職員は10000人以上。学部在籍学生7240名、学院在籍学生14373名。所在地はマサチューセッツ州ケンブリッジ市。
寄付金は507億米ドル。188人の存命億万長者。8人のアメリカ大統領。アメリカ最古の高等教育機関。文盲の奉仕を教会に任せることを恐れ、マサチューセッツ植民地議会によって設立承認。実は、ハーバード大学は、いかなる宗派にも正式に所属したことはない。
10の学部とラドクリフ研究所で構成。その寄付金の額から「世界で最も裕福な学術機関」といわれている。これが 「経済的なことは無関係」に、入学できる理由である。図書館は世界最大の学術図書館。
監査委員会と大学で統治。白人36%、アジア人21%。ジョン・F・ケネディやビル・ゲイツなど著名な卒業生が多い。
出典:https://harvard.edu/
University of California, Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)
2023年全米大学ランキング4位。公立大学ではトップ。1868年に州初の土地補助金大学であり、カリフォルニア大学 システムの創設キャンパスでもある。総スタッフ数約23500名。学部在籍学生32479名、学院在籍学生12828名。所在地はカリフォルニア州バークレー市。
寄付金は69億米ドル。アメリカ大学協会の創設メンバー。原爆で有名なロスアラモス研究所などを持つ。ノーベル賞 受賞者114名(卒業生35名)。ピューリッツァー賞受賞者34名。7人の国家元首、25人の存命億万長者。
26名の評議委員会によって統治。そのうちの18名はカリフォルニア州知事によって、12年の任期で任命される。全米で4番目に大きい図書館を持つ。
アジア人35%、白人22%、ヒスパニック系19%と続く。富裕層または中産階級が78%をしめる。
出典:http://www.berkeley.edu/
University of Michigan (ミシガン大学)
2023年全米大学ランキング14位。公立大学では3位。一般に、ミシガン大学といえばミシガン州アナーバー市にある メインキャンパスをさす。サテライトキャンパスとしてディアボーン校・フリント校がある。1817年に設立された州内最古・最大規模の公立大学。
寄付金は179億米ドル。アメリカ大学協会の創設メンバー。19のカレッジで構成され、約250の分野で学部および大学院レベルの学位プログラムを提供。ノーベル賞受賞者10名。ピューリッツァー賞受賞者34名。ジェラルド・フォード元アメリカ大統領や中退したがマドンナも卒業生のひとりである。
職員数3000名以上。事務職員11000人以上。学部学生40000人以上。学院生11000以上。同大学を含む9つの大学と5つの独立した医療機関をテキサス大学システムが管理している。このシステムに対しての寄付金は320億米ドルにもなる。
白人37%、ヒスパニック系26%、アジア人23%。富裕層が77%をしめる。
出典:https://umich.edu/
University of Texas at Austin(テキサス大学オースティン校)
2023年全米大学ランキング19位。公立大学では4位。テキサス州オースティン市にある公立研究大学。パブリックアイビーのひとつとも呼ばれている。創立は1883年。
寄付金は31億米ドル。1929年にアメリカ大学協会に加盟。7つの博物館と17の図書館を持つ。100を超える学部と170を超える大学院の学位を提供。ノーベル賞受賞者13名。ピューリッツァー賞受賞者25名以上。月面歩行を行ったアラン・ビーン、ローラ・ブッシュ元大統領夫人、歌手のジャニス・ジョプリン(中退)などが卒業生にいる。
職員数3000名以上。事務職員11000人以上。学部学生40000人以上。学院生11000以上。同大学を含む9つの大学と5つの独立した医療機関をテキサス大学システムが管理している。このシステムに対しての寄付金は320億米ドルにもなる。
白人37%、ヒスパニック系26%、アジア人23%。富裕層が77%をしめる。
出典:http://www.utexas.edu/
Choate Rosemary Hall(チョート ローズマリー ホール高)
