【最新版!】アメリカの主要医療機器企業13選〜医療・介護業界〜

アメリカの医療機器業界は、AIやIoTの導入により診断・治療の精度向上と効率化を進めています。大手企業の買収や新興企業の参入で競争が激化する一方、規制対応とデータ保護が課題です。今後はデジタルヘルスや個別化医療分野での成長が期待されています。。

今回は、アメリカの主要医療機器企業に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社を厳選してお届けしていきます!

それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。

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目次

アメリカの主要医療機器企業8選〜ローカル企業編〜

Medtronic (メドトロニック)

ミネソタ州ミネアポリス市に運営及び執行本部を置く、世界最大売り上げを誇る医療機器メーカーである。2015年にアイルランドの医療機器メーカーCovidienを買収したため、法務本部をアイルランドに置き、節税対策としている。主にアメリカを事業展開地としているが、世界150か国以上、全世界の従業員を合わせると95000人を超す巨大企業。

1949年創業。もとは医療機器修理工場として始めた。人口ペースメーカーとしての評価は当時から高く、修理・改良・自社開発へと進化した。1997年にはスイスに生産拠点を作り、世界中のペースメーカーのの5つのうちの1つは同社の製品といわれるようになった。

2023年の収益は312億米ドル。ペースメーカーに次ぐ事業として、脊髄及び生物製剤に関する医療機器が世界的リーダーとなっている。脊髄インプラントなどが、その代表例である。

様々な買収を繰り返し、いまだ成長中の収益額世界一位の医療器具メーカーである。

出典:http://medtronic.com/

Abbott Laboratories (アボット研究所)

イリノイ州アボットパーク市に本部を置く、アメリカの多国籍医療機器メーカーおよびヘルスケア企業。1888年創業。医師であった創業者のウォレスアボット氏がドラッグストアを経営しており、そこで薬品製剤をしたことが起源ともいわれる。

1907年には関連会社をロンドンに初の海外進出させる。同社では現在医療機器の開発・製造・販売から診断薬・ジェネリック医薬品・栄養製品を開発・製造・販売している。研究ベースの医薬品事業は、2013年にAbbVie Inc.にスピンアウトしている。

収益は312億米ドルで世界第2位。1985年には史上初のHIV血液スクリーニング検査機器を開発している。また、同社の名前が一般的になったのは2020年のFDAからコロナウイルス検査機器の緊急使用許可が得られたことである。

同社は現在世界160か国以上で事業を展開しており、従業員数は世界のグループ総勢で115000人を超すといわれている。

出典:http://abbott.com/

Johnson & Johnson (ジョンソン&ジョンソン)

ニュージャージー州ニューブラウンズウィック市に本社を置く多国籍製薬・医療技術企業。1886年、ジョンソン兄弟が滅菌外科用包帯の製造・販売からスタート。

収益274億米ドルで、世界第3位。世界最大のヘルスケア企業のひとつである。現在は医療機器・医薬品・消費者健康の3つの部門を運営。医療機器部門と医薬品部門は、アイルランドに製造拠点を持つ。

同社の主力商品は世界の57か国で販売されているという。世界には約250の事業会社があり、グループ全体の従業員数は132200人を超す。

医療機器のポートフォリオとしては、心臓不整脈の診断と治療を行う電気生理学製品があげられる。また出血性脳卒中及び虚血性脳卒中の血管内治療に使用される医療機器の開発・製造・販売も手掛ける。整形外科関係でも乳房再建や脊髄外科などにも製品を開発している。

ドライアイの自動治療、レーザー視力矯正システムも手掛けている。

出典:http://jnj.com/

Becton Dickinson & Company (ベクトン・ディキンソン&カンパニー)

1897年、ニューヨーク市で設立。マクスウェル・ベクトン氏とフェアリー・ディキンソン氏の名前をとって社名とした。設立後間もなく、本社をニュージャージー州イーストラザーフォード市に移転。現在は同州のフランクリン・レイクス市に拠点を持つ。

現在は世界50か国以上で75000人の従業員を抱えている。2022年の収益は189億米ドルで世界第7位。同社は医療機器・機械システム・試薬などの製造および販売を手掛けている。かつては皮下注射針の製造におけるパイオニアであった。現在同社はメディカル・ライフサイエンス・インターベンショナルの3つに部門を分けている。

1969年からアイルランドにも拠点を置き、ドロヘダ市・ダンレアリー市・リムリック市の3拠点に1000人を超える従業員を擁している。

特定の地域では医療コンサルティングや医療データ分析サービスも提供している。2021年のフォーチュン500リストで177位。

出典:http://bd.com/

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GE Healthcare (GEヘルスケア)

