ベトナムへの事業展開を検討中の日本企業の皆様にとって、現地の金融機関との連携は成功の鍵を握る重要な要素です。本記事では、ベトナムの金融業界を牽引する主要銀行23社を徹底解説。国営銀行から民間銀行、外資系銀行まで、各行の特徴、強み、日系企業との連携事例などを網羅的にご紹介します。ベトナム進出を検討中の経営者・担当者必見の内容です。最適な金融パートナーを見つけ、ベトナムビジネスを成功に導くための第一歩を踏み出しましょう。
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ベトナムの主要銀行11選〜ローカル企業編〜
AGRIBANK (アグリバンク)
アグリバンク(正式名称:Vietnam Bank for Agriculture and Rural Development、略称:VBARD)は、1988年に設立されたベトナムの大手商業銀行であり、国営BIG4の一角を担う重要な金融機関です。特筆すべきは、100%国家定款資本によって運営されている唯一の商業銀行であり、農業分野への融資に強みを持っていることです。これは、ベトナムの農業発展に大きく貢献しており、同国の経済成長を支える基盤となっています。
アグリバンクは、ベトナム全土に広大なネットワークを有しており、40,000名を超える従業員と2,300店以上の支店・出張所、さらに2,100台を超えるATMを展開しています。これにより、都市部だけでなく地方の農村部においても金融サービスへのアクセスを提供し、地域経済の活性化に貢献しています。近年では、デジタルバンキングにも注力しており、オンラインバンキングやモバイルバンキングサービスの拡充を進めています。これにより、顧客は時間や場所を選ばずに様々な金融取引を行うことが可能になり、利便性が大幅に向上しています。
国際的な評価も高く、ベトナムの大手企業ランキングVNR500では、2020年に全業種で第8位、商業銀行としてはトップにランクインしました。このランキングは、企業の収益、利益、資産、従業員数などに基づいて評価されており、アグリバンクの経営状況の健全性を示しています。また、国際的な信用格付け機関ムーディーズによる格付けは「Ba3」であり、これはベトナムの商業銀行の中で最高ランクの格付けです。これは、アグリバンクの財務健全性、経営の安定性、将来性などが高く評価されていることを示しています。
アグリバンクは、国際的な連携も積極的に進めており、日本のJCBとの提携によるクレジットカードの発行は、その一例です。この提携により、アグリバンクの顧客はJCBのグローバルネットワークを利用できるようになり、国内外での決済がよりスムーズに行えるようになりました。さらに、近年では、Fintech企業との連携や新たな金融テクノロジーの導入にも積極的に取り組んでおり、顧客ニーズの変化に迅速に対応しようとしています。
本社はベトナムの首都ハノイ市に位置しており、ベトナムの金融システムにおいて重要な役割を果たし続けています。農業分野への融資を基盤としながらも、近年では個人向けローンや中小企業向け融資、国際取引など、幅広い金融サービスを提供することで、更なる成長を目指しています。特に、持続可能な農業の発展に向けた融資や、気候変動への対応策への融資など、社会的な課題解決に貢献する取り組みも強化しており、今後もベトナム経済の発展に大きく貢献することが期待されます。
出典:https://www.agribank.com.vn/vn/ve-agribank/gioi-thieu-agribank
Vietcombank (ベトコムバンク)
ベトコムバンク(正式名称:Joint Stock Commercial Bank for Foreign Trade of Vietnam、略称:VCB)は、1963年に設立されたベトナムを代表する商業銀行であり、国営BIG4の一角を担う重要な金融機関です。特に外貨取引に強みを持ち、多くの外国人顧客を有していることが特徴です。これは、ベトナムの国際貿易の発展に大きく貢献しており、同国の経済と世界経済との繋がりを強化する役割を果たしています。
ベトコムバンクは、ベトナム国内に500以上の支店を展開しており、全国に20,000名以上の従業員と2,100台を超えるATMを有しています。これにより、個人顧客から法人顧客まで、幅広い層に質の高い金融サービスを提供しています。近年では、デジタルバンキングの分野にも力を入れており、オンラインバンキングやモバイルバンキングの機能拡充、新しいデジタルサービスの開発などを積極的に進めています。これにより、顧客は時間や場所を選ばずに、より便利に銀行サービスを利用できるようになっています。
ベトコムバンクは、国際的な決済においても先進的な取り組みを行っており、国際銀行間通信協会(SWIFT)が提唱する国際決済の新たな標準である「グローバル・ペイメント・イノベーション(SWIFT gpi)」をベトナムの商業銀行として初めて満たしました。これにより、海外送金などの国際決済がより迅速かつ透明性の高いものとなり、顧客の利便性向上に大きく貢献しています。
国内外に7社の子会社を有しており、銀行業務だけでなく、証券、保険、リースなど、幅広い金融サービスを提供することで、顧客の多様なニーズに応えています。また、日本の様々な金融機関と業務提携契約を結んでおり、国際的なネットワークを強化しています。これらの提携を通じて、クロスボーダー取引の円滑化や、最新の金融ノウハウの導入などを進めています。
ベトコムバンクは、ホーチミン証券取引所に上場しており、株式市場においても重要な存在です。これは、同社の経営状況が公開されていることを意味し、透明性の高い経営を行っていることの証と言えるでしょう。
本社はベトナムの首都ハノイ市に位置しており、ベトナムの金融システムにおいて中心的な役割を果たし続けています。外貨取引の強みを活かしながら、近年では個人向けローン、中小企業向け融資、投資銀行業務など、幅広い金融サービスを提供することで、更なる成長を目指しています。特に、環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組みを強化しており、持続可能な社会の実現に貢献する事業展開を進めています。
出典:https://portal.vietcombank.com.vn/about/Pages/Home.aspx?devicechannel=default
Vietinbank (ヴィエティンバンク)
ヴィエティンバンク(正式名称:Vietnam Joint Stock Commercial Bank for Industry and Trade、略称:VietinBank)は、1988年に創業されたベトナムの主要な商業銀行であり、国営BIG4の一角を占めています。国内に150以上の営業拠点を展開し、ベトナムの金融システムにおいて重要な役割を果たしています。特に、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)との資本業務提携は特筆すべき点であり、国際的な連携を強化し、高度な金融ノウハウの導入やクロスボーダー取引の促進に貢献しています。
