今回は、飲料業界に焦点を当て、ローカル・日系・外資合わせて13社を厳選してお届けしていきます!
それぞれの企業情報や事業内容について、一つ一つ詳しくご紹介します。
韓国の主要飲料企業10選〜ローカル編〜
lottechilsung飲料 (ロッテチルソン飲料)
1950年設立し、韓国初の清涼飲料“チルソンサイダー”を販売開始した。韓国国内飲料業界一位である。販売しているブランドは、チルソンサイダーやミルキスなどの清涼飲料水、カンタタやレッツビーというコーヒー飲料、HOT6というエナジードリンクなどがある。
また、ペプシコーラやデルモント、トロピカーナ、リプトンなどの海外ブランドも多く販売している。
売上比重は飲料が67.1%で半分以上である。その中でも炭酸飲料の比重が高くペプシコーラを始めとする炭酸飲料の売上が全体の35.4%である。2023年第1四半期の飲料部門の売上は、前年同期比で8.5伸びた4230億ウォンで、営業利益は18.9%増加した390億ウォンを記録した。
出典:https://company.lottechilsung.co.kr/kor/main/index.do
pardo (パルド)
1983年韓国ヤクルト(現hy)がラーメントータルブランドとしてパルドをローンチした。2012年(株)paldoとして独立した。 取り扱い商品は麺、飲料、インスタント食品などである。飲料の主力商品はシッケ(韓国伝統の米飲料)と子供向けの飲料である。
子供向けの飲料は、こぼれにくいように飲み口が工夫されたペットボトルやパウチのものがある。また、紅参(ホンサム)という朝鮮人参の成分が入ったものもある。
子供飲料市場のヒット作であるポロロ飲料は2007年の発売から2022年まで4億8000万個が販売されたことが集計された。2022年だけでも国内で約7809万個が売れ、前年比16.2%の増加率であった。
出典:http://www.paldofood.co.kr/
woongjin食品(ウンジン食品)
1976年設立。代表商品は、果物野菜ジュース、麦茶やトウモロコシのひげ茶などのお茶類、お米を使った穀物飲料、水などである。2022年第3四半期の売上において各品目が占める比重は、果物野菜ジュースが36.4%、お茶類が27.2%、穀物飲料が7.4%、水・その他が29.0%であった。
果物野菜ジュース“チャヨヌン(自然は)”は、国内の果菜飲料ブランド市場において、デルモント、ミニッツメイドに次ぐ第三位の6.8%であった。(2020年基準)
2022年の売上は2958億ウォンであり、前年比12%増加した。また営業利益は133億ウォン(8億ウォン増)、純利益は110億ウォン(7億ウォン増)であった。Paldoの子供向けポロロ飲料に対抗して、大人気アニメの“キャッチ!ティニピン”子供飲料を2023年6月発売した。
出典:https://www.wjfood.co.kr/Main/Main.aspx
nongshim (ノンシム)
1965年設立。取り扱い商品は、インスタントラーメン、スナック菓子、飲料などである。
飲料の主力商品は白山水という韓国産の飲料水のほか、ドイツ発の子供向け果汁ジュースCapri-Sun、アメリカ発の果汁ジュースWelch’s、日本初のお茶ブランド伊藤園、ドイツ発のスポーツ飲料POWERO2(パワーオーツー)など、海外発のブランドを多く取り扱っている。なお、伊藤園の“おーいお茶”と“ジャスミンティー”を販売している。
ノンシム全体の2022年の売上は3兆1291億ウォンで、前年に比べて17.5%増加した。なお部門別売上はラーメン79%、スナック15.4%、飲料6.8%である。
出典:http://brand.nongshim.com/main/index
binggrae (ビングレ)
1967年設立。事業分野はアイスクリーム、加工乳/牛乳類、発酵乳、コーヒー/飲料、スナック/デザート、健康食品、食品製品の輸出などである。
主力商品は1974年に発売された加工乳ナンバーワンのバナナ牛乳である。通常のバナナ味の他にバナナ味ライト、イチゴ味やメロン味もある。飲料はこの他にもコーヒー飲料や果汁ジュースなどを取り扱っている。
