【統計データで解説!】アメリカの流通・小売の最新トレンド・業界事情

アメリカの小売業界は、ECの成長とともに実店舗とオンラインの融合が進んでいます。インフレや消費行動の変化に対応しつつ、デジタル技術を活用した顧客体験の向上が重視されています。全体としては成長を続けていますが、企業間で明暗が分かれる状況となっています。

この記事では、統計データを用いてアメリカの流通・小売の最新情報をお届けしていきます!

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目次

アメリカのスーパー・コンビニエンスストア〜統計データ〜

コンビニ店舗数

2023 NACS/NIQ Convenience Industry Store Countによると、米国で営業しているコンビニは150,174店舗で、2022年の店舗数から1.5%増加。新型コロナウイルスやEC化率の増加などにより4年間減少していた店舗数から反転した。

店舗数の増加は、271店舗増加したジョージア州を筆頭に、39州とワシントンDCで記録され、カリフォルニア州の店舗数は53店舗減少、減少した7州の中で最も多い。

この業界の成長の原動力となったのは、1店舗で営業する事業者の増加である。1店舗事業者の店舗数は1,087店舗増加し90,423店舗(コンビニエンスストア全体の60.2%)となった。

出典 : 2023 NACS/NIQ Convenience Industry Store Count

EC売上高 増加

米国食料品におけるオンライン販売での売上高は、2021年で、食料品総売上1兆970億ドルの9.5%を占めた。2020年の1兆137兆ドルの8.1%から上昇した。さらにオンラインでのシェアは、2022年には食料品売上高1兆124億ドルの11.1%、2026年には1兆2850億ドルの20.5%まで拡大すると予測されている。

現在のオンライン販売での売上高成長率は、新型コロナウイルス以前のオンライン食料品市場の成長率予測を大きく上回っており、これからもさらに加速されることが予想される。

そのためスーパーマーケット業界においてもオンライン販売を積極的に取り入れる動きが加速している。ウォルマートやターゲット、コストコなどの大手スーパーマーケットチェーンは、オンラインストアを展開しており、食料品や日用品などをネット通販で購入できるようにしている。

出典:Mercatus

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アメリカの百貨店・ショッピングセンター事情〜統計データ〜

州別 百貨店・ショッピングモールの数

アメリカには合計115,049のショッピングセンターがあり、その27%は人口の多い3つの州(カリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州)に存在している。最も多いのはカリフォルニア州の15,285件、次いでテキサス州の12,834件、フロリダ州の10,843件である。

ジョージア州、イリノイ州、オハイオ州、ノースカロライナ州の4州が上記の3州に続き多い。4つの州には、4,000以上のモール、パワーセンター、ストリップモール、近隣センター、複合施設などがある。

人口の多いニューヨーク州とペンシルバニア州は含まれておらず、最下位は、それぞれ200センター未満で、アラスカ(133)、モンタナ(129)、サウスダコタ(113)、バーモント(105)、ノースダコタ(100)、コロンビア特別区(72)、ワイオミング(71)がランクインしている。

出典:ICSC Industry Insights

従業員数の低下

アメリカの百貨店・ショッピングモールの従業員数は、2020年新型コロナウイルスの影響以降減少している。一つの要因は、オンラインショッピングの普及による需要の変化である。

顧客のオンラインへのシフトにより、実店舗での販売が減少し、それに伴って従業員数も減少している。また、新型コロナウイルスのパンデミックの影響も大きく、一時的なシャットダウンや制限された営業時間により需要が低下し、多くの店舗で従業員の削減が行われた。

さらに、一部の百貨店やショッピングモールが経済的な困難に直面し、閉鎖や再編が行われたことも要因の一つとして挙げられる。これらの要素が影響し従業員数の低下に寄与していることが予想される。

出典:Shopping Mall Management in the US – Employment Statistics

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アメリカのドラッグストア〜統計データ〜

2022年 処方箋調剤売上高

COVID19ワクチンの投与による収入を除いた2022年の米国内処方箋調剤総収入の統計データを見てみると、薬局を運営する上位7社(VVS Health、Walgreens Boots Alliance、Cigna、UnitedHealth Group、Walmart、Kroger、Rite Aid)は、2022年に米国の処方箋調剤収入の70%を占めていた。

