【最新版!】アメリカの主要製薬・バイオテクノロジー企業15選〜医療・介護業界〜

アメリカの製薬・バイオ業界は革新的な医薬品開発と巨額の収益で世界をリードしています。特にファイザーやジョンソン・エンド・ジョンソンなどが業界を主導し、2022年には数百億ドル規模の収益を上げました。新型コロナワクチンや自己免疫疾患治療薬で成功し、がん治療や遺伝子療法など革新的医薬品の研究開発も進めています。

今回は、アメリカの主要医療機器企業に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて15社を厳選してお届けしていきます!

それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。

読了時間の目安:5分

アメリカの製薬・バイオテクノロジー業界 業界地図はこちら!
目次

アメリカの主要製薬・バイオテクノロジー企業9選〜ローカル企業編〜

Pfizer (ファイザー)

2022年の収益は913億米ドル。コロナ関係の製品のおかげで26.7%増収となった。現在業界首位。ニューヨーク州マンハッタンに本社をおく。1849年ドイツ人起業家により創業。同社はアメリカを代表する製薬及びバイオテクノロジー多国籍企業である。

企業全体としては免疫・腫瘍・心臓・内分泌・神経のための医薬品及びワクチンの開発と製造をしている。2022年の売り上げ最大製品はファイザー・ビオンテック新型コロナウイルス感染症ワクチンで、収益370億米ドルだった。

2022年の同社の収益のうち、42%はアメリカ国内で発生しているが、次点は日本で8%だった。創業当時は駆虫薬を作っていた。また1880年代のヒット商品にクエン酸があった。

従業員数は世界あわせて83000人を超す。1950年に抗生物質のオキシテトラサイクリンを発見し、以降、研究ベースの製薬・バイオテクノロジー企業に変わった。

出典:http://pfizer.com/

AbbVie (アッヴィ)

2022年の収益は561億米ドル。関節リュウマチなどの治療に使用されるモノクローナル抗体「ヒュミラ」の製造元で知られる。同社のヒュミラによる売り上げは212億米ドルで、同社総売り上げの37%を占める。

医療機器・ヘルスケア製品企業のアボットから、2011年にスピンオフ。設立は2012年4月だった。現在、イリノイ州ノースシカゴ市に本社を置く。従業員は50000人。世界170か国以上にサービスエリアを広げている。現在も同業他社などを買収し、拡大している。

ヒュミラの他にも自己免疫疾患治療薬・ボトックス・がん治療薬・関節炎治療薬・白血病およびリンパ腫治療薬・総合失調症と双極性障害治療薬・C型肝炎治療薬などが10億米ドル単位の収益を生んでいる。

2027年の完成を目指して開発中のパーキンソン病治療薬は、ヒュミラを超すヒットになるのではと予測されている。

出典:http://abbvie.com/

Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)

世界に130000人の従業員を抱える大企業。2022年の収益は501億米ドル。世界で最も価値のある企業のひとつといわれ、アメリカでは2社しか与えられていない信用格付けAAAを持つ企業。医療技術企業としても有名だが、本業は製薬会社である。

1886年ジョンソン三兄弟で創業。最初の製品は滅菌外科用包帯の販売から。大ヒットとなったのは、現在も販売され続けている1894年販売開始のベビーパウダーであった。そして1921年には大ヒット絆創膏のバンドエイドが発売された。

製薬会社・バイオテクノロジー会社としてのヒット商品は1960年に処方箋なしで購入可能となった鎮痛剤タイラノールがあげられる。1990年後半にはポートフォリオが拡散化したので、一部をスピンアウトさせた。製薬・バイオテクノロジー部門は医薬品処方箋薬と医療機器術の開発と生産に専念している。

2023年、フォーチュン500リストで40位にランキングされている。

出典:http://jnj.com/

Merck & Co (メルク社)

2022年の収益は496億米ドル。1668年にドイツでドラッグストアを購入したメルク氏が起源。その後、製薬会社に発展したメルク社に長年勤務していたヴァイカー氏がアメリカにわたり、1891年にニューヨーク州マンハッタン区で設立。1917年の敵国貿易法で国有化。1919年にメルク社アメリカ支店が買い戻した。現在はニュージャージー州ラーウェイ市に本部を置く、多国籍製薬会社。アメリカ・カナダ以外ではMerck Sharp & DohmeまたはMSDという社名を使用している。