バナナ牛乳市場においての市場占有率は80%を占めている。2022年の売上額は輸出を含めて2000億ウォンに達し、ビングレの全体売り上げの約25%を占めている。なお、輸出先は中国、アメリカ、台湾などで全世界20か国余りに及ぶ。2022年の輸出額は420億ウォンであり前年に比べて16%増加した。
出典:https://www.bing.co.kr/
Kwangdong製薬 (クァンドン製薬)
1963年設立。取り扱い商品は、医薬品、一般流通食品(飲料水、炭酸飲料、茶類)、健康機能食品などである。主力商品は、ビタミン飲料のビタ500、トウモロコシのひげ茶、ケンポナシ茶、飲料水のサムダスなどである。
トウモロコシのひげ茶は、顎のラインがVの字のようにすっきりとするという意味合いで、商品名が“Vライントウモロコシのひげ茶”となっており、若い女性がターゲットとなっている。
2022年の売上額は1兆4315億ウォンを達成した。営業部門別主要製品および売上額(比重)を見ると、流通営業部門においてはビタ500が975億ウォン、トウモロコシのひげ茶が475億ウォン、ケンポナシ茶が442億ウォン等で計2280億ウォン(26.8%)であった。さらに水部門においてはサムダスが2955億ウォン(34.7%)と、製薬会社でありながら一般製品の比重が高いことが分かる。
出典:http://www.ekdp.com/main/main.asp
Seoul牛乳協同組合(ソウル牛乳協同組合)
1937年に創立した。株式会社ではなく協同組合である。取り扱い商品は、牛乳、ヨーグルトなどの発酵乳、ジュースや豆乳などの飲料、コーヒー飲料、チーズ、生クリームやバターなどの加工食品等である。
2004年に販売開始して以来、人気の商品“ビヨット”は累積販売量が最近、7億個を突破した。ビヨットはトッピングが付いたヨーグルトであり、現在6種類の味を販売している。日本女性にも人気があり、韓国旅行時に購入するリストにランキングしている。
2022年の売上額は1兆9684億ウォン(前年比6.8%増)で、営業利益は473億ウォンを記録した。ソウル牛乳は2018年以降5年連続で、国内牛乳市場において占有率第一位を記録している。
出典:https://www.seoulmilk.co.kr/enterprise/main.sm
Maeik乳業(メイル乳業)
1969年設立。取り扱い商品は、牛乳、発酵製品、有機農/低温殺菌、飲料、栄養食、乳脂類、インスタント食品、輸入製品などである。その中でも粉ミルクのエブソルト、離乳食のマンマミール、イタリアのチョコレートのフェレロ・ロシェ、カリフォルニア産のアーモンド飲料のアーモンドブリーズなどが有名である。
2022年の売上額は1兆7695億ウォンで、2018年以降5年連続で国内牛乳市場において占有率第二位を記録している。
粉ミルク市場において占有率第一位を争っている。粉ミルクのエブソルトシリーズを含んだ乳加工類の売上比重は、2021年末の82.96%から2022年末の82.06%、2023年第1四半期の75.59%まで下落している。
出典:https://www.maeil.com/
namyang乳業(ナムヤン乳業)
1964年設立。最初に乳児用の調製粉乳の生産を開始した。取り扱い商品は、粉ミルク、子供のおやつ・離乳食、乳・豆乳製品、タンパク質補充材・栄養食、コーヒー・茶などである。
2022年の売上額は9647億ウォンであった。前年同期比で0.9%増加したが、営業利益は-868億ウォンであり、損失が持続している。牛乳と粉ミルクが占める比重は全体の売上の70%に達する。
メイル乳業と共に粉ミルク市場で一位を争っているが、少子化などの影響で不振が続いている。新成長の動力として、シニア向けタンパク質飲料の“テイクフィット“、植物性飲料の”アーモンドデイ”などを販売開始した。ドラえもんがパッケージの子供向けチョコ牛乳“チョコエモン”も代表的な製品である。累積販売額は2023年時点で5750億ウォン(販売量に換算時4億4000万個)である。
出典:http://company.namyangi.com/index.asp
Pulmuone (プルムウォン)