さらに上位15薬局が、小売、郵便、介護、専門薬局の調剤収入合計の75%以上を占めている状況である。

上位7社の合計シェアは2021年のシェアと比較して若干減少したが、これは主にWalgreensのAllianceRx Walgreens Pharmacy(ARxWP)の収益が大幅に減少したためである。

出典:DRUG CHANNELS

ドラッグストア  事業所数

米国におけるドラッグストア業界の事業者数は、2018年~2023年の5年間の平均で年率3.5%増となっている右肩あがりの状況が続いている。2023年時点の米国のドラッグストア事業者数においては44,900社で、2022年から3.5%増加している。

増加には様々な要因があるが、そのうちの一つは人口増加と高齢化である。 米国の人口は増加し、高齢化も進んでいる。

高齢者は健康管理や処方箋薬の需要が高く、ドラッグストアはそれに応えるための重要な役割を果たしており、需要が増え、ドラッグストア業者の数も増加している。

州別で見ると、 ニューヨーク(5,878件)、カリフォルニア(5,790件)、テキサス(4,008件)は、米国で最もドラッグストアの事業数が多い州である。

米国のドラッグストア業界の、市場シェアの集中度はそこまで高いわけではないが、最大手はWalgreens Boots Alliance。

出典:IBIS World

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アメリカのアパレル事情〜統計データ〜

アメリカのアパレル市場における雇用者数

アメリカのアパレル市場における雇用者数(繊維・アパレル業界)を見てみると、2010年から2020年で約19%減少していることが分かる。

理由としては大きく3つ挙げられ、
1つ目が海外でのアパレル生産の増加。過去数十年で、海外でのアパレル生産が増加し、多くのアパレル企業が海外に工場を移転させた。これにより、アメリカ国内でのアパレル製造業は競争力を失い、多くの企業が閉鎖され、雇用機会が減少した。

2つ目は技術の進歩。近年、アパレル生産における自動化技術が進歩し、多くの作業が機械化された。その結果、アパレル製造業における人手需要が減少し、雇用機会が減少したと考えられる。

3つ目、コスト削減のための海外移転。多くのアパレル企業は、海外での生産がより安価であることから、アメリカ国内での生産を減らし、海外に生産を移転させた。

これにより、アメリカ国内でのアパレル製造業の需要が減少し、雇用機会が減少した。

出典:Bureau of Labor Statistics                

年間小売売上高

アメリカのアパレル市場における年間小売売上高は、2019年から2022年の間で、約30%増加した。ここまで大きく市場が拡大しているのには、いくつか理由が挙げられるがメインの理由は3つある。

1つ目はオンラインショッピングの普及。近年、アメリカの消費者はインターネットを利用したオンラインショッピングに力を入れるようになった。特に、COVID-19パンデミック以降、オンラインショッピングはさらに拡大。このため、アパレル小売業者もオンライン販売に力を入れるようになり、市場拡大につながった。

2つ目は、経済成長。 アメリカの経済成長は、2010年代後半から2020年代初頭にかけて継続しており、消費者の所得水準も向上している。向上に伴い、アパレル製品の需要も拡大した。

3つ目は、マーケティングと広告戦略:。アパレル小売業者は、広告やマーケティングに大きな投資を行っている。特に、ソーシャルメディアの普及に伴い、小売業者はインフルエンサーやSNS広告など、新しいプロモーション手法が生まれたことで、近年の市場規模の右肩上がりになっている。

出典:National Retail Federation

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アメリカの通販・ネット通販事情〜統計データ〜

米国四半期ごとの小売・Eコマース売上高

全体の売り上げからみて2017年度はモバイルショッピングとインターネットショッピングの内訳はおよそ1対1の割合であったが、年を追うごとにモバイルショッピングの売り上げは増加を続け2022年には3対1の割合にまで変化しておりEC市場においてはなくてはならない存在になっている。

モバイルショッピングを専門とする企業も増えており、今後の動きが期待されている。

出典:韓国統計庁資料 

米国四半期ごとの小売・Eコマース売上高

The Census Bureau of the Department of Commerce、米国の商務省国勢調査局は2023年5月18日に2023年Q1の米国の小売Eコマース売上高の推定値が2,726億ドルとなり、2022年Q4から3.0%増加したと発表した。(季節変動は調整済、価格変動は調整なしのデータ)