医薬品・ワクチン・生物学的療法および動物用健康製品を開発・生産している。2020年に収益10億米ドルを超えた製品は糖尿病薬・HPVワクチン・水痘ワクチン・神経筋遮断薬・肺炎球菌多糖体ワクチンである。

ラトガーズ大学で1943年に発見された結核に対する抗生物質のストレプトマイシンは、メルク社の資金提供によるプログラムによるものだった。1953年にフィラデルフィア州のシャープ&ドーメ社と合併し、当時アメリカ最大の製薬会社になった。以降、北米ではメルク社、グローバルではMSDと商号を使い分けている。

出典:http://merck.com/

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Bristol Myers Squibb(ブリストル・マイヤーズ スクイブ)

2022年の収益は454億米ドル。ニュージャージ州プリンストン市に本部を置く、多国籍製薬会社。世界最大の製薬会社のうちのひとつとされ、フォーチュン500に常にリストされる。

がん・HIV/AIDS・心血管疾患・糖尿病・肝炎・関節リュウマチ・精神疾患などの処方箋医薬品及び生物製剤を製造している。研究開発拠点は世界中にあり、なかでもスペインや東京、インドやイギリスなどでは最先端の研究が行われている。

1858年、スクイブ社がニューヨーク州ブルックリンで設立。1898年、ニューヨーク州クリントン市にあったクリントン製薬会社が買収され、社名をブリストル・マイヤーズ・アンド・カンパニーとした。両社は1989年に合併し、現在の社名になった。

従業員者数は34000人以上。

出典:http://bms.com/

Gilead Sciences(ギリアド・サイエンシズ)

カリフォルニア州フォスターシティ市に本社があるバイオテクノロジー医薬品会社。HIV/AIDSやB型肝炎やC型肝炎などの治療に使用される抗ウイルス薬の研究開発に注力している。また、インフルエンザワクチンの開発や新型コロナウイルス感染症のワクチン開発にも傾注している。

創業は1987年。2022年の収益は286億米ドル。インフルエンザ治療に使われているタミフルやビスティドなどを開発したことで有名。またHIV治療薬のビリードやB型肝炎治療薬のヘプセラなども同社の開発によるものである。

医師のリオーダン氏が創業者。優秀な科学者を採用し、様々な同業社を買収し成長。医療系ベンチャー企業の成功例のひとつとして扱われることが多い。近年は生産コストが上がりすぎてしまい、また価格設定が異常に高いと指摘され、商慣行が厳しい監視の対象となっているという。

従業員は17000人。研究施設は世界中にあるという。

出典:http://gilead.com/

Eli Lilly (イーライリリー アンド カンパニー)

創設者は、イーライ・リリー大佐。同氏は南北戦争の北軍退役軍人であり、製薬科学者であった。インディアナ州インディアナポリス市に本社がある。世界18か国に研究所を構える製薬会社。同社の製品は世界125か国で販売されているという。

2022年の収益は254億米ドル。糖尿病治療薬のヒューマログ・臨床うつ病治療薬プロザック・抗精神病薬ジプレキサなどの開発・販売が有名である。また、歴史的にはインスリンの量産に成功した最初の企業として世界に名を馳せ、アメリカで最初に承認された組み換えDNAを使用してヒトインスリンを製造した製薬会社のひとつでもある。

従業員は39000人。2009年に医療事件を起こし、史上最高罰金である14億米ドルを支払った。2003年にファイザー製薬のヒット商品であるバイアグラに対抗するシアリスを発売している。

インフレ抑制法を鑑み、同社はインスリンの価格設定を引き下げている。それでもまだ高いと指摘されている。

出典:https://www.lilly.com/

Amgen (アムジェン)

世界最大の独立系バイオテクノロジー企業。カリフォルニア州サウザンドオークス市に本社を置く。2022年現在で従業員は約25000人。2022年の収益は225億米ドルであった。