1981年に有機農農産物の直売店を開設し、続けてプルムウォン有機食品を設立した。1984年、国内最初の包装豆腐を販売開始した。2014年、日本朝日食品工業(株)を買収し、アメリカ、中国、ベトナムなどにも進出している。
取り扱い商品は、生鮮食品から、冷凍・チルド食品、ケチャップやソースやドレッシングなどがある。飲料は、飲料水、果物野菜ジュース、茶・コーヒー飲料、牛乳などを取り扱っている。中でも2007年に販売開始した搾汁ジュース“アイムリアル”が有名である。2019年、累積販売量1億5000万瓶を突破し、国内搾汁ジュース市場占有率、約70%(2019年基準)を占めた。
2023年第一四半期の売上は7200億ウォン(12.2%増)、営業利益は123億ウォン(101.2%増)を記録した。
出典:https://www.pulmuone.co.kr/pulmuone/main/Index.do
韓国の主要飲料企業1選〜日系編〜
Donga Otsuka (東亜大塚)
1979年に東亜製薬(株)の食品事業部から分離され食品会社として設立された。取り扱い商品は、ポカリスエットやオロナミンCなどの日本の商品に加え、炭酸飲料やお茶類などがある。
炭酸飲料では“デミソーダ”という果汁入りの炭酸飲料が有名であり、アップルやピーチなどの全7種類がある。お茶類では“デジャワ”というロイヤルミルクティーが有名である。
2022年の売上は3418億ウォン、営業利益は202億ウォン、純利益は154億ウォンであった。2021年と比較して売上は16%増加し、営業利益は117%、純利益は128%伸びた。2022年の全体売り上げのうち、約50%の比重をポカリスエットが占めた。
出典:https://www.donga-otsuka.co.kr/?slide=2
韓国の主要飲料企業2選〜外資系編〜
CocaCola Korea (コカ・コーラ コリア)
韓国では1968年からコカ・コーラが生産・販売開始した。代表ブランドには、コカ・コーラを初めスプライト、ファンタなどの炭酸飲料、ミニッツメイドなどの果汁ジュース、ジョージアなどのコーヒー飲料、トレタ、パワーエイドなどのイオン飲料など、20個余りの飲料ブランドを生産・販売している。
2022年度売上額は2874億ウォンを記録し、前年度と比較して8.1%増加し、営業利益は前年対比2.1%増加した。2006年からコカ・コーラゼロを通しゼロ炭酸飲料市場を開いた。近年ゼロ炭酸飲料の人気が高まっており、2021年にはライバル企業のロッテチルソン飲料からゼロペプシとサイダーが販売された。両社とも売り上げを大きく伸ばしている。
コカ・コーラのシステムは、原液を生産し商標管理・マーケティングを担当する“コカ・コーラ社”と完成品を生産・流通・販売する“ボトリングパートナー”の2つに分かれている。現在ボトリングパートナーはLG生活健康が担当している。
出典:http://www.fredit.co.kr/info/introduce.do
Unilever Korea (ユニリーバ・コリア)
1883年にイギリスで石鹸を販売開始し、現在では190か国を超える国家に進出している。1993年ユニリーバ・コリアを設立し、韓国に進出した。韓国ではダブ、ヴァセリン、スナッグル、リプトンなどのブランドを取り扱っている。
リプトン商品は、アイスティー(粉を溶かして飲むタイプ)とティーバッグなどを販売している。なお、リプトンのペットボトルや缶などの商品はロッテチルソン飲料が販売している。アイスティーの競合商品としてはドンソ食品の“TIO”が挙げられる。
ユニリーバ本社の2020年の総売上は507億2000万ドル(約60兆ウォン)に達した。なおリプトンを始めとしたお茶事業部門の売却を推進している。
出典:https://www.coca-cola.co.kr/homepage
ソウル在住の韓国人。日本での在住経験は25年。日本の有名大学を卒業し、大手シンクタンクの正社員及び経営コンサルタントとして勤務。多くのプロジェクトに携わり、ビジネス戦略とイノベーションの分野で活躍。
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