MUFGとの提携以外にも、世界銀行傘下の国際金融公社(IFC)、JCB、山梨中央銀行、常陽銀行など、国内外の様々な機関と提携関係を築いています。これらの提携は、ヴィエティンバンクの国際的なプレゼンスを高め、多様な金融サービスを提供するための基盤となっています。特に、JCBとの提携により、クレジットカード事業の拡大や顧客への利便性向上に貢献しています。
ヴィエティンバンクは、ベトナムの大手企業ランキングVNR500において、2020年に全業種で第13位、銀行部門では第3位にランクインしました。このランキングは、企業の規模、収益性、効率性などを総合的に評価しており、ヴィエティンバンクがベトナム経済において重要な地位を占めていることを示しています。
同社は、長期的な成長戦略として、2030年までにアジア太平洋地域のトップ20の金融機関入り、2045年までにベトナムでトップの金融機関となることを目指しています。この目標達成に向け、デジタルバンキングの強化、顧客サービスの向上、リスク管理の徹底など、様々な取り組みを推進しています。特に、近年では、FinTech企業との連携や、AI、ビッグデータなどの先端技術の導入に積極的に取り組んでおり、デジタル変革を加速させています。
ヴィエティンバンクは、2009年にホーチミン証券取引所に上場しており、株式市場においても重要な存在です。これにより、透明性の高い経営が求められるとともに、国内外の投資家からの資金調達が可能になっています。
本社はベトナムの首都ハノイ市に位置しており、ベトナムの金融業界を牽引する存在として、今後も更なる成長が期待されます。従来の法人向け融資や個人向け融資に加えて、近年では、中小企業向け融資、投資銀行業務、保険事業など、幅広い金融サービスを提供することで、顧客の多様なニーズに応えています。また、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献も重視しており、環境に配慮した融資や、社会課題の解決に貢献する事業展開を推進しています。
出典:https://www.vietinbank.vn/web/home/vn/gioi-thieu
BIDV(BIDVバンク)
BIDV(正式名称:ベトナム投資開発銀行、英語名:Joint Stock Commercial Bank for Investment and Development of Vietnam)は、1957年に設立されたベトナムの主要な商業銀行であり、国営BIG4の一角を担っています。国内の大規模投資に強みを持っており、ベトナム経済の発展に大きく貢献しています。
BIDVは、全国に25,000人の従業員を擁し、190以上の支店と57,825台以上のATMを展開する広大なネットワークを有しています。これは、ベトナム国内の広範囲な地域で金融サービスを提供し、地域経済の活性化に貢献していることを示しています。さらに、ラオス、カンボジア、チェコ、台湾、ロシア、ミャンマーにも支店を置いており、国際的な展開も積極的に進めています。
ベトナムの大手企業ランキングVNR500では、2020年に全業種で第9位、銀行部門では第2位にランクインしました。このランキングは、企業の規模、収益性、効率性などを総合的に評価しており、BIDVがベトナム経済において重要な地位を占めていることを明確に示しています。
BIDVは、コーポレート部門にジャパンデスクを設置し、日本企業のベトナム進出を積極的にサポートしています。これは、日本企業にとって心強いサポート体制と言えるでしょう。また、りそな銀行や国際協力銀行(JBIC)など、日本の主要な金融機関と提携関係を構築しており、クロスボーダー取引の円滑化や、最新の金融ノウハウの導入などを進めています。これらの提携は、両国間の経済交流を促進する上で重要な役割を果たしています。
BIDVは、ホーチミン証券取引所に上場しており、株式市場においても重要な存在です。これにより、経営の透明性が高まり、国内外の投資家からの信頼を得ています。
本社はベトナムの首都ハノイ市に位置しており、ベトナムの金融業界を牽引する存在として、今後も更なる成長が期待されます。大規模投資への強みを活かしながら、近年では、個人向けローン、中小企業向け融資、貿易金融など、幅広い金融サービスを提供することで、顧客の多様なニーズに応えています。また、デジタルバンキングの強化にも注力しており、オンラインバンキングやモバイルバンキングの機能拡充、新しいデジタルサービスの開発などを積極的に進めています。
出典:https://www.bidv.com.vn/vn/ve-bidv
Saigon – Hanoi Commercial Joint Stock Bank(サイゴンハノイバンク)
サイゴンハノイバンク(正式名称:Saigon – Hanoi Commercial Joint Stock Bank、略称:SHB)は、1993年に設立されたベトナムの大手民間銀行です。全国で8,500人以上の従業員を擁し、ベトナム国内だけでなく、ラオス、カンボジアにも拠点を展開しており、国際的な事業展開も行っています。537の支店・営業拠点を通じて、約500万の個人および企業と取引を行っており、幅広い顧客基盤を有していることが特徴です。総資産規模では、国営BIG4に次ぐ規模を誇り、ベトナムの金融業界において重要な地位を占めています。
SHBは、ベトナムの大手企業ランキングVNR500において、2020年に全業種で第47位、銀行部門では第11位にランクインしました。このランキングは、企業の規模、収益性、効率性などを総合的に評価しており、SHBがベトナム経済において確固たる地位を築いていることを示しています。
同社は、ベトナム国内の民間商業銀行のトップ3に入ることを目指しており、積極的な事業展開を行っています。この目標達成に向け、顧客サービスの向上、デジタルバンキングの強化、リスク管理の徹底など、様々な取り組みを推進しています。特に、近年では、中小企業(SME)向けの融資や、個人向けのデジタルローン商品などに力を入れており、顧客ニーズの変化に迅速に対応しようとしています。また、環境・社会・ガバナンス(ESG)への意識も高く、持続可能な社会の実現に貢献する事業展開を進めています。
SHBは、2009年にハノイ証券取引所に上場しており、株式市場においても重要な存在です。これにより、経営の透明性が高まり、国内外の投資家からの資金調達を円滑に進めることが可能になっています。
本社はベトナムの首都ハノイに位置しており、ベトナムの金融業界を牽引する存在として、今後も更なる成長が期待されます。従来の銀行業務に加えて、近年では、投資銀行業務、保険事業、資産運用など、幅広い金融サービスを提供することで、顧客の多様なニーズに応えています。また、国際的な連携も強化しており、海外の金融機関との提携を通じて、クロスボーダー取引の拡大や、最新の金融ノウハウの導入などを進めています。
出典:https://www.shb.com.vn/category/ve-chung-toi/gioi-thieu-chung/
