今回は、韓国の家具・インテリア・生活雑貨・ホームセンター業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
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韓国の主要家具・インテリア・生活雑貨・ホームセンター企業12選〜ローカル編〜
HANSSEM (ハンセム)
1970年に台所家具から始まったハンセムは、1997年にインテリア家具を供給し始め、現在は浴室、建具、床など建材アイテムまで領域を拡大している。
居住空間全体をまとめるアイテムを、デザインパーク、リモデリング/台所/インテリア家具専門売り場、インテリア提携店だけでなくオンラインショッピングモールなどの流通網を通し供給している。現在、海外法人はアメリカ(1986年設立)、日本(1991年設立)、中国(1996年設立)の3か国で事業を展開している。
2023年の第一四半期は営業損失が157憶ウォンで、前年同期に対し赤字転換した。リハウス、ホームファニシング等のB2C事業がマクロ悪化持続により不振したためだ。また、去年から進行しているデジタル転換と売り場リニューアル・展示改善、ブランドキャンペーンなどに関する投資過程で発生した費用も実績にともに反映された。そのため同期間の売り上げは、前年同期(5260憶ウォン)より10.8%減少した4693憶ウォンを記録した。
出典:https://company.hanssem.com/main.do
casamia (カサミア)
“CASA”とはイタリア語で家を意味する。1982年に“カサミア”という小物ショップとして創立された。2018年、新世界グループの系列会社に編入されB2B事業組織が新設された。2020年ライフスタイルオンラインショッピングプラットフォーム“グッドドットコム”をローンチした。同年、海外ブランド家具流通事業を導入した。2021年(株)新世界CASAに社名変更し本社を移転した。
2023年、第一四半期の売上額は527憶ウォンで前年同期に対し28%減少し、営業損失は88憶ウォンで前年1億ウォンの利益から赤字転換した。店舗数も100個と前四半期に対し4個減った。
2023年5月現在、核心戦略の一つが“アートコラボレーションプロジェクト”である。イギリスの現代美術作家リチャードウッズとコラボした“カサミア×リチャードウッズ”小物をリリースし、アートシューマー(Art+Consumer)攻略に集中している。
出典: https://www.casamia.co.kr/home
LIVART (リバート)
1977年に設立し総合家具会社として設立された。“生活空間を美術にデザインする“というリバート(Live+Art)というのがブランド名の由来である。2006年、ベトナム現地法人を設立した。2012年、現代百貨店グループ系列会社に編入、カナダ現地法人も設立した。さらに2021年にはインドネシア現地法人も設立した。2023年5月現在、提携店を含めて659個の店舗を展開している。
2023年第一四半期の売上額は3702憶ウォンで前年同期に対し0.4%増加したが、営業損失は76憶ウォンで当期純損失は68憶ウォンを記録し、2部門すべて赤字転換した。特に企業と消費者間(B2C)売り上げは前年同期に対し12.7%減少したことが実績に否定的な影響を与えた。
中古家具取引専門プラットフォーム“オグ家具”サービスに続き公式オンラインモール内にオンライン海外家具専門館“世界家具館”を2023年4月オープンした。13か国28個の製造社の740種余りの多様な家具が公開された。
出典:https://www.hyundailivart.co.kr/index
iloom (イルーム)
1983年FURSYSが設立され、1998年には1号店が開設、生活家具専門ブランドとしてiloom独立法人が出帆された。なお、FURSYSグループはiloomの他に、国内代表事務家具ブランドのFURSYS、椅子専門ブランドのsidizも運営している。2002年には100店舗目がオープンし、2009年にはオンラインショッピングモールがローンチされた。
2021年の売り上げは3710憶ウォンを記録した。2020年より18.8%(586憶ウォン)増加した。2012年(518憶ウォン)以降9年連続で成長傾向にあり歴代最大売り上げである。営業利益としては284憶ウォンを稼ぎ、やはり市場最大値を打ち出した。1年前に比べると23.0%(53憶ウォン)増えた。
取り扱い商品は、寝室、リビング、子供部屋、勉強部屋、書斎、ペットなどの家具がある。特に機能性家具が有名であり、高さが低くベッドガードが取り付けられるファミリーベッドの“クシノ”や、システム学習机の“リンキープラス”などが有名である。
出典:https://www.iloom.com/
ModernHouse (モダンハウス)