コネチカット州ウォーリングフォード市にある男女共学の寄宿校。私立の大学準備高校(日本でいう進学校)である。学校内の様子は集英社新書から出版されている「レイコ@チョート校」で詳細に書かれている。
私立ミスポーターズスクールの卒業生だったメアリー・チョート氏によって1890年創設。生徒8人からスタート。チョートスクールは、1896年にチョート夫妻によって創立。男子校だった。6人の10歳児から始まったとされている。両校とも長い歴史を持つが、1971年に合併して共学化した。
寄付金は4億米ドル。生徒は800人以上。フルタイム相当の教職員は約120人。生徒と教師の比率は7:1とされている。 難関大学進学を目指す高校連合Eight Schools Associationの加盟校の中では、最もお多額の寄付金を集めるという。
卒業生にはジョン・F・ケネディをはじめ、イヴァンカ・トランプ、俳優のマイケル・ダグラスなどもいる。
出典:http://www.choate.edu/
The Early College at Guilford(アーリーカレッジアットギルフォード高校)
The U.S. News誌が選ぶ、2023年のベストハイスクール(私立・公立を合わせて)で1位。ノースカロライナ州グリーンズボロ市。私立大学のギルフォード大学とノースカロライナ州で3番目に大きな学区であるギルフォード郡の公立 高校が提携し、同州初の早期大学高校として2002年に設立された。
越境入学は認められていないので、生徒は全員、同州ギルフォード郡学区内に居住している。卒業すると高校卒業資格とともに、ギルフォード大学の最大2年間分の大学単位を取得することができる。授業は記述中心の速いカリキュラムで構成されている。大学授業の授業料は、郡と州が負担している。
各学年50名。男女比は44:56。アジア系51%、白人30%、アフリカ系11%。2023年入学希望者は50人の定員に対して、1100人の応募があったという。
2023年に、STEM高校ランキングでも全米9位に選ばれている。
出典:http://ecg.gcsnc.com/pages/Early_College_At_Guilford
アメリカの主要学校企業3選〜日系企業編〜
Keio Academy of New York(慶應義塾ニューヨーク学院)
バブル経済下の1990年、ニューヨーク州パーチェイス市に開校。同市のあるウエストチェスター郡は現在でもなお日本人駐在員が多く住む地域である。開校当時は卒業条件としてTOEFL550点以上を掲げていた。バイリンガル・バイカルチャーの実現を目標としていたため。
日本の高等学校に相当する在外教育施設であり、卒業すれば日本の高校卒業と同等の資格を得られる。また、ニューヨーク州から正式な私立高校としての認可を受けているので、卒業するとアメリカの高校卒業資格も得られる。慶應義塾大学への進学は卒業すれば100%可能。ただし学部は高校時代の成績により決まる。日米含め、他大受験も可能。
アメリカ式学年で9年生から12年生までの男女共学。9年生は30人、10年生から12年生までは各100人の合計350人が在籍。9割の生徒が学生寮で生活する。週末外出は許可されるがマンハッタンへの外出は禁止。その他、服装なども規定が厳しい。入試はAO入試形式のみ。
2022年の収益は1270万米ドル。授業の90%は英語で行われる。
出典:https://www.keio.edu/
Nishiyamato Academy of California(西大和学園カリフォルニア校)
奈良県にある共学進学校である西大和学園中学・高等学校の完全姉妹校。1993年にカリフォルニア州ロサンゼルス市近郊で開校した。初年度は6年生から中2生までの38人の生徒が在籍していた。
開校当時は現地校の教室を10教室間借りしていた。2000年にロミータ市にある現在の校舎に総費用50万米ドルをかけて移転。現在は、未就学児童を対象とした幼稚園と、私立在外教育施設として認可を受けた小学校部門・中学校部門とで構成されており、さらに土曜日のみ開講する補習校も提供している。
文部科学省学習指導要領に基づいたカリキュラムで授業を行っている。月曜日から金曜日まで始業時刻は午前8時30分。中学生で最終授業終了時刻が午後6時10分とある。ほとんどは日本語での授業となるが、いくつかの科目では英語イマージョン指導が導入されている。