TECHCOMBANK(テクコムバンク)
テクコムバンク(正式名称:Vietnam Technological and Commercial Joint Stock Bank)は、1993年に設立されたベトナムの大手民間商業銀行です。11,000人以上の従業員を擁し、ベトナム国内に316の営業拠点と1,229台のATMネットワークを展開しており、約600万の個人および企業と取引を行っています。特徴として、HSBCなどの外資系金融機関やプライベートエクイティファンドなどが主要株主である点が挙げられます。これにより、国際的な経営ノウハウや資金調達の面で優位性を持っていると言えるでしょう。
テクコムバンクは、ベトナムの大手企業ランキングVNR500において、2020年に全業種で第38位、銀行部門では第9位にランクインしています。このランキングは、企業の規模、収益性、効率性などを総合的に評価しており、テクコムバンクがベトナム経済において重要な地位を占めていることを示しています。さらに、ベトナム国内の企業ブランドランキングでも上位にランクインしており、ベトナム知的財産協会が主催したベトナムで最も有名な企業ブランドランキングでは、2019年に第9位にランクインしました。これは、テクコムバンクが顧客からの信頼を得て、強力なブランド力を確立していることを示しています。
2018年にはホーチミン証券取引所に上場を果たし、株式市場においても重要な存在となっています。これにより、経営の透明性が高まり、国内外の投資家からの資金調達が容易になっています。
テクコムバンクは、近年、デジタルバンキングの分野に特に注力しており、オンラインバンキングやモバイルバンキングの機能拡充、新しいデジタルサービスの開発などを積極的に進めています。顧客は時間や場所を選ばずに、より便利に銀行サービスを利用できるようになっています。また、中小企業(SME)向けの融資や、個人向けのローン商品など、顧客ニーズの変化に迅速に対応しようとしています。
本社はベトナムの首都ハノイ市に位置しており、ベトナムの金融業界を牽引する存在として、今後も更なる成長が期待されます。従来の銀行業務に加えて、近年では、投資銀行業務、保険事業、資産運用など、幅広い金融サービスを提供することで、顧客の多様なニーズに応えています。
出典:https://www.techcombank.com.vn/gioi-thieu/ve-chung-toi
Asia Commercial Bank(アジアコマーシャルバンク)
アジアコマーシャルバンク(正式名称:Asia Commercial Joint Stock Bank、略称:ACB)は、1993年に設立されたベトナムの老舗大手民間銀行です。9,000名以上の従業員を擁し、全国に350の支店と11,000台のATMを展開する広範なネットワークを有しています。傘下にはリース会社、証券会社、資産管理会社などの子会社を持ち、幅広い金融サービスを提供していることが特徴です。
ACBは、ベトナムの大手企業ランキングVNR500において、2020年に全業種で第44位、銀行部門では第10位にランクインしました。このランキングは、企業の規模、収益性、効率性などを総合的に評価しており、ACBがベトナム経済において確固たる地位を築いていることを示しています。
ACBは、国際的な連携も積極的に進めており、2015年には日本のJCBと提携し、ベトナムで初めてデビットカードを発行しました。これは、ベトナムのキャッシュレス化を推進する上で大きな役割を果たしました。また、2016年にはベトナムの大手モバイル決済サービス会社(M_Service、おそらくMoMoのこと)と提携し、モバイル決済サービスを開始しました。これにより、顧客はより手軽に決済や送金などの金融サービスを利用できるようになりました。これらの提携は、ACBが常に最新の金融技術を取り入れ、顧客の利便性向上に努めていることを示しています。
ACBは、ハノイ証券取引所に上場しており、株式市場においても重要な存在です。これにより、経営の透明性が高まり、国内外の投資家からの資金調達が容易になっています。
本社はベトナム最大の都市ホーチミンに位置しており、ベトナムの金融業界を牽引する存在として、今後も更なる成長が期待されます。従来の銀行業務に加えて、近年では、デジタルバンキングの強化、中小企業(SME)向けの融資、個人向けのローン商品など、顧客ニーズの変化に迅速に対応しようとしています。特に、デジタル化戦略を積極的に推進しており、オンラインバンキングやモバイルバンキングの機能拡充、新しいデジタルサービスの開発などを通じて、顧客体験の向上に努めています。
出典:https://www.acb.com.vn/vn/about/gioi-thieu/gioi-thieu-chung
Military Bank(ミリタリーバンク)
ミリタリーバンク(正式名称:Military Commercial Joint Stock Bank、略称:MB BankまたはMBB)は、1994年に設立されたベトナムの大手民間銀行です。その前身は、ベトナム人民解放軍傘下の企業に対する金融サービスを提供することを目的として設立された金融機関です。そのため、大株主には国防省傘下企業が多く、これらの企業は大口取引先でもあります。現在は、軍人や国防公務員向けだけでなく、一般の個人や企業向けにも幅広い金融サービスを提供しており、ベトナムの主要な商業銀行の一角を占めています。
従業員数は15,000名を超え、国内に290か所以上の支店・営業拠点を展開する広大なネットワークを有しています。さらに、ロシア、ラオス、カンボジアなど海外にも拠点を展開しており、国際的な事業展開も行っています。主要株主は国防省傘下のベトナム通信最大手Viettel社です。
ミリタリーバンクは、ベトナムの大手企業ランキングVNR500において、2018年に全業種で第49位にランクインしました。このランキングは、企業の規模、収益性、効率性などを総合的に評価しており、ミリタリーバンクがベトナム経済において重要な地位を占めていることを示しています。
2011年にはホーチミン証券取引所に上場を果たし、株式市場においても重要な存在となっています。これにより、経営の透明性が高まり、国内外の投資家からの資金調達が容易になっています。
ミリタリーバンクは、日本の新生銀行と合弁で設立した会社(MB Shinsei Finance Company Limited)を通じて、ベトナム国内で個人向け無担保ローン事業を展開しています。これは、ベトナムの個人金融市場の発展に貢献しており、多くの顧客に金融サービスへのアクセスを提供しています。また、傘下にはMBキャピタルマネジメント(資産運用)、MB証券(証券業)、MIC(損害保険)、MBエイジライフ(生命保険)、MB新生ファイナンス(消費者金融)などの子会社があり、幅広い金融サービスを提供することで、顧客の多様なニーズに応えています。