収益184億6000万米ドルで世界8位の多国籍複合企業であるゼネラル・エレクトリック社の医療技術子会社。起源はイリノイ州シカゴ市で創業したビクターエレクトリック社をGE社が買収したことから。当時のGE社は、X線管の最大手メーカーであった。

現在は医療画像処理に使用される画像診断用薬剤や放射性薬品の製造販売、磁気共鳴画像法で使用される色素、CT画像装置などの医療診断装置の製造、MRI、X線装置、超音波装置やマンもグラフ、核医学カメラなどの医療機器製造も手掛けている。

1930年にGE X-Ray Corporationと社名変更してからも、企業買収などで成長を続ける。1994年に国内・海外に分かれていた組織を再編成し、完全子会社として独立。さらに2023年には単体企業として本社からスピンアウトした。現在も本社はイリノイ州シカゴ市にある。

世界100か国以上で事業展開している同社にはグループ内に合計50000人を超す従業員を抱える。

出典:http://gehealthcare.com/

Stryker Corp (ストライカーコーポレーション)

収益184億米ドルで、世界8位のGEヘルスケアとは僅差の第9位。創業は1941年。ホーマー・ストライカー博士が設立した「整形外科フレームカンパニー」が起源とされている。

ミシガン州カラマズーに本社を置く同社は、多国籍医療技術企業とされている。同社の医療機器製品には、インプラント・手術用ナビゲーションシステム・内視鏡や緊急医療機器・脊髄デバイスなど、様々な医療専門分野で使用されるものがある。

従業員数は46000人。アイルランドに6つの製造拠点・研究所を持つ。特に外科用の医療機器には定評がある。ヒット製品にはストレッチャーなどがあるが、同社を率いたジョン・ブラウン現名誉会長は「病院用ベッドメーカーから世界クラスの医療機器企業に成長できたのは、ブラウン氏のおかげ」とたたえられているという。

2022年、ロシアで通常通りの事業を続けた企業の1つだった。

出典:http://stryker.com/

Cardinal Health Inc (カーディナル・ヘルス)

収益158億米ドル。収益額は世界第10位。創業は1971年。オハイオ州ダブリン市。創業当初は、食品卸売業者であった。1979年にファーマシー会社を買収の後、医薬品の卸売りを始めた。現在は、多国籍ヘルスケアサービス会社としており、医薬品と衣料製品の流通を専門とする。また、医療用の手袋や衣類、退役管理製品などの衣料製品の製造・販売も行っている。医療機器を含め、同社はアメリカの病院の75%に衣料製品を提供しているという。

医薬品を取り扱ってから、急成長。1983年にはナスダックに上場している。1988年には食品卸売部門を売却。1994年にはアメリカで3番目に大きな医薬品卸売業者に成長している。特に、現在はアメリカ最大の放射性医療機器製品ネットワークを提供している。従業員数は48000人を超す。

同社の慈善部門であるうカーディナルヘルス財団は、国際救援団体を通じて年間約900万ドル以上の製品寄付を行っている。

出典:https://www.cardinalhealth.com/

Baxter (バクスターインターナショナル)

収益額151億米ドルで世界第11位。創業は1971年。もともとは、カリフォルニア州ロサンゼルス市で開業していたドナルド・バクスター医師が始めた、静脈内治療ソリューションの製造および販売会社として、1931年に創業している。その後、中西部に近い地域の方が需要が高いと判断し、1933年にイリノイ州グレンビュー市に製造工場を設立。現在の本社もイリノイ州ディアフィールド市においている。

1985年にアメリカ最大の医療機器メーカー2社と合弁し、このころからアメリカの病院の75%に同社の製品を提供する規模になった。2014年には医療機器会社はBaxter International Incとした。また、バイオ医薬品会社はBaxaltaとしてスピンオフしたが、2023年にプライベートエクイティ会社に売却された。

従業員は48000人。売り上げの半分近くはアメリカ国内からのものだが、ヨーロッパで3割、アジアとラテンアメリカとカナダで計3割弱のバランスとなっている。

出典:http://baxter.com/

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アメリカの主要医療機器企業2選〜日系企業編〜

FUJIFILM Healthcare Americas(富士フイルム ヘルスケア アメリカズ)

収益額13億米ドル。フィルムなどの写真関係製品で一般認識されてきた同社だが、インフルエンザワクチンやコロナワクチンなどの発見などでも、アメリカでは医療関係企業と認識されてきた。写真関係技術の応用で、北米進出初期段階から、医療機器関連はポートフォリオの中央に位置している。

