今回は、旅行業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて17社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
韓国の主要旅行企業12選〜ローカル編〜
HANATOUR (ハナツアー)
1993年に創立した“gukjin旅行社“が前身である。元々は”gukil旅行社(現モドゥツアー)”の支社であったが、共同創立者であったパク会長が独立しgukjin旅行社(現ハナツアー)を創立した。ハナツアーもB2Bホールセール事業を行っていたが、2000年に国内旅行業界で初めてコスダック市場に上場した。その資金をもって航空会社に先払いを行ったことにより多くの座席を割り当てられるようになり、占有率の拡大に成功した。現在でも韓国1位の旅行会社である。
日本、中国、東南アジア、ヨーロッパなど海外8カ所に法人がある。2023年第一四半期の売上額は830億ウォン、営業利益は56億ウォンであった。これはコロナが発生以前の2019年以来の黒字である。
人気商品の“ハナパック2.0”は、人気飲食店、ホットプレイス、市内中心のホテル宿泊など顧客中心の商品で構成されている。否定的な認識が強かったショッピング日程を排除し、選択観光も合理的な価格であるため人気となっている。
出典:http://www.hanatourcompany.com/kor/main/main.asp
MODETOUR (モドゥツアー)
1989年にウ会長が高麗旅行社から独立して創立した旅行会社。当時、国内初のホールセール方式を投入し、急速に全国区の旅行会社になった。しかし、モドゥツアーから独立したパク会長率いるハナツアーが急成長し、現在に至るまでハナツアーに次ぐ旅行業界第2位である。
ヨーロッパ、中国、日本、東南アジアに9個の海外法人を運用している。
代表商品は“モドゥシグネチャー”で、四つ星以上のホテル、ガイドと運転手の経費込み、ショッピング2回以下、などを保証している。モドゥシグネチャーが上半期の全体予約中22%を占めた。
2023年第一四半期の売上額は423億ウォンで、営業利益は63億ウォンであった。
出典:https://www.modetournetwork.com/
YELLOW BALLON (ノランプンソン)
2001年に総合旅行業(旅行斡旋)と航空券および舟券の発券販売業などを主要事業として創立した。
オープンマーケットと提携会社を通じて消費者の購入が増えるにつれてホームショッピングおよびオンライン提携会社を通した販売も並行している。
2018年に買収し従属会社となったノランプンソンシティーバスサービスは、バス運行乗車券を販売し、運送収入を主目的とする事業を行っている。
売上構成は旅行斡旋56.8%、航空券総額売上31.7%、その他6.1%、航空券販売収入5.4%である。
2023年第一四半期の売上額は237億ウォン、営業利益は17億ウォンで、黒字転換した。
出典:http://company.ybtour.co.kr/main.do
Verygoodtour (チャムチョウンヨヘン)
1998年に創立した旅行会社。
2021年、海外現地特産品を輸入し国内の顧客に販売する新事業の“チャムチョウンマーケット”を開始した。イタリアのバルサミコ酢など現地でのみ購入できる、または国内購入時に高い手数料がつく特産品を安く購入できるサービスである。2021年は11億ウォン、2022年は12億ウォン。2023年の上半期は9億8400万ウォンと集計された。
2023年第一四半期の売上額は146億ウォン、営業利益は18億ウォンで、三年ぶりの黒字転換した。
出典:http://www.verygoodtourcompany.com/
LOTTE観光開発 (ロッテ観光開発)
1971年に創立した総合旅行会社。LOTTE TOUR(ロッテ観光)という名前で知られている。なお、LOTTEが社名に入っているが1982年にロッテグループの系列から分離されている。事業別の売上構成は、2023年の上半期基準で、カジノが38.72%(4803億ウォン)、ホテルが33.49%(4155億ウォン)、旅行業が24.95%(3095億ウォン)となっている。創立当時は旅行業で始まったが現在は3つの事業が柱となっている。