本社はベトナムの首都ハノイに位置しており、ベトナムの金融業界を牽引する存在として、今後も更なる成長が期待されます。近年では、デジタルバンキングの強化に特に注力しており、オンラインバンキングやモバイルバンキングの機能拡充、新しいデジタルサービスの開発などを積極的に進めています。また、中小企業(SME)向けの融資や、個人向けのローン商品など、顧客ニーズの変化に迅速に対応しようとしています。
出典:https://mbbank.com.vn/History
VP Bank(VPバンク)
VPバンク(正式名称:Vietnam Prosperity Joint Stock Commercial Bank)は、1993年に設立されたベトナムの大手民間銀行です。7,000名以上の従業員を擁し、全国に200か所以上の支店・営業拠点を展開しています。傘下には資産運用を行うVPBank AMCと、消費者金融事業を展開するFE Creditという2つの重要な子会社を有しています。特にFE Creditは、ベトナムの消費者金融市場において大きなシェアを持っており、VPバンクの収益に大きく貢献しています。
VPバンクは、2012年から2017年にかけて、米系の大手コンサルティング会社であるマッキンゼー社の支援を受けて事業を拡大しました。この支援を通じて、経営戦略の策定や業務プロセスの改善などが行われ、その後の急速な成長の基盤となりました。
ベトナムの大手企業ランキングVNR500において、2020年には全業種で第21位、銀行部門では4大銀行(国営BIG4)に次ぐ第5位にランクインしました。このランキングは、企業の規模、収益性、効率性などを総合的に評価しており、VPバンクがベトナム経済において重要な地位を占めていることを示しています。
2021年には、日本の三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)が、VPバンク傘下の消費者金融会社であるFE Creditに1,000億円以上を出資しました。この出資は、FE Creditの事業拡大を支援するとともに、SMBCグループとVPバンクの間の戦略的な連携を強化するものでもあります。具体的には、SMBCコンシューマーファイナンスがFE Creditに出資を行い、その後、三井住友銀行がVPバンクと業務提携契約を締結し、様々な分野での業務提携が実現しています。
VPバンクは、非常に優れた経営陣と経営管理システムを有しており、他の銀行よりも高い経営効率と財務健全性を誇っています。近年では、特にデジタル化に力を入れており、オンラインバンキングやモバイルバンキングの機能拡充、新しいデジタルサービスの開発などを積極的に進めています。これにより、顧客はより便利に銀行サービスを利用できるようになっています。
VPバンクはホーチミン証券取引所に上場しており、株式市場においても重要な存在です。本社はハノイ市に位置しています。
出典:https://www.vpbank.com.vn/ve-chung-toi#intro
Eximbamk(エクシムバンク)
エクシムバンク(正式名称:Vietnam Export Import Commercial Joint Stock Bank)は、1989年に設立されたベトナムの大手民間商業銀行です。従業員数は5,000名を超え、全国に207の支店・営業所を展開しています。その名の通り、輸出入取引に関連する金融サービスに強みを持っており、貿易金融、外国為替取引、国際送金など、幅広いサービスを提供しています。
エクシムバンクは、ベトナムの大手企業ランキングVNR500において、2020年に全業種で第105位、銀行部門では第16位にランクインしました。このランキングは、企業の規模、収益性、効率性などを総合的に評価しており、エクシムバンクがベトナム経済において一定の地位を占めていることを示しています。また、世界的な格付け機関であるスタンダード&プアーズ社が2020年に行った格付けでは、B+(安定的)と評価されました。これは、エクシムバンクの財務状況が安定しており、一定のリスク許容度を持つ投資家にとって投資対象となり得ることを示しています。
エクシムバンクは、国内外の金融機関と幅広い資本提携・業務提携関係を構築しています。特に、ベトナム最大の商業銀行であるVietcombankや、日本の大手金融機関である三井住友銀行と資本提携を結んでいることは特筆すべき点です。これらの提携により、エクシムバンクは高度な金融ノウハウや国際的なネットワークを活用することができます。さらに、セディナやみなと銀行などの日本の地方銀行とも提携しており、中小企業向けの金融サービスや地域経済の活性化にも貢献しています。これらの提携は、エクシムバンクが多様な顧客ニーズに対応し、幅広い金融サービスを提供しようとしていることを示しています。
エクシムバンクは、2009年にホーチミン証券取引所に上場しており、株式市場においても重要な存在です。本社はベトナム最大の都市ホーチミン市に位置しています。
近年では、従来の輸出入関連の金融サービスに加えて、個人向けローン、中小企業向け融資、デジタルバンキングなど、幅広い金融サービスを提供することで、顧客の多様なニーズに応えています。特に、デジタルバンキングの強化に力を入れており、オンラインバンキングやモバイルバンキングの機能拡充、新しいデジタルサービスの開発などを積極的に進めています。
出典:https://eximbank.com.vn/gioithieueximbank
Sacom Bank(サコムバンク)
サコムバンク(正式名称:Saigon Thuong Tin Commercial Joint Stock Bank)は、1991年12月21日に設立されたベトナムの大手民間商業銀行です。従業員数は16,000名を超え、全国に552か所以上の支店・営業所と約500台のATMを展開する広範なネットワークを有しています。オンライン納税サービスなど、現代のニーズに合わせたサービスも提供している点が特徴です。
サコムバンクは、ベトナムの大手企業ランキングVNR500において、2020年に全業種で第37位、銀行部門では第8位にランクインしています。このランキングは、企業の規模、収益性、効率性などを総合的に評価しており、サコムバンクがベトナム経済において重要な地位を占めていることを示しています。
サコムバンクは、国際的な企業との提携も積極的に進めています。日本の第一生命保険の現地法人と提携しており、サコムバンクの窓口で第一生命の保険商品を販売しています。これにより、顧客は銀行窓口で保険相談や契約手続きを行うことができ、利便性が向上しています。また、アメリカの大手クレジット会社であるVISAと提携し、2020年にはベトナムで初めて非接触決済サービス(Tap to Phone)を導入しました。これは、スマートフォンをPOS端末として利用できるサービスで、店舗側は専用端末の導入コストを抑えられ、顧客側はより手軽にキャッシュレス決済を利用できるようになります。この導入は、ベトナムにおけるキャッシュレス決済の普及に大きく貢献しています。
サコムバンクは、2006年にホーチミン証券取引所に上場しており、株式市場においても重要な存在です。本社はベトナム最大の都市ホーチミン市に位置しています。