現在の全日制日本人学校通学者は150人、土曜日のみの補習校には750人が在籍。2023年3月までの収益は412万米ドルとある。
出典:https://www.nacus.org/weekday/english-education/
Lyceum Kennedy International School(リセケネディ日本人学校部門)
ニューヨーク州のフランス人学校であるリセ・フランセで教鞭をとっていたエリアーヌ・デュマ氏が1964年に設立。アメリカでの進学を考えて、ニューヨーク州の高校卒業資格も同時に取得できるように手配した。1986年に言語学者の園田幸二氏が学校権利の一部を買収。日本人学校部門を設立した。
マンハッタンの校舎では日仏の2つのインターナショナルスクールを開校し、日本人が多く住んでいたニューヨーク州ウエストチェスター郡アーズレー市に日本人幼稚園・小学校を開校していた。アーズレー市の校舎は日本人数激減の ため、2004年に閉校。
現在は全日制が3歳から5歳を対象とした幼稚部と、土曜日補習部門に分かれる。補修部門は幼稚部・小学部・中学部・高校部に分かれるが、中学と高校は3学年合同で行う。土曜補習部門は午前8時40分から午後2時まで、高校部門 だけはオンライン授業のみで午前10時45分まで。
授業後のお稽古教室やサマースクールなども実施。校舎がマンハッタンのグランドセントラル駅至近という便利な場所にある。
出典:https://jp.lyceumkennedy.org/
アメリカの主要学校企業2選〜外資系企業編〜
Chinese American International School(中国系アメリカ人インターナショナルスクール)
カリフォルニア州監査委員のキャロル・ルース・シルバー氏が台湾人の用紙のために設立した学校。1981年設立。当時はフレンチアメリカンインターナショナルスクールの地下の教室を間借りして開校していた。開校は4人の幼稚園在籍生から始まった。サンフランシスコ州立大学中国語学部の教員だったシャーリー・リー氏が学校長兼教員として在籍。
1989年に同市プレシディオ地区に校舎移転。1992年には中学部が加わった。1997年にはカリフォルニア州立大学との提携により、経営が安定。メインキャンパスを同市オークストリートに移転した。
同校は英語と中国語のイマージョン教育である。アメリカではじめて、中国語集中教育を実施した学校として知られている。幼稚園から8年生までの男女共学。1987年にアメリカ教育省から「小学校における中国語教育のモデル校」として指定された。
2021年、閉校したカトリック系女子高校の敷地を4000万ドルで購入。新しいキャンパスの場所として確保している。
出典: http://www.cais.org/
Maple Bear international schools(メープル ベア インターナショナル スクール)
同社はカナダ式バイリンガル教育方法と独自の専門家によってゼロから開発されたカリキュラムを幼稚園・小学校・中学校・高校向けに提供している。現在、インターナショナルスクールとして開校しているのは、アルバニアやインドなど27か国。アメリカは2014年に開校。
本社はカナダのバンクーバ・ウィニペグ・トロントにあり、カリキュラムのすべてはカナダでのみ開発している。カナダのウィニペグ大学教育学部と学術協力を行っており、同大学でのコースの一部をオンライン及び対面で指導者向けに提供している。
アメリカにある校舎はアリゾナ州テンピ市・テキサス州ルイスビル市・フロリダ州ジャクソンビル市にある。例えばテキサス州の校舎では、背後6週目の乳児から預けることができる。この校舎では5歳児までを対象としている。スペイン語のイマージョン教室もあり、また、春・夏・冬のキャンプは幼児から12歳を対象としたコースも用意する。
アメリカでも高校部までの開講が期待されている。
出典: https://www.maplebearusa.com/about-us/#Maple-Bear-USA
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。