1996年、ライフスタイルを標榜して国内初めて登場した生活用品企業である。イーランドグループの生活用品事業部から出帆し、インテリア小物販売を初め台所、寝具、家具等の生活用品を取り扱い、新世界グループのJAJUとロッテと協業して韓国に進出した無印良品と競争関係にある。しかし2017年のグループの流動性危機を経験し、MBKパートナースに6860憶ウォンで売却された。
モダンハウスの2021年の売上額は3474憶ウォンで、2022年年間売上額は4100憶ウォン、償却前営業利益(EBITDA)は600憶ウォンと予想される。
モダンハウスにはバターとリネンキッチンというブランドがある。バターのオフラインショップはモダンハウスとは独立しており2023年現在、23店舗ある。20代の一人暮らし層がターゲットで、2週ごとに100個余りの新製品がリリースされる。リネンキッチンはモダンハウスのショップインショップ形態として構成されている。台所、寝具、ホームウェアなどの多様なリビング商品が販売されており、若い主婦の間で噂になっている。
出典:https://www.modernhousemall.com/
JAJU (ジャジュ)
イーマートのプライベートブランドとして、2000年より自然主義という名前で運用してきたが、2010年新世界インターナショナルが買収した。JAJUは既存の自然主義の環境に優しい製品にプレミアム商品を追加し、全体的な製品水準を百貨店級に引き上げようと試みた。
2020年、新世界インターナショナルはJAJUに本格的に力を入れ始めた。コロナ19が拡散して在宅勤務の時間が増えたことで生活用品市場が脚光を浴び始めた時だ。新世界インターナショナルはJAJU事業部門を新設し、スターバックスを率いていたイソッグ前代表を部門代表として選任した。それから2年後の2022年、売上額は1兆5539憶ウォンの歴代最大値を記録した。営業利益もやはり史上初めて1000憶ウォンを超える1153憶ウォンをたたき出した。
取り扱い商品は衣料品、台所用品、調理用品、生活用品、ホームインテリア、寝具/ファブリックなどである。さらに2022年ボディケア商品などのウェルネスラインをローンチし、ウェルネス専用店舗をオープンした。
出典:https://www.yna.co.kr/view/AKR20120701065900003
ENEX (イーネックス)
ENEXは国内最初に立ち働き式台所文化を投入した企業である。1971年、ソイル工業社として創業し、在来式の台所にシンク台を取り入れ主婦たちの家事労働から解放した。そして1992年、株式会社ENEXに商号とCIを変更した。総合家具企業ENEXとして生まれ変わり、台所はもちろん、寝室、リビング、書斎、学生部屋、子供部屋、事務室まで手掛けている。
2003年には中国現地法人を設立し、2004年には中国工場を竣工した。2009年にはベトナム現地法人を設立し、2010年にはベトナム工場を竣工した。
ENEXは2019年、創業者から長男が二代目になり、売り上げ・実績が悪化した。売上額は2019年3636憶ウォン、2020年2336憶ウォン、2021年2017憶ウォンと減少し、営業損失は2019年28憶ウォン、2020年85憶ウォン、2021年123憶ウォン、2022年235憶ウォンと少しずつ増えている。
出典 :https://www.enex.co.kr/main/index.php
JAKOMO (ジャコモ)
ジェギョン家具産業が運営するソファー専門ブランド。1986年、ジェギョン家具産業社を設立した。2005年に(株)JAKOMOを設立しJAKOMOブランドをローンチした。俳優“イソジン“の広告とドラマ“ペントハウス”制作支援などで最近になり本格的に名前が知られ始めた。2023年5月、4店舗目の直営フラッグシップストアであるヨンイン店をオープンさせた。
最近5年間、年平均130%水準の急成長を見せており、2021年には1800憶ウォンの売り上げを記録する成果を上げた。ブランドR&Dセンター(2000年イタリアミラノに設立)を運営し製品を企画している。
取り扱い商品は革ソファー、布ソファー、ペットソファーなどであり、ソファーに特化している。価格帯は60万ウォン(一人掛けソファー)から1500万ウォン(6人掛けソファー)である。
出典:http://www.jkgroup.co.kr/
EMONS (エモンス)
1979年に設立されて以後、未来型デザイン製造、自然を考える企業、第一主義追及、という企業理念を基盤に家庭用家具、オンライン専用家具、アパート特販家具、事務用家具、インテリア分野に専門化した事業領域を備えた堅実な企業として成長してきた。
2018年の売り上げ2008憶ウォンから2021年の売り上げは1398憶ウォンと、3年ぶりに売り上げ規模がほぼ半分になった。エモンスは専門経営人であるジョソンジェ前代表理事が経営を導いている時までは、売上額が着実に増加していた。
2012年957憶ウォンであった売り上げは2018年2000憶ウォンを突破したが、ジョ前代表が経営の第一線を退いた2019年を変曲点として売り上げが急激に下落した。経営利益も2018年13億2278万ウォン、2019年-3億4950万ウォン(赤字転換)、2020年58億1101万ウォン(黒字転換)、2021年22億3144万ウォンと安定を取り戻せずにいる。