近年では、デジタルバンキングの強化に特に注力しており、オンラインバンキングやモバイルバンキングの機能拡充、新しいデジタルサービスの開発などを積極的に進めています。また、中小企業(SME)向けの融資や、個人向けのローン商品など、顧客ニーズの変化に迅速に対応しようとしています。
出典:https://www.sacombank.com.vn/company/Pages/gioi-thieu.aspx#part-1
ベトナムの主要銀行3選〜日系企業編〜
みずほ銀行
みずほ銀行は、ベトナムにおいて、日系金融機関としていち早く拠点を設置し、長年にわたり事業を展開しています。1996年にハノイ市に初の拠点を設置し、2006年にはホーチミン市にも拠点を展開しました。さらに、バリア・ブンタウ省(2014年)、ビンフック省(2017年)と提携し、日系企業のベトナム進出や事業展開を積極的に支援しています。ベトナム全土には約25名の日本人駐在員が派遣されており、現地での事業活動をサポートしています。
みずほ銀行のベトナムにおける主な事業は、預金、ファイナンスなどの基本的な銀行サービスに加え、貿易決済(信用状発行:L/C発行)、M&A(合併・買収)サポートなどが挙げられます。特に、ベトナムでは国営企業の民営化が進んでいることを背景に、M&A案件が増加傾向にあり、みずほ銀行はこれらの案件を積極的にサポートしています。
また、ベトナムの大型プロジェクトへの支援も重要な事業の一つです。具体的には、ギソン2石炭火力発電所やギソン製油所などの国家的な重要プロジェクトに対し、融資やアドバイザリーサービスなどを提供しています。これらのプロジェクトは、ベトナムの経済発展に大きく貢献しており、みずほ銀行はこれらのプロジェクトを金融面から支えることで、ベトナムの経済成長に貢献しています。その他、ベトナム電力公社に対する格付アドバイザリーも行っており、ベトナムのインフラ整備にも貢献しています。
みずほ銀行のベトナム事業において特筆すべき点は、ベトナムの大手商業銀行であるVietcombankとの資本業務提携です。みずほ銀行はVietcombankの株式の15.0%を取得しており、両行は強固なパートナーシップを築いています。この提携により、みずほ銀行はVietcombankの広範なネットワークや顧客基盤を活用することができ、ベトナムにおける事業展開をよりスムーズに進めることができます。また、Vietcombankにとっても、みずほ銀行の持つ国際的な金融ノウハウやネットワークを活用できるというメリットがあります。
近年では、ベトナムのデジタル化の進展に対応し、デジタルバンキング分野にも注力しています。例えば、ベトナムの主要な電子決済サービスであるMoMoへの出資や、ベトコムバンクと連携したデジタル金融サービスの開発など、積極的に取り組んでいます。これにより、ベトナムの個人顧客や企業顧客に対して、より便利で効率的な金融サービスを提供することを目指しています。
出典: https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/world/network/asia/index.html
MUFG
MUFG(三菱UFJフィナンシャル・グループ)は、ベトナムにおいて1996年にホーチミン支店、1998年にハノイ支店を開設し、長年にわたり事業を展開しています。これにより、ベトナムの主要都市である南北の拠点をカバーし、顧客へのサービス提供体制を整えています。
MUFGのベトナムにおける主な事業は、預金、ファイナンスなどの基本的な銀行サービスに加え、貿易決済(輸出入業務における決済、信用状発行など)などが挙げられます。これらのサービスを通じて、ベトナムに進出している日系企業や現地企業、さらにはベトナムと海外との貿易取引を行う企業を幅広くサポートしています。
MUFGのベトナム事業において特筆すべきは、ベトナムの国営大手商業銀行であるVietinbank(ベトナム商業銀行)との強固な関係です。MUFGは約20%のVietinbank株式を取得しており、取締役を2名派遣しています。これにより、MUFGはVietinbankの経営に深く関与し、両行間の連携を強化しています。Vietinbankはベトナム国内で広範なネットワークと顧客基盤を有しており、MUFGはこのネットワークを活用することで、ベトナムにおける事業展開をより効率的に進めることができます。また、MUFGはVietinbankを持分法適用会社としており、連結決算にVietinbankの業績が反映されるため、MUFGグループ全体の収益にも貢献しています。
さらに、MUFGグループの子会社である三菱UFJリースは、Vietinbankグループ傘下のリース子会社であるVietinbank Leasing(ヴィエティンバンクリース)に出資し、同社株式の49%を保有しています。この出資により、MUFGグループはリース事業を通じてベトナムの企業に対し、設備投資などのファイナンスソリューションを提供しています。リース事業は、ベトナムの経済発展に不可欠な企業の設備投資を支援する重要な役割を担っており、MUFGグループはリース事業を通じてベトナム経済の発展に貢献しています。
近年では、ベトナムにおけるデジタル化の進展に対応し、デジタルバンキング分野への取り組みも強化しています。具体的な内容は公開情報が限られていますが、Vietinbankとの連携を通じて、デジタル技術を活用した新しい金融サービスの開発や、顧客体験の向上に努めていることが推察されます。
出典: https://www.bk.mufg.jp/ippan/tempo/network/index.html
SMBC
SMBC(三井住友銀行)は、ベトナムにおいて2006年にホーチミン市、2008年にハノイ市に拠点を設立し、事業を展開しています。これにより、ベトナムの二大都市に拠点を構え、顧客への幅広いサービス提供体制を構築しています。
SMBCのベトナムにおける主な事業は、預金、ファイナンスなどの基本的な銀行サービスに加え、貿易決済(輸出入業務における決済、信用状発行など)などが挙げられます。これらのサービスを通じて、ベトナムに進出している日系企業や現地企業、さらにはベトナムと海外との貿易取引を行う企業を幅広くサポートしています。
SMBCは、ベトナム政府機関であるベトナム計画投資省外国投資局(FIA)と業務提携を結んでおり、日系企業のベトナム進出支援に積極的に取り組んでいます。この提携により、日本企業はベトナムへの投資に関する情報提供や手続きのサポートなど、様々な支援を受けることが可能となっています。
SMBCのベトナム事業における重要な動きとして、現地の金融機関との連携が挙げられます。
- エクシムバンクとの提携: 2007年に現地大手銀行であるエクシムバンクと資本・業務提携を締結し、同社の株式を15%取得しました。しかし、事業環境の変化などを理由に、この提携は2022年に解消されています。
