今回は、韓国のドラッグストア業界に焦点を当て、ローカル・外資合わせて11社を厳選してお届けしていきます!
韓国のドラッグストアはほぼOlive Yongの独走状態となっています。今回はドラッグスストアに近い業種であるバラエティショップと薬局チェーン店を含めて紹介します。
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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韓国の主要ドラッグストア9選〜ローカル編〜
Olive Yong ( オリーブヤング )
1999年CJ(株)(旧第一財団)内にHBC(Health & BeautyConvinience)事業部を新設。国内最初のヘルス&ビューティーストアをオープンした。2002年CJ(株)(旧第一財団)より分離、CJオリーブヤング株式会社設立。2007年オンリーワンブランド‘オリーブヤング’をローンチした。
2013年、グローバル市場への進出を開始し、中国・上海に海外1号店を出店した。2019年「オリーブヤンググローバルモール」をオープン。中国のTモールと日本の楽天に旗艦モールをローンチした。
プライベートブランドは、ビューティーツールブランドのfillimilli、スキンケアブランドのBIO HEALBOH、BRING GREEN、ideal FORMEN、ROUND AROUND、メイクアップブランドのWAKE MAKE、colorgramがある。2011年よりオンラインショッピングモールを開始し、販売チャンネルの増加を行った。
2021年の実績(取扱高)は前年比で13%増加した2兆4000億ウォンを達成する見込みである。なお2021年の国内ビューティー市場(免税除外)の成長率は2.8%にとどまっている。特にオフラインとオンライン、グローバル全てが第三四半期基準で前年と比べてそれぞれ13%、58%、107%増加しており、チャンネル別でも成果を上げている。
出典:https://www.oliveyoung.co.kr/store/company/information.do%EF%BC%88%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%EF%BC%89
CHICOR ( シコル )
1930年に国内最初に誕生した新世界百貨店がプロデュースするビューティーショップで、2016年12月にローンチした。韓国版のセフォラと呼ばれている。2018年12月累計20号店を出店した。
オンラインとオフラインを連係したO2O(Online to Offline)ビューティープラットフォームとして成長させ、2024年までに売り上げを2021年の2倍である1500億ウォンに拡大する計画だ。
プライベートブランドのonomaやスキンケア、メイクアップ、ボディ、ビューティーツールなどの総合ビューティーブランドCHICORCOLLECTIONがある。高価化粧品ブランドの取り扱いは、2021年の時点でYSL、lancome、bobbibrown、mac、NARSなど42個に上り、2022年には70余りに拡大する。
2021年11月、大田の新世界百貨店で初めて導入したスマートミラーサービスも他の店舗に拡大運用している。スマートミラーは人工知能(AI)技術で前に座った顧客の皮膚を診断し、化粧品をお勧めしてくれるサービスである。
メタバスと呼ばれる仮想空間のプラットフォーム“ZEP”空間において“メタシコル”をオープンした。商品構成やインテリアなどは実際のシコル江南店を背景に作った。中央広場、ゲームゾーン、オンリーシコルなどテーマ別に空間を構成し、シコルの商品購入はもちろんゲームを通じた割引クーポンまで多彩な特典を盛り込んだ。2023年1月にテストを行った際には、オンラインに慣れている20-30代の顧客が1か月で50万人以上も利用した。そして3月より常時オープンさせた。
出典: https://chicor.com/error/common
pandora ( パンドラ )
2011年、農心グループ傘下のスーパーであるメガマートによって、化粧品と薬局を結合したヘルス&ビューティーショップとしてローンチされた。釜山に1号店をオープンし、以降釜山を中心に店舗数を伸ばした。
パンドラは、薬局を前面に掲げたドラッグストアを標榜したという点で初期より注目を集めた。しかし初の首都圏店舗であるホンデ店が韓薬剤師との契約に関しての問題などで危機に直面したこともあった。以降、薬剤師が店舗管理できるように方向を再設定し、約一か月で新店舗をオープンするという攻撃的な動きを見せた。その後も全国約30カ所に店舗展開して市場占有率を高めた。