最も売れた商品は関節リュウマチや自己免疫疾患の治療に使用される腫瘍壊死因子遮断薬エンブレル・がん患者の感染予防に使用される免疫刺激薬ニューラスタなどがある。

創業1980年。当初は組み換えDNA技術と組み換えヒトインスリンであったという。1983年に赤血球の生産に関係するたんぱく質を発見し、それを応用したエポジェンを開発し、のちに日本のキリンと合弁会社を設立している。1993年にはプエルトリコに製造施設を作り、主力製造拠点にしている。

1994年には腎臓と癌患者の生活の質を向上させる医薬品の開発活動で、商務省国家技術革新勲章を受章した5番目の企業になった。

出典:https://www.lilly.com/

Moderna (モデルナ)

マサチューセッツ州ケンブリッジ市に本社を置く製薬及びバイオテクノロジー企業。RNA治療、主にmRNAワクチンの研究開発に傾注している。同社の最も有名な製品はSpikevaxというブランド名で販売されている新型コロナウイルス感染症ワクチンである。

2022年の売上額は184億米ドル。2023年現在、同社には45件を超える治療薬およびワクチンの候補があり、そのうちの38件は臨床試験に入っているという。ワクチン開発の他、再生医療治療法も開発中という。

2010年創業。2011年から2017年にかけて、ベンチャーキャピタルから20億米ドルの資金を調達している。2013年にはアストラゼネカ社と提携して様々疾患に対する治療法を開発している。その後も同業他社と提携して治療法の開発をしている。

同社はファイザーとバイオンテックが特許を侵害しているとして、各国で複数の訴訟が現在も進行している。

出典:http://modernatx.com/

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アメリカの主要製薬・バイオテクノロジー企業3選〜日系企業編〜

Takeda (武田薬品工業株式会社)

マサチューセッツ州ケンブリッジ市で1993年に設立されたミレニアム ファーマシューティカルズが起源。2008年に武田薬品工業が買収し、2013年に社名を武田オンコロジーとした。武田薬品工業の完全子会社。従業員は1200名。バイオテクノロジーおよび医薬品会社である。

同社の研究・開発・商品化活動は腫瘍と炎症の2つにフォーカスしている。特に有名なものは、多発性骨髄腫患者の治療薬を米国食品医薬品局(FDA)から承認されたことである。親会社を含め、グループ全体の売上高は2022年ベースで296億米ドル。世界ランクで11位である。

親会社の武田薬品工業株式会社は、アメリカとイギリスに起源をもつ多国籍製薬会社である。アジアで3番目に大きい製薬会社であり、世界中に50000人の従業員を抱えている。本社は大阪市中央区にあり、東京都中央区日本橋に事務所をもつ。

武田オンコロジーは、2012年のフォーチュン誌で「アメリカで働きやすい企業100社」に選出されている。                                                                 

出典1:http://www.takedaoncology.com/                                 出典2:https://www.takeda.com/

Otsuka Holdings (大塚製薬)

北米のグループ企業は24社ある。北米本社に相当するのが「大塚アメリカ」である。製薬・バイオテクノロジー関係の企業は「アテックス」「大塚オンコロジー」「カリナン」「大塚ケミカル」「ビステラ」などがあり、中でも大きな存在になっているのが大塚アメリカファーマシューティカル社 (OAPI) と大塚製薬開発社 (OPDC)である。

大塚アメリカの本社はカリフォルニア州サンフランシスコ市。日本国内では武田薬品に次ぐ業界第2位。2022年の世界中のグループ全体の売り上げ総額は75億米ドル。世界ランク26位だった。

2017年、ニューロバンス社を買収し、ADHD治療薬センタナファジンを獲得した。この結果、ニューロバンス社は間接的な完全所有子会社として運営することになった。

世界中の拠点数は69か所。アメリカ国内だけでの従業員数は5600名。

出典:https://www.otsuka-us.com/

Daiichi Sankyo (第一三共インク)

日本の第一三共株式会社の子会社。2006年にDaiichi Sankyo, Incとしてニュージャージー州バスキングリッジ市に設立。アメリカの製薬会社であるAmerican Regent社も所有している。