- VPバンクおよびFE Creditへの出資: 2021年には、現地大手銀行であるVPバンク傘下の消費者金融会社FE Creditに1,000億円以上を出資しました。その後、VPバンクとも業務提携契約を締結し、FE Creditへの出資を通じて、ベトナムの個人金融市場への展開を強化しています。これは、ベトナムの急速な経済成長と個人消費の拡大を捉え、成長市場への足がかりとする戦略の一環と言えます。
また、SMBCは国営ベトナム郵政総公社(VN Post)と金融サービスの電子化に関する業務提携契約を締結しています。これにより、VN Postの郵便局ネットワークを活用した金融サービスの提供や、地方部における金融サービスの普及などが期待されます。さらに、現地の大手金融機関であるBIDVやベトナム航空などとも業務提携しており、幅広い分野でベトナム企業との連携を深めています。
近年では、ベトナムのキャッシュレス化の進展に対応し、デジタル決済分野への取り組みを強化しています。例えば、ベトナムの決済サービスを提供するSmartNetへの出資を通じて、キャッシュレス決済プラットフォームの拡大を支援しています。また、ベトナム貿易大学ホーチミン市分校と覚書を締結し、インターンシッププログラムを通じて人材育成にも貢献しています。
出典: https://www.smbc.co.jp/asia/vietnam/
ベトナムの主要銀行9選〜外資企業編〜
HSBC
HSBCは、イギリスを拠点とする世界的な金融機関であり、ベトナムには1870年という非常に早い時期に進出しています。これは、ベトナムにおける最も古い外資系銀行の一つであることを意味します。その後、2009年にはベトナムで初めて100%外資の銀行として認可を受け、現地法人HSBC Bank (Vietnam) Ltd.を設立しました。これは、HSBCがベトナム市場を重視し、長期的な視点で事業展開を行っていることを示しています。
HSBCのベトナムにおける主な事業は、預金、ファイナンスといった一般的な銀行サービスに加え、貿易決済(輸出入業務における決済、信用状発行など)など、国際的な金融サービスに強みを持っています。特に、グローバルネットワークを活かした貿易金融や外貨取引は、ベトナムの貿易取引を行う企業にとって重要なサービスとなっています。
ハノイ市、ホーチミン市、ダナン市、ビンズオン市といったベトナムの主要都市に14か所の支店・営業所と約40か所以上のATMを展開しており、広範な顧客ネットワークを構築しています。従業員数は1,400名を超え、ベトナムの経済発展に貢献しています。
HSBCは、ベトナムの大手商業銀行であるTechcombankの株式を20%保有していました。しかし、2021年にこの株式を売却し、Techcombankとの資本関係は解消されています。ただし、業務提携関係については一部継続している可能性があります。
HSBCは、ベトナムにおいて企業および個人向けの幅広い金融サービスを提供しています。具体的には、銀行業務(預金、送金、為替など)、クレジット(クレジットカード、ローンなど)、保険、ローン(住宅ローン、ビジネスローンなど)といったサービスを提供しており、多様な顧客ニーズに対応しています。
本社はベトナム最大の都市であるホーチミン市に位置しています。
近年では、ベトナムにおけるデジタル化の進展に対応し、デジタルバンキングサービスの強化に注力しています。モバイルバンキングアプリの機能拡充やオンラインバンキングサービスの向上など、顧客の利便性向上を図っています。また、サステナビリティ(持続可能性)への取り組みも強化しており、環境に配慮した金融商品やサービスを提供することで、ベトナムの持続可能な発展に貢献しています。
出典: https://www.about.hsbc.com.vn/vi-vn/hsbc-in-vietnam
Citibank
シティバンクは、ベトナム戦争後、アメリカ系の金融機関として初めてベトナムに進出した大手金融機関です。1993年にホーチミン市に拠点を設置し、翌1994年にはハノイ市にも拠点を展開しました。これは、ベトナム経済の開放政策が始まった時期と重なり、シティバンクがベトナム市場の潜在力に着目していたことを示しています。
シティバンクは、ベトナムにおいて幅広い金融サービスを提供しており、主な事業内容は以下の通りです。
- キャッシュフロー管理: 企業の資金繰りや財務管理を効率的に行うためのソリューションを提供します。
- 国際決済: 海外送金、外国為替取引など、国際的な取引をサポートするサービスを提供します。
- 商業銀行業務: 企業向けの融資、貿易金融、手形割引など、一般的な商業銀行業務を提供します。
- リテールバンキング(個人向け銀行業務): 個人向けの預金口座、ローン、クレジットカードなどのサービスを提供していました。しかし、後述するように、2021年にリテールバンキング事業からの撤退を発表しています。
- 証券および取引サービス: 株式や債券の取引、カストディ業務など、証券関連のサービスを提供します。
シティバンクのベトナム事業における大きな転換点となったのは、2021年に発表されたリテール(個人向け)銀行サービス戦略の見直しです。この戦略に基づき、シティバンクはベトナムを含むアジア、欧州、中東、アフリカの複数の市場からリテールバンキング事業から撤退することを決定しました。この決定は、グローバルな事業戦略の見直しと、より収益性の高い事業への集中を目的としたものです。
ただし、ベトナムにおいては、リテールバンキング事業から撤退した後も、法人向けのサービスは引き続き提供していく予定です。つまり、キャッシュフロー管理、国際決済、商業銀行業務、証券および取引サービスといった法人顧客向けのサービスは継続されます。
出典: https://www.citibank.com.vn/vietnamese/footer/about_us.htm?lid=VNVNCBGGNFOTLABOUTUS
Standard Chartered
スタンダードチャータード銀行は、イギリスを拠点とする世界的な銀行であり、ベトナムには1904年にホーチミン市に最初の支店を開設したという長い歴史を持っています。これは、ベトナムにおける最も古い外資系銀行の一つであることを示しています。その後、2009年8月1日にはベトナム中央銀行から現地法人設立の認可を取得し、100%外国資本の法人であるStandard Chartered Bank (Vietnam) Limitedとして営業を開始しました。このことは、スタンダードチャータード銀行がベトナム市場を重視し、長期的な視点で事業を展開していることを明確に示しています。
スタンダードチャータード銀行は、ベトナム国内で700名以上の従業員を擁し、ハノイ市とホーチミン市にそれぞれ支店を展開しています。具体的な支店数は公開情報に基づくと4か所、ATMは12か所です。ただし、これらの数字は変動する可能性があるため、最新の情報は公式ウェブサイトなどで確認することをお勧めします。
ベトナムにおける主な事業内容は、企業、金融機関、個人顧客向けに様々な商品やサービス、特にリテールバンキングサービスを提供していることです。具体的には、以下のようなサービスが含まれます。
