アメリカの飲食・食品製造業界は、持続可能性とテクノロジー活用に注力し、プラントベース食品やAIを用いた生産性向上が進んでいます。健康志向や環境配慮から、オーガニック食品や地域産食材の需要が高まっています。また、デリバリーサービスの拡大など、消費者の利便性を重視した新しいビジネスモデルが台頭しています。
この記事では、統計データを用いてアメリカの医療・介護の最新情報をお届けしていきます!
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アメリカの外食・中食事情〜統計データ〜
自宅と外出先での食費比較
2019 年まで外食産業は食品小売業よりも規模が大きかったが、2020年は新型コロナウイルスによる移動制限の影響を受け、またそれに続く不況の影響もあり、史上最も急激な落ち込み(13.0%)を記録した。
しかし、2021年の自宅での食費の割合は45%、自宅外の食費割合は55%で、外食産業は2021年、2020年の50.9%を超える1 兆 1,700 億ドルの供給額となり、パンデミック前の水準に復活した。(2021年、外食産業と食品小売業は約2兆1200億ドル相当を供給)
5番目がペンシルベニア州185ヶ所。6番目がイリノイ州181ヶ所。7番目がニューヨーク州160ヶ所。8番目がルイジアナ州159ヶ所。9番目がジョージア州141ヶ所。10番目がミシガン州140ヶ所である。
全米レストラン協会によると、外食産業は全米で 2 番目に大きな雇用カテゴリーであり、米国の労働者の 10 人に 1 人に仕事を提供している。
フードサービス市場は フルサービス レストランとファストフード レストランの2 つのタイプに分けられる。
フルサービスの施設には調理の他に給仕スタッフがおり、多くの場合はその他のアメニティ、食器、調理器具、使い捨て食器、アルコールサービスなどを備えている。
対照的に、ファストフード店は利便性をセールスポイントとし、従業員もメニューも限られているため、食事の他のアメニティが少ない。そのため、顧客との物理的なやり取りが限られており、コロナ禍での制限にもうまく適応できていた。
出典 : https://www.ers.usda.gov/topics/food-markets-prices/food-service-industry/market-segments/
2020年コロナ禍からの回復
コロナによるパンデミックの発生後、フルサービスレストランとクイックサービスレストラン(ファーストフード等)ともに消費者支出は当初減少したが、両者の間には注目すべき違いがあった。
パンデミック前(2019年12月から2020年2月時点)はどちらも消費者支出は前年の水準をやや上回っていたが、コロナ禍の 2020年3月から5月の時点で、クイックサービスレストランでの支出は約201億ドルに減少し、前年の平均支出より15.4%減少した。
それに対し、フルサービスのレストランの同期間の落ち込みは深刻で前年比51.7%減の70億ドルに減少した。これはおそらく対面での食事、イートインを全米で制限する義務が関係していると考えられる。
クイックサービス レストランはフルサービス レストランよりも早く回復し、2020 年最後の 4 か月間支出は前年水準を上回った。対照的に、フルサービス レストランは 2020 年末でも前年比 24.8% 減の結果となった。
出典:https://www.ers.usda.gov/data-products/chart-gallery/gallery/chart-detail/?chartId=103694
アメリカのカフェ・スイーツ事情〜統計データ〜
1日のコーヒー消費率
アメリカ人のコーヒーの消費量は過去20年間で最高を記録している。
アメリカ人の約3分の2(66%)が1日に少なくとも1種類のコーヒー飲料を飲むデータとなっている。
また、コーヒーに加えるものとしては牛乳または牛乳代替品が29%、液体クリーマーが25%、白砂糖が19%、人工甘味料が10%といった割合になっている。
コーヒーを入手する場所としては80%以上の人が自宅でコーヒーを作っている。その40%がドリップコーヒーマシンを使用しており、次にシングルカップシステム24%、水出しコーヒー14%、エスプレッソマシン11%となっている。
またコーヒー豆を購入する場所としては35%が食料品店で購入し、次いで量販店26%、クラブストア13%、オンライン13%となっている。
出典:全米コーヒー協会(NCA)
レストラン・カフェ業界の求人数
レストラン・カフェ業界は5月も引き続き緩やかなペースで雇用を拡大。全米労働統計局(BLS)のデータによると、5月に純3万3100人の雇用を増加させた。