創立者の高峰譲吉は日米間で様々な研究結果を出し、特にアドレナリンの抽出で特許を取得している。同氏はワシントンDCタイダルベイズンにある全米で有名な桜の木を寄贈したことで知られている。

2020年に発売されたがん治療用の交代薬物複合体エンヘルツは、同社とアストラゼネカ社との共同開発によるものである。FDA(米国食品医療品局)が承認した為、同社市場価格が5兆円を超したともいわれる。

2015年に医師にリベート・キックバックを支払っていたことが判明し、リベート防止法である虚偽請求法違反に問われた。のち、当局に厳重に監視されていた。

2022年グループ全体の売り上げは70億米ドル。

出典:https://daiichisankyo.us/

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アメリカの主要製薬・バイオテクノロジー企業3選〜外資系企業編〜

Novartis (ノバルティス)

スイスのバーゼル市に本拠を置く多国籍製薬会社。1996年にチバガイギーとサンドの合併により設立。開発部門は国際部とアメリカ部の2つで構成。株主の48%はスイス人だが、23%がイギリス人、21%がアメリカ人である。

2022年の売上額は500億米ドル。世界4位であった。マサチューセッツ州ケンブリッジ市に生物医学研究所を設置している。この研究所内に発展途上国の病気であるデング熱やマラリア、チフスなどを研究する機関が含まれている。また、他産業や学術パートナーと共同プロジェクトにも多々参画している。

医薬品は66種類を発売しているが、中でも高血圧の薬であるディオバンは世界中で使用されている。

2009年、米国保健福祉省はノースカロライナ州ホリースプリングス市にアメリカ初の細胞ベースのインフルエンザワクチン製造工場の建設を許可した。結果、パンデミック宣言から半年以内にワクチンが生産できるようになった。

出典:https://www.novartis.com/

AstraZeneca (アストラゼネカ)

イギリスのケンブリッジ市に本社を置く、イギリスとスウェーデンの多国籍製薬およびバイオテクノロジー企業である。有名なのが、オックスフォード・アストラゼネカ新型コロナウイルス感染症ワクチンである。

アストラ社はスウェーデンで1913年創業。ゼネカ社はイギリスで1993年創業。同社の合併が1999年に行われた。同年、アメリカの拠点としてデラウエア州ノースウィルミントン市に拠点を置いた。現在、研究機関は本社のあるイギリスとスウェーデンの他、アメリカのメリーランド州ゲイザーズバーグ市の3拠点で集中的に行っている。

2022年の売上額は429億米ドル。世界8位であった。同社は腫瘍・心臓血管・胃腸・感染症・神経科学・呼吸器・炎症などの分野の主要な疾患に対応する製品を開発・販売している。

主要上場銘柄はロンドン証券取引所にあり、FTSE100指数の構成銘柄になっている。ストックホルムのナスダック市場にも二次上場している。世界の製薬会社の中で、時価総額が高い企業といわれる。

出典:https://www.astrazeneca.com/

Sanofi (サノフィ)

フランスのパリ市に本社を置く、多国籍製薬およびバイオテクノロジーおよびヘルスケア企業。1973年設立。さまざまな吸収合併を経て、2011年に現在の社名になった。処方箋市場で医薬品の研究開発・製造・マーケッティングと市販薬の開発も行う。心臓血管・中枢神経系・糖尿病・内科・腫瘍・血栓症・ワクチンの治療分野をカバーしている。

米国本社はニュージャージー州ブリッジウォーター市とマサチューセッツ州ケンブリッジ市にある。その他、ペンシルバニア州マルバーン市とアリゾナ州ツーソン市に製薬研究施設を持つ。また、ジョージア州アトランタ市とネバダ州スパークス市に配送センターがある。全米で13000人を超す従業員を抱えるという。米国ではスペシャルケア・ワクチン・一般薬品・コンシューマーヘルスケアの4事業部門で構成されている。

2022年のグループ総売上額は403億米ドル。世界売り上げ順位では9位にランクされた。

糖尿病用のインスリン薬ランタスはトップ製品だったが2015年に特許が切れて大幅な収益減少がみられた。

出典:http://sanofi.com/

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