しかし2021年、全国に19個あるパンドラ薬局のうち13個の店舗が閉店した。(薬局がない形態のパンドラは維持し、薬局がある店舗は廃業手順を踏んでいる)
出典:https://www.kpanews.co.kr/article/show.asp?idx=224351&category=B
W – Store( ダブルユーストア )
KOLONグループ傘下であるKOLON TISSUEGENEによってローンチされた韓国型ドラッグストア。2004年よりオフライン薬局を中心に展開してきたが、2017年8月よりw-storeオンラインモールを運営開始した。
KOLON TISSUEGENEは靱帯損傷治療、軟骨再生促進剤の研究、開発を目的とする細胞遺伝子治療剤の開発企業である。
2023年4月現在、加盟薬局を含めた店舗数は約40店舗。(NAVERPLACEにより確認)
出典:https://www.kolon.com/kr/subsidiary/bio-health-care
LOHB’S( ロブス )
LOTTEグループの傘下であるLOTTEショッピングによって2013年にローンチされた。LOHB’SとはLove Health & Beaty Storeの略でビューティーとヘルス製品すべて出会える新概念のH&B専門流通ブランドである。
2013年5月ソウルの若者ストリートのホンデに1号店を出店したのを皮切りに、2017年には96店舗、2018年には124店舗、2019年には131店舗と店舗数を増やしてきた。しかし2020年には101店舗、2021年には49店舗と毎年減少した。
LOTTEショッピングは、2020年末にLOHB’S事業部をロッテマート傘下のLOHB’S部門に統合した。現在はロードショップは全て撤収し、ロッテマート内にショップインショップ形態の“LOHB’S+(ロブスプラス)”という売り場を拡大予定であり、2022年2月時点で5カ所にオープンしている。
出典: https://www.lotte.co.kr/business/compDetail.do?compCd=L208
lalavla ( ララブラ )
2005年、香港のA.S.WatsonGroupが韓国のGSretailと合作でWatsonsKoreaを設立して韓国に進出した。しかし2018年に韓国のGSretailに吸収合併されて、WatsonKoreaは韓国から手を引いた。そして2018年よりブランド名をlalavlaに変更し再出発した。
店舗数が2018年168個、2019年140個、2020年124個、2021年70個、2022年6月45個と推移し2022年11月時点で0個となった。
売り上げが2016年Watsonsの時には1460億ウォンであったが、lalavlaになった2018年には1728億ウォンと増加した。しかし翌年の2019年には1627億ウォンと減少した。また、2020年には更に減少し1209億ウォンと推定される。
営業利益もやはり2018年-254億ウォン、2019年-159億ウォンとマイナスであった。また2020年には-188億ウォンと推定される。
出典:https://www.thescoop.co.kr/news/articleView.html?idxno=51028
ONNURI 薬局 ( オンヌリ薬局 )
1991年に誕生したオンヌリ薬局は、健康に関連した多様な製品とサービスを提供する薬局として30年間、韓国の消費者に信頼を受けている韓国を代表する薬局である。2007年にドラッグストア事業に着手し、2017年10月にオンヌリ薬局公式オンラインストア“オンヌリ薬局ドットコム”事業を開始した。
加盟店は2021年12月、2200を突破し、韓国で最大の薬局チェーンブランドである。ソウルから済州島まで韓国全国で簡単に目にすることができる。韓国薬局チェーンで最初に薬剤師で構成されたR&Dセンターを保有しており、R&Dセンターで開発されたオンヌリ薬局の自社ブランド商品(PB)は350個あまりに及ぶ。
2019年の売り上げは537億ウォンで、前年比(498億ウォン)7.8%、営業利益は25億900万ウォンで前年比(19億ウォン)29.1%、純利益も19億ウォンで前年(19億ウォン)と比較して0.6%成長した。
MEDIPHARM 薬局 ( メディファーム薬局 )
1993年10月に韓国臨床両病薬学会の会員を中心に設立された。医薬品及び健康機能食品の流通と積極的なチェーン網を備えたチェーン事業を通じて飛躍的な成長を繰り返してきた。2022年11月基準で全国に1134のチェーン薬局、そして16個の営業所がある。2003年9月にはメディファームハワイ店をオープンし、2004年にはメディファームショップをオープンした。