2018年からカジノ事業を始めた。パラダイスグループが済州ロッテホテルで運用していた“パラダイス済州ロッテカジノ”を買収した。更に2020年済州ドリームタワー複合リゾートとして拡張移転し、2021年にカジノを開場した。
出典:http://company.lottetour.com/welcome
KORAIL観光開発 (コレイル観光開発)
2004年に創立した旅行会社で、国土交通部傘下の公共機関である。韓国鉄道公社の子会社で、持ち分の割合は韓国鉄道公社が51%、ロッテ観光開発が39.2%、コレイル流通が9.8%となっている。
事業範囲は、観光旅行事業(汽車旅行商品の企画運営)、テーマパーク事業(汽車がテーマのパーク運営)、乗務事業(汽車内での乗務員による顧客サービス)などである。
2022年の売上額は689億6000万ウォン(前年比で8%増加)、営業利益は4855万ウォンであった。
出典:http://co.korailtravel.com/index.asp
Red Cap Tour (レッドキャップツアー)
1977年に設立した旅行会社。1997年よりレンタカー事業も開始した。
B2B中心の長期レンタカーと旅行(出張/イベント)事業を行っており、売上比重はそれぞれ90%、10%となっている。レンタカー事業は新車を購入後、顧客に3~4年間レンタルをし、その後売却して売却利益を得る構造である。
2023年上半期の売上額は1652億ウォン(前年比33%増加)で、営業利益は193億ウォン(9%減少)であった。なお、レンタカー/旅行の売上額はそれぞれ前年比で28%、91%増加した。
出典:https://www.redcap.co.kr/
NHN Doctortour (エヌエイチエヌヨヘンパクサ)
2000年に創立した旅行会社。日本旅行が主力商品であり、2006年USJキャンペーン販売一位であった。福岡空港にカウンターがあり(現在は臨時休業中)、割引クーポン贈呈、人気九州1人ツアー予約サービス、ベビーカーや車椅子のレンタルなどのサービスを受けることができる。2018年にNHNグループに編入された。
2022年の売上額は11億8449万ウォン、営業利益は-22億8439万ウォンであった。
出典:https://corp.drtour.com/index.asp
MODETOUR INTERNATIONAL(モドゥツアーインターナショナル)
2008年に創立した、MODETOURの系列会社のインバウンド専門旅行企業。
事業内容はMICE、テーマ観光、パッケージツアーの3つである。MICEとは国際会議や企業行事(会議、セミナー、ワークショップ)、コンベンション、博覧会などの様々なサービスの提供である。テーマ観光には、医療観光、韓流観光、ウエディング観光などがある。さらにパッケージツアーにはK-ビューティーツアーや1DAYツアーなどの他にDMZ(非武装地帯)ツアーなどのツアーもある。
2022年の売上額は約1億ウォンであり、2021年の売上額の4000万ウォンよりは増加したが規模が微々たるものである。
出典:http://www.modetourint.com/
yanolja (ヤノルジャ)
2005年に創業し、旅行関連の予約アプリ“ヤノルジャ”を運営している。創業当時は宿泊施設の情報サイトとしてスタートしたが、スマートフォンの普及によって、2015年にモバイルアプリをリリースした。ヤノルジャアプリは国内外の宿泊からレジャー、交通、レストラン、ショッピングまで余暇に関連した全てのサービスを提供するアプリであり、オンライン旅行プラットホーム市場で第一位である。累積アプリダウンロード数は5700万以上、全プラットホーム累積加入者は1900万人に及ぶ。
2021年ソフトバンクビジョンファンドから1兆1900億ウォンの投資を受けた。2023年7月の旅行アプリ利用者は450万人で第一位であった。
2022年の売上額は6045億ウォン(前年比83%増加)、営業利益は61億ウォン(前年比89%減少)を記録した。
出典:https://yanolja.in/
GC COMPANY (ヨギオッテ)
2015年に創立し、旅行関連の予約アプリ“ヨギオッテ”を運営している。海外旅行、国内宿泊、航空、レンタカー、飲食店、モバイルチケットなどのサービスを提供するアプリである。累積ダウンロード数は3600万を超え、累積使用者は1890万人を超える。
2022年の売上は3059億ウォン、営業利益は301億ウォンで4年連続で黒字である。