- 企業・金融機関向けサービス: 貿易金融、キャッシュマネジメント、融資、アドバイザリーサービスなど、企業や金融機関のニーズに応じた高度な金融サービスを提供しています。
- 個人顧客向けサービス(リテールバンキング): 預金口座、ローン(住宅ローン、個人ローンなど)、クレジットカード、投資商品など、個人顧客向けの幅広い金融商品・サービスを提供しています。特に、優先顧客向けのサービスに力を入れているようです。
スタンダードチャータード銀行は、かつてベトナムの大手銀行であるアジアコマーシャルバンク(ACB)の株式を15.5%保有していました。しかし、2013年にこの株式を売却しており、現在はACBとの資本関係はありません。
ベトナムにおける本社はホーチミン市に位置しています。
近年では、ベトナムにおけるデジタル化の進展に対応し、デジタルバンキングサービスの強化に力を入れています。オンラインバンキングやモバイルバンキングアプリの機能拡充、新しいデジタルソリューションの開発などを積極的に進めており、顧客の利便性向上を図っています。
出典: https://www.sc.com/vn/about-us/
Public Bank
パブリックバンクは、マレーシアを拠点とする大手金融機関であり、1993年にベトナムに進出しました。その後、2016年にはベトナムで6番目となる100%外国資本の銀行として運営されるようになりました。これは、パブリックバンクがベトナム市場に本格的に参入し、長期的な事業展開を目指していることを示しています。
パブリックバンクは、ベトナム国内に26か所の支店・営業所を展開しており、全国で500名以上の従業員を擁しています。数百万の個人および企業顧客にサービスを提供しており、ベトナムの金融市場において一定の存在感を示しています。
パブリックバンクのベトナムにおける主な事業は、以下の通りです。
- 個人向けリテールバンキング: 預金口座、ローン(住宅ローン、個人ローンなど)、クレジットカード、保険など、個人顧客向けの幅広い金融商品・サービスを提供しています。
- 外国為替サービス: 外貨両替、海外送金など、外国為替に関するサービスを提供しています。
- 企業向けサービス: アカウントサービス(当座預金、普通預金など)、外国為替、ビジネスローンなど、企業向けの金融サービスを提供しています。
ベトナムにおける本社はハノイ市に位置しています。近年では、ベトナムにおけるデジタル化の進展に対応し、デジタルバンキングサービスの強化に取り組んでいることが予想されますが、具体的な情報は限られています。
出典:https://publicbank.com.vn/AboutUs/AboutUs?parentCateId=20&CateId=26
UOB
UOB(ユナイテッド・オーバーシーズ銀行)は、シンガポールに本社を置く東南アジアの大手銀行グループです。ベトナムには2018年に9番目の100%外資銀行として認可を受けました。これにより、ベトナム市場においてより自由な事業展開が可能となり、顧客へのサービス拡充を図っています。
UOBは、ホーチミン市とハノイ市に拠点を構えており、合計3か所の拠点で事業を展開しています。500名以上のスタッフがベトナムで勤務しており、現地経済に貢献しています。
UOBのベトナム事業において特筆すべき点は、傘下のグループ会社であるUOBアセットマネジメントが、2021年にベトナムの資産運用会社であるVAMベトナムファンド運用会社を買収したことです。UOBアセットマネジメントはアジアトップクラスの資産運用会社であり、この買収を通じてベトナムの資産運用市場におけるプレゼンスを強化しています。これにより、UOBグループは銀行業務に加えて資産運用サービスも提供することで、顧客の多様なニーズに対応しています。
UOBのベトナムにおける主な事業内容は以下の通りです。
- 個人向けリテールバンキング: 預金口座、ローン(住宅ローン、個人ローンなど)、クレジットカード、投資商品など、個人顧客向けの幅広い金融商品・サービスを提供しています。
- 外国為替サービス: 外貨両替、海外送金など、外国為替に関するサービスを提供しています。
- 企業向けサービス: アカウントサービス(当座預金、普通預金など)、外国為替、ビジネスローン、貿易金融など、企業向けの金融サービスを提供しています。
ベトナムにおける本社はホーチミン市に位置しています。
近年では、ベトナムの急速な経済成長とデジタル化の進展に対応し、デジタルバンキングサービスの強化に注力していることが予想されます。具体的な情報は限られていますが、オンラインバンキングやモバイルバンキングアプリの機能拡充、新しいデジタルソリューションの開発などを積極的に進めていると考えられます。また、2022年にはシティバンクが東南アジアの一部地域からリテール事業を撤退した際に、その事業の一部をUOBが買収したことも、ベトナム事業に影響を与えている可能性があります。
出典:https://www.uob.com.vn/about/contact-us.page
JPMorgan Chase
JPモルガン・チェースは、アメリカを拠点とする世界最大級の金融機関の一つであり、ベトナムには1995年にホーチミン市に拠点を設立し、その後ハノイ市にも拠点を展開しています。これは、ベトナムの経済成長が著しい時期に、同市場の可能性に着目して進出したことを示しています。
JPモルガン・チェースのベトナムにおける事業は、主に法人顧客向けに特化しており、以下のような幅広い金融サービスを提供しています。
- トランザクションサービス: 企業の日常的な資金管理や決済業務を効率化するためのサービスを提供しています。具体的には、キャッシュマネジメント、貿易金融、カストディサービスなどが含まれます。
- ストラクチャードファイナンス: 複雑な金融取引に対して、個別のニーズに合わせた最適なソリューションを提供するサービスです。プロジェクトファイナンス、M&Aファイナンス、リースファイナンスなどが含まれます。
- 財務サービス: 企業の財務戦略策定やリスク管理を支援するサービスを提供しています。具体的には、外国為替取引、金利リスク管理、デリバティブ取引などが含まれます。
- 資金調達ソリューション・アドバイザリーサービス: 企業の資金調達ニーズに対して、最適な方法を提案し、実行を支援するサービスです。株式発行、債券発行、シンジケートローンなどのアドバイザリー業務が含まれます。
これらのサービスは、主要な大手ベトナム企業、ベトナムに進出している外資系企業、および現地の金融機関といった法人顧客を対象としています。個人向けのサービス(リテールバンキング)は提供していません。
ベトナムにおける本社はホーチミン市に位置しています。
近年では、ベトナム経済の成長に伴い、インフラ投資や企業の海外進出が増加しており、JPモルガン・チェースはこれらのニーズに対応するためのサービス提供に注力していると考えられます。また、グローバルなネットワークと専門知識を活かし、ベトナム企業と海外市場との架け橋となる役割も果たしているでしょう。