2023 年Q1Eコマース売上は、前年同期間2022 年Q1と比べて 7.8% 増加し、2023 年Q1の小売全体の総売上高は、前年同期間2022 年Q1と比べて 3.4% 増加した。 2023年Q1Eコマース売上高は総売上高の15.1%を占め、2022年Q1から2023年Q1の5四半期で最大値となった。

参考まで:日本の経済産業省の市場調査の結果では、2021年の日本でのEコマースBtoC-ECは8.78% であった。

出典1:https://www.census.gov/retail/ecommerce.html                           出典2:https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005.html           

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アメリカの家電量販店事情〜統計データ〜

住宅購入者の家電購入費用

2022年の労働統計局の消費者支出調査データによると、住宅販売が成立してから最初の1年間、住宅購入者は引っ越しをしない所有者と比べて、家電製品に多く支出していることがわかった。既存の住宅購入者が2,500ドル、引っ越しをしない所有者が1,442ドルであるのに対し、4,254ドルとなった。新しい住宅購入者は複数のテレビに多くの支出をする傾向がある。

新しいテレビは、最も高価ではないものの、新居の複数の部屋用にテレビを購入すると、支出額が高額になる可能性がある。新しい住宅購入者の電化製品の予算で次に大きな支出となるのは、衣類洗濯機/乾燥機、芝刈り機/その他の庭設備、および新しい冷蔵庫または家庭用冷凍庫だ。

建築業者実態調査によると、2019年に建てられた新築一戸建て住宅の3分の2には衣類乾燥機が設置されていなかった。同時に、新しい家には調理用コンロ、レンジ、またはオーブンが備え付けられていた。これは、新築住宅購入者がコンロやレンジへの支出が少なく、ビルトイン食洗機や電子レンジへの支出が最小限である理由を説明している。

一方で、既存の住宅所有者の予算で最も大きな割合を占める家電製品は洗濯機/乾燥機で、次に冷蔵庫/家庭用冷凍庫、芝刈り機、テレビ、コンピューター ハードウェア/システムが続く。

出典:NAHB(住宅建設者協会)

住宅購入者の家電購入費用

家電修理業者の雇用は2022年現在29,370人で雇用全体の3.3%に値する。平均時給は22.84ドルで平均年間賃金は47,500ドルだ。

2022年のアメリカにおける平均賃金は54,132ドルである。家電修理業者の雇用率が最も高い業界はメンテナンス会社11,990人、続いて家電量販店8,350人、建設設備請負業者1,460、家具及び室内装飾品の小売販売店740人と続く。

家電修理業者の雇用が最も多い州はフロリダ州で3,580人。続いてカリフォルニア州2,860人、テキサス州2,510人と続く。続いて家電修理業者の給与が最も高い州はニュージャージー州で雇用1,050人、年間賃金は65,520ドル。続いてがマサチューセッツ州で雇用510人、年間賃金は56,930ドルである。

出典:米国労働局

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アメリカの家具・インテリア・生活雑貨・ホームセンター業界事情〜統計データ〜

ホームセンターの店舗数推移

アメリカにおけるホームセンターの店舗数は、新型コロナウイルスの最も拡大した時期には減少をしたがここ5年間で基本的はに右肩上がりに推移をしている。 
ホームセンターの店舗数が多い地域を州ごとに比較すると、1位はカリフォルニア州(824件)2位は、テキサス州(676件)、3位はフロリダ州(586件)である。

ホームセンターの店舗数が上昇している背景には、いくつかの理由が挙げられるが、一つは住宅市場が拡大していることで、ホームリフォームも合わせて需要が増加していることや、他にはステイホームの期間でDIYの人気にさらに火がついたことなどがあげられる。

しかし、ここ最近では新型コロナ時期後の劇的な伸びは落ち着き始めている。

出典:IBIS World

スマート家具市場

そもそも、スマート家具とは、アメリカの住居が小さくなる傾向の中で開発されたものである。 これは、「Robotic Furniture(ロボット家具)」とも呼ばれ、コンピュータ制御でボタン一つで動かすことのできる家具のことを指す。

スマート家具の世界市場規模は、2020年に1億4360万米ドルとなり、2021年から2028年にかけて年平均成長率(CAGR)12.4%で拡大すると予測されている。IT、研究、ラボなどの企業オフィスにおいて、技術に精通したワークスペースの導入が進み、在宅勤務のプロフェッショナルが最適化された機能的なワークファニチャーを求めるようになったことが主な要因として挙げられる。

出典:GVR

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