メディファーム薬局チェーンは両病学を基にした臨床薬学を中心に置いて、薬剤師としての専門性を確保しチェーン会員の経済的な利益を極大化するために努力してきた。薬局チェーンネットワークを基盤としてチェーン本部とチェーン薬局間の円滑なコミュニケーション及び薬局設立及び経営全般に関するコンサルティング事業を展開している。両病学の受講生は2018年8月基準で全国22,000名あまりに及ぶ。⚫
019年の売り上げは49億9900万ウォンを記録し、前年の66億2600万ウォンより24.6%減少した。
出典:http://www.medipharm.co.kr/index.asp
WithPharm 薬局 ( ウィズファーム薬局 )
ウィズファーム会員薬局は韓国で最初に製剤専門薬局の概念を導入した薬局である。ソウル大学病院、ソウルアサン病院、三星ソウル病院、延世大新村セブランス病院、ソウル聖母病院をはじめとする全国有名病院及び総合病院前30数か所に位置しており、一日平均約6,000名の患者がウィズファーム会員薬局に訪問している。
2000年1月(株)ウィズファームを設立、同年6月ソウル大学前にウィズファームチェーン薬局1号店がオープンした。そして2003年9月にオンラインストア“ファームズモール”がオープンした。2019年12月には売り上げ1574億ウォンを達成した。
2018年の売り上げは1573億ウォンで前年比(1466億ウォン)7.3%増加した。しかし、営業利益は12億ウォンで前年(18億ウォン)より33.5%程度落ちた。純利益も5億ウォンを記録し、前年(7億ウォン)と比較し減少した。
出典:http://withpharm.co.kr/
Leadpharm 薬局 ( リードファーム薬局 )
2000年ソウルのナムシ薬局、ボリョン薬局、釜山のセミョン薬局など全国14個の大型薬局と卸業者であるへソン医薬品販売によってリードファームを設立し、薬局チェーン事業を開始した。
2010年テラジェンバイオ研空所で遺伝子検査を進行、2016年には個人遺伝子検査サービスを薬局で供給開始した。
2019年の売り上げは677億ウォンで前年(502億ウォン)に対し35%と急増した。営業利益も39億ウォンで前年(20億ウォン)より89%も上がり、純利益も23億ウォンに上り前年(14億ウォン)と比較して66%上がった。リードファームの実績が大きく上がった理由は2018年から病院取引事業に飛び込んだためであり、2年目を迎えて成果を収めたと会社は把握した。
出典:https://www.leadpharm.com/Contents/Company/Company.asp
韓国の主要ドラッグストア2選〜外資編〜
SEPHORA ( セフォラ )
傘下にルイヴィトンなどがある巨大企業LVMHによって、1969年にフランスで創業した。35ヵ国、2600カ所以上の店舗を展開している。SEPHORAは15分間好きなだけ無料で化粧をして貰えるサービスとビューティー相談で認知度を上げた。
2019年10月、ソウル江南区に1号店を出店し、同年12月Kビューティの聖地と呼ばれる明洞のロッテヤングプラザに100坪の店舗を出店し、以降2年で6店舗まで増やす。韓国進出当時、2022年までに国内に13店舗を出店する目標を掲げていたが、2022年1月に明洞店を閉店、同年3月に汝矣島店を閉店した。現在では京畿道に2店舗、ソウルに3店舗、計5店舗を展開している。
売り上げは2020年に142億ウォン、営業損失は124億ウォンであったが、翌年の2021年の売り上げは124億ウォン、営業損失は146億ウォンと売り上げは12.7%減少し、営業利益は赤字転換した。
出典:https://www.lvmh.com/en/our-maisons/selective-retailing/sephora
Watsons (ワトソンズ)
香港のA.S. Watson Groupによって1841年に設立された、健康と美容の小売業者である。アジアとヨーロッパ、中東の15の市場にまたがる8000を超える店舗とオンラインストアを持つ。
1980~90年代に台湾、マカオ、シンガポール、マレーシア、タイなどアジアに事業を拡大。2005年には韓国のGSretailと合作でWatsonsKoreaを設立して韓国にも進出した。
そして2009年にはアジアNo.1の薬局・ドラッグストアブランドとなる。(以降12年連続受賞)しかし2018年に韓国のGSretailに吸収合併されて、WatsonKoreaは韓国から手を引いた。
出典:https://www.watsonsasia.com/#who-we-are
ソウル在住の韓国人。日本での在住経験は25年。日本の有名大学を卒業し、大手シンクタンクの正社員及び経営コンサルタントとして勤務。多くのプロジェクトに携わり、ビジネス戦略とイノベーションの分野で活躍。