出典: https://www.jpmorgan.com/VN/en/solutions
BNP Paribas
BNPパリバは、フランスを拠点とする世界的な大手金融機関であり、ベトナムには1989年に進出しました。ホーチミン市とハノイ市に拠点を展開しており、ベトナム国内では50名以上の従業員が勤務しています。
BNPパリバのベトナムにおける事業は、企業向けサービスと個人向けサービスの両方を提供しています。
- 企業向けサービス: 主に運転資金の融資や資金管理などのサービスを提供しています。具体的には、大企業や多国籍企業向けに、貿易金融、キャッシュマネジメント、融資、M&Aアドバイザリーなどのサービスを提供していると考えられます。また、ベトナム政府やベトナムの大手企業(例:格安航空会社ベトジェットエアなど)の株式売却のアドバイザーを務めるなど、大型案件にも関与しています。ベトナム国内で約3億米ドルの貸付残高を有していることからも、企業向け融資に力を入れていることが分かります。
- 個人向けサービス: 具体的なサービス内容は公式ウェブサイト等で詳細に公開されていませんが、富裕層向けのウェルスマネジメントサービスなどが提供されている可能性があります。
BNPパリバは、ベトナムの主要な金融機関であるSacombankやBIDVと提携しています。これらの提携を通じて、より幅広い顧客へのサービス提供や、ベトナム市場における事業展開の強化を図っていると考えられます。
かつては、BNPパリバグループ傘下の保険会社であるBNPパリバ・カーディフが、ベトナムの大手金融機関であるVietcombankと提携し、ベトナム国内で保険事業を手掛けていましたが、2019年にこの提携は解消されました。
ベトナムにおける本社はホーチミン市に位置しています。
出典: https://vietnam.bnpparibas.com/en/about-bnp-paribas/bnp-paribas-in-vietnam/
ShinhanBank
新韓銀行は、韓国の大手金融機関であり、1993年にベトナムに進出しました。これは、ベトナムのドイモイ政策による経済開放が進む中で、早期に進出した外資系銀行の一つと言えます。
新韓銀行はベトナム国内で積極的な事業展開を行っており、2,000人以上の従業員を擁し、全国に38の営業拠点(支店・出張所など)を展開しています。これは、ベトナムで営業している外資系金融機関の中でも最多の支店数です。このネットワークは、個人顧客から法人顧客まで幅広い層へのサービス提供を可能にしています。
新韓銀行は、今後もベトナム国内で年間5店舗程度のペースで新規店舗を開設し、合計100店舗程度まで拡大することを目指しています。これは、地場の金融機関と対等に競争できる体制を構築し、ベトナム市場での更なる成長を目指すという強い意志の表れと言えるでしょう。
新韓銀行は、ベトナムにおいて以下のような事業展開を行っています。
- リテールバンキング(個人向けサービス): 預金口座、ローン(住宅ローン、個人ローンなど)、クレジットカード、投資信託など、個人顧客向けの幅広い金融商品・サービスを提供しています。2017年4月には、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のリテール部門を買収しており、これにより顧客基盤を大幅に拡大しました。
- 法人向けサービス: 企業向けの融資、貿易金融、キャッシュマネジメント、M&Aアドバイザリーなど、企業活動をサポートする様々な金融サービスを提供しています。
- 投資事業: ベトナムの大手ファンド事業者であるメコンキャピタルと提携し、ベトナムの新興企業への投資なども積極的に行っています。これは、ベトナム経済の成長に貢献するとともに、将来の成長を見据えた戦略的な投資と言えるでしょう。
- 日系企業向けサービス: 2020年には、日本のきらぼし銀行(東京都)と提携し、ベトナム国内に進出している日系企業向けの融資サービスを開始しました。これにより、日系企業のベトナムにおけるビジネス展開を金融面からサポートしています。
ベトナムにおける本社はホーチミン市に位置しています。
出典: https://vietnam.bnpparibas.com/en/about-bnp-paribas/bnp-paribas-in-vietnam/
ICBC
ICBC(中国工商銀行)は、中国に本社を置く世界最大の銀行の一つです。ベトナムには2009年にハノイ市に拠点を設置しました。中国とベトナムの経済貿易関係の発展において重要な役割を担っており、両国間のビジネスを円滑に進めるための金融サービスを提供しています。
ICBCベトナムは、100名以上のスタッフを擁し、個人および企業向けの幅広い金融サービスを提供しています。
- 個人向けサービス: 預金口座、送金、ローン、外国為替など、個人顧客の日常的な金融ニーズに対応するサービスを提供しています。
- 企業向けサービス: 企業向けの融資、貿易金融、国際決済、保証業務など、企業のビジネス活動をサポートする様々な金融サービスを提供しています。特に、中国とベトナム間の貿易取引を円滑に進めるためのサービスに強みを持っていると考えられます。
- プロジェクトファイナンス: 中国政府が行う様々なODAプロジェクト(電力、通信、高速道路、高速鉄道など)への融資も行っています。これは、ベトナムのインフラ整備に貢献するとともに、中国企業のベトナム進出を支援する役割も果たしていると考えられます。
ベトナムにおける本社はハノイ市に位置しています。
ICBCのベトナム事業について、上記の情報に加えて以下の点を補足します。
- 中国との強いつながり: ICBCは中国の国有商業銀行であり、中国政府との強いつながりを持っています。そのため、ベトナムにおける事業展開においても、中国政府の政策や意向が強く反映されていると考えられます。
- グローバルネットワークの活用: ICBCは世界中に拠点を持つグローバルな金融機関であり、そのネットワークを活かしたクロスボーダー取引や国際的な資金調達のサポートに強みを持っていると考えられます。
- 人民元決済の推進: 中国とベトナム間の貿易において、人民元建ての決済を推進する役割も担っている可能性があります。これにより、両国間の貿易取引における為替リスクを軽減し、取引コストを削減することが期待されます。
- 他の中国系企業との連携: ベトナムに進出している他の中国系企業と連携し、金融サービスを提供している可能性もあります。
- デジタルバンキングの推進: 近年、ICBCはグローバルでデジタルバンキングの強化を進めており、ベトナムにおいてもオンラインバンキングやモバイルバンキングアプリの機能拡充、デジタルソリューションの開発などを積極的に行っていると考えられます。
出典:https://bit.ly/3viwAk8
ハノイ在住のベトナム人。名古屋大学で文部科学省奨学金の日研生として留学経験有り。日越の翻訳、通訳などが得意で、日本語教師の経験有り。ハノイで日系IT企業に入社後、主に総務・人事、日本親会社との取引業務を約3年経験し、その後長野県で日本企業で勤務。