5月の増加は3月(3万2,900人₎と4月(2万2,400人₎の同様の増加に続いた。過去3カ月のレストラン雇用の伸びは、過去12カ月間の月間平均増加数5万1000人から若干減少したが、29カ月連続の雇用増加を記録し、合計で250万人以上の雇用が増加。
着実な成長を原動力に、レストランの労働力はパンデミック前の水準への完全回復に少しずつ近づいている。
さらに、経営者は従業員を維持することにも成功している。
離職調査(JOLTS₎データによると、レストランと宿泊施設を合わせた部門の従業員の平均4.8%が3月と4月に退職した。
これは、過去24カ月間(2021年3月から2023年2月₎の月間平均離職率 5.8%を1%下回っている。さらに、2019年の月間平均離職率4.9%をわずかに下回っただけだ。
この傾向が維持されれば、典型的な労働力の離職が戻る兆候となる可能性があり、業界の労働問題の緩和につながる可能性がある。
出典:全米レストラン協会
アメリカの加工食品事情〜統計データ〜
スーパーボウルの日のスナック消費量
アメリカ最大のスポーツイベント、アメリカンフットボールNFLの優勝決定戦である、スーパーボウルの日には、なんと1億1200万ポンド、ジャンボジェット機270機分に相当する量のスナックをアメリカ人は消費する。
スナック業界団体であるSNACインターナショナルのデータによると、2021年のスーパーボウルウィーク中のスナック食品の総売上高は12.5%増の4億8,700万ドルとなった。
カテゴリー別で最も売上が増加したのは、トルティーヤチップス、ポテトチップス、プレッツェル、ポークスキン、冷蔵ディップだった。SNACがスーパーボウルに向けて消費者のスナック支出をデータ化するのは2022年で4年目で、その間のスナックの購入総額は3億7,000万ドルから4億8,700万ドルに増加した。
出典:U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS(アメリカ労働統計局)
食品業界の雇用状況
2021年の米国の食品・飲料製造部門の雇用者数は170万人で、これは米国の非農業雇用全体の1.1%強に相当する。全国の何千もの食品および飲料製造工場で、従業員は、原材料の農業資材を中間または最終消費用の製品に加工することに従事していた。
食品および飲料製造労働者の雇用率が最も高かったのは食肉および鶏肉工場で、次いでパン工場と飲料工場が続いた。更に2021年には、フルタイムおよびパートタイムの雇用が2,110万件あり、これは米国の総雇用の 10.5%に相当する。
農場内での直接雇用はこれらの雇用のうち約260万件、つまり米国の雇用の1.3%を占めた。農業および食品関連産業の雇用がさらに1,850万人の雇用を支えた。
出典:USDA 米国農務省
アメリカの食品卸事情〜統計データ〜
オーガニック食品の売上高、2022年に600億ドルを突破
2022年の米国におけるオーガニック食品の売上高は初めて600億ドルを突破し、回復力のあるオーガニック部門にとってまたもや高水準を記録した。
消費者の財布を締め付けるインフレ圧力、パンデミックや世界的な政治的事件によるサプライチェーンの混乱、食料品売り場での競合食品ラベルの急増、オーガニック生産者が痛感する労働力不足など、厳しい逆風にもかかわらず、オーガニック市場は成長している。
インフレは、オーガニックのサプライチェーン全体、いや食品サプライチェーン全体のコストを上昇させ、食料品売り場の価格を押し上げた。
その結果、オーガニック部門は食品部門全体を反映し、一部のカテゴリーで販売量の伸びが鈍化する中で、オーガニックの販売額は上昇。オーガニックへの揺るぎない需要が分かる。
出典:Organic Trade Association
ノンアルコール飲料の価格推移
調査のために世論調査を行った20州の約4万2000人の食料品顧客のうち、2020年には43%がオンラインで買い物をし、2018年の24%から80%増加した。
調査対象者の72%が利便性を、45%が時間の節約を、食料品をオンラインで購入する主な理由として挙げている。
しかし、28%はCOVIDに対する長引く健康上の懸念がオンライン食料品サービスを利用させていると回答し、30%は電子食料品の利用がパンデミックに誘発されたものであると報告しているが、便利であるためサービスに固執している。
オンライン販売が、習慣化された消費者は利便性などの理由からこれかも伸び続ける可能性が高い。好みのスーパーマーケット以外では、調査対象者の56%がウォルマートやターゲットのような量販店を食料品のオンラインショッピングのトップオプションとして挙げたのに対し、33%がアマゾンのようなオンラインのみの小売業者、11%がインスタカートのようなデリバリーマーケットプレイスを好んで挙げたという。