2023年7月の旅行アプリ利用者は403万人で第二位であった。
出典:https://gccompany.co.kr/
INTERPARK TRIPLE(インターパークトリプル)
1998年インターネット総合予約システムチケットパークがオープン。2022年にyanoljaに買収された。翌2023年にチケット・ツアー事業はインターパークトリプルに社名変更され、コマース事業はキューテンに売却された。
2023年上半期の航空券販売額は9992億ウォンであった。これは史上最大規模の前年同期の3469億ウォンに対して188%の増加であった。
2023年上半期の売上額は923億ウォン、純利益は913億ウォン、純利益率は93.8%であった。
出典:https://interparktriple.com/
韓国の主要旅行企業2選〜日系編〜
LOTTE JTB (ロッテジェイティービー)
2007年に創立したロッテグループ唯一の旅行会社。ロッテドットコムと日本のJTBがそれぞれ50%出資して合作で作った法人である。
創立当初はパッケージ商品を販売していたが、事業構造改善のために2019年よりクルーズ旅行事業を開始した。
コロナ19にの期間、売上額は2020年49億ウォン、2021年9億ウォンまで落ちたが2022年には47億ウォンまで小幅であるが回復した。
出典:https://www.lottejtb.com/
H.I.S KOREA (エイチ・アイ・エスコリア)
1980年に創立した日本の大手旅行会社“H.I.S”の韓国法人。1991年に日本専門インバウンド旅行会社として創立した。これまで外国人誘致や外貨獲得において成果を上げてきた。
韓国国内の日本インバウンドにおいて優位性を持っており、日本本社と連携して、HISならではの観光客誘致ノウハウを有している。
2022年の売上額は2894万ウォン(前年比327%増加)、営業利益は-14億4000万ウォンであった。
出典:https://www.jobkorea.co.kr/recruit/co_read/c/his2000
韓国の主要旅行企業3選〜外資系編〜
Bokking.com korea (ブッキングドットコムコリア)
1996年にオランダのアムステルダムで創立された。小規模スタートアップとして始め、今では全世界最大のオンライン旅行企業に成長した。43か国語で利用可能であり、2800万個以上の宿泊オプションを提供している。なお、親会社はBooking Holdingsであり、子会社には他にagodaなどもある。
韓国法人は2011年に創立された。2022年の売上額は46億ウォン(前年比26%増加)で、営業利益は16億ウォン(前年比800%増加)であった。
出典:https://www.booking.com/index.ko.html
EXPEDIA KOREA (エクスペディアコリア)
出典:https://insight.stockplus.com/articles/5247
Huaqing Group (ファチョングループ)
2008年に中国・珠海にファチョン旅行社が創立した。そして韓国には、中華圏に対するインバウンドの旅行会社として、2012年に“ニューファチョン国際旅行社”が創立された。その他にもスリランカやベトナム、カンボジアなど6か国の旅行社を運営しており、日本には2015年に現地法人が設立されている。
ニューファチョンの事業は、旅行事業の他にホテル、航空、クルーズ、流通、商品などがある。ホテル事業は、韓国のソウルと済州に直営のホテルがあり、その他にも韓国全域に100個余りの協力ホテルと契約している。航空事業では、グループ全体で年1000回以上のチャーター便を運航していた。クルーズ事業では、610名が乗船可能なクルーズ船を所有しており2016年にはクルーズツアーの参加者は30万名に達した。
コロナのため2017年3月から中断していたクルーズが、2023年8月再開され、6年ぶりに中国団体観光客(游客)が済州を訪れた。
出典:http://www.hwacheong.com/?lang=cn
ソウル在住の韓国人。日本での在住経験は25年。日本の有名大学を卒業し、大手シンクタンクの正社員及び経営コンサルタントとして勤務。多くのプロジェクトに携わり、ビジネス戦略とイノベーションの分野で活躍。
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