出典:https://www.emonshome.co.kr/
ACE BED (エースベッド)
韓国のベッド専門ブランド1位である。1963年ACEBED工業社を設立。1994年、世界ベッド企業中初めてISO-9001認証を獲得した。業界2位のSIMMONSとは兄弟会社である。アンユスACEBED会長の長男がアンソンホACEBED代表である。市場占有率はACEBEDとSIMMONSだけで40%以上を占めている。
2022年の売り上げは3462憶ウォン、営業利益は653憶ウォンであった。2021年度は3464憶ウォンの売り上げと768憶ウォンの営業利益を得た。売り上げは善戦したが営業利益は15%(115憶ウォン)減った。コロナパンデミック期間、原材料価格上昇等が営業利益下落に少なからずも影響を与えた。
ACEBEDの最高級マットレスブランドは“HERITZ”であり、HERITZブラックラインは2000万ウォンに達する。ベッド業界で唯一、国際公認試験機関として最先端研究設備と専門グループを備えたベッド工学研究所を持っている。
出典:https://www.acebed.com/main/index.do
SIMMONS (シモンス)
1870年創業者ZalmonG. Simmonsはアメリカのウィスコンシン州ケノーシャで9名のエンジニアと共ににベッド事業を開始した。1987年、ヨンボンベッド工業と合作でヨンボンシモンスとして設立した。1992年に独自法人を設立した韓国シモンスは2007年に睡眠研究R&Dセンターを開館した。エースベッドとは兄弟会社である。アンユスACEBED会長の次男がアンジョンホSIMMONS代表である。
2022年は2858憶ウォンの売り上げと118憶ウォンの営業利益を上げた。2021年には売り上げ3054憶ウォン、営業利益184憶ウォンを記録したが6.4%(売上)、35.8%(営業利益)それぞれ減少した。
シモンスは代理店を通じて販売する既存の企業間取引(B2B)方式から脱皮し、直接販売(D2C)戦略を広げている。2021年の売り上げの66%がプレミアムマットレスであった。シモンスで最も高いマットレス製品群の“ビューティーレストブラック”は1900万~3500万ウォンだが2022年に入り月平均200個ずつ売れている。
出典:https://www.simmons.co.kr/
アメリカの主要通販・ネット通販企業〜日系編〜
MUJI (ムジ)
1980年に日本で設立されたライフスタイル企業。【徹底した生産過程の簡素化】【素材の選択】【包装の簡略化】という3つの基本に基づき、よりシンプルで合理的な商品を作るために努力してきた。
2004年に日本(株)良品企画が60%、韓国ロッテ商事(株)が40%出資して、MUJIKOREACO.,Ltdを合作した。店舗は大部分がロッテ流通の系列社内に入店しており、衣料と家庭用品、食品等、日常用品を企画開発して製造・流通・販売している。2022年8月末基準で韓国での店舗数は39店舗である。
2018年の年間売上は1378憶ウォン、営業利益は76憶ウォンを記録し成長した。しかし2019年の日本の不買運動により大きな打撃を受けて3年連続赤字が続いている。2023年流通業界によれば、ロッテショッピングが‘2022年第4四半期ロッテ商事が持っていたMUJIKOREAの無印良品持ち分40%を買収したことが分かった。ロッテショッピングは2021年にハンセムも買収しており、ホームインテリア市場を積極的に攻略しようとしている戦略であると解釈される。
出典:https://www.mujikorea.net/display/displayShop.lecs?storeNo=1&siteNo=13013&displayNo=MJ1C98&displayMallNo=MJ1
アメリカの主要通販・ネット通販企業〜外資系編〜
IKEA (イケア)
スウェーデンの片田舎の村で、通信販売会社としてスタートし、現在では世界54か国に展開する世界最大の家具ブランドである。IKEAという名前は、創業者の名前(Ingvar Kamprad)と自身が育った農場の名称(Elmtaryd)と自身が生まれた都市の名前(Agunnaryd)を合わせた名称である。正確にはIngvar Kamprad,Elmtaryd,Agunnarydの略称である。
韓国には2014年に光明市に1号店を出し進出した。現在の店舗数は全部で4店舗である。
2022年会計年度(2021年9月~2022年8月)の売り上げは6223憶ウォンで、2021年6872憶ウォンに比べて9%減少した。営業利益は219憶ウォンで前年に対し26%落ちた。当期純利益は36%落ちた。売り上げ減少は2014年の韓国進出から8年で初めてである。
出典:https://www.ikea.com/kr/ko/
ソウル在住の韓国人。日本での在住経験は25年。日本の有名大学を卒業し、大手シンクタンクの正社員及び経営コンサルタントとして勤務。多くのプロジェクトに携わり、ビジネス戦略とイノベーションの分野で活躍。