出典:SuperMarket News
アメリカの飲料事情〜統計データ〜
ノンアルコール飲料の価格推移
米国労働統計局によると、ノンアルコール飲料と飲料材料の価格は、1948年から2023年の間で1,542.76%上昇した。金額で見ると差は 77.14 ドルになる。
1948年から2023 年のまでの75年間、ノンアルコール飲料は年間で平均 3.80%のインフレ率を経験してきた。この変化率は大幅なインフレを示す。
言い換えれば、1948年に5ドルで購入できた量のノンアルコール飲料を同等に購入すると、現在2023年には82.14ドルで購入する事になる。同期間の米国全体のインフレ率 3.43%/年と比較すると、ノンアルコール飲料のインフレ率は高いと言える。
中でも価格の変化が最も大きかった年は1977年の50.64%アップ、1950年の41.57%アップ、1976 年の19.58%アップである。
出典:https://www.officialdata.org/Nonalcoholic-beverages-and-beverage-materials/price-inflation/1948
ノンアルコール飲料、食料品に関する 消費者物価指数
米国労働統計局のノンアルコール飲料および食品全体に関する過去20年の消費者物価指数(CPI)データをみてみると、過去20年間において、食料品・飲料のCPIは、ほぼ毎年同様の水準で上昇してきた。
米国労働省労働局によると、2023年の食料品全体の価格の伸びは 2022年よりもやや緩やかではあるが、それでも過去の平均を上回るペースで推移すると予想されている。 最新の前年度比較として、2023年5月のCPI数値は2022年5月と比べて5.8%上昇した。(季節要因を含まないための同時期観測)
また、年間比較では2022年から2023年の予測間隔は 5.0~7.1%で、食料品全体で6.0%上昇で着地すると予測されている。
この数値が意味するのは、一度施設に入所したら出所することは無いという意味ともとらえられる。アメリカの場合も、老人ホーム入所費用は非常に高額であり、一般的には自宅で介護サービスを使うことが多い。高齢化社会の問題点のひとつは、どの国でも同じということがわかる。
アメリカの酒類事情〜統計データ〜
ビール・ワイン・蒸留酒の消費量
近年、ビール自体の売れ行きが悪くなったといわれている。グラフ化してみると、若干ではあるがビールの消費は下降線を描いている。
水質があまりよくないアメリカでは、水のかわりにビールを飲む層もあったが、特にコロナ禍において外食や集会などが減り、ビール需要が減ったことが原因と考えられる。
ワインについては変化が見られない。カリフォルニアをはじめ、良いワイン産地は全米各地にあるが、消費量としてはこの10年変化がない。
格安ワインも多々あるが、消費量としては裕福層の嗜好と考えられている。これらに対して、近年は蒸留酒の消費量が増加している。
ビールやワインなどと比較するとカロリーが低い・プリン体ゼロ・糖分をおさえられるなど、健康を意識した酒類と評価されていることが原因と考えられている。
出典:国立衛生研究所
一人当たりのアルコール消費量
一人当たりのアルコール消費量についてみてみると、女性のアルコール摂取量が低かった1960年代までの平均値は7.57リットル程度であった。その後、女性の社会進出が加速するにつれて一人当たりのアルコール消費量も増えた。
また1980年代はアメリカの経済成長も反映してか11リットルに近づいていた。1990年代に入ると、アメリカの健康ブームがはじまる。
肥満の問題やアルコールが原因となる社会問題がクローズアップされ、社交的な飲み方にとどまる層が増え始める。ライトビールが爆発的に売れ始めたのも、この次期である。
その流れを変えたのが、コロナ禍である。2019年から消費量は増え始めている。外出禁止令のために外食ができず、外で飲む分にはセーブしていたアルコール量を、いわゆる「家呑み」で量が呑めてしまったことが、右肩あがりのグラフの理由と考えられている。
出典:国立衛生研究所
ワシントン在住の日本人。大学卒業後、日本で外資系メーカーに勤めており、営業とマーケティングを経験。マーケティングは発売予定の製品周りの広告、パッケージや販促、イベントやデジタルプラットフォームの使用等様々な側面に関わり、年に1−2回ある新商品発売に向けて取り組む。渡米してからはフリーランスでスタートアップにマーケティングやマーケティングリサーチのサービスを提供し、プロジェクトベースで様々な依頼に応えている。