北米関連会社21社の統括はニューヨーク州ヴァルハラ市。ヘルスケア研究所はマサチューセッツ州ボストン市。ヘルスケア本社はオハイオ州ツインズバーグ市に1989年設立。同社の沿革としては、北米への進出は1965年。写真関連から医療機器系へのシフトは2000年代前半。特に2008年に放射線情報システム起業のEmpiric Systemsを買収が大きく影響した。

現在はMRIや医療画像処理、内視鏡などの医療機器の開発・製造と再生医療や医薬品開発、細胞培養地などを扱う。

同社はアメリカで成功したとされる日本企業の例とされる。

出典:https://healthcaresolutions-us.fujifilm.com/who-we-are

Terumo Medical Corporation (テルモ)

ペストの研究で有名で「感染症学の巨匠」とも呼ばれる北里柴三郎が1921年に「可能な限り最も信頼性の高い体温計を作りたい」との声をもとに、数人の医学者と共に「赤泉検温器株式会社」を設立。のちに現在の社名に変更される。

医療機器企業として国産初の体温計である「仁丹体温計」を世界に販売し拡大。その後も医療用ディスポーザブル体温計や循環器系の医療機器、糖尿病ケア製品、冠状動脈ステント、カテーテルなどを製造する医療機器メーカーに成長した。

1971年、アメリカに海外事業所を開設。ヨーロッパや南米、中国、インド、フィリピン、ベトナム、タイ、オーストラリアに子会社を設立している。特に2011年の医療機器会社CaridianBCTの買収は、当時の日本の医療機器企業としては最大規模の買収であり、同社の医療機器ポートフォリオの拡張に大きく影響した。

医療機器製造施設はコロラド州レイクウッド市にある。

出典:http://www.terumo.com/index.html

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アメリカの主要医療機器企業3選〜外資系企業編〜

Siemens Healthineers(シーメンス ヘルスニアーズ)

収益額234億米ドルで世界第4位の多国籍複合企業。本社はドイツのバイエルン州エアランゲン市。医療機器の中でも特に画像診断装置などを中心に展開している。

1847年創業。電気工学の父とも呼ばれるヴェルナー・ジーメンスによる。創業当時の社名は本名からとったジーメンス・ウント・ハルスケだった。その当時から電気医療機器が主要事業であった。初商品は弟に施した電気歯科治療器具だったという。

医療用X戦争地、CTスキャナー、MRIスキャナー、検査室自動搬送システム、陽電子放射断層撮影とCTを組み合わせたハイブリッド画像システムなど、最先端の医療機器をリリースし続けている。

世界中で69500人の従業員を雇用。アイルランドにも拠点を持ち、ダブリンには製造工場も持つ。世界の売り上げの33%はアメリカでのもの。

出典:https://www.siemens-healthineers.com/

Hoffmann-La Roche AG (ホフマン・ラ・ロシュAG)

収益額197億米ドルで世界第6位。スイスのバーゼル市に本社を置く、世界的ヘルスケア企業。世界レベルの癌治療の大手である。同社の完全子会社になっているのはアメリカのバイオテクノロジー企業ジェネンんテック、医療機器会社のベンタナ、ゲノムプロファイリング圧制企業のファウンデーション・メディシン、そして日本の中外製薬などがある。

1896年創業。フリッツ・ホフマン・ラ・ロッシュによる。創業当初は、ビタミン製材や誘導体を製造していた。1934年、合成ビタミンCを量産する世界初の企業として知られるようになる。1957年には精神安定剤なども手掛けていた。1980年から90年にかけて、アメリカでの展開を主軸にし、臨床検査ネットワークを構築。全米に20か所以上ある。

2020年、コロナ検査機器をFDA が承認。様々な医療機器メーカーやバイオケミカル企業を買収し事業拡大化している。

従業員は世界あわせて103600人。

Philips NV (フィリップス)

収益額146億米ドルで世界第12位。オランダのアムステルダム市に本社を置く、世界的テクノロジー企業。有名なポートフォリオは照明器具や家庭電化製品(髭剃りなど)だが、現在の主軸はヘルスケア製品に置いている。ヘルスケア製品の同社での収益は、収益全体の42%を占める。

医療機器企業としての同社では、MRIスキャナー、ECG診断装置、患者監視システムなど、450種類以上の医療機器をポートフォリオにしている。ヘルスケアに主軸をうつしたことから、2013年にはそれまでの社名に含まれていた「エレクトロニクス」を外している。

現在の社内構成は「パーソナルヘルス」「コネクテッドケア」「診断・治療」の3部門で構成されている。照明などの部門はSignifyという別ブランドにしてスピンアウトさせている。

アメリカは売り上げの主軸であり、2010年代後半から医療機器企業などの買収を活性化させている。グループ全体の従業員数は74000人。

出典:http://philips.com/

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